計画をねりねり・・・・・・。

計画をねりねり・・・・・・。

思いつくままにオッサンが、Negicco、WHY@DOLL(ほわどる)を筆頭とする音楽、そして映画や読書のことなどをゴチャゴチャと。

Amebaでブログを始めよう!

このPV、楽曲も映像もとても魅力的で、公開以来、何度も視聴している。

それでは、時系列でこの映像を。

 

 

 

新潟在住アイドル・ユニットNegiccoのメンバー、Kaede。
生誕を記念した2作目のソロシングル「ただいまの魔法」のMV。
2018年9月19日(水)発売 「ただいまの魔法」
作詞・作曲・編曲 和田唱(TRICERATOPS)

 

 

 

 

とある衛星、そこには水が存在し、

地形によっては大量の水が地球で言うところの湖のような状態となっている。

そしてその水面には、星間飛行を可能にしている一機の宇宙船が係留されている。

 

停泊する宇宙船の基地である。

 

湖水のかなたには巨大な建造物。

この星における何かの工場か、あるいはエネルギー供給元なのかもしれない。

 

そこからケーブルで導かれているのは、

 

地球で呼ぶデンキのようだ。

 

 

 

主人公であるNegiccoのkaede(地球上での通称は、かえぽ)が宇宙船船内からデッキに現れた。

空を見上げるのは、出発が間近かで雲行きが気になるらしい。

 

アンテナを広げ、

 

交信機をチューニングする。

 

星間飛行の前に水分を補給する。

 

宇宙船の船内。

そのエンジンルーム通路の両側には、

小型だけれども驚異の推進力を持つエンジンが並んでいる。

その目視確認に余念のないかえぽ。

かえぽの手にしているのは地球上では箒&ちりとりと呼ぶのだが、

これはエンジンの重要な点検器具なのだ。

 

エンジンから、前回の星間飛行で使い切った球体エネルギーを取り出すかえぽ。

 

球体エネルギーを新しいものに入れ替えておかねばならない。

 

何かを手にしてエンジンルームにやってくるかえぽ。

 

地球上でのこの行為は、いわゆる雑巾絞りと拭き掃除にしか見えない。

 

しかし、この星においてはそうではなく、

ごくわずかな水分をエンジンの表面に馴染ませることで、

揮発力を高めるための極めて大切なプロセスなのだ。

 

エンジンの一台と向き合い、詳細に点検する。

 

異常がないか、チェックするかえぽ。

 

さすが、地球上では考えられないエンジン形態。

 

これから向かう、遥かかなたの星を確認するかえぽ。

 

それは、宇宙船内での作業だ。

 

出発の準備がひととおり終了し、しばし寛ぐかえぽ。

 

この星の水面も、地球同様に美しい。

 

かえぽも水面を眺めて、

前年に訪れた地球における風景を思い出しているのかもしれない。

 

そして、ふと寝そべってみたのだが、あわてて思い出したのは、

 

宇宙船の出発坑の準備態勢が、整っているかということ。

さすがは地球上で言うリケジョ、大丈夫だということを瞬時に悟ったらしい。

 

この星の太陽も時間と共に移動して、まもなく陽が沈む。

 

エンジンの最終点検を行うかえぽ。

 

この日の沈む直前の輝きは、地球と酷似している。

 

自分の乗り込む宇宙船を見つめるかえぽ。

 

エンジンの最終点検、球体エネルギーをさらに一個補充しておく。

 

乗り込みゆく、かえぽ。

 

この星をしばらく留守にするので、

振り向きざまに別れの挨拶をするかのようなかえぽ。

それは同時に、地球にいる人類へ向かっての親しみを込めた挨拶でもある。

 

 

 

そして異星からやってきたかえぽは、2018年9月15日WWW X に降り立つ。

 

毎年、この日の前後にやってくるかえぽ。

彼女の到来を待つ者にとって、

かえぽから発せられる 「ただいま」 という言葉、

それはそれを聞きたいがために集う人々の、

1年間、待ち望んでいた瞬間。

そして、かえぽへ返す言葉はただひとつ、

それは彼らの万感の思いが込められた 「おかえり」 しかありえない。

この二つの言葉のやりとりのためにだけでも、

その場所にいる価値がある。

だからそれを、

Kaedeの「ただいまの魔法」 と呼ぶ。

 

 

 

 

今回のブログは、東森さんの「喉元過ぎれば熱さを忘れる」

“『ただいまの魔法/kaede(Negicco)』に震えた”

を読んで刺激されて書いてみました。

東森さん、ドウモアリガトウ。

 

かえぽは、Negiccoのメンバー3人の中で、もっとも異星人っぽいような。

なんだか少しミステリアスな雰囲気があるし、

いつも冷静で落ち着いているから。

 

 

 

 

 

この日、開演前に無事、自分の指定席に座ることができた。

あとは、これから展開されてゆくステージとその音楽に身をゆだねていればいい。

 

2018年7月21日 18:00~

Negiccoデビュー15周年記念ライブ 「love my 15years at 朱鷺メッセ」

 

 

 

朱鷺メッセのホールBに入場し指定席に歩みつつ場内の雰囲気を肌で探ってみても、15周年という節目的な祝祭感や高揚感、そして観客からの緊張感もあまり感じられず、それは意外といえば意外だった。

定刻どおりに、Negiccoの出囃子「Make Up Prelude」が流れ出す。

とたんに、ああ、Negiccoのライブに自分はやってきたのだ、という感覚が体内中を満たしてゆく。

さて、第1曲目には何を配置してくるのだろうか?

それが、この日における自分のもっとも関心のあることだった。

なぜなら、終盤からアンコールにかけては、そのあたりの曲の選択はおおよその予想がついていたから。

それは自分だけでなく、何度かNegiccoのライブに参戦している方なら、同様だったはず。

 

 

 

さて、その第1曲目は、イントロがほとんどなく、すぐに歌い始めるこの曲だった。

 

 

 

ライブのスタートにどの楽曲を持ってくるのか、運営や演出者、出演者は毎回、悩まれていることとかとお察しする。

ましてや、15周年記念というきわめて重要なライブ、その第1曲目に何を配置するのか、Negiccoの持ち歌もずいぶん多くなったのでそれこそ大いに悩んで関係者間でさまざまなアイデアや意見が飛び交ったのではないかと思う。

その中で選んできたのは、『ネガティヴ・ガールズ』 だった。

プロデューサーのconnieさんが作詞・作曲、編曲に吉田哲人さん、そこにメンバーも作詞に加わって制作されたこの曲は、ファーストアルバムで名盤な『Melody Palette』に収録されているわけだけど、その頃のメンバーの心象が反映されているのはあきらか。

 

  「ネガティヴ・ガールズ! まだ今は
  ネガティヴ・ガールズ! うん 弱いけど
  あきらめないで We're Never Give Up Girls!」

 

当時そんな風な思いを抱いていたメンバーがいま、

「お蔭様であきらめないで今日までやってきて、いま、こんなに大きく成長しました。そして、その姿を皆様にこれから披露してまいります。観てやってくださいませ」 

という運営と関係者、そしてメンバーそれらすべての方々からのメッセージが、この曲をここに置いたことによって込められているのをヒシヒシと感じた。

もうこれだけで、ここに足を運んできてよかった、とつくづく思った。

同時に、この楽曲をあえてこのライブの上置きにしてしまうのがNegiccoの唯一無二である所以だな、とも感じられた。

明るく元気でいつもポジティブ、それがすべてのアイドルのセールスポイントであるし、それを体現するための楽曲を次から次へと制作し披露してゆくのがすべてのアイドルの方針。

でも、Negiccoはちがう。

そもそも普通のアイドルとその運営の思考回路なら、マイナス・イメージにしかならない“ネガティヴ” というキーワードを使うことはないだろう。

Negiccoの場合は、自分たちがネガティヴな考え方の持ち主であることを公言してはばからない。

それは数あるインタヴュー記事内におけるメンバーからの発言の、あちらこちらに残されていること。

そして、『ネガティヴ・ガールズ』 というタイトルの楽曲までも作ってしまうのだから、恐れ入ってしまうしかない。

ちなみにYouTubeで“ネガティヴ”というキーワードで検索してみると、上位4つは“ネガティヴ”という思考についての解説的、またはスピリチュアルな動画、5番目に上の動画とはまた別の『ネガティヴ・ガールズ』の動画が登場する。

彼女たち3人は、心の底から自分たちが“ネガティヴ・ガールズ”だと思っている。

 

 

ネガティヴ、見方をかえれば謙虚と言える。

謙虚、言い方をかえれば控えめと言うことができる。

Negiccoの3人は、謙虚で控えめ。

そんな3人の人柄を思っていると、今日の昼間に歩いた新潟市という土地柄を思い出していた。

 

 

 

上越新幹線Maxとき 305号は、大清水トンネルで車両点検を行ったために新潟駅へ4分遅れの10時ちょうどに到着すると、すぐさま万代シティに向かった。

もちろん目的は、バスセンターのカレーライスだった。

1ヶ月ほど前に民放の番組でここのカレーが大きく取り上げられ、その直後からそのカレーを求める長蛇の列ができているということを耳に入れていたのだが、さすがに土曜日のこの時間ならばそんなことはないだろうと思っていたのだが、その予想どおりに待ち客は一人もおらず、かつて訪れたときのままの雰囲気だった。

そして、Negiccoメンバーぽんちゃの紹介記事も、その掲示位置は変わったものの、そのまま貼ってあった。

 

 

なんと控えめなことなのか。

民放テレビで放映されたのなら、幟とかポップとか案内表示とか、少しはアピールしてもよいのではないかと、こちらが思ってしまうほど。

むしろ、初めて訪れ方には不案内すぎるのでは、と感じてしまう。

このお店の、美味で手頃価格なカレーライスを日常に食べることができるのをうらやましく思ってしまうのだが、新潟市民は当たり前のことと思っているのかもしれない。

 

 

まったく偶然に、ここで友人と出会った、もちろん彼もネギヲタである。

その彼と2人して、バスに新潟交通のバスに乗車した。

目的は、「Negicco結成15周年記念ワンマンライブ“love my 15years at 朱鷺メッセ”便乗NegiccoファンによるプレDJパーティー」、これへの参加だった。

会場のある古町までさして距離のあるわけではなかったが、歩くには暑すぎる。

そのためバスで行ったのだが、経路的には当然、萬代橋を渡る。

そして、思う。

 

市街地のど真ん中を一級河川の、そしてわが国最長である信濃川が流れている、その景観のすばらしさを。

大きな河川がながれていれば、必然的に大きな空がその周囲には存在することとなり、川の流れと空の広さが見る者にどれだけの開放感とやすらぎをもたらしてくれることか。

他所からやってくるとつくづく、この景観をうらやましく思ってしまうのだが、新潟市民は当たり前のことと思っているのかもしれない。

 

また思う、このいま渡っている萬代橋のたたずまいのすばらしさを。

そして、この橋は国の重要文化財。

そんな歴史的にも貴重なものを日常生活で使えることをうらやましく思ってしまうのだが、新潟市民は当たり前のことと思っているのかもしれない。

 

 

たいへんに楽しかったプレDJパーティーをあとにして、2人で関屋浜に向かった。

古町からふたたび新潟交通のバスに乗車し10分ほど、松波町3丁目で下車し5分弱ほど歩いて防砂林を抜ける。

そこには夏の日本海が広がっていた。

 

 

県庁所在地の市街地よりわずか15分で、こんなすばらしい海水浴場に恵まれているとは。

しかも、最盛期の土曜日昼過ぎにもかかわらず混雑しておらず、実に適度な人出にうらやましく思ってしまうのだが、新潟市民は当たり前のことと思っているのかもしれない。

 

 

立ち並ぶ海の家、その中からいかにも生ビールが旨そうな「KIRIN 関屋浜 海の家」を選択して入店。

待つこともなく、好みの座席に座る。

これがあっさりとできることですら、それだけでもうらやましく思ってしまうのだが、新潟市民は当たり前のことと思っているのかもしれない。

 

 

この場所には違和感しか生み出さないいでたちである自分のビジネス姿に関心を抱いたのか、あるいは単に暇を持て余していただけなのか、おそらくはその両方かと思われるが、とにかく若くてかわいい女性従業員さんが、突然に自分たちへ話しかけてくる。

怪しい風体なおじさんに気軽に話しかけてくれるなんて、それだけでもうらやましく思ってしまうのだが、新潟市民は当たり前のことと思っているのかもしれない。

 

 

「お仕事ですかぁ~?」と問われた自分は、おっとり刀でスーツ上着の内懐に潜ませていたネギライトを取り出して彼女の目の前に示し出す。

それを振りながら、「今日の夜、朱鷺メッセでNegiccoの15周年記念ライブがあるのでそれのために東京から来ました」とお答えしたところ、「えっ!?、わざわざ東京からですか?」と驚かれてしまう。

Negiccoが身近な存在だなんて、それだけでもうらやましく思ってしまうのだが、新潟市民は当たり前のことと思っているのかもしれない。

 

 

 

わずか数時間だけ市内のごく限られた場所を訪れただけなのだか、それぞれのすばらしさを痛感してしまった。

でも、そのすばらしいさをどこまで理解し、それぞれの存在の稀有なことを新潟に住んでいる方々はどこまで把握していらっしゃるのか、いささか疑問に思ってしまったのは正直なところ。

そしてそれは、新潟の方々の謙虚さ、控えめなことに由来するのかもしれない。

昨秋、豊栄にある祖父母の墓参りで五泉市の咲花温泉に実母と宿泊した際も仲居さんが言ってたっけ、

「こんな何もないところにわざわざお越しいただいて」って。

いえいえ、それはちがいます。

まったく新潟という土地は、どこまで謙虚で控えめなのかしらん。

だから、Negiccoの3人の謙虚さ、控えめさは、当たり前なことだけれど、新潟という土地柄に育まれたに相違なく、いまもその謙虚さ、控えめさが失われていないのは、現在も新潟に生活基盤があるからこそなわけだと思う。

もしも、数年前に東京へその基盤を移していたら、はたしてどうなっていたか、それは誰にもわからない。

でも、彼女たちも運営もその選択をしなかったからこそ、今日のこの日を迎えることができたというのは、そう的外れな話ではないはず。

 

 

その彼女たちが、いま自分たちの目の前で歌っている。

持ち歌が次々と披露されていく。

過去のものからも、最新アルバムのものからも、今昔を出し入れするセットリストが心地よい。

開演前に観客からの高揚感や緊張感があまり感じられなかったのは開演してからも同様で、それはステージ上の3人も同様で、15周年ライブなのだからという妙な気負いが3人からは感じられず、と言ってグダグダになるわけでもなく、あたたかさとやさしさ、それが育む多幸感がホール全体をつねに包んでいるのだった。

それは新潟という土地でこのライブを行ったがゆえかもしれず、運営の売上を考慮すれば15周年なのだから当然ながら東京で開催したほうが集客面で倍くらいを見込めたであろうところをあえてそうはしないという、やはり運営自体も謙虚で控えめなことによるのかもしれない。

 

 

ネガティヴな3人が、いくつものつらいことを乗り越え、そのつどに少しづつ成長していまの姿を見せてくれている。

自分の知っているのは15年間のうち最近の5年だけだけれど、この5年の間でも節穴だらけな自分の目から観ても確実に成長している。

ヴォーカルしかり、ダンスしかり、MCしかり、ヴィジュアルしかり。

自分からこんな言葉を書くなんて、おこがましいこと甚だしいことなので躊躇してしまうことではあるのだが、でもそれは事実。

さて、翻って自分を見てみるとどうだろう。

身体能力面では、誠に遺憾なことではあるが成長はあり得ず、むしろ退化していることが如実である。

内面的にはどうかというと、こればかりは自分ではなんとも言い難いが、この5年で硬軟いろいろなことを通り過ぎてきたわけだから、少しは成長したと思いたい。

Negiccoは幸いにも、これからも末永く活動を続けてくれそうだから、今後も引き続き3人の成長を見届けることができる。

ということはつまり、自分のこれからもNegiccoとともに歩んでゆくことによって、成長していくのではなかろうか、というおぼろな期待が持てる。

 

Negiccoの30周年記念ライブがどこで行われるのかもちろんわからないのだが、それまで共に生きつづけていれば、自分も3人と一緒に精神的には成長した人間として、その日を迎えることができるのではなかろうかという希望が持てる。

その希望を持っていれば、それが叶えられるのではと思わせてくれるのが、Negicco。

 

 

だからNegiccoに出会うことができて、本当によかった。

それもあらためて確認できた、新潟朱鷺メッセの15周年ライブだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

仕事の予定が見えず、なかなか踏み切れないでイライラしていた今春から6月半ば。

参戦したいのはもちろん、これである。

 

   7月21日(土)18:00~

   Negicco 15周年アニバーサリーを祝うワンマンライブ “love my 15years at 朱鷺メッセ”

 

仕事に支障がないことが判明したとしても、カミさんには何といって新潟まで遠征しようか、

それも懸念となっていた。

そんなモヤモヤな気分も内包しながら過ごしていていると、朱鷺メッセ開催日が一ヶ月ほどに迫ってきた。

そんなある日。

 

 

6月30日(土)。

その夕食時に高校二年生の愚息から、ある一言が放たれた。

 

  「欅共和国に行ってくるから」

 

 

なんだと!?

チケット激戦な、あのライブに参戦するというのか!?

いったいチケットは、どうやって確保したというのだ!?

しかも開催地は、富士急ハイランドという遠方。

カミさんと二人でその場でいろいろ問い詰めてみると、欅ヲタな友人が2枚ファンクラブ枠で当選したらしく、

その一枚を譲り受けて一緒に参戦することになったらしい。

高校の他の友人たちはもっぱら乃木坂のファンばかりのようで、

どうやら欅ヲタはその友人と愚息の二人だけらしい。

遠征費やらチケット代やらは部活で忙しい愚息にバイトできる時間がないため、

正月にもらえるはずであろうお年玉をあてにして、先にその分を前借りするという虫のいい話。

彼らが参戦する日は、3日間の連続開催の初日にあたる7月20日(金)。

要するに、Negicco朱鷺メッセの前日なのである。

う~ん、これはヤバい、愚息に先手を打たれてしまった。

しかも、愚息の一連の話を聞いていたカミさんが言い放った言葉は、

 

  「うちには、ヲタクが二人いる」

 

というものだった。

半分冗談めかして、苦笑しながらの言葉ならまだしも、その言い方や声のトーンたるや、

冷たく突き放すような、取り付く島もないような、慈悲のカケラが一片も見当たらないような、

そんなニュアンスを伴ったものだった。

ダンナだけならまだしも、

腹を痛めた最愛の息子までもがアイドルにうつつを抜かしているというこの状況は、

カミさんにとってはおもしろいはずもなく、

(私一人だけ、楽しいことがなくてズルい) というココロの叫び声が聞こえてくるかのようだった。

いま思い返してみても、それだけでもおそろしい言い草だった。

 

 

愚息に先を越され、カミさんからはその言葉と雰囲気からプレッシャーを押し付けられ、

この二重重圧が一気に押し寄せてきたために新潟行きを諦めようかとも思わないではなかったのだが、

逆に何か対抗心のようなものが芽生え、踏ん切りが付いた。

よろしいではないか、上等だ。

二人して、ヲタクの真髄を見せてやろうではないか。

「ヲタク、かましたいの!」 という感じで。

愚息が富士急ハイランド遠征、その翌日に自分は新潟遠征。

 

だが、だがしかし、今後も末永く睦まじい夫婦生活を継続してゆくためには、

新潟遠征を発表するのはあまりにもリスクが大きい。

Negiccoのことはカミさんも好印象を抱いているのだから、

正直に新潟遠征を言えばよいのでは、と思われるかもしれないが、

あの発言を聞いてしまったあとでは、小心者の自分にはその告白は躊躇せざるを得なくなった。

あとあとまで根に持たれて、事あるごとにネチネチと言われるのはちょっと叶わない。

だから、決めた。

新潟ではなく、大阪へ出張するという架空な仕事をでっち上げることに。

だから、「ヲタク、かましたいの!」 という直前の大いなる叫びはいきなりトーンダウン化してしまい、

「ちょっとだけ、ウソかましちゃってゴメンナサイ」 という感じになってしまうのだが、

まあ、ここはやむを得まい。

もちろんカミさんには新潟遠征とは告げずに新潟出張と言ってもよいわけなのだが、

自分をネギヲタだと十二分に認識しているカミさんなのだから、

日程と新潟をキーワードにネット検索すれば新潟出張などというのは、

実はNegicco目当ての新潟遠征に他ならないことは、たちまちにわかってしまう。

だからそのリスクも、なんとしても避けたかった苦肉の策なのである。

 

 

翌々日7月2日(月)。

昨日に決心したとおり、さっそく新潟朱鷺メッセのチケットを一般発売で購入した。

B2ブロック ○○列。

かなり後方だろうけれど、その場所にいることができればそれでよい。

そして、ホテルも予約した。

新潟と大阪の2ヶ所である。

大阪のほうは、留守宅用のホテル予約票をプリントアウトしてすぐにその場でもちろんキャンセル。

それを自宅に持ち帰り、そのままカミさんに手渡した。

「7月20日の土曜日は、朝は会社に立ち寄ってからそのまま大阪へ行く。夕方に大阪で業界の集まりがあるからこのビジネスホテルに泊まる。翌日は朝の新幹線に乗って昼前に帰宅するから」

カミさんは無言で受け取った。

そのときの表情をうかがってみたかったのだが、

それをしてしまうと返ってこちらがウソをついているようなことを向こうに悟られてしまう恐れが重度に懸念されたので、

ここは辛抱が肝心だということで、

いつものような感じの雰囲気を出したつもりでカミさんの眼を見ずに手渡した。

カミさんには、疑惑も疑念も猜疑心も生じてはいなかったようだった。

そう思いたいし、そう思うしか手立てはなく、それに縋るしかなかった。

 

 

7月10日(火)。

富士急ハイランド行きを控えた愚息から、往復の経路を調べてほしいという依頼が入った。

どうやら友人と二人で自分なりに検索したらしのだが、念のためにということのようだ。

自分が検索してみると、往路復路ともに新宿駅発着の参戦者用チャーターバスはすべて売り切れ。

こういうところが高校生なわけで、チャーターバスを予約しようにもクレジットカードを持ち合わせていないのだから、

どうしても後手後手になってしまう。

まだまだ世慣れていないというか、さっさと手続きすることができない世間知らずさ。

いまとなっては、JRと富士急を乗り継いで往復するしかない。

そのことを告げてやる。

そして、サイトを引き続き検索してみる。

往路は、高校の一学期終業式を終え帰宅し、

適当な列車で向かえば17時の開演時間には十分に間に合うはず。

そし終演時間は、昨年の欅共和国の場合、19時半。

おそらく今年もそうであろうということで、復路の乗り継ぎ列車を調べてみる。

もちろん、復路でも最寄り駅は富士急ハイランド駅。

数年前に一度だけ富士急ハイランドを自分は訪れたことがあり、

その帰路には富士急ハイランド駅から乗車したのだが、

あの駅舎とホームのショボさといったらなかった。

あの駅に、ライブ後の参加者が殺到したら、ホームにたどり着くまでが難儀であろうし、

そもそも、会場から富士急ハイランド駅までへの経路も、思うように歩むことはできないことは容易に想像できた。

さらに調べると、一つ手前の河口湖駅は始発駅であり、

会場からそこまでだと遠回りにはなるのだが、2キロ強の距離なので歩けないはずがない。

だからライブ終了後はすぐに退場し、

河口湖駅まで歩いて乗車すべきであることを強くすすめておいた。

まったく、世話がやける。

 

 

7月20日(金)。

新潟遠征を控えた前日。

22時頃、会社から帰宅した。

カミさんに聞くと、終業式から帰ってきた愚息はすばやく着替え、富士急に向かったという。

もちろん、富士急ハイランドからまだ帰宅してはいなかった。

予定通りの列車に乗車できたとしても、帰宅は23時過ぎになる。

とにかく、19時半にライブが終わってから東京近郊まで列車でその日のうちにたどり着くには、

4本の限られた富士急行線に乗車しなければならない。

それもあって、富士急に無事に乗車したら母親にLINEするよう、きつく言い含めておいた。

カミさんにはLINEが届いていた、無事に河口湖駅20時31分発の列車に乗車したらしい。

23時10分、ほぼ予定通りに愚息が帰宅した。

身体は疲労感満載なのだか、その表情には疲れた中にも満足感がかなり存在していた。

 

  「どうだった?」

  「最高。神席。ねる、めっちゃカワイイ、すぐそばまで来た」

  「てちは、どうだった?」

  「う~ん、いまいち」

  「河口湖駅まで歩いたんだろ?」

  「ああ、30分くらい。最後はちょっとダッシュした」

  「座れた?」

  「ガラガラ、10人くらいしかいなかった、富士急からはヤバかった、殺到」

  「大月からは座れた?」

  「ムリ、ずっと立ちっぱまし」

  「究極のヲタ活をやったから、これでもう勉強に集中できるな?」

  「・・・・・・」

 

晩飯を食べそびれていた愚息に、カミさんが適当なものを供し、それをむさぼっている愚息。

奴のヲタ活は、マジでもうそろそろ勘弁してもらいたい。

奴等の学年は現役でどこかの大学にもぐりこまなければならない。

なぜなら、浪人してしまうと翌年から受験制度が大幅に変更されるためである。

だから受験までの残り1年半、勉学に励んでもらいたいところ。

果たして、そうなるかどうか、まあそれは奴次第。

彼等を尻目に、翌朝5時起床の自分は、一人寝床に入った。

 

 

7月21日(土)。

予定通り、5時に起床。

ついに、この日を迎えた。

さて、いまからいよいよ、自分のヲタ活動が開始する。
新潟にいるNegiccoのメンバーも、もう活動を始めた頃だろうか?

ネギヲタな方々も、それぞれがみな、それぞれに動き始めただろうか?

カミさんも愚息も、昨夜は何時に就寝したのかわからないが、起きてはこない。

そうでなければ、困る。

クローゼットの奥においてあるショルダーバックを取り出し、

そのジッパーをゆっくりと音をできるだけ立てないように動かしてポケットを開け、

その底に隠してあるネギライトを取り出す。

持ち手を捻ってみる、ライトが点灯する、点灯チェック完了。

それを、スーツ上着の内ポケットに忍ばせる。

その上着を脇に抱え、ワイシャツとスラックス姿で家を出る。

そう、あくまで出張なのだから、この姿でなければならない。

最寄り駅から通勤電車に乗車。

土曜日の早朝だから、ビジネス姿の方は見当たらない。

乗客の中で、これから新潟までNegoccのライブに参戦しに行く方はいるのだろうか、

いや、いないはずであろう。

自分だけだという特別感、いやそれは自分の勝手な勘違いだというのはわかってはいるのだが、

でもやはり、15周年を迎えたNegiccoの存在を知らない方が大多数を占める世間の方々に対し、

その存在の素敵なことを知らないのはあまりにも惜しいという感情が湧いてきて、

それに揺られながらやがてターミナル駅に到着した。

そこで乗り換え、会社に立ち寄った。

時刻は、6時30分。

もちろん、誰も出社してはいない。

パソコンを稼動させ立ち上がるまで待ち、メールをチェックする。

急を要する返信メールを作成するメールの到着はなく、大きく安堵してシャットダウンする。

そして、会社最寄りのJR駅から東京駅に向かう。

 

夏休み最初の土曜ということで、ただでさえ歩きにくい東京駅のコンコースが、

乗り慣れていない親子連れの右往左往、

その上に彼らはたいていキャリーバックを引きずっているので、

もはや半ば障害物と化して行く手を阻むも、

ココロは新潟へ向かっており、その期待感と高揚感に包まれているので、

彼らですら愛おしく思えてきてしまう。

階段を上がり21番線に到着すると、

すでにわが列車「MAXとき305号新潟行」は入線しており乗車可能となっていた。

 

 

このつややかにして巨大な2階建て新幹線「E4系」も、あと3年ほどで全廃となってしまう。

それもあって、指定券は2階3列シートの窓側を予約していた。

だが座席位置は進行方向右側に位置していたため、東からの朝の直射日光が容赦なく、

地下の上野駅から地上に出てそのまま高架を進み始めるとすぐにブラインドを下ろしたので、

2階席に特有な眺望を楽しめることはなかった。

大宮駅を発車しても、3列シートの隣席2つは空席のままだった。

これで、新潟駅までこのままの状態が続くことはほぼ確定した。

高崎、上毛高原、順調に停車駅を進み、列車は大清水トンネルに突入した。

全長22,221mのこのトンネルは、一時期、世界一長いトンネルだったこともある。

時速250キロで進む新幹線なら、ものの5分足らずでトンネルを抜けてしまう。

そして、これを抜けたところに越後湯沢駅がある。

 

 

そのトンネルの中間を過ぎたあたりだったのだろうか、速度がやや落ちだした。

すぐに元の速度まで戻るであろうという予想は裏切られてゆき、

そのまま、ますますスピードが遅くなってゆく。

そして、やがてついに列車は完全に停車した。

そんなバカな!?

ここは、天下の大清水トンネルのど真ん中!!

すぐに車内放送が流れ出した。

車掌の声は落ち着いたもので、

  「これから車両点検を行います、お急ぎのところ申し訳ございませんがしばらくお待ちください」

というものだった。

その瞬間から、脳裏を様々なものが駆け巡りだした。

車両点検とひとことで言ってもピンからキリまで色々あるはず。

今回のそれが果たして運転席からの操作で点検できるものなのか、

あるいは運転手が運転台から下りてその個所をチェックするのか、

それを行うにしても、トンネルの暗い中ではチェックしづらいのでは。

万一このままここでこの列車の運転が打ち切りとなったら、徒歩で出口に向かうのか、

出口は、東京側と新潟側のいずれが近いのか。

または、牽引車両がやってくるのか、それまでにはどのくらいの時間を要するのか。

はてまた、このまま新幹線ホテルとしてここで一夜を明かすことになるのか、

そうなった場合、ここに軟禁されてしまうわけで、

それはもはや『死刑台のエレベーター』と同じ状況に自分が置かれてしまうことになる。

 

 

『死刑台のエレベーター』 1957年/フランス/監督:ルイ・マル 主演:ジャンヌ・モロー 音楽:マイルス・デイビス

サスペンス映画の傑作:

「土地開発会社で働く青年ジュリアンは、愛人関係にある社長夫人フロランスと共謀し、社長を殺すという完全犯罪を計画。自殺と偽装して社長を殺害することに成功したものの、ジュリアンはその後、思いがけず犯行現場のビルのエレベーターの中に閉じ込められたまま、むなしく一夜を明かすはめとなり、完全犯罪は崩れだす・・・・・・」

 

 

まだ午前9時、さすがに夕方までには復旧するのではないか。

でも、もしもそうでなかったら?

夜にカミさんがメールか電話で連絡が入ったとしても、

トンネル内では両方ともにまったく繋がらない。

繋がらないからということで、予約票に記載されているビジネスホテルに電話したら?

でもその予約名簿には、自分の名前は存在しない。

では、夫はいったいどこにいるの?

そんな状況を発生させないために、

前もって自分がカミさんに大阪の宿泊先へ無事到着したことを知らせたくても、その手段はない。

この車両点検が実はとんでもない大事故の起因だったとすると、その取材にマスコミが殺到し、

復旧したところにニュースカメラが待ち構えていて、その映像に自分が写し込まれてしまったら?

そしてそれをカミさんが観てしまったら?

大阪にいるはずの夫の姿が、なぜ上越新幹線の事故現場に登場するのか?

だからとにかく、ニュースに写り込むことだけは何としても避けなければならない。

そのためには、いざとなったら近いほうの出口まで徒歩で向かうことも辞さない、長くても10キロほどなのだから、

とにかく、新潟にいるという痕跡を残してはならない。

 

 

やがてふたたび、車内放送が流れた。

さきほどのものと大差はなく、

  「ただいま車両点検を行っております、お急ぎのところ申し訳ございませんがしばらくお待ちください」

いまの状況における救いは車両のエアコンも照明も稼動しており、

どうやら電気系統のトラブルではなさそうなことだった。

そう、電気系統、架線系統の場合は、復旧まで長時間を要することがなきにしもあらず。

そして、緊急停車したわけでもなかった。

そこからは、一秒を争うトラブルに見舞われたものではないことが推察された。

 

 

待つしかなかった。

世界有数な大清水トンネルの途中で停車してしまうなどということはめったにあるはずもなく、

そういう意味ではいま貴重な体験をしている真っ只中ではあるのだが、

ブラインドを上げてある窓の外を見ても、トンネル内の暗さに浮かぶガラスに、

車内灯で照らされた自分の表情と眼が合うだけだった。

反対側に目をやると、当然ながら2つの空席の向こうに通路があり、その通路を隔てて2列シートが並んでいる。

そちらの乗客の様子を伺ってみても、いずれもが落ち着き払い手持ち無沙汰にしているだけだった。

いったい、どうなってしまうのだろうか?

実は、レアな体験などとやや浮かれている場合ではないのかもしれなかった。

大清水トンネル内に停車するように指示したのは、東京にある中央司令室のはずである。

ここに停車していることに、極めて重大な意図が隠されているのかもしれない。

それは、内閣危機管理室からの命令である可能性もある。

特殊な細菌に犯された乗客がこの列車に紛れ込み、すでに重篤な症状を発症。

これ以上の感染拡大を阻止しパンデミックを引き起こさないために、

あえてこの長大なトンネル内に、乗客を列車もろともに隔離。

乗客は全員、潜伏期間が終了するまでここに留め置かれてしまう。

そうであった場合、自宅に帰宅できる日はいったいいつになるのであろうか?

カミさんとの連絡は、完全に遮断されてしまうのだろうか?

政府がカミさんに、適当なことを言い繕ってしまうのだろうか?

もはや、Negiccoライブに行けなくなるどころではない。

映画でいえば、『カサンドラ・クロス』に近い状況かもしれない。

 

 

『カサンドラ・クロス』 1976年/イタリア・イギリス・西ドイツ合作/監督:ジョージ・P・コスマトス/主演:リチャード・ハリス

「細菌を浴びた過激派がヨーロッパ大陸縦断列車へ逃れた。車内には伝染病が広まり、機密の漏洩を恐れた軍は秘密裏に列車をポーランドへ運び隔離しようとするが、その路線には老朽化したカサンドラ大鉄橋が横たわっていた……。」

 

 

 

そんな妄想のようなものまでが脳内に出現し、怪物のように動き出しためたその時。

車内放送が流れはじめた。

  「車両点検が終了いたしました、まもなく運転を再開いたします、お急ぎのところ申し訳ございませんでした」

やがて、何事もなかったかのように列車は動き始め、それに合わせて窓ガラスの暗さも流れ始めた。

そして、間もなく越後湯沢駅に到着するアナウンスとともに、上越線・北越急行ほくほく線への乗り換え案内も聞こえてきた。

どうやら、5分ほど遅れて到着するようだった。

トンネルを抜け緑色に覆われた山肌が見え、

次の瞬間、屋根に覆われたまるで車庫のような越後湯沢駅のホームにMAXとき305号は滑り込んだ。

ここまで来れば、いざとなったら在来線で新潟駅までたどり着くことができる。

まだ安心というわけではなかったが、

それでも少なくともカミさんと連絡不通になることだけは逃れられた。

そしてどうやら、パンデミックは回避されたようだった。

 

 

 

サスペンスにおいて、犯罪が成功することなく終わってしまうのは、

たいていが予期せぬ不慮の出来事に原因がある。

ヲタ活動と平穏な家庭生活を両立させているのは、

極細な橋の上を微妙にバランスをとりながら歩んでいるようなもの。

そのバランスを崩してしまうのは、予期せぬことなのかもしれない。

そんなことに一旦は思い至ったのではあり、

今回、5分程度の延着で済んだのはたまたまなのであろうかもしれず、

しかし、喉もと過ぎれば熱さ忘れる、ということわざのとおりに、

越後湯沢駅で降りるようなこともせず、そのまま乗車した自分を運んで、

MAXとき305号は遅れを取り戻すかのように一路、新潟駅へ向けて突っ走ったのだった。

 

気苦労が、実に絶えないことではある。

あるのがだ、しかし、この3人に彼女たちの地元、新潟で逢えるのであれば。

ましてや、15周年の記念すべきライブなのだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

 

Negicco『古町ライブ2018年7月20日』&15周年アニバーサリーを祝うワンマンライブ『love my 15years at 朱鷺メッセ』

あの思い出を蘇えられるものはたくさんあったほうがよいと思いまして、某動画からキャプチャしてしまいました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ちょうど5年前の、2013年7月18日。

この日は、自分にとって記念すべき日となっている。

それは、Negiccoのリリースイベントに初参加した日。

 

 

Negiccoが、結成10周年で初のオリジナルフルアルバム 『Melody Palette』を発売したのは2013年7月17日。

その翌日に、タワーレコード新宿店でそのリリースイベントが開催された。

それまでの自分、アイドルにハマッた経験はいろいろ悩ましい思春期も含めて皆無だった。

そんな自分だったから、アイドルのイベントに参加するということ自体、驚異的な出来事であり、ましてやそのご本人達と握手までしてしまうということは、いまだかつて考えられないことだった。

その翌日に書き記した、当日の様子のブログがこちら。

https://ameblo.jp/nokkinokinoki/entry-11575740986.html

そして、その日に配布されたのが3人のサイン入りポスターだった。

 

 

 

すべては、この日から始まった。

そして、その5年後にあたる2018年7月18日、Negiccoニューアルバム「MY COLOR」発売記念イベントが開催された。

場所は、5年前とまったく同じ場所であるタワーレコード新宿店7Fフロア。


  日時:2018年7月16日(月・祝) 19:00~
  場所:タワーレコード新宿店 7Fイベントスペース
  集合:タワーレコード新宿店 7Fエレベーター横階段(18:30集合)
  内容:ミニライブ&特典会
  ※整理番号付優先入場券お持ちのお客様から優先入場
  ※特典会は列が途切れ次第、終了となります。

 

 

Negiccoのファンになりつつあるうちのカミさんも帯同したかったのだが、そのためにはニューアルバムをもう一枚購入しなければならず、シングルならいざ知らず、アルバムとなるとやはり懐具合的に躊躇せざるを得ず、また、祝日の夜だったので高校二年生の息子への夕食を供する必要もあったため、カミさんは残念ながら参加を断念したのだった。

そして、自分は一人で新宿店に到着した。

 

発売日である7月10日にアルバムをここで購入し、その時点でイベント参加券と特典会の参加券であるネギ券は手にしていた。

イベント参加券を整理番号付優先入場券に交換するための待機列は、7階階段からすでに上にまで伸びていた。

階段を2階分ほど上がって、その最後尾に付く。

すでに交換が始まっていたその列は、徐々に、でも確実に進んでいた。

自分の番がやってきて、係員にイベント参加券を手渡すと、その係員が抱えている整理番号付優先入場券の入った箱に手を伸ばし、指先に触れた最初の紙を選んで取り出してみる。

刻印された整理番号は60番台、なかなかの数字だった。

18時半過ぎ、整理番号順にイベントスペース入場。

前方から数列目にスタンディングすることができた。

5年前は、これほど前方ではなかったような記憶がある。

 

 

定刻の10分ほど前に、何の予兆もなく3人がステージに登場した。

今日の衣装は、世田谷区民会館で初披露されたものだった。

この衣装を着用したメンバー3人の姿を間近で眺めると、衣装の持つ清楚感と品位、そこにメンバーの持つ清楚感と品位が見事に合致し、その上にさらに芸能人だけが持つ見るものを引き付けてしまうオーラも纏っているので、なんともはや、見入ってしまうしかなくなってしまう。

そして3人は、時間を重ねてゆくほどに綺麗になってゆく。

こちらはといえば、5年の歳月が容赦なく身体を蝕んでゆき、老眼も着々と進行している。

3人にだけは、まるで時の流れが止まっているのではないかと思わせられてしまうほど。

そんな3人のうちの煽り役ぽんちゃがひと言、

   「リハーサルなので、少しゆっくりと聴いてもらおうと思います」

と言ったかと思ったら、その舌の根の乾かぬうちに告いで出た言葉が、

   『ねぇ、バーディア』

ぽんちゃにしてやられた瞬間で、それはそれで心地よい快感。

その瞬間のぽんちゃの表情はと見れば、してやったりなご満悦な表情で、それを見てこちらは、我らがぽんちゃにしてやられてしまったという、ちょっとMっぽい悦びの感覚が一瞬にして身体中を駆け巡る。

間髪置かずに 「ねぇ、バーディア」 のイントロが流れ、あとはすっかり馴染んだその音に身を委ねる。

リハーサルとはとても思えない、もうライブは開幕したも同然。

でもだがしかし、やはりリハーサルであったという事実は動かしがたく、ステージ脇の控え室に引っ込む3人。

 

 

定刻の5分過ぎ、長谷泰宏さんが作曲した「Make Up Prelude」 が流れ出す。

これを聴くたびに、いよいよこれからNegiccoのライブが始まるんだという期待感が聴衆一同に瞬く間に広がる。

と同時に、すでに一体感も生じてくる。

3人がふたたびステージに登場し、それぞれの位置に着く。

一曲目のイントロが流れ出す。

それはこの曲だった。

   『キミはドリーム』

ニューアルバムの2曲目に位置しているこの楽曲を、トップバッターにもってきた。

続いては、この曲だった。

   『Never Ending Story』

アルバムの、1曲目と2曲目を入れ替えての披露。

この2曲、アルバムの並びで聴くと、両曲ともに疾走感に溢れていて心地よい。

だからもちろん、順番を逆にしてもそれは変わらない。

でも、アルバムを聴いていただけでは想像もつかないことの筆頭は、Negiccoの踊る姿。

そして、『キミはドリーム』 の “キミ” はNegiccoであることを認識する。

Negiccoは夢だ、ぼくらがあわただしく過ごしている雑多でうまくいくことのほうが少ない日々、そんなささやかな日常に咲いた日常を忘れさせてくれる清涼剤。

先行きが見えないこんな時代の中で、ぼくらと一緒に少しづつでも前進しようとしている希求の姿の具象化。

 

自分とNegiccoとの出会いは、偶然だった。

ピチカートマニアの自分は、小西康陽さんがアイドルに楽曲をプロデュースしたという情報をたまたま読み、そのPVをなんとなく視聴してみたたことの偶然。

5年前、残業しなくてもよいタイミングでリリースイベントを開催していたことの偶然。

そのリリイベに、支障なく参加できたことの偶然。

偶然がいくつも重なった。

そしてこれは、まだまだ終わらない、物語は続いていく。

Negiccoが目の前で歌うことによって、脳裏に刻まれてはいたのだが、眠っていた様々なことが呼び起こされてゆく。

それは、それぞれの歌詞が自分の中で具体的に立ち上がってくるということ。

 

   『ノスタルジア』

これはさらにリアルだった。

“揺れる稲穂のざわめき” という歌詞が聞こえてくると、たちどころに新潟の田園風景が目前に立ち上がってきて、そこから夏の風が吹き渡ってくるのを感じた。

今日の昼間、東京はうだるような暑さだった。

その余熱がこのビルをまだまだ覆っているはずなのだが、だからこそ、新潟からのその風はとても心地よいもののような気がするのだった。

 

なんだろう、このような感覚。

5年前のNegiccoには、感じられなかった。

それはおそらく、Negiccoの3人が5年の間に身につけたもの。

観ている観客の脳内を、表現者が思わず知らずにやわらかく刺激し活性化することによって生まれてくるもの。

一般的にアイドルを観るということに対し、普段はそこまで求めてもいないし、仮に求めたとしても得られることはないはず。

ただただ、ひたすらに可愛いアイドルを愛でる。

もうひとつは、そのアイドルと共にひたすら沸くことによって得られる一体感を体感する。

この2つの要素が大きい。

Negiccoは、その歩みの蓄積によって、本人たちが自覚しているかどうかはわからないことなのだが、彼女たちの存在感やパフォーマンスから観客が感じ取ることに対し、深くて多層的な変化を及ぼすようなパワーを持ちつつあるのもしれない。

これはもはや、Negiccoの3人がアイドルという領域をある意味では凌駕してしまっていることなのかもしれない。

同時にもちろん、Negiccoメンバーの3人は、みな可愛い。

でもその可愛さには、その可愛さに触れることを(実際に触れることは特典会でしかできないわけなのだが)、恐れ多く感じてしまうものも帯びつつあるように思う。

特にステージ上でパフォーマンスしているときに、それを感じる。

気高くて気品のあるバリアが3人それぞれを包んでいる、という感じか。

 

そんな3人の歌う『ノスタルジア』のラストシーンは、特に印象的だった。

   「重なるハーモニーは 出会えたすべてが作る 今

    振り向けば手を振る

    愛しい笑顔に見送られて

    続いてゆく」

ここのところで3人は、ステージ上に一つの大きな輪を描くようにしてゆっくりと歩く。

一歩づつ踏みしめて、その都度にその一歩を確認するかのようにして。

その円を描く歩みを2度3度ほど繰り返して立ち止まり、歌は終わる。

その描いた円と歩みは、終わらないこと、続いてゆくを意味している。

ここに至って、単なると言っては言い過ぎかもしれないが、単なるリリイべのライブで瞳が潤んできてしまった。

 

そんな世界から自分を戻してきてくれたのは、いつものお約束曲である 『トリプル!WONDERLAND』 だった。

安心の盛り上がり、安定なコールとケチャの連続。

これはやはり、アイドルならでは。

 

そして、ライブのあとに続いた特典会では、恐れ多いとすら感じられたものは3人には微塵も残ってはおらず、そこにいるのはいつもの親しみやすくにこやかな3人で、そんな3人のそれぞれの瞳と熱くアイコンタクトをしながら、ハイタッチを交わしたのだった。

 

 

それにしても披露されたのはたった4曲、そのうちの3曲がニューアルバムからのものであったにせよ、今週末の7月21日土曜日に新潟の朱鷺メッセで開催される15周年アニバーサリーを祝うワンマンライブ “love my 15years at 朱鷺メッセ”、これがやはり特別なものになるであろうことを垣間見ることができたわけだし、それに出向く方々にとっては誠にふさわしい壮行会を、まだ参戦を迷っている方にとっては行くという選択肢を選ぶべきだという決意を促す決起会を、Negicco自身が催してくれたことにもなったわけで、それに参加する一員である自分にとっても、その期待がどんどんふくらんでいくことをもはやどうすることもできす、こんなワクワクを内包して過ごすことができるいま現在から当日までが 「嬉しすぎて最高」。

 でもそして、「だから余計に 終わりを考えてしまう」。

 

 

最後に、このブログでかつてお披露目したことのある、「Negiccoが自分にもたらしてくれた50のこと」 を再録してNegiccoに出会い共に歩んできたこの5年間を振り返りつつ、「Negicco15周年アニバーサリーライブ」開催への、経費ゼロ円的でいささか自分勝手なはなむけとしてしまう。

 

 

 

「Negiccoの『アイドルばかり聴かないで』は、ここ10年の間に僕がつくった曲では一番、気に入ってます。」

「あの曲は、『夢中になれるものがある人生が一番』 『オタク万歳!』って曲なんですよ。」小西康陽氏へのインタヴュー記事より。

 

 

 

小西さんがそう言い切った楽曲、Negiccoの『アイドルばかり聴かないで』 。

昨年12月10日『第7回AKB48紅白対抗歌合戦』にNegiccoがゲスト出演して、NGT48と『アイドルばかり聴かないで』を共演したときの動画。

それがYouTubeにUPされていた(UP主さん、ありがとう)。

NegiccoとNGT48が初共演したとても記念すべきライブ、そのライブで披露されたのが、なんといっても 『アイドルばかり聴かないで』、近々に消されてしまうだろうから、削除される前にキャプチャしてみた(以下、順不同)。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月29日(火) WHY@DOLL 定期公演 第2部

渋谷Glad  19:30開演

 

 

                                    (画像はメンバーのツイートから拝借)

 

       【セットリスト】

     1.CANDY LOVE

     2.clover

     3.キミはSteady

     4.Forever

     5.ラブ・ストーリーは週末に

     6.夜を泳いで

     7.Dreamin' Night

     8.Sweet Vinegar

     9.Notice me

     10.菫アイオライト

     11.秒速Party Night

     12.Tokyo Dancing

     13.恋なのかな?

     アンコール

     14.恋はシュビドゥビドゥバ!

                    (いしだいやさんのツイートから拝借しました、どうもありがとうございます)

 

 

この日の定期公演は、急遽セッティングされたとのこと。

その情報をツイートで知ったのだけど、あいにくと21時頃まで仕事の予定が入っていた。

だがしかし、前日にその仕事の予定が変更となり、こちらも急遽、参戦可能となった。

ほわどるファミリー(ほわどる界隈では、ファンの方々のことをこう呼称する)の知性である いしだいや さん https://twitter.com/82e57_a

からは、「このノンストップライブは絶対に見るべき」 と言われたのだが、そのときは予定が入っていたので 「残念ながら行けないのです」 と申し上げたところ、ひとこと 「もったいない」 

そうなのか、もったいないのか。

いしだいやさんは音楽に造詣深く、的確な観察力と秀でた鑑賞眼でライブ参戦されており、その感想はツイートとブログでふんだんに読むことができるのだが、その方のおっしゃられることなら、まちがいない。

しかしだが、行けないものは行けないので、あきらめていたところ。

ところが、こちらも参戦できることになったので、いしだいやさんの言葉を反芻しつつ期待に胸をふくらませて渋谷の雑踏をかきわけ、Gladにたどり着いてその中に入った。

 

 

ノンストップライブ、言い換えればMCを挟まずにラストまで一気に走りぬけるライブを行うということは誰にも明白。

アイドルやアーティストのライブでは、40分程度までならノンストップで行うライブに遭遇することがたまにあり、それはフェスに出演している場合がほとんどなことも皆さんご存知。

どんなライブでも、MCでは本人たちの素の面を垣間見ることができて、今回はいったい何を話すのだろうかと、それはそれでとても楽しみだし、そのMCによって、ますますファンになってしまうことも頻繁。

 

さて、ほわどるの定期公演は約1時間、MCがどこに挟まれるかはその公演によって微妙にちがうけれど、休憩と水飲みタイムの意味合いが大きいから、かならず存在する。

それを省いてしまうのだから、定期公演の前回での企画「イントロドン」に匹敵するチャレンジングな趣向なわけで、ほわどるでも今回で4回目ということだから、やはり、体力的な負荷が大きいのだろう、当たり前だけど。

そして、観ているこちら側からしてみれば、ほわどるに限らずすべての方のライブでは、いつ最初のMCが入るのかな、という意識が参戦中の脳裏のどこかにつねにごくわずかなのだけれども働いているので、それをまったく微塵にも意識することはないから、ラストまでライブにひたすらに集中することができる。

そのことが事前に把握できているということは、実はだから大事な訳で、それだけですでにいつもとはちがうテンションになっている自分がいる。

 

 

そんな自分を抱え込みながら、いつもながらに開演10分前に4階のバーカウンターでドリンク券と引き換えた生ビールを喉に放り込んでから、2階のテラスに立ち位置を決める。

ここは、1列目だと荷物置き場となるテーブルも設置されているし、ステージの演者との視線がこちらと同じ高さとなり、遮られるものがないためにそれがこちらにまともに突き刺さってくる特等席だから、開場前に整理番号順に入場しなければ場所取りはむずかしいはず、おそらく。

まあ、その時間に到着したことはないから、実際はどうなのかわからない。

だけれど、2列目ならば駆け込んで入場しても確保できるから、1列目の方々の間に立って、ステージがよく見える場所に位置取りをする。

 

 

5分程度、待っただろうか。

照明が落とされ、SEが流れないまま、メンバー2人が登場し、いきなり1曲目のイントロが流れ出す。

すると、この日がノンストップライブであることを十二分に承知しているオーディエンスのその魂は、それぞれがすでに満を持して渇求していたものだから、いきなりのイントロがそれに点火を促したようで一気にフロアは燃え上がった。

だが自分は、『CANDY LOVE』、この曲のコリオをいまだに確実には把握していない状況なので、まあ、今日はステージの2人をひたすら見つめるだけにしておこうかなあと、そのつもりになって凝視する。

 

 

メンバー2人の今日の衣装は、冒頭の画像のようにタイトなもの。

これが2人の抜群なスタイルをなおさらに強調して、目が離せない。

たとえば膝を落とすしぐさをすれば、それによって若い女性特有な、ヒップラインのまろやかな曲線がぼくらの前にその都度、出現する。

メンバー自身の体重をその片側にかければ、かけられたがわの側面ではやわらかくてしなやかな身体形状が色香を放つ。

 

青木千春、通称ちはるんの、今日のヘアスタイルは髪を後ろに束ねたポニーテール。

すべての髪を束ねるのではなく、少しだけ前に残しているのがアクセントとして効果をあげていて、さらにその髪にはウェイブがかかっているので一層に変化を醸し出し、それらすべてによってちはるんの愛らしい顔がより強調されている。

 

浦谷はるな、通称はーちゃんの、今日のヘアスタイルははーちゃんらしいロングヘアに、最近パッツンにしたという前髪がちょっと前よりも伸びてきていて、パッツンにしたての頃のキュートさに大人っぽさが加味されてきている。

はーちゃんのロングヘアは、回転するコリオが登場するたびにその動きに若干遅れてふわりと舞い、そこに含まれている芳香がその都度こちらにまで飛来してきているのでは、と勘違してしまう。

 

そして、そんなヘアスタイルの中心にあるのは、クルクル変化してつねに目が離せない2人の表情と、とても愛らしくてココロを持っていかれそうになる笑顔。

 

 

 

 

1曲目が終わり、次は 『clover』 だった。

フロアはさらにあがってゆく。

それに巻き込まれるかのように、自分の身体は勝手に動き出し、まだまだ覚束ない振りコピを始め出す。

もはや、見ているだけでは気も済まされない。

間違っていてもかまわない、誰もそれを指摘することはない。

あやふやな部分があっても、とにかくステージの2人の動きを見よう見まねでやってみる。

みんなと一緒に揺れていれば、ただそれだけでも楽しい。

ときおり、まだ完璧ではないけれど、ほぼ合致できているような気がする振りコピがあれば、それを行っているごくわずかな時間ではステージとフロア、そして自分との三位が一つになっている一体感が、自身の内側をかけめぐってハンパない。

 

そのままの勢いで、3曲目 『キミはSteady』 に突入する。

この楽曲の振りコピはかなり大きく動く部分も含まれていて、それをみんなと合わせることができていれば、その大きい分だけ一体感もさらにふくれあがる。

あやしい個所もかなりあるにはあるけど、勢いでやってしまえば、それでいいのだ。

冷静に見ればスーツを着たオッサンが、いったい何してるの状態になっているはずなのだか、ここには周囲を気にしている方はほとんどおられず、だから、いぶかしく思われている可能性もほぼ皆無。

みんな、いまこの瞬間瞬間をステージの2人とともに楽しんでいる。

自分からは、オーディエンスの表情はいっさい見えず、見えるのはその後姿と振りコピの動きだけ。

そこからだけでも、みんなのワクワク感が伝わってくる。

そして、メンバー2人からはぼくら一人ひとりの表情が手に取るように把握できているはずで、それは2人の表情にあらわれていて、ぼくらがものすごく楽しんでいることをメンバーはものすごくうれしがっているのがわかり、それによってぼくらはさらに楽しくなってゆくという、まさにこれがフロアがあがってゆくということ。

 

 

そして、この曲のあとに6曲続けてスローやミディアムテンポの楽曲をもってきて、じっくりしっとりと聴かせてくれる。

その中には、6月26日に発売される11thシングル 『Sweet Vinegar』 も含まれていて、緩急自在なセットリスト。

そこからは、残り4曲すべてを盛り上がる曲でそろえて、一気にエンディングまで駆け抜けた。

 

 

途中、4曲目と9曲目でそれぞれのソロ曲を入れ、そこでわずかに一息入れたようだけれど、全13曲の約1時間をぶち抜いたメンバー2人。

その歌唱力もダンスも表情にも、実際は疲れていたはずなのだけれど疲労感をぼくらに感じさせることはまったくなく、やりきったという充実感に満ち満ちていた。

そしてぼくらも、最初から最後まで1時間をひたすらに集中して楽しんだ。

極端な言い方をすると、MCのないライブこそ本来のライブの姿なのでは、とも思えてきてしまうほどに弛緩する暇なく充実していた。

ノンストップライブ、頻繁にできることではないことは承知しているけれど、これはいい、とてもいい。

 

 

ほわどるの持っている魅力は、もちろんたくさんあるわけだろうけれど、新参者にはまだまだ知らないことばかり。

ほわどるは、現場での楽しませ方はもちろん、企画・趣向による楽しませ方もしっかりと会得している。

定期公演では、その都度にそのときの企画・趣向を凝らしてくれるから、その都度にちがった楽しみが登場する。

だから、それに乗っかっていればいいだけ、ただそれだけ。

 

 

 

 

渋谷の街を歩くのは、億劫である。

大学時代の4年間、その日々を渋谷の街で過ごしたにもかかわらず。

いまの渋谷、これはまあ、渋谷にかぎったことではないが、スマホ画面を見ながら歩くために歩速の遅い方、友人同士でおしゃべりしながら横に広がって歩く方々、地理を把握できず右往左往し突然に立ち止まる観光客、そんな群集が狭い狭い渋谷の歩道に押しかけているのだから、自分の思うような速度で歩くことがきわめて困難。

かつては、これほどではなかった。

 

そんな心情を持ちつつ、こんな状況下でも歩みを進めてゆき、道玄坂をしばし登って百軒店の横丁に入ると、ようやく人心地つくことができる。

この横丁の入口に立つゲートをくぐったとたんに、ここまでの人ごみと喧騒からようやく乖離できる。

そして、ストリップの殿堂である道頓堀劇場、その現在の出演者の顔写真に視線を送りつつ、、中華そばの名店「喜楽」で入店を待つ列を左にやり過ごし、カレーライスの老舗で営業時間が11時半~15時のためにいまだ入店したことのない「ムルギー」の角を右折し直進、突き当りを左に曲がれば、目的地に到着する。

ライブハウス 渋谷Glad である。

 

ここに初めて訪れたのは、2016年2月17日。

「Tokyo Sound CollectionVol.8」

という名の音楽フェスで、出演者は星野みちる、Masion book girl、小西康陽、Faint★Star、という面々だった。

そのときのブログはこちら、 

https://ameblo.jp/nokkinokinoki/entry-12130039000.html

https://ameblo.jp/nokkinokinoki/entry-12130504989.html

ずいぶん以前のような気がするが、2年ちょっと前のこと。

この小屋に頻繁に通うことになるとは、予想すらしていなかった。

 

 

渋谷Glad、フロアは階段状になっており、吹き抜けコロシアム状の店内は、客席のどの位置からでもステージが見やすい構造。

背丈の高くない方は、2階、3階のテラスから参戦すれば、前方の視野を遮るものはない。

キャパはスタンディングで250名という、実にちょうどよい大きさ。

そして、音響や照明設備にも優れている。

4階にあるバーカウンターでは、入場時に支払った600円のドリンクチケットを手渡すと、生ビールやレッドブルにウォッカをプラスしたアルコールをオーダーできるから、ちょっとしたことなのだけれど、とてもうれしい。

そんな、最高な環境のライブハウス。

 

 

さて、そこに足を運んでいる目的は、といえば、 WHY@DOLL(ほわどる)の定期公演が行われているから。

毎月1~2回、火曜日に開催されている。

開催時間は、毎回同じで以下のとおり。

【時間】①17:15開場 17:30開演
     ②19:00開場 19:30開演
【チケット】
一部:前売り/当日共に1,000円(全員握手券付)
二部:前売り2,000円 当日2,500円
※共にドリンク代別途必要。
※18歳以下の 高校生までチケット無料(ドリンク代別) 学生証提示
※2部公演:女性/大学生半額
※2部公演:男性はご新規様紹介で半額
※2部公演:お一人で起こし頂いた新規男性は半額(自己申告制)
※整理番号順入場

 

 

自分は、職場のある場所からだとどうしても第2部からしか参加できない。

それも毎回、開演5~10分前くらいにギリギリで到着している。

それでも、2階のテラスに位置取りできるし、行こうと思えば1階のフロアからの参戦も可能。

だから、無理して開場前に整理番号順に並ぶ必要がない。

このことは社会人にとって、とてもありがたいこと。

2部の開演時間が19時30分というのも適切で、これまたありがたい。

極端な話、仕事の都合で今日の参戦はムリだとあきらめていても、その仕事が思ったよりも早くケリがついて駆けつけて、当日券で入場できる。

 

 

さてさて、自分の足を頻繁にここへ向かわせてしまう、ほわどる。

その何が、魅力的なのか。

それは以前にこのブログで書いたことがある、このページ https://ameblo.jp/nokkinokinoki/entry-12363388582.html

そこから肝要なところだけをコピペすると。

 

ほわどるの、何が魅力的で、どこに引き付けられてしまうのか?

これについては、これまで数多く言われてきたであろうから繰り返しになってしまうのはわかりきったことなのけど、やっぱりそれを何度叫んでも言い過ぎになることはないだろうから、あえてここで繰り返してみる。

   ◆ 2人の、フェイス的ヴィジュアルの美しさと可愛さ。

   ◆ 2人の、身体的ヴィジュアルの色香と引力。

   ◆ 2人の、人柄と性格のすばらしさ。

   ◆ 2人それぞれの、個性的で魅力的なヴォーカル。

   ◆ 2人のヴォーカルが合わさったときに生まれる、ほわどるとしての声のキャラクター。

   ◆ 2人の、歌唱力の確かさと安定感。

   ◆ 2人が身につける衣装の、オシャレ具合の絶妙さ。

   ◆ 2人の持ち歌の、魅力的な楽曲群。

   ◆ 2人の持ち歌の、ヴァラエティの豊富さ。

   ◆ 2人の持ち歌に付された、魅惑なコリオグラフィ。

   ◆ そのコリオを見事に踊りこなす、2人の表現力の高さ。

   ◆ そしてさらに、コリオから派生する手振りコピーするときの楽しさと一体感。

   ◆ ファンである、ほわどるファミリーのあたたかさ。

   ◆ これらすべてが集積されて、自然とかもし出されている現場の雰囲気のよさ。

これらそのいずれが、他に類を見ることができない、one and only。

ということ。

 

 

昨年の8月29日に開催された、「WHY@DOLLレギュラー公演~はる色に染めて~vol.32」、これに初めて訪れ、それ以来可能なかぎり、この定期公演に自分のスケジュールを合わせるようにしてきた。

チケット購入サイトでその履歴を確認したところ、vol.32、33、36、37、38、39、41、42、43、44、45、すでに11回の参戦となっていた。

毎回、そのたびに趣向を凝らしたライブを行ってくれていて、その趣向・企画は事前に告知される。

これまでに、どんな企画が行われたかを知るには、ほわどる界隈の知性・知恵袋で有名な いしだいや さんのツイートhttps://twitter.com/82e57_a 

をチェックするのが最善確実で、そのツイートを貼り付けてみる。

 

だから、何度通ってもその都度、ほわどるの2人がそのときの趣向で楽しませてくれる。

また、公演時間は、アンコールを含めて約1時間5~10分だから、20時40分前後に終演する。

1日の仕事を終え、疲れた身体でも、これくらいのスタンディングタイムならば十分に耐えられるはず。

 

終演の5分ほど後に、2人がふたたび登場してステージ上で特典会が開催される。

特典会に参加するためのレギュレーションは、CD、グッズ、生写真等を1,000円以上購入で2人との握手会。

2,000円以上で、メンバー1人との2ショットチェキ。

3,000円以上でメンバー2人と自分との3ショットチェキか、あるいはメンバー2人だけのチェキ、だったと思う。

というのは、懐具合につねに苦しんでいる自分は、特典会にはほとんど参加できていないため。

可愛い2人と接触できないのは誠に残念なのだけれど、こればかりは致し方ないので、涙をのんだうえに後ろ髪を引かれて帰路につく。

そして、これを書くのはやや気が引けることではあるのだが、特典会の待ち列は長くない。

はじめに握手会が開催されるのが通例で、その待ち列は10~20名前後だから、すぐに順番がやってくる。

もちろん握手会では、メンバーそれぞれとひと言二言の会話ができる、その会話でわかるのは、2人の人柄の良さ。

そののち、メンバー2人とのユニット撮影タイムがあり、これが終わるとメンバーそれぞれとの2ショットチェキ撮影タイム。

自分はラストまで居たことはないのだが、どうやら22時頃には終わるらしい。

握手会だけなら21時前にはここを離脱できるから、たとえば自分のように、帰宅が遅くなることをカミサンには残業と称している者としては、待ち時間が短いこともたいへんありがたい。

もっとも、メンバーと運営にすればこのことは喜ぶべきことではなく、ファンの一員である自分としても、もっとたくさんの方々にほわどるを知ってもらい、ほわどるの現場に足を運んでもらいたいと思っており、そのために今回のブログを書いているわけで。

ちなみに、自分はNegiccoを推しているネギヲタなわけだけれど、Negiccoの現場でお見かけする方が何人もいらっしゃる。

ということは、自分と同様に兼ヲタなわけで。

Negiccoとほわどるは、タワーレコードが立ち上げたアイドル専門レーベル t-palette records、そのレーベルメイトなわけだし。

 

 

前売りで購入すれば2,000円のチケット代にドリンク代600円、その合計は2,600円。

職場や大学の友人・知人、先輩・同輩・後輩と飲みに行けば、たいてい3,000円は使ってしまう。

いつも顔を見合わせてる人間と飲んでも、話題はいつものこと。

それならば、気分転換に一度、フラリとここに足を運んでみるのがおすすめ。

飲み会に行ったと思えば、安いもの。

 

なんていうか、行き慣れたライブハウスがあるというのは実に優雅なことだと自分では思う。

そして、そこに行けば、あのアイドルがいる、あのアイドルに会える。

ほわどるの持ち歌を熟知したスタッフによる、適切な音響と的確でエモいなライティングによって、ステージ上のほわどるの2人が輝きを増している。

ここでは、その2人を間近に見られるのだから。

まさに、オアシス。

仕事や家庭で干からびてしまったココロに、ほわどるの2人がうるおいを与えてくれる。

ここには、素敵な時間と空間が存在している。

至福のひとときを過ごすことができる。

 

明日5月29日は 「WHY@DOLLレギュラー公演~はる色に染めて~vol.46」。

第2部でのその趣向は、MCを入れないノンストップライブだそうだから、これまたとても楽しみ。

下の画像は、2017年8月に6周年を迎えたときのものを青木千春のインスタから借用。

実物は、これよりも数倍可愛い2人なのだ。

明日も渋谷の雑踏をくぐりぬけて、足を進める。

 

 

スティーヴン・スピルバーグ監督とともに生きてきた何十年、監督の作品は公開されるたびに極力、見逃さないようにしてまいりました。

そのおかげで、様々な映画的興奮を味わうことができました。

今年に入っても、『ペンタゴン・ペーパーズ』、『レディ・プレイヤー1』 が相次いで封切られ、御年72歳になられるにもかかわらず、その驚異的な監督能力、プロデュース能力にはひたすら敬服するしかありません。

この監督と、同時代を共に過ごすことができてしあわせです。

そんな巨匠、名匠を、一躍、全世界に知らしめたのが映画『ジョーズ』です。

 

 

映画 『ジョーズ』(Jaws)  監督:スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)

アメリカ映画 1975年 124分

平和なビーチを襲う巨大人食い鮫(ホオジロザメ)の恐怖と、それに立ち向う人々を描いた作品で、スティーヴン・スピルバーグの名前を全世界に浸透させた傑作です。

 

 

自分は、封切後に2番館で鑑賞しました。

『華麗なるヒコーキ野郎』との2本立てでした。

中学坊主で映画を見はじめた頃です、いまとちがって情報が乏しかったのですが、とにかく大ヒットしてたのでそれにつられて予備知識をほとんど持たずに場末にある名画座の、きれいとは言えない椅子に着席しました。

世間知らず、映画知らずの素朴なココロが、スリルとサスペンスのどん底に落とし込まれた2時間でした。

その年の夏は海に入るのが怖くて、大好きな海水浴ができませんでした。

 

 

さて、そんな映画『ジョーズ』、ご覧になった方は多数いらっしゃるかと思います。

自分、DVDまで購入してしまい、何度も鑑賞いたしました。

すると、数度目かで 「あれれっ!?」 と感じました。

以下のことは、自分の見つけたことではないはずです、もうとっくに話題となり、すでに過去のものになっていることだと思います。

まあ、でも、スピルバーグ監督の新作が2本続けて公開された本年なのですから、ちょうどよい機会かと思いまして記載してまいります。

画像はすべて、DVD画面をキャプチャしました、左下のタイムはその再生時間です。

貼り付けた画像は、再生の時系列に沿ってます。

 

 

映画の前半から中盤にかけては、パニック映画の様相を呈しておりましたが、1時間を過ぎる頃、サメに襲われた海岸地域を管轄している警察の署長ブロディ(ロイ・シャイダー)が、サメ専門の漁師クイント(ロバート・ショウ)を雇い、海洋学者フーパー(リチャード・ドレイファス)と3人でサメ退治のために出港します。

船の名前はオルカ号(ORCA)。

ここから映画は、海洋冒険活劇へと変貌します。

3人の人間描写が優れているので、見ていて映画にのめりこんでしまいます。

3人の俳優も、名演です。

そして、1時間20分過ぎ、ようやく巨大サメが登場します。

サメは、人間をあざ笑うかのように船の廻りを泳ぎます。

クイントがサメをやっつける方法は、ライフルの先に仕込んだ鑓をサメに打ち込み、鑓にはロープが結ばれていて途中にはタル(Barrel)が結わえ付けられており、その浮力でサメを潜らせないようにして仕留めようという魂胆です。

 

サメは、人間をあざ笑うかのようにオルカ号の周囲を泳ぎ廻ります。

 

用意してあるタルは、まちがいなく5個ですね、このことは重要です。

 

舳先からサメを狙って、鑓を打ち込みます(1度目です)。

 

鑓はサメに突き刺さったようで、タルが走り出します(1個目です)。

 

タルが1個、サメと一緒に潜ってしまいました、残りは4個です。

 

一晩過ぎました、この夜に船内でクイントによって語られる戦艦インディアナポリスで号の出来事は、たいへんに印象的なのですが、はしょります。

翌朝、タルが浮き上がります、もちろん1個です。

 

タルとともに浮き上がったサメに、鑓を打ち込みます(2度目です)。

 

2個目のタルが走り出します。

 

オルカ号に残っているタルは3個ですね、もちろん。

 

またもや、サメが襲撃してきますが、この機を逃さず鑓を打ち込むクイント(3度目です)。

 

3個目のタルも走り出しました。

 

オルカ号に残ったタルは、当然、2個ですね。

 

しかしながら、クイント船長の言葉はなぜか、「タル2個で潜るぞ」 ????

どう考えても、3個だと思うのですが・・・・・・。

 

そのわずか19秒後、タルが2個浮上します。遠景のオルカ号にはタルが3個残っています。

 

1秒後のシーンでも船上にはタルが3個、残っています。

ボクの勘違いだったようです。

 

タルが結ばれているのでなかなか潜りにくいらしく、うごめくサメ。

そこを狙うクイント(4度目です)。

 

鑓に結ばれたタルが、ブロディ署長の顔を掠めて飛んでゆきます。

 

そのタルも海中へ。

ホントは4個目のはずなのですが、それはボクの勘違いなので、3個目です。

 

やっぱりボクの勘違いでした、浮き上がったタルは3個です。

 

そうです、クイント船長。

海の上では、船長は絶対です。

タルは3個です、あなたがウソをついているはずはありません。

 

 

タル3個の浮力に抗って、平然と潜ってしまう巨大サメ。

 

 

 

そののち、途中でほんのちょっとした些細なトラブルに見舞われましたが、いよいよサメとの最終対決です。

が、しかし、船上に残されたタルは1個だけ!?

 

画面が切り替わった次のカットでは、タルが2個!?

 

 

2個のタルを急造イカダにくくりつけ、陸へ戻るのでした、おしまい。

 

 

はてさて、クイントは何度、鑓を打ち込み、タルはいくつ潜ったのでしょうか?

撮影上のミスでありがちなのは、たとえばTシャツに染み付いた血糊の大きさがカットによって違っている、というようなもの。

それらは、ストーリー展開には何の影響もありません。

しかし、上記の場合は、物語の進行上でかなり重要です。

編集していく上で、スタッフが気がつかないはずがありません、100%承知しているはずです。

でも、この映画の撮影は困難を極めたらしいですから、撮り直しなどはありえなかったのでしょう。

また、優れた演出とスピーディーな編集によって、劇場で一度見ただけでは気がつきません。

もちろん、この瑕疵によって映画の価値がゆらぐわけではありません。

語り継がれる不朽の名作、傑作です。

 

 

映画に興味を持ち始めた頃。

当時は映画雑誌「ロードショー」「スクリーン」「キネマ旬報」ならば、大きな書店で販売しておりましたので、それを必死に立ち読みして、これから封切られる映画の情報を得ようとしました。

そのかたわらで、旧作の名画情報が自然と徐々に入ってまいります。

でも、観ることはできませんでした。

まれに名画座でリバイバルされると、懸命に見に行くようつとめました。

観終わって、それがたいそうお気に入りの映画になったとしても、その映画に関するものといえばパンフレットしかありません。

そのパンフレットを古本屋で一生懸命、探しました。

なんとか探し当てて購入しても、パンフレットに掲載されている画像はスチール写真だったため、劇場で観た実際の画面とはなんだか微妙に違っていることが多くて、がっかりすることがしょっちゅうでした。

いまは、かなりの作品がDVD化されておりますし、DVDがなくてもYoutubeでたいていの作品の予告編くらいはUPされております。

 

便利になりました。

そのおかげで、こういうブログも書くことができるようになったのですから。

お気に入りのシーンをキャプチャし保存して、いつでもながめることができるようになったのですから。

でも、その分、なんだか記憶に残りにくくなったような気がするのは、はたして加齢によるものだけなのでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

5月8日(火) WHY@DOLL(ほわどる) 定期公演 第2部

渋谷Glad 19:30開演

 

 

 

この日は、“イントロドン” という企画で開催されることがメンバーから告知されていた。

“イントロドン”。

メンバーがセットリストを組むわけではなく、セトリは運営が考え、しかし組んだものをメンバーに告げることはせず、要するに、持ち歌のイントロが流れた瞬間にそれがどの楽曲かを理解した上で把握し、またたく間にその楽曲を披露しなければならない、という趣向のイベント。

これをライブで経験するのは自分にとってもちろんはじめて。

ほわどるのメンバー2人も、2度目だとのことなのできわめて貴重な体験ができたわけで、なんとしても書き残しておきたかったから、一週間が経過してしまったのだれけど記載してみる。

 

 

 

そもそもこの企画を可能にしているのは、ほわどるの2人が日頃から持ち歌をわが身わが物にしているからこそ実現可能であることは、容易に想像できる。

また、2人組のユニットだからこそ実行することができる企画。

大所帯のグループなら、それこそ楽曲のたびに立ち位置を仕切り直すためにステージ上で右往左往の混乱状態になるだろうことは、誰が考えても明白。

また、ソロでは緊張感にやや欠けて物足りないだろうし、3人組のグループでも、やはりちょっときびしいかもしれない。

そうやって考えると、現在活動しているアイドルでこの企画を実現できるのは、ほわどるだけかもしれないし、それに立会うことができた時間と空間は稀有なのかもしれなかった(ほかのグループでやっておりましたら、スミマセン)。

でも実は、こんなことを考えたのた後付けなわけで、実際にその場で参戦してみれば、楽しさばかりが先に先にと進んでいった。

 

 

 

その楽しさの最大のものは、なんといってもメンバーが見せるほんの一瞬のオタオタ、オドオド、ドギマギ、あたふた、おろおろ感。

通常ならば、照明が落とされると同時にSEが流れ、それとともにメンバーがステージに登場し、そのまま第一曲目の立ち位置についてイントロが始まるという、弛緩なく進む一連の流れがあるのだけど、今回はそうは問屋が卸さない。

まず、照明が明るいままにSEも流れず、2人が上手から歩いてステージに現れMCをはじめる。

MCは、主に今回の趣向についてのオーディエンスへの説明。

MCから開始すること自体、どんなアーティストやアイドルのライブでも普段ならありえないこと。

しかもその中身は、セットリストをまったく知らされていないことへの不安や心配、事前に2人それぞれで予想したセットリストへの思いを素直に率直に語ってゆくのだから、この時点ですでにもはや、2人のキャラクターと今日ならではの独特な雰囲気に引き込まれていってしまう。

 

その雰囲気のかなりを占めているのは、実はメンバーとの一体感。

そう、セットリストをメンバーもオーディエンスも両者ともにまったく知らないという、通常ならば絶対にありえないシチュエーションによって生じ、育まれたもの。

それは、イントロの一音目、そこから始まる一連のイントロで、いったい何が流れてくるのかということに対する不安と期待が会場全体を包んでいる、と同時に、すぐさまそれに対応しなければならないという緊張感。

そうは言っても、そこはほわどる2人のキャラだから、キリキリとした胃が痛くなってくるような緊張感とは異なって、どこかほんわかとしたものが漂っている。

これらが渾然となった、独特な一体感。

これが2つ目。

 

3つ目は、いつも以上にあたふたするから、必然的に普通ならばみせない一瞬の表情が見られること。

もちろん、ほわどるの2人は普段から飾らない素直な人柄なのだけれども、そこにあたふた感が加味されると、素のものがにじみ出てきてしまい、そのにじみ出てきたものは普段以上に飾らないものなのだから、ますますくすぐられ共感してしまう。

 

 

実はすでにご存知だろうけれど、ほわどるスタッフさんが、この公演のごく一部の動画をツイートされている。

 

この動画を観て感じたことは、現場でステージ上の2人を見ているときよりも2人は、数倍あたふたしているというもの。

自分だけかもしれないが、おそらくオーディエンスもそれだけ集中してイントロが流れ出すのを待っていたのだろうし、流れ出したとたん、2人があたふたするのと同時に、こちらもあたふたしていたにちがいない。

そして、そのあたふたする2人が、瞬時のうちにあたふた感を消し去り、何事もなかったかのようにその楽曲を披露してゆく。

このときに垣間見ることができる手際のよさ、変身ぶり、手練れ(てだれ)感、これが今回のライブにおける4つ目の見どころ。

さすがはプロ、ひたすら頭を垂れて敬服。

 

そして、この4つの見どころが、セットリストを進めてゆくにつれ、熟度を増して徐々に濃厚になっていった。

それにつれ、いつもの楽曲もまた、その持つ雰囲気を芳醇にしていった。

 

 

 

だから逆に、6曲目『菫アイオライト』をちはるんが、7曲目『Dreamin' Night』、11曲目『キミはSteady』を、はーちゃんが的中させてしまったときには、それぞれの楽曲が来るだろうということで、その立ち位置にスタンバイしているわけであたふたするわけはなく、手際のよさが見られるわけでもないから、物足りなく感じてしまったのはひねくれ者ゆえの感覚で、ここはやはり、予想を当てたことをメンバーと素直によろこぶべきなのだろうことがファンたるもの。

 

 

しかしまあ、今回の“イントロドン”企画をいちばん楽しんだのは、セットリストを考えたマネージャーさんにちがいない。

ああでもない、こうでもない、とメンバーが予想できそうにないセトリを組んでいく時点ですでに快感を味わっているにちがいなく、また当日の現場のステージ上では、ペンライト、タオル、マイクスタンドなどの小道具を、もちろん、ご本人は何を使って何を使わないかは十二分に承知しているわけだけれど、メンバーへのカモフラージュのためにわざとらしく配置してゆくわけで、その行為の一つひとつもまた、快感であるに相違なく、ライブが始まれば、一人だけ内心ニヤニヤしながらメンバーのあたふたするのを眺められるわけで、これはもう、この企画ならではの特権。

ただ終了後には、使う機会のないことを承知していた小道具をステージで回収するマネージャーさんの姿が拝見されたわけだけれど、その背中からは、楽しんだあと宴のあとの寂寞感がそこはかとなくただよっているような気がしないでもなかったことをあえて書き添えて、それを見どころの5つ目にしてしまう。

 

 

 

 

もちろん、音響の担当、照明担当の方にも、セットリストは事前に伝えられているわけで、この方々はそれぞれにやらねばならないことがあるから、それに集中しなければならない。

そしてもちろん、ほわどるの持ち歌をすっかり手の内のものにしてしまっているここ渋谷Gladのスタッフだからこそ、この企画が成り立つともいえるわけで、となるとやはり最後に言いたいのは、年に一度はこの企画をこの箱でお願いしたいと切に思ってしまうということ。

 

(アンコールの後、新曲「Sweet Vinegar」、初披露されたのだけど、こちらについては、またあらためまして)

 

           【セットリスト】

         MC

         1 初恋☆キラーチューン

         2 Blue Summer

         MC

         3 恋はシュビドゥビドゥバ!

         4 恋なのかな?

         5 トラベリンバンド

         6 菫アイオライト

         MC

         7 Dreamin' Night

         8 セツナSHOOTING STAR

         9 Tokyo Dancing

         10 Show Me Your Smile

         MC

         11 キミはSteady

         [アンコール]

         12 Sweet Vinegar(新曲初披露)

                        (だいやさんのブログより)