スティーヴン・スピルバーグ監督とともに生きてきた何十年、監督の作品は公開されるたびに極力、見逃さないようにしてまいりました。
そのおかげで、様々な映画的興奮を味わうことができました。
今年に入っても、『ペンタゴン・ペーパーズ』、『レディ・プレイヤー1』 が相次いで封切られ、御年72歳になられるにもかかわらず、その驚異的な監督能力、プロデュース能力にはひたすら敬服するしかありません。
この監督と、同時代を共に過ごすことができてしあわせです。
そんな巨匠、名匠を、一躍、全世界に知らしめたのが映画『ジョーズ』です。
映画 『ジョーズ』(Jaws) 監督:スティーヴン・スピルバーグ(Steven Spielberg)
アメリカ映画 1975年 124分
平和なビーチを襲う巨大人食い鮫(ホオジロザメ)の恐怖と、それに立ち向う人々を描いた作品で、スティーヴン・スピルバーグの名前を全世界に浸透させた傑作です。
自分は、封切後に2番館で鑑賞しました。
『華麗なるヒコーキ野郎』との2本立てでした。
中学坊主で映画を見はじめた頃です、いまとちがって情報が乏しかったのですが、とにかく大ヒットしてたのでそれにつられて予備知識をほとんど持たずに場末にある名画座の、きれいとは言えない椅子に着席しました。
世間知らず、映画知らずの素朴なココロが、スリルとサスペンスのどん底に落とし込まれた2時間でした。
その年の夏は海に入るのが怖くて、大好きな海水浴ができませんでした。
さて、そんな映画『ジョーズ』、ご覧になった方は多数いらっしゃるかと思います。
自分、DVDまで購入してしまい、何度も鑑賞いたしました。
すると、数度目かで 「あれれっ!?」 と感じました。
以下のことは、自分の見つけたことではないはずです、もうとっくに話題となり、すでに過去のものになっていることだと思います。
まあ、でも、スピルバーグ監督の新作が2本続けて公開された本年なのですから、ちょうどよい機会かと思いまして記載してまいります。
画像はすべて、DVD画面をキャプチャしました、左下のタイムはその再生時間です。
貼り付けた画像は、再生の時系列に沿ってます。
映画の前半から中盤にかけては、パニック映画の様相を呈しておりましたが、1時間を過ぎる頃、サメに襲われた海岸地域を管轄している警察の署長ブロディ(ロイ・シャイダー)が、サメ専門の漁師クイント(ロバート・ショウ)を雇い、海洋学者フーパー(リチャード・ドレイファス)と3人でサメ退治のために出港します。
船の名前はオルカ号(ORCA)。
ここから映画は、海洋冒険活劇へと変貌します。
3人の人間描写が優れているので、見ていて映画にのめりこんでしまいます。
3人の俳優も、名演です。
そして、1時間20分過ぎ、ようやく巨大サメが登場します。
サメは、人間をあざ笑うかのように船の廻りを泳ぎます。
クイントがサメをやっつける方法は、ライフルの先に仕込んだ鑓をサメに打ち込み、鑓にはロープが結ばれていて途中にはタル(Barrel)が結わえ付けられており、その浮力でサメを潜らせないようにして仕留めようという魂胆です。
サメは、人間をあざ笑うかのようにオルカ号の周囲を泳ぎ廻ります。
用意してあるタルは、まちがいなく5個ですね、このことは重要です。
舳先からサメを狙って、鑓を打ち込みます(1度目です)。
鑓はサメに突き刺さったようで、タルが走り出します(1個目です)。
タルが1個、サメと一緒に潜ってしまいました、残りは4個です。
一晩過ぎました、この夜に船内でクイントによって語られる戦艦インディアナポリスで号の出来事は、たいへんに印象的なのですが、はしょります。
翌朝、タルが浮き上がります、もちろん1個です。
タルとともに浮き上がったサメに、鑓を打ち込みます(2度目です)。
2個目のタルが走り出します。
オルカ号に残っているタルは3個ですね、もちろん。
またもや、サメが襲撃してきますが、この機を逃さず鑓を打ち込むクイント(3度目です)。
3個目のタルも走り出しました。
オルカ号に残ったタルは、当然、2個ですね。
しかしながら、クイント船長の言葉はなぜか、「タル2個で潜るぞ」 ????
どう考えても、3個だと思うのですが・・・・・・。
そのわずか19秒後、タルが2個浮上します。遠景のオルカ号にはタルが3個残っています。
1秒後のシーンでも船上にはタルが3個、残っています。
ボクの勘違いだったようです。
タルが結ばれているのでなかなか潜りにくいらしく、うごめくサメ。
そこを狙うクイント(4度目です)。
鑓に結ばれたタルが、ブロディ署長の顔を掠めて飛んでゆきます。
そのタルも海中へ。
ホントは4個目のはずなのですが、それはボクの勘違いなので、3個目です。
やっぱりボクの勘違いでした、浮き上がったタルは3個です。
そうです、クイント船長。
海の上では、船長は絶対です。
タルは3個です、あなたがウソをついているはずはありません。
タル3個の浮力に抗って、平然と潜ってしまう巨大サメ。
そののち、途中でほんのちょっとした些細なトラブルに見舞われましたが、いよいよサメとの最終対決です。
が、しかし、船上に残されたタルは1個だけ!?
画面が切り替わった次のカットでは、タルが2個!?
2個のタルを急造イカダにくくりつけ、陸へ戻るのでした、おしまい。
はてさて、クイントは何度、鑓を打ち込み、タルはいくつ潜ったのでしょうか?
撮影上のミスでありがちなのは、たとえばTシャツに染み付いた血糊の大きさがカットによって違っている、というようなもの。
それらは、ストーリー展開には何の影響もありません。
しかし、上記の場合は、物語の進行上でかなり重要です。
編集していく上で、スタッフが気がつかないはずがありません、100%承知しているはずです。
でも、この映画の撮影は困難を極めたらしいですから、撮り直しなどはありえなかったのでしょう。
また、優れた演出とスピーディーな編集によって、劇場で一度見ただけでは気がつきません。
もちろん、この瑕疵によって映画の価値がゆらぐわけではありません。
語り継がれる不朽の名作、傑作です。
映画に興味を持ち始めた頃。
当時は映画雑誌「ロードショー」「スクリーン」「キネマ旬報」ならば、大きな書店で販売しておりましたので、それを必死に立ち読みして、これから封切られる映画の情報を得ようとしました。
そのかたわらで、旧作の名画情報が自然と徐々に入ってまいります。
でも、観ることはできませんでした。
まれに名画座でリバイバルされると、懸命に見に行くようつとめました。
観終わって、それがたいそうお気に入りの映画になったとしても、その映画に関するものといえばパンフレットしかありません。
そのパンフレットを古本屋で一生懸命、探しました。
なんとか探し当てて購入しても、パンフレットに掲載されている画像はスチール写真だったため、劇場で観た実際の画面とはなんだか微妙に違っていることが多くて、がっかりすることがしょっちゅうでした。
いまは、かなりの作品がDVD化されておりますし、DVDがなくてもYoutubeでたいていの作品の予告編くらいはUPされております。
便利になりました。
そのおかげで、こういうブログも書くことができるようになったのですから。
お気に入りのシーンをキャプチャし保存して、いつでもながめることができるようになったのですから。
でも、その分、なんだか記憶に残りにくくなったような気がするのは、はたして加齢によるものだけなのでしょうか。