小西康陽さんのDJプレイ 2月17日、渋谷GLAD | 計画をねりねり・・・・・・。

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思いつくままにオッサンが、Negicco、WHY@DOLL(ほわどる)を筆頭とする音楽、そして映画や読書のことなどをゴチャゴチャと。





2月17日(水)渋谷Glad
18:30開演

トップバッターは、星野みちるちゃん。
2番目に、Maison book girl.

順番は前後してしまうが、
3番目に登場した小西康陽さんのDJプレイから書いてゆきたい
(小西さんの発言を記載しておりますが、記憶から書いておりますので、あくまでニュアンスとしてご理解ください。また発言の順序が入れ違っているかもしれません)。



Maison book girl が退場。


するとステージにはDJブースが運び込まれてくる。
その設置が終わると、小西さんが上手の袖からやってきて所定の場所に立つ。
さらにマイクスタンドが運ばれてきて、小西さんの声が拾いやすい高さにマイクの高さが調整され、固定される。

  (DJプレイにマイク?)

この時点ではわからなかったのだがスタート直後のMCで、

「僕も (このスタイルは) はじめてです。いま、TBSラジオで毎週木曜日の夜9時から番組を持っていて (そのラジオのディスクジョッキースタイルでやってみます)。」

というような言葉が発せられた。


なるほどな、という感じだった。
でも、流暢な語り口とは言えず、むしろ朴訥な口調といったほうがふさわしい小西さん。
そんな小西さんがあえてこのセッティングにしたのは不思議だった。
もちろん、ライブのDJプレイスタイルとしても異例なことだと思う。

ステージがはじまる。

小西さん、
言いたいことがあるときは、楽曲の音量を下げるか、あるいはその楽曲をストップしてしまうのだから、ノリという点では、それを眼中には入れていないのはあきらか。
しかし、その楽曲についての小西さんの思いが、眼の前でご本人から直接に聴くことができるのは、貴重な体験。
そしてこのことが、このライブを特別なものにすることへとつながってゆく。


キングレコードから “ももいろクローバーZ”が、昨日に発売したニューアルバム『白金の夜明け』、そこからの先行カット7インチシングル、
『HIP HOP SELECTION 7inch VINYL -LIMITED EDITION-』
その中からセレクトされたのは、
『もっ黒ニナル果て』 作詞 by MURO/BOO  作曲 by MURO/SUI
https://www.instagram.com/p/_30AuQkYGv/

「このレコードは、キングレコードさんにお願いして、もらうことができました。」
「MUROさん、さすが。すばらしい。」

(たしかに、この曲はいい、とってもいい。ほしい。アルバムを買おうか)

「僕も、キングレコードでは仕事を一つしています。」

ということで、『恋の呪文はパパピプパ』
作詞・作曲・編曲は、もちろん、小西康陽さんご自身 。




数曲ほど流されただろうか、詳細はちょっと自分にはわからない。



「これからは、今日の出演者の曲をかけていきます。」

ということで、まずは星野みちるちゃん。
ご自身がプロディースされた 『夏なんだし』。
これはさきほど、ご本人が歌ったばかりだということもあり、小西さんがかけたのは、仮歌段階ヴァージョンのもの。
歌っているのは、仮歌シンガーの河合夕子さん。
その出来がすばらしい。
小西さん曰く、

「河合夕子さんに仮歌を入れてもらったんだけど、河合さんは、星野みちるちゃんがAKBをやめてソロ活動を始めたときにヴォイトレを担当していた方。」

だそうで。
河合さんが言うには、みちるちゃんは譜面が読めるそうで。
それを受けて小西さん、

「アイドルで譜面が読める人は、数が少ない。」
「ああみえて、(みちるちゃんを) あなどってはいけないです。」

とのことだそうです。



「次に、Maison book girl。」
「今日、はじめて聞きました。」

ここからが今日の白眉となった。
Maison book girl、
そのCDを手にしながらの第一声は、

「衝撃ですっ!」

という言葉だった。続いて、

「最高っ!」
「すばらしいっ!」

賞賛の言葉が小西さんから発せられる。
それらは、ここにいるファンへの、そして楽屋まで聞こえているであろう本人たちへのお世辞ではなく、小西さんが本心で感じたことを本気で放った言葉であることは、その表情と口調が裏付けている。
稀代のレコードコレクターであり、限りなき音源の探索者でもある小西康晴さん。
古今東西、あらゆる音源を聴きまくってきたであろうその耳は、わが国でもっとも優れた探知機能を持っているといっても言い過ぎではない。
その方のおメガネならぬおミミがねに叶ったのだから、これは大したもの。

「(ライブでやった) 4曲目まではほんと完璧。5曲目は、あ~、なるほど……、と感じたけど。」

(これの意味するところはおそらく、1曲目で衝撃を受けて、その状態のままに2~3曲を聴いてゆき、しかし、4曲目は音楽プロデューサーとしてのプロ意識をもって分析し、5曲目においてこれらをプロデュースしたサクライケンタ氏が楽曲製作する際の勘どころをつかんだ、というイミだと思う。小西さんの矜持を垣間見ることができた瞬間だった。)


「どの曲がおすすめか聞いてみたら、(アルバムの) 5曲目だそう。」

ということで、
その1stアルバム 『bath room』 のCDに収録されている5曲目を流しはじめる。
その曲は、下記の 『snow irony 』 という曲だった。





小西さんは、
DJブースで身動ぎをせずに聞き入っている。
一瞬、ごくかすかにうなずく。
また、ひたすらに聞き入っている。
そして、ごくかすかにうなずく。
その姿勢はDJではなく、完全に音楽プロデューサーとしての姿勢である。

曲が終わった。

「最近のアレンジャーは、音を詰め込みすぎ。でも、(Maison book girlの曲は) そうではない。」
「すばらしいっ!」

絶賛の嵐だった。

「すばらしいっ!」
「すばらしいっ!」

「でも、やっぱりCDで聴くよりライブで聴くほうがいい。伝わってくるものが多い。」

(たしかにライブのほうが視覚、皮膚感覚にも訴えてくるから、聴衆が受け取る情報量は圧倒的にライブのほうが勝る。しかし、小西さんのさきほどのあの姿勢から感じられたのは、プロデューサーとして楽曲分析能力をフル回転させている極限の姿勢であり、あえて楽曲だけをあらためて聴くことによって、分析するためのムダな情報を排除していたことは明白で、上記の言葉は、そんな状況の察知されることを消し去ろうとするために、あえて、裏返しな発言がなされたと解釈できるようにも思えた。)

その証拠に、

「あとで、(CDに) サインをもらいます(笑)。実は、写真はもう撮ってもらいました(笑)。」

というセリフで、
先ほどまでの楽曲と真剣に向き合っていた姿勢をなかったことにするかのごとく、
あえて楽屋落ちな話題を放り込んで、観客の意識を笑いへと導いていった。
トドメは、

「アナログ盤のリリースもお願いしました(笑)。もし、アナログ盤が出たらボクのおかげね(笑)。」




つぎに、
Faint⋆Star 『DESTRUCTION』
小西さんは Faint⋆Star も知らなくて、
YOUTUBEで昨日、視聴したそうな。



これも、すばらしいとのこと。



ということで、

「今日の組み合わせをアレンジしてくれた方は、自分にもっと勉強しろよと言ってくれたのかも。」

というふうな自虐的なセリフでぼやいて終わったのは、なんとも小西さんらしかったけど、
やはり、現在のわが国における音楽プロデューサーのトップのお一人であることを、あらためて認識できたひとときだったし、そんなプロデューサーと、Maison book girl が邂逅した瞬間を目撃することができた、稀有なライブだった。