僕は現在36歳。

俗に言うハゲだ。

若ハゲだ。


いつからハゲ始めたかというと


24歳だ。


芸歴は13年目。

ハゲ初めて12年目。

だから、ハ芸歴12年目という事だ。


いつハゲ始めたのに気づいたかというと

20代前半は、ずっとギャツビーのピンクの一番ハードなワックスで髪を立ててセットしていたが

ある時から髪を立てた時の

心許なさを感じるようになった。

しかし、自分の中では


「まさかな〜」


と、気持ちを逸らせていた。


ある日、番組の企画でカリスマ美容師に散髪してもらう事になった。髪型はウルフヘアー(前は刈り上げて後ろを残す)にカットする事になった。


丁寧に前頭部をハサミで短くしていく。


「あれ?あれ?あれ?」


嫌な予感はしていた。

明らかに前頭部の頭皮が光を反射している。

完全に髪の毛の手数が足りないのだ。

その時に共演者に言われた


「なべハゲてない?」


これが初めて他人に「ハゲ」と言われた瞬間だった。

それと共に自分がハゲているというのを受け入れざるを得なかった。


後々になって知ったのだが

ハゲは、隔世遺伝らしい。

つまり、お母さん方のおじいちゃんがハゲてたらハゲやすい。


僕のおじいちゃんは、6人男兄弟で

全員くっそハゲている。


ハゲの「サラブレッド」だったのだ。


ここまでハゲの血が濃いと納得せざるを得ない。

幼い時は良く親戚のハゲをいじっていた。

それがまさか自分もそのポジションになるとは。

むしろ、おじいちゃん世代の人達のハゲ方より

よりハゲしい気がする。


ドラゴンボールの孫悟空がようやくスーパーサイヤ人になれたのに、息子の悟天は子供の時にすぐにスーパーサイヤ人になれた。

そういう何があるのかもしれない。


ただ、24歳の僕はハゲを受け入れられず

笑いにも転換出来ず

最初は足掻いた。


ハゲ隠しのスプレーでハゲてる部分にふりかけてハゲを隠す毎日だった。

夜、シャンプーで洗い流すと黒い水が流れる。

それを見て一日の終わりを感じるのだった。


ハゲを受け入れられる様になったのは言っても最近。

ハゲ初めて10年が経った34歳頃からようやくネタに取り入れ出した。

そのおかげで色々と仕事の幅が広がりつつある。


何事も10年なんだなぁ。

そんな事を秋の夜風を浴びながら想うのだった。