今日は(今日も?)、長文になってしまいました。
現在、アメリカでは妊娠悪阻(HG)の患者向けに様々な薬が用いられています。
でも、妊娠中の薬はちょっと・・・
そんな方も多いと思います。
実際アメリカでも、サリドマイド事件(薬物による胎児の奇形問題)を
きっかけに、多くの妊婦や医師が薬の使用を避ける傾向にあります。
一方で、現在はHGやつわり対策の専門家を中心に
状況に応じて薬物治療を積極的に行なうべき、
という見方が強くなっています。
なぜなら、
妊娠期でも服用を認められた安全性の高い薬を飲むことで、
ひどい吐き気や嘔吐が半減するメリットと
薬の飲まずに際限なく吐き続け、栄養失調や脱水症状を招き、
低出生体重児が生まれ、その子が将来、高血圧や糖尿病になる
可能性が増えるリスクを比較した時に、前者の方が安全性が高い、
と考えるからです。
制吐剤を飲んだHGの患者の流産・死産の割合は、
通常の妊婦と変わりません。
また、70年代にアメリカで社会問題となった「Bendectin
(ビタミンB6とドキシラミン・コハク酸塩を含む薬)」も、
最終的には先天性異常との因果関係は認められませんでした。
(カナダではその後も「Diclectin」という名称で処方され続けています)
少し話が逸れてしまいました。
by seanmcgrath
本題は、HGやつわりに対する薬が効くメカニズムから、
つわり対策を考えることでした。
1. Bendectin
つわりやHGの原因の一つとして考えられているのが、
ビタミンB6の不足です。BendectinはB6を含みます。
Bendectinのもう一つの成分はドキシラミンです。
これは抗ヒスタミン剤の一種で、脳の嘔吐中枢を鎮静させます。
ビタミンB6の不足です。BendectinはB6を含みます。
Bendectinのもう一つの成分はドキシラミンです。
これは抗ヒスタミン剤の一種で、脳の嘔吐中枢を鎮静させます。
ヒスタミンの過剰な分泌は、アレルギー疾患の原因となります。
抗ヒスタミン剤は、このヒスタミンを抑えて、アレルギー反応を
軽減してくれます。
HGがアレルギー反応を含むのであれば、抗ヒスタミン剤は効果的です。
また、抗ヒスタミン剤は、鎮静作用を持ちます。
(風薬を飲んだ時に眠くなるアレです。)
脳の嘔吐中枢を鎮めて、吐き気のシグナルに対する感度を抑えてくれます。
※副作用として起こり得るもの
めまい、眠気、吐き気、嘔吐
→薬を使わないセルフケア
・アレルギーに症状を和らげる食べ物
ー乳酸菌(L-92株、乳酸菌KW3110株、L-55株)
ービフィズス菌
ー不飽和脂肪酸を含む魚介類(ハマチ、ブリ、マグロ、サンマなど)
・ヒスタミンの分泌を抑える飲み物
ー甜茶(テンチャ)、べにふうき緑茶
ー甜茶(テンチャ)、べにふうき緑茶
3. 抗精神病薬(フェノチアジン、ベンズアミドなど)
フェノチアジンは、ドーパミン(脳の神経伝達物質=脳内で神経から
神経へ情報を伝えるメッセンジャー)をブロックします。
この「メッセンジャー」が嘔吐を誘う情報を届けるのを妨ぐことで、
吐き気や嘔吐を時々楽にすることができます。
※副作用として起こり得るもの
便秘、無意識的に身体が動く錐体外路症状
妊娠により胃腸機能が弱まると、消化不良が起きやすくなったり
逆流が起きやすくなったりすることで、吐き気と嘔吐を誘います。
レグランは、胃腸の働きを活発にすると同時に、ドーパミンをブロックします。
※副作用として起こり得るもの
下痢、めまい、眠気、頭痛、落ち込み、むくみ、頻尿、吐き気
→薬を使わないセルフケア
・胃腸に負担のかからない食べ方、飲み方
・消化を促すハーブ(生姜、ペパーミント)
・胃の不調に効くアロマセラピー(柑橘類、つわり用キャンディー)
5. セロトニン受容体拮抗剤(ゾフランなど)
化学療法や服薬・手術などにより、脳内のセロトニン濃度が過剰に
高くなると、頭痛やめまい、嘔吐などのセロトニン症候群と言われる
症状を引き起こします。
ゾフランは、セロトニンの発見を妨害することで、
身体がセロトニン過剰であることを認知させなくし、症状を抑えます。
「Beyond Morning Sickness」の著者で、4度のHGを経験したAshliは、
副腎皮質ステロイドがなぜHGの症状を解消するのか、
その理由はまだ明確にはわかっていませんが、
実は今、HG治療薬として最も注目を浴びている一つが、このステロイドです。
前述のAshliは、HGで苦しんでいた4回目の妊娠16週目に、
プレドニゾロンを使い始め、3日以内に何も食べられない状態から、
1,200calも経口摂取できるようになり、6日目には、食べ物を
食べられるようになったと言います。
※副作用として起こり得るもの
不眠症、めまい、胃の不調、血糖値の上昇、糖尿病リスク
ゾフラン点滴のおかげで、1日40回の嘔吐が8回まで減ったと記しています。
※副作用として起こり得るもの
頭痛、便秘、発疹※副作用として起こり得るもの
6. 副腎皮質ステロイド(ステロイド系抗炎症薬)
副腎皮質ステロイドがなぜHGの症状を解消するのか、
その理由はまだ明確にはわかっていませんが、
実は今、HG治療薬として最も注目を浴びている一つが、このステロイドです。
ある研究において、18人の重度の嘔吐を持つ妊婦に、注射により
副腎皮質ステロイドを用いたところ、17人が嘔吐の軽減を報告をしました。
別の研究でも同様の方法で、94%が嘔吐の軽減を認め、
たった3日で食事を食べられるようになりました。
副腎皮質ステロイドを用いたところ、17人が嘔吐の軽減を報告をしました。
別の研究でも同様の方法で、94%が嘔吐の軽減を認め、
たった3日で食事を食べられるようになりました。
また、別の研究では、13週間プレドニゾロンと呼ばれるステロイドを
低用量、長期服用した妊婦から生まれた胎児に悪影響はみられませんでした。
低用量、長期服用した妊婦から生まれた胎児に悪影響はみられませんでした。
前述のAshliは、HGで苦しんでいた4回目の妊娠16週目に、
プレドニゾロンを使い始め、3日以内に何も食べられない状態から、
1,200calも経口摂取できるようになり、6日目には、食べ物を
食べられるようになったと言います。
ステロイドに関して、多くの医師は6週間以上の長期間使用を避けます。
なぜなら、母親の免疫力が低下し感染症のリスクが高まったり、
糖耐性が低下し、妊娠糖尿病のリスクが高まったりするからです。
また、赤ちゃんの重要な器官が作られる妊娠12週までの使用を
控える医師もいます。
HGの99%は20週までに自然軽快するのが一般的なため、
12週後から使用するのも一つの手だと言えそうです。なぜなら、母親の免疫力が低下し感染症のリスクが高まったり、
糖耐性が低下し、妊娠糖尿病のリスクが高まったりするからです。
また、赤ちゃんの重要な器官が作られる妊娠12週までの使用を
控える医師もいます。
HGの99%は20週までに自然軽快するのが一般的なため、
※副作用として起こり得るもの
不眠症、めまい、胃の不調、血糖値の上昇、糖尿病リスク