ワールズエンド・ツアー -130ページ目

ワールズエンド・ツアー

田中ビリー、完全自作自演。

完全自作、アンチダウンロード主義の劇場型ブログ。
ロックンロールと放浪の旅、ロマンとリアルの発火点、
マシンガンをぶっ放せ!!


「誰が為に鐘は鳴る」


夜を濡らした青白い、雨は朝にも生きていた、
か細い指が恐る恐る鍵盤たたく、拙いピアノの音色にも似た、
太陽不在の坂道を、
冬をなぞる口笛鳴らして駆け降りゆく胸は冷たく透き通る、

森は眠るふりをして、風を使ってヒトが近寄らないように、
凍る煙は背を追って、
優しい歌なら遠ざけた、続くだろう孤立を知っていてなお、
横目に流れる星々を、数えるほどに幼くなかった、

鞄に積めているのは前世紀に綴られた、皆殺しを数えた史実を伝えた紙が数十束、
再びそれが繰り返されると、噂話は路地の地表を駆け降りる、
吐き出された水深15の真冬の呼吸は既に絶えて止まってしまった、

バス停裏のジャムの樹に、寄りかかって手紙を読んだ古い古い暖かい、
其れは君が水晶を、胸に秘めていたころだった、
壊れてしまったいまはもう、破片が皮膚を突き抜けてゆく、
恋をする約束が、途切れてしまった雨の日ピアノ、
背を追うのは連れてゆかれた山羊の悲鳴、

太陽死んだ坂道くだる、たった独りは沈痛なる鐘を鳴らしに転がりゆくだけ、
星が泣いてた、知らないふりを続けてた、
擦り傷負った肘と膝からこぼれる鉄の匂いが背後へ背後へ運ばれる、
其の痛みを知らぬ者たち、舌なめずりして奈落へと、
太陽殺す坂道つくる、呼吸のない星々までもを道連れにする、

手紙を書いた、それが誰に届くか知らない、
街の中央、虹まで浮かぶ噴水を、
凍らされた鐘を鳴らそう、星たち泣く夜に梟たちと話した少年、
蛇が睨めつく視線の森を、白い鐘へと下ってゆくゆく太陽不在の坂道を、
















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【インスタグラム】サマー・ジ・エンド 2017


 突然に夏は終わりを告げた。
 8月30日の夕には秋の風が吹き、翌31日は朝から乾いた風が鳴っていた。
 残暑を伝えた長期予報とは裏腹に、「季節は早く進むはず」と感じていたので(近年稀に見るほどアキアカネを早く見たし、日没も早かった)、9月になるころにはエアコンがいらなくなった。

 関東は雨が多かったという報道だったけれど(「雨ばっかり!」と親しいインスタユーザーさんにも聞いた)、関西も晴天の少ない夏でした。朝は必ずと言っていいほど曇っていた気がする。

 個人的にもあまり夏らしいイベントはなく、ビキニの女の子だって見ていない。
 友達と花火をして、映画「打ち上げ花火 下から見るか? 横から見るか?」を見ただけかな……うん、それだけだ。

 このサイトで何度も「夏というのは4月末から5月にかけて、陽射しが強くなり気温もあがる季節に感じる、もうすぐ夏だ!」と感じる開放感そのものが夏の正体だと書いたけれど、そもそも季節が過ぎてしまうことを惜しんでも仕方ない。
 それはまぼろしなのだ。


 本当に若い世代はともかく、それを過ぎた世代に特別なことは起きない。
……「ひと夏の恋」みたいなドラマもR30くらいなら起きるかもしれないけど、それ以降は現実が待っている。
とくに女性の方は顕著なのではないか(怒られるかな……。でも本当のことだから仕方ない)。


 最近、twitterにも書いたんだけど、40代、50代を「大人」とする風潮は気持ちが悪い。
 成人式は二十歳だし、選挙権取得は18歳になった、40代や50代なんて中年も中年。
「大人」なんて言い訳をしながら若者のように振る舞っているのは気持ちが悪い。
 嘘があるから不自然で不愉快になるのだ。

 中年は中年、生きた時間がある以上は若くない。いいかどうかはともかく、どうしようもない。


……なんて、立派ではない中年の僕は思うわけです。真夏より秋がいい。肌寒いくらいが心地よい。でもビキニ(の女性)を見たくて海には行く。
 そりゃあね。若いほうが美しい。どんなに抗っても虚しくなるだけで、生き物は若いほうが美しい。
当たり前のことだし、しかし、いまは若い世代もやがて40歳になり、50歳になる。

 医療の進化で「人生100年」と言われる。けれど、50歳が「若者」なのではない。「死ぬには早い」が、「若くはない」のだ。
 若かりしを過ぎた人々(……僕もそうだけれど)は、「それはそれ」と生きてゆくほかない。
 仕方がない。過ぎたものは過ぎたことだ。
 そんなふうに生きていくのだ。

 真夏は過ぎたが、しかし、秋や冬を良い季節とできるように。
 そんなふうにも思う。
 物事には期限がある。設定されていなくともそれはある。
 夏が短く儚く終わるように、すべての物事には期限がある。終わる前提で始まるのだ。

 永遠なんて、いらない。










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「なつのこい」


 小さなころに飼っていたイヌの名をつけたのは元気だったころの母だった、私が高校生として最初の夏休みを終えたばかりの九月の半ばに母は倒れ、何度かの入退院を繰り返したのちに帰らぬ人となった。

 下降する直前のジェットコースターで目覚めてしまったように慌ただしくて、私と家族はあらゆる運命が急加速、急展開する時間に閉じ込められたような気分だった。

 そのころの記憶はどこかあやふやになってしまっている。前後と左右の感覚を失くした鳥が落下してゆくのをテレビで観たことがあるんだけれど、それに似ているような気がする。

 巻き込まれてしまうと落ち着くところにまで落ちてしまうか、それがどんなかたちであっても着地してしまうまでは揺れることも戸惑うこともできないのだ。嵐は去ってしまうまで静かになってはくれないものだと父は言って、私はその言葉をイヌに話してみたことがある。

 そのイヌも母を追うように冬を待たずに死んだ。はっきりとした原因はわからなかった、とにかく、彼もまた私のそばから離れたのだ。

 狭くなりつつあったゲージに右前脚をかけて冷たくなっていた。突然、真冬になってしまったような吐く息の白い朝のことをよく覚えている。寒さで目覚め、クローゼットから引っ張り出したパーカは袖口の切れた糸がもつれて丸くなっていた。


 初めての恋は初めての失恋を連れて18歳の夏に訪れた。
 一ヶ月にも満たない、シャボン玉のような時間だった。
 ふわりと浮き上がって、ゆらゆらと漂い、くるべき時間がきて弾けて割れた。それだけだった。

 一定期間だけ不相応に思えるほど求められ、必要を説かれ、注げるだけ注げられて器から溢れると新たに注がれた。
 私はまるでお姫様のような気分だった。
 期限こそついていたし、それは事前に伝えられてはいなかったけれど。

 思い出したことがある。
 イヌが死んだとき、私はからからに乾くまで泣いて、何日か学校を休むまでした。なにもかもを失くした気分だったけれど、私はそのイヌを特別に大切にしていたと思えない。
 抱きかかえることができた子犬のころの半年ほどは溺愛したけれど、一年を越えるころには彼は大きくなりすぎ、抱きあげるには重すぎた。
 散歩は早目に切り上げたかったし、食事の世話だって面倒だった、なにかをせがんで声をあげる彼にうるさいと怒ったこともある。


 九月の半ば、リゾートホテルのアルバイトが終わる私は「帰る」と彼に告げた。
「東京でまた会える?」とか「今度はどこで会う?」とも訊いたはずだけれど忘れてしまった。
 ともかく、私は大学のある街へ帰らなくてはならない時期だった。
 スロープから夕陽に溶ける海を見ていた、眩しくて直視できなかったから隣の白い横顔をじっと見つめていた。

「ここを離れるんだ?」
「うん。だって学校があるし、ここのアルバイトは夏の間だけだから」
「そうだね」
「短いね、一ヶ月って」
「うん。始まるときはずっと続くように思うんだけど……」
「だね」

 流れる風が乾いていた。セミたちの声はほとんど聞こえず、手すりの銀色で羽根を休めているのは赤いトンボだった。
 それから私たちは話さなかった。話すことがあるはずなのに、どうしてか言葉にはならなかった。きっと、したくなかったんだと思う。

 時間がすべてを変えるとは思わないけれど、でも、ほとんどすべてを変えてしまうと私たちは知っている。
 なにかの偶然が私たちを交差させることも知っている。抗いようがないことだらけであることなら、私はきっと誰よりよく知っている。

 思い出だとか、経験だとか、そんなふうに美化ばかりはできない。過ぎたからこそ美しく思えるけれど、美しく思い出せることはとても忘れてしまいやすいことでもある。

 時は過ぎる。
 それがなにかを壊してしまったとしても、時は壊れたりはしない。

「元気で」
 最後の言葉はその一言だった。私もそう言った。最後になるかどうかなんてわからないから、別れ際はいつもそう言う。
 なにがあっても、なにもなくても、元気でいてくれたら、それだけでたぶんきっとあなたは大丈夫。

 そう、それは母の最期の言葉だ。















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