
「シューゲイザー」
途切れながら鳴るオルゴール、
途切れる或るオルゴール、
眺めているわけではない、
落とした視線は伸ばした脚の煤けて抜けた膝くらい、
盲目吹く吹くハーモニカ、
彼は星の在り処を天上ではなく母の声のなかに光るものだと思ってた、
苛立つ風は葉を蹴散らし、退屈そうな若い兵があばらの浮いた犬を怒鳴る、
ネズミの死骸と下水のにおい、
雨のあとでも乾ききらないブリキの兵、
宵闇に、浮かび上がるは右往左往の貧民たちと無関心な羽虫たち、
この世の果ての風景だったら君も見ていたことがある筈、
ガス燈下のロールスロイス・ファントムと、
それを眺める子供が舐めているのはアスピリン、
キャロル流れるリノリウムには、のたうち廻る流行病のミイラ化したヒト、
燃え尽きかけの灯火だったら風がさらって散ったよ昨日、
見えない靴を眺めているからハーモニカ、
消えてしまった旋律だけを返して欲しいと願うんだ、
いつか聴いてたオルゴールだといまだ気づくことさえない、
途切れながら呼吸続ける少年よ、
途切れる或る夜のオルゴールなら天上にて再び点火するだろう、
光はいつも、天上にて預けられているものだ、
夜明けにでさえ見上げれど、黄金なんて其処になく、
其れそのものが何故なる色を浮かべるかさえ、
閉じた薄い瞼の彼が、鳴らした光は遠くで今朝も鳴っている、
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