「真昼の月」
トビウオたちは群れ戯れて、水と空の間の青を滑って跳ねる、
風に吹かれた飛沫のよう、光が織り成す乱反射、
通りがかりの犬は見上げた、野良にはなにがあるにも思えなかった、
其処にあるのはひたすら青い青だけだった、
真昼の月が遠慮がちにぼんやり浮かぶ、
犬はそれに気づいてはいた、然しは「おまえの時間はまだ早い」、
そんなことを呟いた、
真昼の月を眺めては、宿無しである身を思う、
浮き足立つほど身軽ではある、けれどもあまりの自由さは、
すべきことを失くしてしまうことでもあった、
通りがかりの犬は見上げた、野良にはなにがあるにも思えなかった、
其処にあるのはひたすら青い青だけだった、
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