【インスタグラム】岬にて
それが現実逃避に過ぎないとしてもどこか遠く、見慣れぬ風景に身を置きたいという衝動に駆られる。ありとあらゆるものが依存の対象であるのなら、僕は「移動依存」であるのかもしれない。
湖の底の石のように静かに眠っていたいほど疲れているのにどこかへ行こうとする。
車のエンジンをかける。ミラーに映る自分の顔は目が落ちくぼみ、剃り忘れた無精髭が影のように貼りついている。
「出かけるの?」
彼は問う。生まれて数ヶ月しか経たない愛車はいつも元気だ、とにかく走りたいのだ。
「どこかに行こう」
僕はこたえる。
彼を溺愛している僕はどこかへ連れて行ってやりたくて仕方がない。あたたかい休日の彼は普段にも増して軽快に走り出す。駆ける音を聞くだけで幸福な気持ちになることができる。……誰の、どんな話も彼のエンジン音に勝ることはない。
この日はこのブログで何度か書いたことのある赤穂岬の「きらきら坂」へ。
天気の良い日曜には絶好のロケーションだ、高台から海を見渡し、神社に参拝することができ、温泉地のわりに観光地化して(されて)いない。坂道を歩けばビーチにもたどりつく。
観光客らしき人を見かけはするが多くはない。雑貨屋さんを覗き(キャンドルホルダーを購入)、ガラスのアトリエにゆく。
リンクを張っていいのかわからないのでリンクしませんが(関心のある方は検索してください。すぐにヒットします)、ガラス工芸の作家さんに出会う。
可愛らしくて美人でパワフル、「まさにきらきら坂! ブラボー!」などと思う。
アトリエは店舗を兼ねており、作品をひとつずつ拝見する。陽光が乱反射して店内は眩い。
アクセサリー、ランプ、グラス……。値段に関わらずグラスが好きなので目移りする。メキシコのビール、「コロナ」の空き瓶をリメイクしたビアグラスを購入する(また写真撮っておきます)。
これで発泡酒でもコロナになる(僕はとても単純な人間である)。
Oさん(ガラス工芸家さん)は近くのカフェに立つこともあるそうで、僕の本を置いてくださるという。ありがたいお話です。
「お酒も飲める」とのことなので、是非、伺います。
また、その「きらきら坂」では月に一度、フリーマーケットのような催しもなさっているとのことで、お誘いを受ける。
……またポストカードでもつくりましょうかね。並べるものありませんし。いっそ物乞いでもしましょうか。
今週は……といってもまだ終わってませんが、そんな素敵な出会いがあり、帰国した画家さん(として活動しているのだと思う)から「ビリー、ニューヨーク行こう! 寝言じゃなくて本気だから!」とお誘いがあったり(そんな生き方もいいなって思う)、友人デザイナーさんから「これが私の流星ツアーのイメージ!」という本の装丁のデザイン画が送られてきたり(そもそも抱いていたイメージそのもの!)、数年前に退会されたブロ友さんから連絡があったり……にわかに「きらきら」し始めたような気がしています。
……本人は相変わらずアレですが(きらきらとは無縁の、地に這い蹲るような日々です)。
それはきっとここではない場所に視点を合わせてきたからではないかと思ったりもする。
そう。いまいる場所は居場所ではない。少なくとも、僕はそう考えることはない。今日もやはり、通過点だ。


