フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -67ページ目

2年目の事業計画

ベンチャー立ち上げの時期においては、
事業計画ってのは、かっこつけ以外にあまり意味はない。
前提の数字があやふやすぎるし、
それに何より、計画以前に、売れる商品・サービスを持っているかとか、
商品・サービスをつくり続けられるのかとかの方が、よっぽど重要だからだ。

もし立ち上げの時期に事業計画に意味があるとしたら、
事業がスケールしていった時に何が起こるかを把握するためだけ
と思っている。

だが、うちも昨年に法人を設立してから2年目に入ろうとしている。
ある程度のサービスは回るようになってきたし、
前提の数字がだいぶ固くなってきている。
こうなってくると、事業計画にもようやく血が通うようになってきている。

いま、投資いただいたVCに言われて事業計画をまとめなおしてみているが、
その過程が非常に勉強になっている。

「この変数って、全体にこう効いてくるのね」
「この変数って、意外にあまり意味がないんだね」
「つまり、この施策よりもこの施策の方が、優先順位が高いのかなぁ」
「となると、これができる人を積極的に取りに行った方がいいってことか・・・」
「この施策を打ったとすると、最大損失はxxxくらいで、
 効果としては楽観でxx、悲観でxx、堅実でxxくらいが見えてくるんだね」
「で、この施策を打つときにこっちの施策を打たないと、
 講師数が足りなくなる(または増えすぎる)といった問題点が出てくるんだね」

施策の優先順位とか、予想RIOとか、他施策とのバランスとか、いろいろなものが見えてくる。
今日書いてみたのは10行足らずのとてもシンプルなモデルだが、いろいろなことが見えて面白かった。

ゲイリー・ハメル「経営の未来」

「経営の未来」という本を読んでいる

経営の未来

keieinomirai

まだ途中までしか読んでいないが、とても面白い。

人間のあり方を規定するのは、その人が身を捧げる大義と克服しようとする課題である。

イノベーションにはいくつか種類がある。業務イノベーション、製品イノベーション、戦略イノベーション、そしてもちろん経営管理イノベーションである。どのイノベーションもそれぞれ独自の形で成功に貢献するが、これらのイノベーションを、上に行くほど価値創造と競争上の防御力が高くなる階層図で示すとしたら、経営管理イノベーションが一番上にくる

イノベーションをすべての社員の業務にしている企業がほとんどないのは驚くべきことだ。

経営管理イノベーションの課題が、またいくつか増えることになる。
  1.社内のすべての人間をイノベーション活動に参加させ、各人に創造力を高めるツールを持たせるにはどうしたらよいか
  2.トップ・マネジメントの空疎な信念がイノベーションを阻まないようにし、異端のアイデアがその価値を実証するチャンスを与えられるようにするにはどうすればよいか。
  3.今日の結果を出すために全力で走っている組織で、草の根イノベーションのための時間と空間を生み出すにはどうすればよいか

  1.集中、規律、秩序を犠牲にすることなく管理を減らすことによって社員の自由を拡大するにはどうすればよいか
  2.官僚型組織の仕組みではなくコミュニティの精神が人びとを結びつける会社を築くにはどうすればよいか
  3.組織のすべての人間が感じる使命感を、非凡な貢献の基盤になるように高めるためにはどうすればよいか

人間の能力を結集させるという点では、コミュニティの方が官僚型組織より優れているのである。

モチベーションの高い、とびきり優秀な連中が共通のビジョンを持っている場合には、彼らを細かく管理する必要はない。

日経BP様/ITPro様にご掲載頂きました

レアジョブについて、日経BP/ITPro様に掲載頂きました。

Skypeで世界の労働力集め25分129円の英会話レッスン
 http://www.nikkeibp.co.jp/it/article/NEWS/20081023/317583/
 http://itpro.nikkeibp.co.jp/article/NEWS/20081023/317583/

掲載頂いたことは大変光栄ですし、うれしいのですが、
「この文脈でこれがくると、ちょっと違う・・・」 とか、
「こういうつもりで言ったのではなかった・・・」 という部分が、
正直、ちらほらありました。

これは、向こうの責任というよりは、
きちんと相手の受け取り方を考えた上で発言をしていなかったと考えています。
なので、反省でいっぱいです
(だって向こうは、初めて僕の話を聞くわけだから・・・)

皆様に心配をおかけしては申し訳ないので、
あらかじめ言明させていただいておきますが、
「講師の確保と育成」の点については、2か月以上前にお話させていただいたものです。
あの当時より、下記作業を着々と進めております。

・講師のトレーニング体制の整備
・トレーナーのトレーニング体制の整備
・上記をとりまとめる人材の採用・確保

一朝一夕に完了できる話ではないので、
まだ完全には実施しきれておらず、
ご迷惑をおかけする場合もあるかとは存じますが、
上記課題に組織として取り組む体制 を整えておりますので、
ご容赦くださいますよう、お願い申しあげます。

入会経路

生徒様の入会経路を調べていたが、
生徒様が生徒様を紹介する、というケースが
予想以上に多くて、とても驚いたし、うれしかった。

ざっくりベースの数字ではなく、きっちりとしたものが欲しかったので、
信頼できる友人に手伝ってもらって作業していたのだが、
その友人も 「これは多いねぇ」 と驚いていた。

しっかりサービスを整えて、ますます多くの方にご紹介されるサービスでありたいと思っています。

ご紹介くださった皆様方、ありがとうございます。

バナナダイエット

先週はフィリピンにいたが、
バナナの国フィリピンの人にとって、
日本のバナナダイエットは驚きのようだった。

「バナナを食べるとやせれるの?」
「どう食べてやせるの?」

と、一部の講師は興味津津だったが、
「ってか、やせられないと思うよ」 と言っておいた。

原産地国の人が、「○○って痩せれるの?」と聞いてくるのはおかしな気分。

たとえば、中国でウーロン茶を日本人のように飲む人はほとんどいない。
・上海とか福建の人とかしか飲まない
・飲むとしてもホット。アイスだとすると加糖で。
・日本のようにアイス・ノンシュガーで飲むのは信じられないが、一部の人は日本の飲み方を取り入れ中

てか、中国人で、「ウーロン茶を飲めばやせる」と思って飲んでいる人と会ったことがない・・・

「ウーロン茶を飲むとやせますよ」という広告を打ちまくって、
(もちろん多少の薬効はあるんだろうけれど)
それで本当に信じ込ませたサントリーの力はすごい

相談に乗ってもらう

今日はひさびさに年上の友人(と呼んでいいんすか?)と会い、いろいろお話。
いろいろ相談に乗ってもらい、そういう考えもあるなぁ、ちょっと考え過ぎていたなぁと、だいぶリラックスした。
やっぱりマスメディアで喧伝されている「理想の○○」みたいなのに乗せられちゃいけない模様。
むっさん、ホントありがとうございました。

最近、プライベートで色々大変なことがあったんですが、
友人たちから花が届きました。

flower

レアジョブの(登記上の)一周年記念の花だそうです。

プライベートの件では、その友人たちをも巻き込んでしまって、
すごく後悔していたんですが、
その後にこうやって花を贈ってもらうと、
もうホント、なんて心づかいしやがるやつらなんだろうって
そいつらに何もできていない自分にイラっときます。

なんか、正直になれない、本人には直接言いづらいなって気持ちもあるんで、ここに書きました。
私信ですんません。

問題解決能力のトレーニング

今回のフィリピン滞在の目的のひとつは、
こっちのスタッフをトレーニングしてくること。

トレーニングは、Problem Solvingのトレーニングで、主に次の二つから成り立っている。

・モレなくIssueをカバーする習慣
・そのIssueをImpact/Feasibiiltyで合理的に優先順位づける習慣


これをマスターすると、

・「この手段をとっておけば!」というような、打ち手のモレが減らせる
・イシュー(課題)の解決にもっとも役立つ打ち手から実行していける

つまり、一人で仕事を回していけるようになるわけで、これは非常に大きい。


トレーニングしている中でいろいろ発見があったが、なかでも面白かったのは次の二つ。

・Impact/Feasibilityの区別は、やっぱり皆戸惑うが、
 Issue別に顧客の声を「1/0」で記していけば、ImpactがGuessできるだろ、
 という方法がもっともわかりやすい模様

・ロジカルシンキングのスキルは、イシューを分解する際に必須で、
 イシューの適切な分解ができないと、そもそもイシューベースの思考・行動は無理



トレーニングは実質2日間しかできなかったし、
そもそも僕たちはコンサルではないので、
あまり細かい言葉にこだわることができず、
いくら説明してもまだ無理だろうなと思ったら僕自身が手を入れてしまったりして、
けっこう気合いで乗り切った感がある。

でも、自分たちの担当作業として、どんなものがありうるか、
そしてその中で何の作業をなぜ優先してやるのか、
というところが見えたみたいで、
こっちとしてもとても快感だった。

このProblem Solving Skill、けっこう抽象的思考を要求されるので、
習えば必ずしも誰でもができるわけではない。

その意味では、このフィリピン大学卒の、
優秀で勤勉でまだ頭の柔らかい人たちを採用できているというのはとても幸せ。

このスキルを教え込んで、
全員が「カイゼン」「カイゼン」っていうようにプロセスを改善し続けてくれればって思います。

きちんと会社としての内部体制を固め、
いいレッスン・いいサービスのための仕組みを組織として構築してこようと思います。

フィリピンに来る前にこのように書いたのですが、それは今回のこのトレーニングをイメージしていました。

フィリピン子会社設立!

フィリピン子会社の設立、今日やっと完了です!
これで、今までよりもずっと機動的に物事に対処していけそうです。

設立にむけ動き出してからはや5か月・・・ やっとここまでたどり着けました。
今日うちの顧問弁護士と会ってきましたが、とても有能な方でひと安心。
このペースだと3か月かかるよな・・・ ということが、1時間の会議でばしばし決まっていきます。

高いお金出しているだけはあります。
時間をお金で買っている感覚があります。
日本と違い、やはりこっちでは有能な弁護士をきちんと顧問として雇うことが重要なようです。

組織のあり方を考えている

フィリピンに到着した。
成田空港に向かう電車から、空港、飛行機の上と、ずっと仕事をしていた。
このフィリピンに向かう時間は、電話とか、気を散らせる娯楽とか、一切の邪魔が入らないまま仕事に集中できるので、この時間はけっこう大好き。

さて、今日はずっとうちの組織図を考えていたが、
組織図を考え抜くと、どのようなトレーニングを施すか、という話につながってきたので、面白かった。

・組織図は、誰をどのポジションに据えるかが大事
・ゆえに、各ポジションにおけるスキル要件を明確にする必要がある
・ゆえに、社内で必要なスキルと、その習得順序を明確にする必要がある
・ゆえに、そのスキルをOJT以外で(つまり座学のトレーニングの場で)で習得してもらうとすると、きちんとしたトレーニングプランが必要になる

どうしようかいろいろ考えて、基本的には、コンサル時代の制度を真似てみようと思った。

戦略コンサルのときの人事制度は、下記のようなものだった

・コンサルタントは数か月程度のプロジェクトに割り当てられ、業務は基本的にそのプロジェクト単位で行う
・「マネージャー」「アソシエイト」などポジションがあり、どのプロジェクトに所属してもその中での役割期待・権限は一緒である。(例:マネージャーはプロジェクト全体をマネージすること、など)
・どのポジションにつけるかは、持っているスキルによって決まる。
・スキルセットは、すべての従業員に対して等しく明示されている
・従業員は、OJTや座学トレーニングを通じてそのスキルを身につけることができる
・従業員がどのスキルを持っているかは、その上司が決めることができる
・自分のチームに誰を入れるかは、マネージャー(またはその上司)が決める
・上のポジションになればなるほど、複数のプロジェクトを同時並行で持つ

このコンサルのやり方に比べて、日本企業は人ありきの業務設計をする。
「AさんはスキルBができるので業務Cを任せてみよう、だからうちはビジネスDを遂行できる」
(特に始まったばかりのベンチャーだとこの傾向が顕著)

だがうちは、欧米っぽい、ポジションありきの業務設計でいくべきだと思っている。
「うちの戦略はEというものだから、ビジネスDを推進したい。従って業務Cをこなす必要がある。スキルBができる人、ということで探してみると、Aさんがピックアップされた」

なぜかというと、次の理由が考えられる。

・地理的に離れており、しかも文化・言語などが異なるため、「AさんはBができるのでCを任せてみよう」といったあうんの呼吸が難しい
・規模が拡大するにつれ、次々に新しい経営課題が出て来、そこへの対処を迫られる。戦略からブレークダウンして人材要件が定義できると早めに求人活動やスキルトレーニングがスタートできる。いっぽう、人ありきの業務設計だと、ふさわしい人がいれば経営課題に対処できるという、基本的に運頼みの経営になってしまう


なので、コンサルでのやり方を踏襲しようと思っている。
ただ、うちはコンサルではないので、いくつかを修正する必要がある。

・「数か月程度のプロジェクト」は存在せず、プロジェクトは基本的には継続的なものになる。
・ここのところは、企業の規模や複雑性の増大に従って、チーム(部署)の分裂という形で対処する。(まるでアメーバが分裂するように)
・組織全体で必ずしも共通のスキルセットを定義できるわけではないことに注意する (例:マーケティングスキルは、プログラマに必要なのか?)
・(先日「現場に採用権を」という話を書いたように)比較的下のポジションから採用権を持たせた方が、やりがいが出る


とまぁ、こんな感じです。

まだこれから、日本側・フィリピン側パートナーとの話し合いを控えているので、
上記の考えは一人で突っ走っている気がしないでもないです。

ただ、ここらへんを考えていて、
すくなくとも業務設計・人事設計は、ベンチャーにおいてもコンサルが役立つんだなぁと思います。

「ベンチャーで役立つ、戦略コンサルのスキル」の話で書いたように、
例えばロジカルシンキングは起業してから1年間は役立たちません。
売れるもの見つけ、売る方法を見つけるには、
PDCAサイクルをいかに早く回すかの方がよっぽど大事です。

ただ、組織がふくらんでくると、組織に手を入れる必要が出てきます。
そして、この部分はPDCAサイクルが機能しないです。
例えば、自分の担当業務・ポジション・権限がくるくる変わったら、仕事に集中できず、トップへ不信感を抱くようになります。
だから、この業務設計・人事では、PDCAサイクルを早く回すことができません。

すると、ロジカルシンキングで間違い率を下げる努力が必要になります。
昔、ある師匠が戦略コンサルを辞め、ベンチャー向けコンサルをやっていたので、
「ベンチャーにコンサルのニーズってあるんですか?」 と聞いたら
「ある。ありまくり。そこらじゅうにあるよ。」と答えられたので、
僕は「???」だったんですが、
その秘密はおそらくこういうところにあるんでしょうねぇ、
なんて一人飛行機の中で考えていました。