フィリピンで働くシリアル・アントレプレナーの日記 -61ページ目

世界一になりたい

フィリピンで、向こうのスタッフたちと、ミッション・ビジョンについて色々話していたが、
「レアジョブを、世界一のオンライン英会話事業者にしたい」 と思った。

オンライン英会話に関しては、おそらく日本よりも韓国の方が進んでいるし、
中国や台湾などのアジア諸国や、ドイツなどのヨーロッパにもオンライン英会話各社があるのは知っている。

自分自身の足元を見ても、
もっと講師の調達能力を磨かなければいけないし、
トレーニングなどを通じて講師自身の力ももっとアップさせなければならない。
スタッフたちの能力もまだ鍛えていく必要があるし、
日本での「オンライン英会話」の知名度ももっと上げていかなければならない。
ウェブサイトももっと変える必要があるし、教材だってもっと充実させる必要がある。
カスタマーサポートだってもっと洗練させたい。
安価で良質なレッスンを大量に供給する、その基盤能力をもっと磨きたい。
それに、そもそも、僕自身、もっともっと成長していく必要がある。

けれど、そういう課題ひとつひとつをこなしていく先に、何があるか。
何を見据えて、そういう課題を解決していくか。
こういう視点で考えたときに、

「世界一になりたい」

という思いがある。

うちは、日本とフィリピンにまたがった、特殊な会社。
僕は日本人だが、講師は皆フィリピン人だし、スタッフもフィリピン人の方が多い。

「IT産業の何らかの市場で、世界一になった日本企業はあるのだろうか?」 
と考えると、ぱっとは思いつかないが、
おそらくさすがに、どこかの日本企業が何かの市場で世界一だと思う。

けれども、
「IT産業に限らず、何らかの市場で、世界一になったフィリピン企業はあるのだろうか?」 
と考えると、
サンミゲルも違う・・・SMモールも違う・・・アラヤ財閥も違う というように消えていき、
「ひょっとしてフィリピン発の世界一企業ってないんじゃないか?」 という思いがある。

「フィリピンで初めての、世界一企業になる」

このような思いが、日々の努力の先にある。

世界一のオンライン英会話は、さすがに非英語圏から誕生すると思うし、
非英語圏で最大の経済大国は日本。

「日本人とフィリピン人で、世界一企業をつくる」

って発想は、ちょっとどきどき、わくわくする。

フィリピンの公衆電話の使い方

先日、日本に帰る日、
フィリピンの空港で、財布を現地オフィスに忘れてきたことに気づいた
しかも、携帯電話が手元にない状況・・・

どうしようかと考えて、空港にあった公衆電話を使って、
現地スタッフに持ってきてもらうことにした。

戦略コンサル辞めて起業している日記-PublicPhone



だが、これが本当に一苦労だった・・・


【フィリピンの公衆電話の使い方】

・市内電話で、電話番号が「02345」などから始まっているときは、最初の「02」をプッシュしてはいけない。「345」からかけるべし(東京都区内間でかけるときに、「03」を省略しないと電話がつながらない感じ)

・電話がつながったら、「*」キーを押すべし。押さないと、向こうの声は聞こえるが、こっちの声は向こうに聞こえないため、怪しい電話として向こうにガチャリと切られる

・紙幣は使えず、コインしか使えない。カードもあるらしいが、公衆電話のそばで売っているのを見たことがない(=実質的に使えない)

・携帯電話にかけた場合だと、瞬く間にペソが消えていく。財布の中に相当コインがあっても、3分以上は話せないと思った方がいい。

・固定電話にかけた場合でも、1ペソだけしか入れなかった場合だと、つながった途端に料金不足で速攻で切れる。市内電話でも最低2ペソは電話機に入れておかねばならない。

・「料金不足でもうすぐ切れますよ」という警告ブザーがなった2,3秒後に電話は切れる。手の中にコインを握ってから電話をかけないと、何度も電話をかけるはめになる。



「どんな謎解きだよ!」 と突っ込みたくなるくらい、
外国人にとって、はてしなく難しい公衆電話です。

しかも、上記ルールがどこかに書いていればいいんですが、
決してそんなことはありません

手持ちコイン43ペソからスタートして電話をかけたのですが、
トライ&エラーの嵐に巻き込まれ、残り5ペソまで減ったときは、
財布のありかや落ち合う場所など、関係各者に意図を伝えきれるかどうか、
かなり自信がなくなりました・・・

最終的に全てのコインを使いきった後も、
スタッフたちも機転を利かせてくれて、
無事、空港で財布を受け取れたんで、
良かった良かった!
なんですが、
いやー ここまで難しい電話も初めてです。

短冊状に破いた紙を使った、イシューツリーのかんたん作成

うちの社員に問題解決フローを勉強させるときは、簡単さを考慮して、次の順番に決めている

1) トップイシューを明示する
2) トップイシューに関係する症候を全て洗い出す(例:xxで問題が発生、など)
3) それらの症候を分類して、トップイシューからぶらさがるロジックツリーにする
4) そのロジックツリーをイシューツリーに変換する(症候→イシューへの変換)
5) 各イシューのインパクトを推定する
6) イシューごとの打ち手を明確にする
7) それらの打ち手の実現可能性を推定する
8) インパクトと実現可能性を掛け算し、打ち手の優先順位を決める

なるべく簡単にしたつもりだが、どうしても皆が難しいと感じるのが、
上記3)の「それらの症候を分類して」というところ。

「ロジカルには正しい分類だけれど、問題解決にはつながらないよね・・・」みたいに、
人によってはものすごくセンスの悪い分類をしてしまうことが多い。

で、ここに関してだが、紙をびりびり破いて短冊状にしたものを使うと、
大幅に難易度が下がることが判明した。

具体的には、次の写真のようになる。
まず、2)で洗い出した症候を、短冊状にやぶいた紙に書き込んで並べる

戦略コンサル辞めて起業している日記-tanzaku2


次に、「これらを2つのグループに分けて、それぞれ分類名を付けてください」
とお願いする。
そうするとこうなる。

戦略コンサル辞めて起業している日記-tanzaku3

そしてさらに、
「同じことをずっと続けてみてください」 とお願いする。
そうするとこうなる。

戦略コンサル辞めて起業している日記-tanzaku1


これだけで、3)ロジックツリーができあがり、
「"Can we..."から始まる疑問文に直して」と伝えれば(英語の場合)、
簡単に4)イシューツリーに変換できる。

なぜ紙でやると簡単になるのか考えたのだが、
パワーポイント上とかパソコンでやると、
どうしてもパソコン操作に頭がいってしまいがち。
でも紙で手を動かしながらやると、分類に集中できる。
そのうえ、何だか楽しくてリラックスできる。

上記プロセス、厳密に考えるとおかしいところはたくさんあるが、
少なくとも現場で使用する分には、このくらいのざっくり具合で十分。

むしろ、下記の点を考えると、こっちの方がいいのではないかと思う。
・現場の人を問題解決フローに巻き込んだ方がいい
・巻き込む際は、あまり難しがられないよう、楽しんでやってもらった方がいい
・現場の人にとっては、細かいロジカルな部分よりも、一番優先順位が高いものがざっくりなにかの方が、よっぽど大切
・現場の人にとっては、細部の正確性よりも、打ち手をいち早く実行し、PDCAサイクルをいち早く回すことの方が、よっぽど大切

ミッション・ビジョンのミーティング

フィリピンで、ミッション・ビジョンのミーティングをやってみた。

いろいろ調べていたのだが、ミッション・ビジョンとは、こういうことらしい。

・自分の強み、自分の情熱、他人からの自分へのニーズ、それぞれを書き出す
・上記3つすべてがかぶる部分 = 自分のミッション
・ミッションを続けていった場合に、5,10年後、数十年後にどうなるか = ビジョン

  (「ビジョナリー・カンパニー 2 」「第8の習慣 」など、もろもろの本を参考にした)

そして、会社のミッション・ビジョンを探る際は、
メンバーそれぞれの、ミッション・ビジョンを策定されていることが前提となる。

なので、下記のプロセスを経た。

・自分の、強み、情熱、ニーズ、ミッション、ビジョンを書き出す
・隣の人と見せあいっこ、質問しあい、書き直す
・みんなの前で発表
・発表し終わると、拍手
・Boss(の僕)から、1分くらい、その人のどの部分が優れているかスピーチ
・もう一度拍手

自分自身の声を探求し、みんなの前で発表し、承認してもらいほめてもらうのは、とても大事なこと。

そして、僕自身、どのスタッフがどんなことをやりたいのかがよくわかって、とても勉強になる。

今日は、自分たちのミッション・ビジョンができた。
明日は、これらをもとに、会社のミッション・ビジョン作成にトライしてみるつもり。
トライが目的なので、完成はしないかもしれないが、それでもよくて、なぜならプロセスが大事だから。
文章化されたミッション・ビジョンが大事なのではなく、それらがどれだけ各構成員の心に刻み込まれているかが大事なので、プロセスに非常に気を使う。

しかし、今日のための資料作成で、土日まる二日かかったが、それでもやってよかった。
メンバーが同じ方向を向いているかどうかは、企業にとって非常に大事 で、
うちみたいに遠隔のマネジメントになる場合 は、余計にそうだから。

戦略コンサルに入った時の驚き

前職の戦略コンサルに入ったときに驚きだったのは、下記の前提がある、ということでした。

・経験や背景知識よりも、コンサルとしてのスキルの方が大事である
・スキルは広範囲に及ぶ (スライドの書き方だけでなく、部下の管理の仕方、顧客との付き合い方もスキル)
・スキルはポータブルである (言語、地理、業界、分野の壁を越えて、一度身に付いたスキルは有効である)
・トレーニングは、スキルを効率的に鍛える際に有効である
・スキルをどんどん鍛え、どんどん昇進することが求められている

これらの前提は、正しいか正しくないかではなく、この前提でファームやコンサル業界自体がまわっている、ということが重要です。
たとえばどういうことかというと、

・みんながスキル獲得に懸命になっている
・何らかの業務がうまくいかなかった場合はほとんど、欠如しているスキルを特定し、それを改善しようという努力が促される
・一度コンサルのスキルを身につけると、異国でもい業界でも仕事を任せてもらえる (もちろん、同じ程度のスキルレベルならば、同じ業界や勝手のわかる国の人の方が優先順位は高い)
・トレーニングを重視し、そこにファームとしてコストをかける
・年功序列で上が詰まっているからあと○年は昇進がない、なんてことがない。どんどん上に行けとせかされる

これらが合わさると、次のような流れになります。

・部下の管理の仕方とか、顧客との付き合い方などまで含めたスキルを、OJTやトレーニングなどを通じて急速に伸ばす。
・そうすると、異国での仕事、多言語での仕事、異業界での仕事などをどんどん任せてもらえる
・特定のメンバーではなく、皆がこうやって伸びていくことが期待されている

これは、日本の一般的な大企業とはずいぶんと勝手が違うと思います。
このコンサルのやり方がいいか悪いかを議論することはあまり意味がなく、
これがコンサルの「型」になっている、ということが大事だと思います。

(みんなの方向性や、そこから得られる成果の期待値のブレが定まる。
 みんなをマネジメントしやすくなる)

ベンチャーだとどうしても「型」がなく、みんな自己流でやることが多いのですが、
レアジョブの従業員マネジメントでは、このコンサルのやり方を「型」としてとりいれ、
現状に合わせてうまく「守破離」をやっていきたいと考えています。

企画とは

企画というのは、
センスある人がうんうんうなって・・・というイメージがあるけれど、
実際99%は、合理的な努力の、地道な積み重ねだと思う。

・課題を洗い出し、重要な課題に絞りこむ
・その課題をもっとも解決する打ち手を大まかに特定する
・細部の作りこみでは、先進事例や先人に意見を聞いて、理由をしっかり理解したうえで、細部を作りこむ

企画者がやりたいことをやる = 企画

ではなく、

課題を解決するのに最適な方法を細部まで特定すること = 企画

なのだと思う。

マイクロ・マルチナショナルズ (Micro Multinationals)

うちのように、日本とフィリピン双方で従業員を抱えているベンチャーは、マイクロ・マルチナショナルズ(Micro Multinationals) と言うらしい。

ふつうの多国籍企業(マルチナショナルズ、Multinationals)は、
ある国で小さい企業から大企業になり、そのあとで海外展開をする。

だから普通、多国籍企業というと、大企業をイメージするのだが、
最近、ベンチャーの段階から多国籍企業になっているところが多いらしい。

この記事 によれば、
・インターネットや、安くなった航空運賃というチープ革命が、このマイクロ・マルチナショナルズを後押ししている
・2000年のITバブル崩壊に伴い、VCからの資金供給が細ったので、コスト圧力から、アメリカのベンチャーがいきなり海外展開し始めた
(例) Facebookも、実はフィリピンで開発がおこなわれている
・アメリカではもはや、Micro Multinationalsされた後のコスト構造が、企業間の競争のベースとなっている

なるほどーと思い、勉強になった。

そういえば、知り合いの会社も開発業務を海外に投げようとしていたなぁ。。。
日本語で業務を投げれる先は少ない (そして高い) ので、英語ができるかどうかが、ベンチャー立ち上げの時期においても競争力の源泉になりうる模様。

レポーティングのトレーニング

P&G式 世界が欲しがる人材の育て方―日本人初のヴァイスプレジデ ントはこうして生まれた 」には、次のようにあります。

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私がP&Gに入って叩き込まれたスキルの1つに、メモライティングがあります。
 会議報告や企画書などの文書はP&Gではメモと呼ばれ、そのメモを1ページに
まとめるべく、簡潔かつ効果的に書くスキルです。

私はブランドマネジャーになる前のジュニアの時代、まず「プレゼンテーション
してごらん」と言われました。そしてプレゼンテーションが終わると「今、話した
ように書くといい」と言われました。「プレゼンテーションした流れとメモが一致
すればいいと思う」。そう上司に言われたのです。

メモを書く能力は戦略的な思考力が発達してくれば簡単に上達しますが、逆にメモ
を書くことで戦略的思考力がついてくるようにもなります。

自分の考えを伝え、相手にインパクトを与え、相手から何らかのアクションを引き
出すことができる、それがコミュニケーション力です。
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向こうのスタッフに、ここのところをきちんとトレーニングしようと考えています。
上記文章は、「いかに報告するか」をトレーニングする上で非常に役立つのですが、
「何を報告して、何を報告しないか」 の区別には役立ちません。

どなたか、もしよい本をご存知でしたらお教えくださいませ。。。

1回しかお願いしないか、何回もお願いするか

講師の一人が、Exchange studentとして日本に留学中。
「なんか面白い異文化体験をした?」と聞いたところ、次のような答えが返ってきた。

・日本人は、頼みごとをするときは、1回だけ頼み、何回もお願いしない。
・フィリピン人は、それがSeriousなら、何回も頼む。

だから、次のような誤解が起きる模様。

・日本人は1回しかお願いしないから、日本人にはSeriousなお願いなのに、フィリピン人にそうだとわかってもらえない。
・フィリピン人は、何度もお願いするから、日本人にとっては「何回も言うなよ!」と思える時がある。

相互理解は、
「行為A=意図A、という関係は異文化では成り立たない」
「だから、相手がなぜ行為Aをとっているのかを、『!?』と思う体験をしたときには必ず考えましょう」
ということだと思う。


滞在中の講師からのメールの原文はこちら。

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The usual things that foreigners encounter in Japan is the Japanese sense of time, politeness. It is already very obvious, so I will no longer expound on it.

I would just like to concentrate on the one thing that was very striking to me, the indirectness of Japanese. I knew about it, but did not fully comprehend its dimensions.

First of all, Japanese people came across as very helpful people, just like Filipino people. However, Japanese people are not as vocal as Filipinos. I mean, Filipinos would offer help, invite, among similar things, around 5 times. Japanese people do it just once. But both mean it very much. The intention was the same, but the force of conveying that intention was different. That was a bit hard for me to notice. I thought Japanese were just being polite, and did not mean what they said. So I was shy to go because I may just be a nuisance or something. Because in the Philippines, the host usually insists many many times. People text to remind you, and even follow up a few hours before. In the case of no reply, they will keep on contacting the person. Thinking about it, that seems too much. But that is actually the normal level for us. Here in Japan, I notice that it is entirely different. Apparently, once is always enough.


Offering help and asking for favors are the same. When Japanese people ask for help, they are not really very direct. When they are direct, it already means it is something very urgent and important that one should attend to immediately. I realize that maybe many people have asked for my assistance. That is possible that even until now maybe I still don't know some requests that have been asked of me. It is not only me that thinks this. I have talked to many exchange students and we have similar experiences. For example, when people in the Philippines ask for favors, they are very clear, direct, and just like in inviting, would do it around 5 times. When people fail to contact others, the one asking for a favor would keep on contacting again until they could reach the other person. Because if they don't try again, it means they no longer want your help. The other party then would not try to force to help the person because that would be assuming to much, and it comes across as a bit impolite.

Evading invites/requests is also different. My experience with Japanese is that they don't reply, or they would just smile. Filipinos would come up with an excuse, real or fake, and then say it. Not replying doesn't really mean they don't want to help or don't want to go. Maybe they just didn't get the message clearly enough.


Well, so far, this was the only thing that became noticeable to me. Maybe I can come up with more things next time.

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勉強になったこと その2

とある企業の元人事の方とお話しさせていただく機会を得た。勉強になった。

・企業のビジョンは、時間をかけて従業員たちと練り上げていくべき。プロセスが大事。
・飲みニケーションは有効。トヨタがGMと合弁の工場を米国につくったときもやっていた。計算していないように見せて、席順まで計算して準備しておく
・ピアレビューで、同期Aが同期Bのことをどう思っているかを手紙に書き、同期Bがみんなの前でそれを読み上げる、という行為は、効く。某社ではそれで内定辞退率を20%まで押し下げることができた。