6.プラチナ期
5期メンバの高橋愛がリーダに就任した頃のモーニング娘。は一般に終わったグループだと思われていると書いた。実際、セールスもパッとせず、一般への露出も限られれば、にわかにはそう思うのも致し方ないだろう。わたしもそうなので人のことは言えない。
しかし、色々興味をもってみていくと、どうやらこの時期、モーニング娘。のライブパフォーマンスはグループ史上において頂点に達していたようなのである。俗に「高橋体制」と言われる2007年から2011年までの期間、ファンからはアルバム(?)のタイトルを取って「プラチナ期」と呼ばれているようだ。この時期は、なんというかアイドルというより(アイドルなのだが)、何か鬼気迫るプロ意識を感じる不思議な時期なのである。ライブパフォーマンスの激しさとその完成度をみると、わたしのようなロートルは客席にいるだけで疲弊してしまいそうなほどである。また、アイドルとしてのビジュアル性もかなりのもので、デビュー当時はまだ子供だった5期の高橋、新垣、6期の亀井、道重、田中の5名が「大人の女性」に成長しており非常に驚かされる。おまけに歌唱力も歴代の中で群を抜いているという状況であった(道重除く)。
確かに、この時期の映像を観てみるとじつに「カッコイイ」。そして、子供だと思っていたメンバが皆、ものすごく「カワイイ」。「黄金期」のメンバに比べると華やかさはないが、それはおそらく時代の後押しがあったかないかの違いで、客観的に観ればパフォーマンスとしての完成度は比べ物にならないほど高いものだ。何というか、アイドルってここまでやるの?という感じである。
エポックとなるのが『リゾナントブルー』であろう。これをライブで観たら、まあよほど嗜好のベクトルが異なれば別だが、普通に「なんだこりゃ。カッコイイじゃないか」と思うのではないか。無論、所詮アイドルだといわれてしまえばそれまでであるが。
話はやや逸れるが、この時期のハロプロは、モーニング娘。の他にも「℃-ute(キュート)」の矢島舞美、「Berryz工房」の菅谷梨沙子や須藤茉麻、またソロで活躍する真野恵里菜など、ビジュアル的にはおそろしく美形のメンバを排出しており、オッサンからするとどうにも理解できない方向へ進化しているように思えてならない。実際、この後9期10期として加入することになる子供たちは、これらハロプロのメンバに影響を受けてオーディションを受けたり、ジュニア育成機関などで育っているらしく、わたしの知らない方向でファン層を広げていったように見受けられる。
この時期のハロプロは「ハロヲタ」「モーヲタ」と呼ばれる一部のコアなファンによって支えられていたものと思われる。そもそも音楽市場そのものがシュリンクする状況にあって、また同じファン層を食い合う強力な競合「AKB48」の台頭などもあって、果たしてハロプロおよびモーニング娘。は商業的にどのような位置づけにあったのだろうか。このあたりきちんと数字を追っていないので恐縮だが、おそらくは非常に苦しかったのではないだろうか。当時のアップフロントの戦略や思惑など、サラリーマンとしては別の意味で気になるところだが、それは兎も角、5年間にも及んでリーダを務めた高橋愛の卒業が2011年、そして新垣里沙の卒業がこの2012年の5月のことである。
(気が向けば、つづく)



