モーニング娘。その5 | One of 泡沫書評ブログ

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5.ラガード期

この当たりから「イノベータ理論」に当てはめるのが厳しくなってくるが、便宜上2003年から2007年くらいまでをラガード期としたい。

後藤卒業以降に起きた象徴的なエポックをあげるとしたら、まずは2005年の矢口真里の脱退が挙げられるであろう。この「事件」は、歴史を振り返ると、その後のモーニング娘。の一つの転換点に思える。

2003年、第6期メンバとして亀井絵里、道重さゆみ、田中れいなの3名に加え、すでにソロで活躍していた藤本美貴の4名が加入し、モーニング娘。は16名体制となった。その後すぐに保田圭が卒業したため、メンバはしばらく15名体制で活動することとなる。数が多すぎたせいか、モーニング娘。本体はそれぞれ「さくら組」「おとめ組」の2体制に分かれることになった。しかしこの仕組みはその後2004年に辻、加護の両名の卒業とともにうやむやになったようだ。なお、長らくエース格として活躍したなっちこと安倍なつみはこの頃に卒業している。

この頃はまだバラエティや地上波の歌番組にも頻繁に露出しており、未だ知名度は衰えていないが、明らかに往時の勢いは失われてきたように思う。ちなみに、私事で恐縮だがわたしがもっともハマッたモーニング娘。はこの時期(15名体制)のことである。それまでわたしは松浦亜弥にばかり注目していたのだが、第6期が加入したあたりでモーニング娘。本体の魅力に気づき、さかのぼって色々観始めたのである。つまり、わたしが自分で分類した類型に寄れば完全なレイトマジョリティ、考えようによってはラガードに近い。このように流行に疎いわたしがAKB48にハマらないのも必然といえるだろう。

話が逸れたようだ。

2005年になると、すでに述べたように突如として矢口真里の「脱退」が起きる。折りしも2代目リーダの飯田香織が卒業してつかの間のことであった。飯田の後、3代目リーダとして就任間もない矢口真里が「恋愛スキャンダル」によって「脱退」してしまうというこの「事件」は、おそらく事務所的にも最悪のタイミングであっただろう。というのも、これは石川梨華の卒業を直前に控えたツアーの真っ最中でもあり、また7期メンバ久住小春が正式に加入する直前のことでもあったからだ。他のメンバはさぞ混乱したものと推測される。

これがもし、石川梨華の卒業、そして久住小春の加入の後、ある程度プロモーションが完了した時期であれば多少対応も違っていたかもしれない。明らかに安倍・飯田が卒業した後のモーニング娘。の看板は、キャリアの長さやバラエティでの露出の面で矢口以外にはあり得ず、これらのイベントの後でのことなら、もう少しソフトランディングできていたかもしれない。この件については色々と取り沙汰されているが、昨今の矢口真里の成功を見るにつけ、わたしもついつい「下衆の勘繰り」をしてしまいそうになる。歴史小説なら格好の題材になる状況であろうが、いずれにしてもモーニング娘。にとっては相当ネガティブな影響を及ぼしたものと想定される。

ちなみにハロプロ内でもっとも人気のあった安倍なつみ、後藤真希、松浦亜弥そして石川梨華の4名で「DEF.DIVA」というユニットが作られたのもこの頃(2005年)である。これは非常に華やかなユニットであったが、人気メンバの寄せ集め、悪く取れば「テコ入れ」とも受け取られかねない編成であった。これもまた後知恵だが、こうした手を取らざるを得ないほどハロプロが落ち目になっていたことを逆説的に証明していたのかもしれない。(とはいえ、今見ても非常に華がある。この時期がもっとも「円熟した」時期といえるかもしれない。)

矢口のあとは4期メンバの吉澤が引き継ぎ、混乱を収拾しつつ5代目リーダとして2年近くメンバを引っ張っていたが、2007年の吉澤の卒業に際してまたしても「事件」が起きる。この頃、第8期メンバの光井愛佳、中国からの留学生・ジュンジュン、リンリンの3名が相次いで加入することになるのだが、吉澤の卒業に伴いリーダが藤本へバトンタッチされるや否や、直後にスキャンダルで藤本が「脱退」することになったのである。改めて日付を見るとなんと吉澤卒業から1ヶ月も経っていない。再びモーニング娘。は混乱した(と思われる。実態はよく知らない)。

また、やや時間が前後するが、2006年には加護の「喫煙事件」が起きている。その後、2007年には再度の「不祥事」を起こしたということで、ハロプロから脱退(契約解除)させられている。これはすでにモーニング娘。本体を離れた後のことであったが、現役時の彼女のイメージを考慮すると、残念ながら相当ネガティブな印象を与えたのは事実であろう。

新メンバの加入と主力メンバの脱退。「卒業」というかたちできれいに組織が作れず、スキャンダルからの脱退という混乱でますます組織が弱体化していく。この当時のモーニング娘。は傍からみるとそのように映る。2007年以降は冠番組も次々と終了し、メディアへの露出も減る一方であった。一般のイメージでもこの頃にはもう「過去のグループ」となっていただろう。わたし自身、この頃には興味をほとんど失っており、実際のところどういう状況だったかはよくわからない。この記事もWikipediaを見ながら書いている。ただ一つ確実なことは、一般のイメージは間違いなく「終わったグループ」「スキャンダルでメンバが脱退するグループ」になっていただろうということだ。

しかし、色々調べていると、じつは吉澤ひとみから高橋愛へバトンを渡された、2007年以降のモーニング娘。はかなり興味深い進化を遂げていたようなのである。

(気が向けば、つづく)