3.アーリーマジョリティ期
1999年前後、モーニング娘。は後藤真希を新メンバとして迎えることになった。第3期メンバとしてただ一人オーディションを勝ち残った彼女は、当時、弱冠13歳にもかかわらず、とても中学生に見えない端正な顔立ちに加え、ド派手な金髪といういでたちでインパクトは十分すぎるほどあった。その後藤が加入してすぐに発表されたシングル『LOVEマシーン』の出来栄えも素晴らしく、スマッシュヒットしたことは皆さんよくご存知のとおりだ。わたしは音楽に疎いのでうまいこと評価できないが、わたしのような素人が聞いても、「ウムこれはヒットするのも当然の名曲やね」と言わされそうなw勢いを感じる。実際、この曲はモーニング娘。最大のヒットを記録し、セールスはダブルミリオンまで後一歩というところに迫るほどだった。
ここへ来て、モーニング娘。は完全に「キャズムを超えた」といえよう。デビューからわずか2年足らずでここまでのし上がることができたのは、後藤真希の加入やプロデューサつんく♂の手腕等、色々な要因があると思うが、わたしは何か、時代の「綾」のようなものを感じる。この頃になってくると、若い世代で「モーニング娘。」のことを聞いたことがない人を探すのが難しいほどになってくる。わたしのような情報難民ですら『LOVEマシーン』の有名なサビ、「ニッポンの未来は~♪」を知っていた。ただ後知恵かもしれないが、この時点ではまだ若い世代だけが知っているという状態であったと思う。「うたばん」における「保田いじり」「飯田いじり」はこの頃だと思われるが、実際わたしはリアルタイムで観たことがなく殆ど詳細を知らなかったし、日常的に音楽やテレビに接しない人や、世代の異なる方々にとってはまだまだ知名度が低かったと思われる。
とはいえもう「キャズム」は超えている。あとは時間の問題だっただろうし、実際、一気にスターダムにのし上がったのは歴史の示すとおりだ。ちなみに矢口真里の「セクシービーム」でおなじみの『恋のダンスサイト』は、第4期加入直前のこの時期(2000年)のことである。つんく♂も神がかっていたいたのであろう。わたしなども、願わくば人生で一度くらいこういう経験をしてみたいものである。
ところで今、『LOVEマシーン』を改めて聞き返してみて意外なのが、当時はみんな歌が上手だったということだ。現在のモーニング娘。は「歌割」が非常にはっきりしており、歌唱担当は明確に分かれているのだが、このMVを観ると飯田や市井、圭ちゃんに至るまできちんと歌割があって、しかもけっこう上手い。やはりモーニング娘。はアイドルというよりは正統派の歌手グループという分類のほうがよい気がしてくる。
(気が向けば、つづく)