算数・数学が得意になる本 | One of 泡沫書評ブログ
- 算数・数学が得意になる本 (講談社現代新書)/講談社

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ここのところ、わたしのいる業界で数学、とりわけ統計学の重要さが非常に高まってきている。「ビッグデータ」なるバズワードもずいぶん人口に膾炙し、いまや猫も杓子もビッグデータの大合唱だ。しかしながら、実際に超大量のデータを使った解析を行う、いわゆる「データ・サイエンティスト」の数ははっきり言ってぜんぜん足りていない。実際、実務レベルで”ビッグデータ”を扱えているのも一部の先進的なウェブ系企業(Google、FacebookやGREE等)だけであって、ベンダが手を出せているとは思えない。完全に(ハード屋/アプリ屋の)マーケティング先行型のブームであろう。
と、まあ偉そうなことを言ったが、もちろんわたし自身にこうした高度なリテラシがあるわけではないので、別に何か上から語れるようなことは何もない。単に数学の本を読んだからこういう前置きが言いたかっただけである。あまりきれいに本文につながりそうにないので、前置きはこの辺にして本題に入ろう。
本書は数学教育の専門家が、四則演算から微積分まで、つまり小学校~高校までの算数・数学を一通りおさらいしてくれるという内容だ。著者のこれまでの経験を元に、あらかじめ初学者が「躓きやすいポイント」を先回りして押さえてくれているので、大変わかりやすい本に仕上がっている。内容は高校までの数学なので、言い方は悪いが高校までの数学ができるなら「簡単すぎる」内容である。ただし、人それぞれ分野によっては苦手なところもあるだろうから、手軽に全体を復習する本としてはお勧めだ。
とはいえ、算数・数学が苦手な人は、これを読んでも数学特有の「わかったようなわからないような・・・」という感覚は完全に払拭できないだろう。やはりいくらか反復練習をしたベースがないと、知識として定着するレベルにはいたらないのではないだろうか。また、易しいとはいえ当然ながら数式や記号、図形などはガンガン出てくるので、こういうものにアレルギがある人は読み進めることすら辛いだろう。
そういう意味では、おそらくこの本の対象読者は現役の学生か、もしくはそうした子供を持つ親のために書かれたものであろう。(と思ったら、前書きにもそういう趣旨のことが書いてあった。) 子供ができたら読んでおきたい本だ。
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