マック(マクド)でメガマック????
今日新聞に載っていたらしいけど、マック(関西ではマクド)の季節限定メニューはメガマックらしいですね。
なんとパテイーが4枚。
ビックマックの倍入っています。
メガマックって欧米で発売していたんですよね・・・。
ハワイで食べた記憶が・・・。
あああのでかさ食べてみたい・・・・。
限定発売になったらきっと食べてやるんだ。
太りそう???
ドリーム・クエスト (1)4人5脚!
僕の名前は弐條雅和。24歳。現在官房長官の公設秘書歴2年。父さんは戦後最年少で、史上最高支持率の内閣総理大臣。任期はあと4ヶ月・・・。
高3のときの遅い初恋を成就させて今も寄り添っている妻の綾乃は、予定日よりも一月半早く5月に可愛い双子の子供たちを産んでくれた。第1子長女の雅(みやび)と第2子長男の彬(あきら)。綾乃の大学で、漢字の第一人者の教授に名づけてもらったんだ。今はまだ2人ともちっちゃいから、NICU(新生児集中治療室)に入ったままなのだ。
子供達が誕生後、1日有休をもらったんだけど、子供達の面会時間ずっと、NICUのガラス窓にへばりついて、小さな我が子たちを眺めていたのは言うまでもない。看護師さんたちは僕に気を使って、一番近くに保育器に入った雅と彬をつれてきてくれて、治療を行っている。黄疸はでているけれど、今のところなんともないと小児科の主治医が言ってくれた。小さいながらミルクもいっぱい飲んでくれて、安心。2人とも小さな口を大きく開けてあくびをしたり、小さなもみじのような手を口に運んで吸ってみたりと、一日中見ていても飽きないくらいだ。時折目を開けて僕のほうを見ているような気がするんだけど、まだはっきり見えてはいないって聞いたから、気のせいかな・・・。本当に僕は親ばかなんだなってつくづく思う。
もちろん父さんも同じ。暇さえあれば、この初孫たちを見に来る。今日なんて昼ご飯も食べずに、昼休みにやってきて、僕と一緒に並んで雅と彬を眺めていたんだ。もちろん綾乃のお父さん(陸上自衛隊東部方面総監部総監なのだ)も仕事を終えると朝霞駐屯地から急いでやってきて三人の初孫(ひとりは綾乃のお兄さんの長女。)を時間ギリギリまで眺めている。ホントみんな爺馬鹿だ・・・。もちろん首相官邸や国会そして朝霞駐屯地でもお祝いムードであったのはいうまでもないけど・・・。
さて、雅と彬が生まれて初めての出勤日。いつものように僕は党本部の駐車場に車を止めて、議員会館によってから官邸に向かう。面識のない人たちまで、この僕にお祝いの言葉をかけてくれる。まあ今日は5月3日の祭日。普段よりも人は少ない。でも何人かはいることはいる。大体は下っ端の者だけど・・・。
僕は昨日撮った、雅と彬の写真をデスクマットの間に挟んで、休んでいた間の仕事の処理を始める。
「弐條!おめでとう。」
「あ、和気さん。」
「ホント無事に生まれてよかったな・・・。あのさ、仕事が終わったらみんなで飲み会しようってことになってさ、どうかな?」
結構官邸内の若い秘書や内閣官房職員連中は飲み会が好きだ。ことあるごとにいろんな理由をつけて宴会をする。今日はまさしく僕に子供が生まれたお祝いの宴会らしい。終わったらさっさと病院に行こうって思っていたんだけどな。まあ今日くらいいいかな・・・。
仕事のあと、僕らは当直の職員を残して赤坂に繰り出す。いろいろバタバタして、ここに来るのも年末の忘年会以来だ。
今日は居酒屋。ホント同年代の20代ばっかりの宴会。秘書、職員合わせて10人ちょっと。結構なかのいい人たちばかり。既婚、独身は半々位かな・・・。わいわいがやがやうるさいくらいだ。まあ僕は帰り車だから、悪いけれどアルコールは控えさせていただいた。やっぱり飲酒運転はいけないからね・・・。
そういえば内閣府に新人さんが入ってきて、官邸に出入りするメンバーが増えたんだ。今まで結構僕は新人格だったけれど、そろそろ中堅に近くなってきたのかな・・・。この春から、数人の秘書官が入ってきたし。
あれ、途中から5人ほど休みの人達が合流してる。誰か呼んだのかな・・・。その中の数人の女性職員が、僕のそばに寄ってきて、いろいろ話し出したんだ。
「弐條さん、もうパパになっちゃったんですね・・・。すごく残念です・・・。」
「そうそう!ちょっと狙ってたんですけど・・・。」
何言ってんだろ、この子たちは。酔った勢いでいろいろ僕に言ってくるんだけど、僕は聞いてるふり・・・。まあ綾乃が妊娠中をいいことにいろいろ言い寄ってくる女性職員は大勢いたが、もちろん丁重にお断りをしていたんだよね・・・。この子達も同じなんだろう・・・。僕は愛人なんて持つつもりはない。ほんとに。
さあ始まって90分。お開きの時間だ。幹事の和気さんはみんなから会費を徴収している。
「和気さん、僕も・・・。」
「いい、今日は弐條のお祝いなんだから。あ、これ、みんなからね。」
和気さんは僕に大きな紙袋に入ったものを渡した。
「なんですか?これ。」
「あ、それね、みんなからの出産祝い。少しずつ出しあって買ったんだよ。雅ちゃんと彬君にね・・・。」
「ありがとうございます。」
僕は和気さんを車に乗せて、赤坂を出た。
「弐條。明日彩子ちゃんと一緒に見舞いに行くよ。彩子ちゃんのお兄さんのところも同じ日に生まれたんだってね・・・。明日双子ちゃんを見られるかな・・・。」
和気さんは綾乃の妹彩子ちゃんとお付き合いをしている。最近何とか彩ちゃんのお父さんにお許しをもらったらしい・・・。この週末、実家のある兵庫県宝塚市に戻って、実家の両親に彩ちゃんを紹介するって・・・。うまく行けばいいね・・・。でもまだ彩ちゃんは大学2年生だから、結婚はまだまだ先なんだろうけれど・・・。
本当に最近幸せそうで、ますます仕事に専念している和気さん。僕が綾乃と結婚した当時と同じだよね・・・。やはり守るものができるとがんばってしまうのが男ってことかな・・・。
僕もさらに2人の子供が出来て、もっとがんばらないといけないんだもの・・・。4人家族。4人5脚で。
【作者からの一言】
happyquestメンバールーム『創作広場』で発表しているものの本編です。ですから題名はほぼ同じです。私の別名がhappyquest-naoという名前です。どちらも私の自作小説ですので、よろしくお願いします。
また長々始まってしまっています。まだ書いています。終わりません。いつまで続くんだろう・・・。主人公が総理大臣になるまで?いつのことやら・・・。
ちょっと体調が悪く、イラストもバランスが・・・。書き直そうと思ってもだめです・・・。またいずれ・・・。
新シリーズのお知らせ~ドリーム・クエスト【代議士編】
実は別名で書いている「どりーむ・くえすと」の本編です。別名の分は番外編でネタバレしちゃっています。本編はそこまでの内容を長々と・・・。
では登場人物を・・・。
24歳の内閣官房長官公設秘書。まだまだ新米。
父は内閣総理大臣。
初恋の綾乃と結婚し双子の子供が誕生。
性格は真面目だけれど、ちょっと抜けたところが・・・。
子供が生まれたことを機にしっかり仕事をしています。
21歳の時に成田エクスプレスの事故に遭い、生死をさまよったが無事生還。しかし精神的障害があり、未だ電車に乗るのが怖い。そして・・・。
25歳、内閣官房副長官の甥っ子で、私設秘書。
雅和と同期の秘書。
弁護士資格あり。
実家は関西で有名な医師一家。
関西人気質で、節約家庶民的。
彼女は弐條雅和の義理の妹、源彩子。
まじめ。仕事中はめがねをかけるが、プライベートはコンタクト。
普段は関西弁だが、仕事中は標準語。
雅和の奥様。22歳。
双子のママ。
ちょっぴりドンくさくって、いろいろ事件を起こしたりするんだけど・・・。
何とか雅和が恥ずかしくないように努力している。
今回はあまり出てこないかも?
綾乃の妹 19歳 大学生兼実は人気タレント北野彩夏。
普段はお嬢様風の彩子だが、仕事になると華やか系の女の子になる。
和気さん大好きの女の子。
綾乃がのんびり屋さんに対し、彩子はしっかりしていて周りの雰囲気を盛り上げるタイプ。
将来の夢はアナウンサー
芸風と現実の自分に悩む。
主人公は4人という邪道な内容・・・。日記調のものなので・・・。後半は和気君と彩子の話が多いかもしれません。
とりあえず、代議士編です。暗いイメージの政治小説ではありません。あくまでも恋愛モノで、フィクションです。
設定も無茶苦茶ですが・・・。
明るい家族計画 (12)妊婦日記~もうすぐ編 パパママ記念日 2 【シリーズ完結】
陣痛ってうつるのかな?美月さんは5月1日朝に無事可愛い女の子が生まれたのよ。3400gの大きいけど結構可愛い女の子らしい。
あたしのパパは初孫の誕生にすごく喜んじゃって、特に女の子でしょ。お兄ちゃんは前の日、陣痛が始まったって聞いて、夕方の飛行機で東京に来て、何とか立会い出産できたらしいのよね・・・。ホントお兄ちゃんは珍しく男泣きして、可愛い娘を抱いたって言うわ。もちろんその後あたしのお見舞いに来てくれて、励ましてくれたんだ。
あたしは美月さんが出産を終えて安心したのかな・・・。お昼あたりから、本陣痛が始まってしまって、何しても陣痛を抑える事が出来なくなってしまってね・・・。先生は官邸にいる雅和さんを呼んでくれたの。
「弐條さん、もう出産準備に入りますから、着替えてくださいね・・・。」
あたしは出産用の服に着替えて、雅和さんも白衣を着たの。先生と看護師さんは陣痛止めの点滴をはずしてブドウ糖液の入った点滴に変えたのね。するとやはり陣痛が急に進んじゃって、陣痛が始まって5時間で生まれたの。スピード出産。 生まれたのは2100gの女の子と、1950gの男の子。33週での出産でした。
やはり小さく生まれたからあたしが顔を少し見るとすぐにNICU(新生児集中治療室)に運ばれていってしまったの。まだ小さいから、呼吸とか弱くってどうなるかと思ったらしいんだけど、何とか元気に生きてる。無事に生まれて、雅和さんはすごく喜んでいた。パパったらすごく喜んじゃってね・・・。だってそうでしょ。1日に孫が三人も生まれたんだから・・・。雅和さんのお父さんも何とか間に合って、あたし達の可愛いベビーちゃんずに会えたのよ。ま、初孫だもんね・・・。それも雅和さんの後継者となるべき男の子が一人いたもんだから、ホントに喜んじゃって・・・。
どちらのベビーちゃんもすごく雅和さんに似ていて、かわいい顔してるのよね・・・。小さく生まれたのに全然サル顔してないの。ホントに親ばかかもしれないけれど・・・・。今までの入院生活の大変さ、出産の苦しみなんて一発で吹き飛んでしまったわ!
名前?もちろん決まったわ。大学の教授がつけてくれたの。長女は雅(みやび)。意味は奥床しく気品溢れるさま。淑やかに振る舞い、見目好いさま。久しく変わらないさま。平常心をよく保つさま。風流な心を持ち、大らかなさま。などの意味がある。まあ雅和さんの雅って訳だけど・・・。長男は彬(あきら)。意味は外見と内容が程よく調和したさま。外観と才能が釣り合いよく兼ね備わったさま。美しさが鮮やかに現れたさま。技能がよく具わったさま。などという意味・・・。ホントにいい名前だよね・・・。弐條雅と弐條彬。うんうん。可愛いかも・・・。でもなんで男の子と女の子って知っているわけ?
「綾乃、実はね。こっそり先生に教えてもらっていたんだよ。」
「なんだ・・・。知ってたのか・・・。」
「綾乃、本当にお疲れさん。これで好きなもの食べる事が出来るね。」
そういうと、雅和さんはあたしの好きなケーキを買ってきてくれたの。多分あたしが出産後疲れきって一時間ほど寝てたときにわざわざ買ってきてくれたんだと思う。
「5月1日。もうひとつ僕らの記念日が出来たね。雅と彬の誕生日であることは確かだけど、綾乃がママになった記念日だよ。さあこのケーキでお祝いしようよ。」
「うん!雅和さんも今日パパ記念日だね。もうパパなんだからしっかりしないとね。」
「そうだね。」
あたしと雅和さんはひとつのケーキにろうそくを1本立てて、二人で火を消した。そして仲良く食べて、パパママ記念日をお祝いしたの。
ああ今日からあたし達は親になったんだね・・・。
雅、彬。これからもパパとママをよろしくね。元気に大きく育ってね。
これはあなたたちのパパとママからの願いだよ。
早くおうちに帰れますように・・・。
(完)
【作者からの一言】
とりあえずこのシリーズは完結しました。
次は弐條雅和、和気泰明が中心の代議士編が始まります。これはいまだに完結していないので、長々だらだらだと思いますが、お付き合いください。
明るい家族計画 (12)妊婦日記~もうすぐ編 パパママ記念日 1
ああ、あたしは籠の鳥・・・。もう外は桜が散ってしまった。もうここに入院して2ヶ月が過ぎてしまった。相変わらず、トイレ以外は安静の日々・・・。トイレの時も、看護婦さんに頼んで車椅子で連れて行ってもらうのよ。もちろんトイレつきの個室なのに・・・。まあ旦那様が来てくれている時とか、光子さんが付き添ってくれている時なんかは頼んじゃうけど・・・。
予定日までまだ2ヶ月ある。出来るだけおなかの中にいたほうがいいっていうから、最大限のお薬を使って陣痛を抑えているって感じ。このお薬って、筋肉を緩めるお薬だから、産後はリハビリしないといけないって聞いた事がある。
まだあたしは8ヶ月半ば・・・。赤ちゃんたちは毎日元気に動き回っているんだけど、最近おなかがパンパンに張って痛いって何の・・・。夜も寝る事が出来ないくらいよ・・・。上向いて寝ることが出来ないから抱き枕を抱いて横になって寝ると楽。でもね、どちらかの子があたしのわき腹を蹴る!痛いから寝返りをすると違う子が蹴るって感じで熟睡も出来やしない・・・。
あたしの義理のお姉さん美月さんは、臨月に入っていつ生まれてきてもいいらしい。検診の度にあたしの病室にやってきて、いろいろ話して帰っていくの。よく差し入れをしてくれるんだけど、あたしの場合、多胎妊娠でしょ。妊娠中毒症になりやすいらしくって、入院食以外はNG。大好きなケーキもアイスもお預け・・・。
「綾乃さん、ホントに大きなおなかね・・・。すごいすごい・・・。ここに二人も入っているんだもの・・・。信じられないわ・・・。私おなかに一人いるだけでも苦しいのに・・・。」
「美月さんはもうすぐ予定日ですよね?お兄ちゃんはこれないのかな?」
「博雅さんはきっと来てくださらないわ。いろいろ忙しいのですもの・・・。でも生まれたら休みを取って来て下さるっていっていたし・・・。早く生まれて博雅さんに会いたいわ。」
「で、美月さんは性別聞いたの?」
「ええ・・・。やっぱり準備のために必要でしょ。」
お兄ちゃんのところは女の子らしい。きっと美月さんのことだからフリフリのベビー服とか買ってるんだろうな・・・。女の子かあ・・・きっと可愛いだろうね・・・。うちの子たちはどっちかな?
本当に幸せそうな顔をして微笑む美月さん・・・。だいぶんママの顔になったよね・・・。あたしもそうかな?
うちの旦那様も、少しずつ赤ちゃんたちのために忙しいのに準備してくれている。この前も、ベビーベットを2台注文して組み立てたって言ってたのよね・・・。あと双子ちゃん用のベビーカーも買ったって・・・。光代さんはベビー服を揃えてくれているみたいだし・・・。あ、カーシート買わないとね。赤ちゃんたち部屋は南向きの一番日の当たる部屋。今まで旦那様が勉強部屋や書斎にしていた部屋を改装して、可愛らしい感じの部屋にしてくれたらしいの。どんな子が生まれるのかなって楽しみ・・・。
あたしの旦那様は必ず立会いするぞって気合入っているし、最近なんか、週末この病室に泊まってくれるの。一晩中手を握ってくれて、あたしは週末が楽しみでしょうがないのよね・・・。
ああ、もうゴールデンウィーク間近・・・。アレ?美月さん、生まれたのかなって・・・。予定日は4月18日って聞いてたのに・・・?もう10日過ぎてる・・・。すると最近毎日のように検診に来ているらしくって、顔を出してくれるのよね・・・。
「まだ生まれないのよ。軽い陣痛は来ているみたいなんだけど、なかなか進まなくって・・・。あと4日陣痛がなかったら帝王切開だって言われちゃったのよ・・・。」
ホント大変そう・・・。予想体重は3000越しちゃって、多分骨盤の小さそうな美月さんは帝王切開かもしれないね・・・。もう42週だから、そろそろ出さないといけないといわれたらしいのよ。
あたしはやっと9ヵ月半。あと半月で薬をやめて陣痛が来るのを待つって先生は言ってくれた。あと半月の辛抱なんだね。でも最近夜になると、陣痛みたいなものが来て、毎晩のように陣痛の監視装置をつけれてるのよ。確かに陣痛の軽いのは来ているらしくって、雅和さんは先生に呼ばれて、そろそろって言われたらしい。
朝の検診も最近辛くなって、もう嫌って感じ。早く出してって言いたいわよ。ホントに最近特に辛くなって、雅和さんの前では泣いてしまうの。雅和さんも「赤ちゃんが少しでも大きく生まれないと大変だよ。」って言って慰めてくれるんだけど・・・。でももう限界!
明るい家族計画 (11)彩ちゃんの浮気?
6月中旬に終わる通常国会の後、任期満了による総選挙が7月中旬に行われる予定。今はまだ4月に入ったばかりだけど、水面下では党の公認や推薦のための選考が始まっている。もちろん比例代表の名簿作りも・・・。官邸内でも、総選挙の話題で盛り上がっている。一応父さんも選挙に出る。もちろん僕の上司である官房長官も・・・。僕?まだまだ修業の身。まだ父さんも健在だし、同じ選挙区ではね・・・。父さんが政界引退するまではこのままのような気がするんだよね・・・。まあそれまでに下積みとして地方議員でもいいんだけど・・・。ま、僕にとって出馬というものはまだまだ先のことと思っているんだ。
もうこの頃になると、マスコミも誰が出馬するのかなんて特集を組んでいろいろやっている。もちろん父さんは兵庫県芦屋市の小選挙区で出馬予定。選挙前から当確といわれている。官房長官もお膝元の仙台から出馬だろう。また仙台に行ったり来たりの生活が始まるのだろうか・・・。来月中旬にはうちのちびたちが生まれる予定なのにさ・・・。これなら立会いできないかもしれないよ・・・。うううう・・・。
今日は久しぶりの仙台出張。まあ綾乃も安定してきたし、仕事だからいってらっしゃいって送り出してくれたんだよ。
今日は朝早く、東北新幹線に乗って、仙台に向かう。もちろんけっして1両目には乗らない。もちろんど真ん中。グリーン車でも構わない。いつものようにホームでお茶やお弁当を買い込み、新幹線に乗り込むんだけど、ふとキオスクの雑誌に目が行く。やはりこの時期総選挙の記事が多く、僕は週刊誌を買って、新幹線に乗る。 『総選挙!出馬が予想される新人候補特集。~政界サラブレッドからタレントまで一挙公開!』 というような内容。面白そうと思って買って、朝ごはんのお弁当を食べながら見る。
載ってる・・・。与党や野党を問わず総勢100人ほど?もちろん僕が所属する与党のページへ・・・。載ってる!どこでもらってきたんだって言うような身分証明の写真。党から流出か?もちろんスナップのような写真もあるけれど、うちのはみんな証明写真。ああこの人?あの人?とか思いながら見入っていた。
さて次は政界サラブレッドね・・・。やはり田村さん出てる。え?和気さんも?そして・・・・。 『弐條雅和 慶大法卒 現在官房長官公設秘書 いわずと知れた現首相次男。既婚・・・・』 はははは・・・僕の写真までばっちり載ってる・・・。
でもよく考えてみてよ。選挙の予定は7月。僕の誕生日は8月末だよ。実は満25歳になっていないから立候補できないんだけどな・・・・。まあ国会が延びて7月までずれ込んだらわからないけれど・・・。ちゃんと調べてる?和気さん、出ないっていってたのに・・・。結構いい加減な記事だなあ・・・。でもこの和気さんの写真。めがねかけてて、普段は童顔の人なんだけど、すごく老けて見えてる。真面目な秘書って感じに写ってるんだよね・・・。まあ証明写真だから仕方ないか。まあこの雑誌は記念に取っておこう。
その時携帯が鳴る。なんてタイムリーなんだ・・・。和気さんからだ。
『もしもし!弐條か???』
「なんですか?和気さん珍しい・・・。あ、雑誌見ました?」
『見た見た・・・。今はそれどころじゃない!どうしよう・・・。』
「なんかあったんですか?」
『田村にやられた!』
「田村さんが?どうかしたのですか?」
『彩子ちゃんを盗られた!どうしたらいい?』
え!彩ちゃんを?まあ普通田村さんのようなイケメンでエリートだったら誰だってついて行くよな・・・。
(綾乃は興味なさそうだったけど・・・。)
悪いけど、和気さんの顔はホントそこら中にいる顔だし、まあ和気さんの売りは実家が医者一家、東大卒、真面目、優しい。ってくらいだからね・・・。彩ちゃん、やってくれるよな・・・。彩ちゃんは綾乃と違って昔からおませさんで、中学時代からずっと彼氏の途切れることはなくって、何人もの彼氏がいたんだよね・・・。女版響貴って感じで。あれ程和気さんとラブラブだったのに・・・。彩ちゃんはやっぱりそういう子なんだね・・・。でも相手が田村さんとは・・・・。
田村さんって結構秘書仲間でも有名なプレイボーイ。噂では結構代議士夫人やその秘書たちの奥さん、そして婚約者、彼女と浮名を流している。その噂から僕は綾乃が被害にあわないかと、冷や冷やしているんだよ・・・。そんなことばかり考えている間に、和気さんが被害に遭うなんてね・・・。かわいそうだよ・・・。一番心配なのは彩ちゃんが田村さんに捨てられないかなんだけど・・・。まあいう女の使い捨て?彩ちゃんは僕の義理の妹だからね・・・。まあ僕は様子を見ることにして・・・。彩ちゃんがね・・・。
僕は仙台に泊まるつもりでいたんだけど、さっさと仕事を済ませて最終の新幹線で帰ってきた。そして和気さんと連絡を取り、和気さんのマンションに赴く。和気さんは相当うなだれていて、僕がついた頃には食卓に空の缶ビールが何本も並べられていた。
「和気さん・・・。」
「やはりやられちゃったよな・・・。この前ばったり広尾で会ってね・・・。一緒に食事をしたのがまずかった・・・。俺の彩子を返せ!」
和気さんの顔に似合わず大泣きしている姿を見て、僕は和気さんがかわいそうでならなかった。
「あまり飲むと明日に響きますよ。」
「もう明日は無断欠勤だ!官邸なんかに行きたくないよ!田村の馬鹿やろう!」
やはり次の日、和気さんは無断欠勤。相当ショックだったんだね・・・。こんなことは一度もなかったっていうから、伯父さんの官房副長官も心配していたんだ。まあ官房副長官は理由を知らないわけなんだけど・・・。僕も辛いよ。毎日あの田村さんの顔を合わすわけだから。
すれ違った田村さんはいつものように平静を保っていたんだけど、ホント仕事から一歩離れると性格が180度変わる男だ。油断大敵。でも官邸の職員や内閣府の職員、そして議員会館にも付き合っている人がいるという噂・・・。何股しているんだろこの男は。綾乃一筋の僕には信じられないよ・・・。
結局1週間和気さんは無断欠勤してしまって、官房副長官は官邸内で一番の仲良しの僕を呼んで、理由を聞くんだよね・・・。言えないじゃない?秘書同士のもつれなんだから・・・。それも女関係。特に官房副長官と副総理は相当仲が悪いからね・・・。官房副長官は優秀な甥っ子の和気さんが可愛くてしょうがないので、きっと副総理と喧嘩沙汰になるんだろうと思う。
しょうがなく、僕は自宅に彩ちゃんと和気さんを呼んで話をさせることにしたんだ。 僕は綾乃のお見舞いを済ませた後、自宅に彩ちゃんと和気さんを呼んで、話をさせる。
和気さんは落ち着かない様子でぷかぷかとタバコをふかしながら、彩ちゃんの顔さえ見ようとはしない。彩ちゃんもうつむいたままで、沈黙の時間が・・・。
「で、二人は別れたの?どうなの?和気さんもこれ以上欠勤したらクビですよ。」
まだ2人は黙っている。
「彩ちゃん、田村さんはやめておいたほうがいい。傷つく前に別れたら?僕が知っているだけでも3人は女がいるね・・・。」
「お兄ちゃん、知ってるよ・・・。田村さんがいっぱい彼女がいることぐらい・・・。」
「で、二人は別れたわけ?」
すると2人は同時に首を横に振る。別れ話さえしてないってわけね・・・。
「和気さんはいつも優柔不断だから・・・私我慢できなかったの。私優柔不断な人って好きじゃない・・・。」
「俺は別に優柔不断なわけやないわ!ただ俺は彩子ちゃんの意思を尊重しようと思っただけや!」
「だって和気さんはいつも私に好きにしたらいいって・・・。自分の意見を言わないじゃない。」
「そりゃ俺が彩ちゃんの意向を無視して引っ張っていってやってもええがな。でもそれはあかんと思ったからやで。いくら好きにしてええっていうても、あの田村さんと浮気することないやろ!」
「だって和気さんが・・・。私のこと本当に大事にしてくれているのか心配になって・・・。」
「大事に決まってるやろ!だから彩子ちゃんの意見を尊重してたんや・・・・。自由にさせてやろうと思ったんや。」
ああ・・・二人は誤解してたんだね・・・。行き違いってやつか・・・。結局彩ちゃんは和気さんに当て付けでちょっと付き合ったっていうけど・・・。もう別に会っていないとも・・・。彩ちゃんって・・・。本当に今時の子だよ・・・。和気さんの気を引くために浮気ってねえ・・・。訳わからん領域だ・・・。まあとりあえず仲直りってことで。握手握手・・・ふぅ・・・。
「あのな、彩子ちゃん。今度の夏休み、うちの両親と会ってくれへんかな・・・。彩子ちゃんを紹介したいんや。」
「え?」
和気さんは顔を真っ赤にして僕のいる前で言うんだよね・・・。
「あのな、彩子ちゃん。僕と結婚前提のお付き合いをして欲しいんや・・・。もちろん、君を幸せにしたる。ずっと幸せにしたるから。ええかな・・・。」
おお!!プロポーズ!やるな、和気さん。彩子ちゃんと言うと・・・。
「待ってたよ、その言葉を・・・。ずっと待ってたんだから・・・。」
結局2人は結婚前提で付き合うことになって、もちろんあの怖い彩ちゃんのお父さんに怒鳴られながら、毎日家に通ったってさ。あの和気さんが彩ちゃんに誠意を見せたってことね・・・。
ところで和気さんは噂どおりに出馬するんだろうか・・・。うん、そこが疑問だ・・・。 まあ、和気さんは大学在学中に司法試験に合格しているから、代議士にならなくったって食べていけるし、安心といえば安心かな・・・。
どうなるんだろうねこの2人。
ひとまず、彩ちゃんの浮気問題は解決・・・。嫌になっちゃうなあもう!!
明るい家族計画 (10)妊夫生活~妻の入院編 2
僕は綾乃が落ち着いたのを見計らって再び部屋に入って綾乃と会う。
「雅和さん・・・さっきはごめんなさい・・・。ひどいこと言っちゃった・・・。」
「ん?いいよ。綾乃は元気な赤ちゃんたちが生まれるようにゆっくりしてなよ。僕が出来るだけ側にいてあげるから・・・。」
「いつ家に帰れる?」
「生まれるまでこのままだって・・・。」
「そう・・・。寂しいな・・・。3ヶ月以上もこのままか・・・。」
「綾乃のおなかには赤ちゃんたちがいるじゃないか。ね、もうそろそろ僕も赤ちゃんを迎える準備をしておくからさ。名前もそろそろ決めよう。ね。」
「うん・・・。」
僕は面会時間ギリギリまで綾乃の側にいたんだ。綾乃は僕に何かいいたげな顔で、僕の顔を時折見つめてたけれど、溜め息をついて目を閉じる。
もう何日も仕事が終わるとすぐにこちらにやってきて一緒に過ごした。この日は見慣れない花が飾ってあった。
「あれ、誰か見舞いに来たの?」
「うん。田村さんが来たんだよ。秘書仲間なんでしょ。」
「田村さんが?」
田村さんといえば、30歳ハーフのイケメン公設秘書。綾乃によると、面会時間すぐに来て、30分くらい話をして帰って行ったらしい。そういえば田村さんは3時ごろ官邸を出て行った。
「田村さんってかっこいい人ね。ハーフなんだって?」
「え?かっこいい?」
何で綾乃は楽しそうに話すんだろ・・・。もしかして?
「でも、雅和さんのほうがかっこいいよ。」
綾乃は微笑んで顔を赤らめる。
次の日もまた次の日も田村さんはやってきて何か話して帰るらしい。 今日はなぜか時間が一緒になった。
「田村さん、毎日綾乃のお見舞いありがとうございます。」
「いや。別に構わないよ。」
僕は田村さんを談話室に連れ込んでコーヒーをご馳走する。何で関係ないのに毎日見舞いに来るんだろう・・・。それを問いただすためにこうして2人きりになる。
「田村さん、毎日来ていただくのはありがたいのですが、どうしてですか?身内でもないのに・・・。」
「別に・・・・俺の家は元麻布。ホントにすぐそこだから。」
「でもおかしいですよ。わざわざ昼間に官邸を抜け出して・・・。」
「まあ、暇つぶしだよ。未来のファーストレディーにご挨拶しておくのもいいだろう。」
暇つぶしに訪れるほどのことかな・・・。もしかして以前問題になった丹波みたいなこと考えていないだろうな・・・。考えすぎかもしれないけれど・・・。まあ僕は丁寧にお礼を言って綾乃の部屋に戻る。まあそれ以来田村さんは来なかったけれど・・・。
入院中何事もなく、春。僕は慶應まで綾乃の卒業証書を受け取りに行った。大学のみんなは綾乃のことをすごく心配してくれていて、みんなでお見舞いに来てくれたんだ。それも卒業式の格好のまんまで。綾乃もすごく喜んで、涙ぐんでいたよ。ゼミの教授も来てくれて、ホント和やかな時間を過ごせたんだ。教授は綾乃の子供の名前を考えてやるっていってくれてね、僕はお願いすることにした。結構この教授はそういう方面にも精通している教授。きっといい名前をつけてくれるんだろう。一応性別を伝えておいたけどね・・・。
本当に綾乃は時折僕の顔を見ると溜め息をつく。
「綾乃、最近変だよ。何かいいたいことあったらいってごらんよ。」
「ん?いい・・・。」
「ほら、いってごらんよ。言いたい事いわないと、体の良くないよ・・・。」
「ホントにいい?」
「うん・・・。いってごらん。」
「あのね・・・。事故に遭った年の秋、土御門さんと会っていたんでしょ・・・。それもほぼ毎日・・・。あたしが大学行っているときに、部屋に入れて・・・。」
「え?」
「そうなんでしょ。本人から直接聞いたんだから・・・。」
「ん?んん・・・ごめんな・・・今まで黙ってて・・・。」
「まああの時はあたしのこと忘れてたからいいんだけど。」
それ以上何も言わなかったんだけど、まだ何かありそうだ。
「まだあるんじゃないの?いってごらんよ・・・。」
「あのね・・・それでね・・・土御門さんは妊娠したって・・・。捨てられたっていうの・・・。それであたし・・・急におなかが痛くなって・・・。」
え!!!そんなこと知らない!
もしかしてそれが原因の心労で切迫早産になったのか?
僕は家に帰ると桜ちゃんの携帯に電話をかけてみる。良かった、携帯番号変わっていなかった!
「本当なのか!」
『何が?』
「綾乃に言ったんだろ!僕らの関係のこと!」
『言ったわよ!だから何?!』
「妊娠したって本当なのか?!」
『なにいってんのよ。するわけないじゃない。からかっただけよ。幸せそうな顔しているから!』
「いい加減にしろ!君のせいで綾乃は・・・綾乃は入院してるんだぞ!僕の子供、死にかけたんだぞ!もちろん綾乃だって!いい加減にしろ!もう君とは会わないし、街で会っても声をかけるな!いいか!」
やっぱりもう許せない!僕はもう土御門家と縁を切るんだ!
明るい家族計画 (10)妊夫日記~妻の入院編 1
昼食後の昼下がり、何で今年の国会は平穏なんだろう・・・。やはり自衛隊海外派遣がなくなったから?予算委員会類も平穏無事・・・。やはりうちの父さんのおかげかな・・・。今年の9月で任期切れっていうのが惜しいぐらいだよね・・・。
僕は官邸の官房長官執務室前のデスクに座って、のんびり国会が終了するのを待つのだろう・・・。ここ2、3日は急な国会への呼び出しはない・・・。ああ、綾乃の愛妻弁当をおなかいっぱい食べて眠くなっちゃったな・・・。ここにいるのは僕だけだからちょっと寝ちゃおっかな・・・。
なんてデスクマットにはさんでいる愛しいわが子たちの超音波写真を眺めながらウトウトする・・・。こんな平穏な日が毎日続けばいいな・・・。
昨日の検診では主治医が綾乃は順調って太鼓判を押してくれた。管理入院も当分なさそうだと・・・。2人とも逆子じゃないから、このままだったら僕はもちろん出産の立会いをするんだ。この前も両親学級も行ったし、立会い出産の講習会も予約済み・・・。僕のお子ちゃまたちも順調に同じように大きくなってきているしね・・・。
この前はこっそり主治医の先生を呼び止めて、性別を聞いたんだ。もちろん綾乃に内緒で。そしたら予想通りだったんだよね・・・。僕には一度に息子と娘が出来るんだ。もちろん父さんには報告済み・・・。
ホント今日のような小春日和は眠気を誘う・・・。
すると僕の眠気を飛ばすような携帯電話の呼び出し音。相手は綾乃の携帯。
「もしもし綾乃?」
でもかかってきたのは綾乃じゃなかった。
『大変でございます!雅和様!若奥様が急に!早く病院のほうにおいでくださいませ!』
光子さんからかかってきたんだ・・・。僕は驚いて、議員会館にいるほかの私設秘書と連絡を取り代わってもらって、病院に急いだ。 光子さんはロビーでおどおどしながら僕の到着を待っていた。僕は急いで来たからか、首に身分証明書をぶら下げたままで、カバンも持たずに病院に着いた。
「若奥様がいきなりおなかが痛いといわれてお倒れになられたのです。裏の公園にいたからよかったのですが・・・。」
「で、綾乃の具合は?」
「早産は免れたそうですが、このまま管理入院に入られて、当分の間絶対安静と・・・。」
「昨日あれほど順調といわれたのに?」
僕は綾乃が入院している病室に入ると、綾乃は点滴されて眠っている。主治医の先生も首をかしげているんだ。まあ多胎妊娠はいろいろリスクがあるから、急変する事があるっておっしゃってたけど。とりあえず今は点滴で陣痛を抑えているらしい。
「まだお子様たち23週。まだ1000gありませんので、危ないところでした。今のところ薬で安定していますが、薬を最大限に使っても陣痛がはじまる場合は、帝王切開にて出産を検討しないといけないかもしれません。その場合、大学病院のほうへ・・・。」
「はい・・・。わかりました。」
僕は綾乃が目覚めるまで手を握り締め、溜め息をつく。
僕の妹のように生まれてすぐに死んでしまったら・・・。僕は母さんが父さんの選挙運動中の心労で予定日よりも2ヶ月早く生まれてきた。僕の場合は2000g超えていたので助かったが、妹は1000gちょっとしかなく、当時の医学では助からなかったんだよね・・・。それも僕の場合は何も障害がなくすくすくと育ったこと自体奇跡だった。だから早産の危険性は良く知っている。特にまだ綾乃は早すぎる。
そして任期満了による総選挙がこの7月末に控えている。そろそろ僕は官房長官の公設秘書として選挙準備に当たらなければならない。毎日こうしている事が出来ないのは残念だ・・・。 綾乃は目覚めるなり、僕にこういった。
「雅和さんの嘘つき!大嫌い!ここから出て行って!」
え?なんで?多分切迫早産で気が立っているんだろうか・・・。しょうがなく綾乃のいうとおり部屋を出た。
「弐條!嫁さん大丈夫か?」
和気さんが僕のカバンを持って見舞いに来てくれた。
「和気さん・・・今のところ落ち着きましたが・・・。切迫早産で、薬で陣痛を抑えているらしいのです。最悪の場合・・・。」
「だからリスクが高いって・・・。ま、今の医学だったら1000なくても生きる確率あるし、今安定しているのなら大丈夫じゃないかな・・・。ま、わからない事があれば聞いてくれよ。少しくらいなら知識があるから・・・。弐條、カバン忘れてただろ。」
「あ、ありがとうございます。」
「いいよ、総理すごく心配していたよ。今度週末にでも見舞いに来るって・・・。」
「そう・・・すみませんでした・・・。」
「いいよ。彩子ちゃんも心配していたよ。」
「そう、彩ちゃんが・・・。」
「気を落とすなよ。お前がしっかりしないといけないんだよ。父親だろ。」
本当に和気さんはいつも親身になってくれて助かる。今まで綾乃のためにあれがいいこれがいいといって僕に渡してくれるんだもん・・・。ホントに僕が今しっかりしないとね・・・。
明るい家族計画 (9)妊婦生活~旦那様の過去編 2
本を読み始めて5分ぐらいしたころかな、急にマックスがうなりだして、吠えるの。こんなことって珍しい・・・。滅多に吠えないのに・・・。
「マックス、うるさいよ。どうしたの?赤ちゃん達がびっくりするよ・・・。」
マックスはいくらなだめても吠えるのをやめないから、マックスの視線の先をあたしは見つめた。するとそこには土御門桜!
「あら、まだその犬生きてたの?お久しぶりね、源さん、いえ、弐條さんね、もう・・・。」
「何か用?」
「最近あまり見かけないと思ったらこんなところでのんびり?幸せそうね。」
桜はあたしのお腹をみていやそうな顔をした。
「まあ、妊娠中?うらやましい、雅和さんの子供を妊娠できて、さぞかしお幸せでしょうね。」
「そうよ。この中には雅和さんの子供がいるの。だから何?」
マックスはさらに興奮して、桜をあたしに近づけないようにしているの。何かあるのかな・・・。
「あなたはいいわよね。雅和さんの子供を妊娠して産む事が出来て!私は雅和さんの子供を妊娠したのに捨てられたんだから!」
「え?どういうこと?」
あたしは何か聴き間違いだと思ったの・・・。そんなことってある?どうして雅和さんと桜が?雅和さんは桜を嫌っていたはずよ。
「あなたは知らないでしょうね。2年前の秋よ。雅和さんが事故に遭った年の秋。私と雅和さんはあなたが大学いっている間に会っていたのよ。もちろんあのマンションで。ひと月の短い間だったけど、私と雅和さんは寝室で愛し合った仲なんだから!それでいきなり別れを切り出されて、そのまま・・・気がついたら私は妊娠してたのよ。もちろん堕胎させてしまったけれど・・・。」
ということは何?雅和さんがあたしの記憶がないときに桜と付き合ってたってこと?いくら記憶がなかったといってもあたしという婚約者がいたのに・・・。桜も桜よ・・・。わかってて、雅和さんに近づいたんだわ・・・。
「絶対私はあなたのことを許さないから!どうしてあなただけ幸せな生活しているのよ!大好きな人の子供を妊娠して、難なく産ませてもらえるあなたを許さないんだから!」
そういうと桜は泣きながらあたしの前を去っていく。あたしは相当ショックを受けた。いつも愛し合っていた寝室で、雅和さんと桜が愛し合って、それも子供が出来ていたなんて・・・。
すると急におなかが痛くなって、それに気づいたマックスは光子さんを探しにいってくれた。光子さんはちょうど買い物を済ませたようで、マックスが走ってくることに気がつき驚いて、マックスがあたしにところに光子さんを連れてきてくれた。
「若奥様!どうかされたのですか?」
「急におなかが・・・。痛くなって・・・。」
あたしは痛さのあまり気を失って、倒れてしまったの。 光子さんはすぐに愛育病院に連絡して即入院。そして絶対安静になった。
気が付くと個室の病室・・・。側には雅和さんがあたしの手を握って目覚めるのを待っていてくれた。あたしは無意識に雅和さんの手を振りはなしたの。
「雅和さんの嘘つき!大嫌い!ここから出て行って!」
雅和さんは何がなんだかわからない様子でとりあえず部屋を出て行ったの。
何とか早産の危機は免れたんだけど、もう当分退院はなし。今度病院を出るときは赤ちゃんを産んでからということになったの。
毎日たくさんの早産防止の点滴をする入院生活が始まることになったの。
雅和さんは毎日仕事を早めに切り上げて、面会時間終了ギリギリまで付き添ってくれる。
「ホント、助かってよかったよ・・・。このままだったら綾乃も赤ちゃんたちも危険だったんだよ・・・。さあ、僕が側にいてあげるから、ゆっくりお休みよ。何があったか知らないけれど、僕は側にいる事が出来るギリギリまでいてあげるからね・・・・。」
そんな優しい言葉をかけないでよ・・・。
もちろん雅和さんの過去のことは許すつもりだけど・・・。
だってあたしだって一度だけ浮気したんだし・・・。
でもショックはショック・・・。
相手が桜っていうのが一番嫌なの。
多分雅和さんは桜の妊娠堕胎のことは知らないんだろうな・・・。
知らせたほうがいい?
知らせたら雅和さんは桜のことをどう思うのかな・・・。
やっぱり責任とって何か行動を起こすのかな・・・。
あたしはすごく心配だよ・・・。
あの桜だけは許さないんだから!!!