明るい家族計画 (12)妊婦日記~もうすぐ編 パパママ記念日 2 【シリーズ完結】
陣痛ってうつるのかな?美月さんは5月1日朝に無事可愛い女の子が生まれたのよ。3400gの大きいけど結構可愛い女の子らしい。
あたしのパパは初孫の誕生にすごく喜んじゃって、特に女の子でしょ。お兄ちゃんは前の日、陣痛が始まったって聞いて、夕方の飛行機で東京に来て、何とか立会い出産できたらしいのよね・・・。ホントお兄ちゃんは珍しく男泣きして、可愛い娘を抱いたって言うわ。もちろんその後あたしのお見舞いに来てくれて、励ましてくれたんだ。
あたしは美月さんが出産を終えて安心したのかな・・・。お昼あたりから、本陣痛が始まってしまって、何しても陣痛を抑える事が出来なくなってしまってね・・・。先生は官邸にいる雅和さんを呼んでくれたの。
「弐條さん、もう出産準備に入りますから、着替えてくださいね・・・。」
あたしは出産用の服に着替えて、雅和さんも白衣を着たの。先生と看護師さんは陣痛止めの点滴をはずしてブドウ糖液の入った点滴に変えたのね。するとやはり陣痛が急に進んじゃって、陣痛が始まって5時間で生まれたの。スピード出産。 生まれたのは2100gの女の子と、1950gの男の子。33週での出産でした。
やはり小さく生まれたからあたしが顔を少し見るとすぐにNICU(新生児集中治療室)に運ばれていってしまったの。まだ小さいから、呼吸とか弱くってどうなるかと思ったらしいんだけど、何とか元気に生きてる。無事に生まれて、雅和さんはすごく喜んでいた。パパったらすごく喜んじゃってね・・・。だってそうでしょ。1日に孫が三人も生まれたんだから・・・。雅和さんのお父さんも何とか間に合って、あたし達の可愛いベビーちゃんずに会えたのよ。ま、初孫だもんね・・・。それも雅和さんの後継者となるべき男の子が一人いたもんだから、ホントに喜んじゃって・・・。
どちらのベビーちゃんもすごく雅和さんに似ていて、かわいい顔してるのよね・・・。小さく生まれたのに全然サル顔してないの。ホントに親ばかかもしれないけれど・・・・。今までの入院生活の大変さ、出産の苦しみなんて一発で吹き飛んでしまったわ!
名前?もちろん決まったわ。大学の教授がつけてくれたの。長女は雅(みやび)。意味は奥床しく気品溢れるさま。淑やかに振る舞い、見目好いさま。久しく変わらないさま。平常心をよく保つさま。風流な心を持ち、大らかなさま。などの意味がある。まあ雅和さんの雅って訳だけど・・・。長男は彬(あきら)。意味は外見と内容が程よく調和したさま。外観と才能が釣り合いよく兼ね備わったさま。美しさが鮮やかに現れたさま。技能がよく具わったさま。などという意味・・・。ホントにいい名前だよね・・・。弐條雅と弐條彬。うんうん。可愛いかも・・・。でもなんで男の子と女の子って知っているわけ?
「綾乃、実はね。こっそり先生に教えてもらっていたんだよ。」
「なんだ・・・。知ってたのか・・・。」
「綾乃、本当にお疲れさん。これで好きなもの食べる事が出来るね。」
そういうと、雅和さんはあたしの好きなケーキを買ってきてくれたの。多分あたしが出産後疲れきって一時間ほど寝てたときにわざわざ買ってきてくれたんだと思う。
「5月1日。もうひとつ僕らの記念日が出来たね。雅と彬の誕生日であることは確かだけど、綾乃がママになった記念日だよ。さあこのケーキでお祝いしようよ。」
「うん!雅和さんも今日パパ記念日だね。もうパパなんだからしっかりしないとね。」
「そうだね。」
あたしと雅和さんはひとつのケーキにろうそくを1本立てて、二人で火を消した。そして仲良く食べて、パパママ記念日をお祝いしたの。
ああ今日からあたし達は親になったんだね・・・。
雅、彬。これからもパパとママをよろしくね。元気に大きく育ってね。
これはあなたたちのパパとママからの願いだよ。
早くおうちに帰れますように・・・。
(完)
【作者からの一言】
とりあえずこのシリーズは完結しました。
次は弐條雅和、和気泰明が中心の代議士編が始まります。これはいまだに完結していないので、長々だらだらだと思いますが、お付き合いください。