明るい家族計画 (9)妊婦生活~旦那様の過去編 2 | 超自己満足的自己表現

明るい家族計画 (9)妊婦生活~旦那様の過去編 2

 本を読み始めて5分ぐらいしたころかな、急にマックスがうなりだして、吠えるの。こんなことって珍しい・・・。滅多に吠えないのに・・・。

「マックス、うるさいよ。どうしたの?赤ちゃん達がびっくりするよ・・・。」

マックスはいくらなだめても吠えるのをやめないから、マックスの視線の先をあたしは見つめた。するとそこには土御門桜!

「あら、まだその犬生きてたの?お久しぶりね、源さん、いえ、弐條さんね、もう・・・。」

「何か用?」

「最近あまり見かけないと思ったらこんなところでのんびり?幸せそうね。」

桜はあたしのお腹をみていやそうな顔をした。

「まあ、妊娠中?うらやましい、雅和さんの子供を妊娠できて、さぞかしお幸せでしょうね。」

「そうよ。この中には雅和さんの子供がいるの。だから何?」

マックスはさらに興奮して、桜をあたしに近づけないようにしているの。何かあるのかな・・・。

「あなたはいいわよね。雅和さんの子供を妊娠して産む事が出来て!私は雅和さんの子供を妊娠したのに捨てられたんだから!」

「え?どういうこと?」

あたしは何か聴き間違いだと思ったの・・・。そんなことってある?どうして雅和さんと桜が?雅和さんは桜を嫌っていたはずよ。

「あなたは知らないでしょうね。2年前の秋よ。雅和さんが事故に遭った年の秋。私と雅和さんはあなたが大学いっている間に会っていたのよ。もちろんあのマンションで。ひと月の短い間だったけど、私と雅和さんは寝室で愛し合った仲なんだから!それでいきなり別れを切り出されて、そのまま・・・気がついたら私は妊娠してたのよ。もちろん堕胎させてしまったけれど・・・。」

ということは何?雅和さんがあたしの記憶がないときに桜と付き合ってたってこと?いくら記憶がなかったといってもあたしという婚約者がいたのに・・・。桜も桜よ・・・。わかってて、雅和さんに近づいたんだわ・・・。

「絶対私はあなたのことを許さないから!どうしてあなただけ幸せな生活しているのよ!大好きな人の子供を妊娠して、難なく産ませてもらえるあなたを許さないんだから!」

そういうと桜は泣きながらあたしの前を去っていく。あたしは相当ショックを受けた。いつも愛し合っていた寝室で、雅和さんと桜が愛し合って、それも子供が出来ていたなんて・・・。

 すると急におなかが痛くなって、それに気づいたマックスは光子さんを探しにいってくれた。光子さんはちょうど買い物を済ませたようで、マックスが走ってくることに気がつき驚いて、マックスがあたしにところに光子さんを連れてきてくれた。

「若奥様!どうかされたのですか?」

「急におなかが・・・。痛くなって・・・。」

あたしは痛さのあまり気を失って、倒れてしまったの。 光子さんはすぐに愛育病院に連絡して即入院。そして絶対安静になった。


明るい 雅和泣く  気が付くと個室の病室・・・。側には雅和さんがあたしの手を握って目覚めるのを待っていてくれた。あたしは無意識に雅和さんの手を振りはなしたの。

「雅和さんの嘘つき!大嫌い!ここから出て行って!」

雅和さんは何がなんだかわからない様子でとりあえず部屋を出て行ったの。

何とか早産の危機は免れたんだけど、もう当分退院はなし。今度病院を出るときは赤ちゃんを産んでからということになったの。

毎日たくさんの早産防止の点滴をする入院生活が始まることになったの。

 雅和さんは毎日仕事を早めに切り上げて、面会時間終了ギリギリまで付き添ってくれる。

「ホント、助かってよかったよ・・・。このままだったら綾乃も赤ちゃんたちも危険だったんだよ・・・。さあ、僕が側にいてあげるから、ゆっくりお休みよ。何があったか知らないけれど、僕は側にいる事が出来るギリギリまでいてあげるからね・・・・。」

そんな優しい言葉をかけないでよ・・・。

もちろん雅和さんの過去のことは許すつもりだけど・・・。

だってあたしだって一度だけ浮気したんだし・・・。

でもショックはショック・・・。

相手が桜っていうのが一番嫌なの。

多分雅和さんは桜の妊娠堕胎のことは知らないんだろうな・・・。

知らせたほうがいい?

知らせたら雅和さんは桜のことをどう思うのかな・・・。

やっぱり責任とって何か行動を起こすのかな・・・。

あたしはすごく心配だよ・・・。

あの桜だけは許さないんだから!!!