超自己満足的自己表現 -453ページ目

うまのきもち~ある競走馬物語 (1)偉大な父を持つ僕の誕生

(1) 偉大な父を持つ僕の誕生

ワキノカミカゼ
 ある春の日差しが感じられる3月末。北海道はまだまだ寒いんだけど、僕は偉大な父さんの初仔、それも一番最初に生まれた。


 父さんは3冠馬、そしてラストラン有馬記念を7冠馬として有終の美を飾った最強馬。母さんは未勝利馬なんだけど、芦毛の美しい外国産馬のお嬢様。もちろん母さんの父は外国でも有名な種牡馬なのだ。


 生まれる前からいい血統なのか超期待された僕。年が明けてからまだ生まれてもいないのに、何人もの購入希望者がわんさか母さんの様子を伺いにきたと聞いた。


 母さんは難産だった。初めての出産だったし、僕はちょっと弱かったかもしれないから?やっと生まれても僕は動きもせず、牧場のおっちゃんが何度もさすって僕を目覚めさせてくれた。母さんもぐったりしながらも僕をなめて早く立ちなさいとせかす。僕は母さんにぶつぶつ言いながら何とか立ち、母さんにおっぱいをせがんだ。なんとおいしいこと・・・。しっかり立ち母さんのおっぱいを飲む僕を見て、期待を一杯に受け生まれた男馬なのか、牧場のおっちゃんは泣いて喜んだとも・・・。


「ああこれで牧場の借金が返せる!」


なんだと?僕はおっちゃんの生活の糧かい・・・。まあそれがこういう世界・・・。


おっちゃんは母さんを買うためにだいぶん無理した上に、父さんとの種付けにだいぶん無理をしたと聞いた。まあその権利を買うためにある人物に頼んだって聞いたよな・・・。


その人物・・・。まああとで出てくるけどね・・・。


何とかおっちゃんの期待通りに生まれた僕。ちょっと弱いって言うのが難点なんだけど・・・。今は優しい母さんに守られながら日々を生きているんだよね・・・。



(作者からの一言)

なんとなく浮かんだもので、不定期更新となります。

もちろんフィクションです。

いろいろ突っ込まれそうですが、私の妄想ですのですみません^^;

物語の最後はわかっているんですが、間がないんです・・・。

ですから不定期・・・。

ドリーム・クエスト (7) 同伴忘年会?

 12月末、仕事納めの日がきたんや。去年は官邸秘書仲間「永田町同盟」の忘年会やってけど、今年は若手代議士連中が集まって忘年会なんや。この日は与党も野党も関係あらへん。羽目をはずさん程度にドンチャン騒ぎするんや。下は弐條の25歳、上は無所属の伊藤さんの35歳。総勢10人。皆1年生代議士連中。そこは参議院の若手議員三人も加わって総勢13人となったんやけど、先日、幹事の民主党の伊達さんがえらい提案をしよった。


「まあまあ皆さん。忘年会は同伴忘年会にしましょう!」

「え?同伴忘年会?なんやそれ、伊達さん。」

「男ばっかりじゃ面白くないからさ、彼女や奥さん同伴はどうかと思ってね。女がいないやつはいないか?」


皆誰となし、彼女や奥さんはいるようや。伊達さんはこんなこともいいよる。


「何で同伴やねんて・・・。宴会に女連れてくるってどうやねん。」

「聞いたよ、和気君。和気君の彼女はすごく綺麗だそうじゃないか?弐條君の奥さんも綺麗らしいし、みんな見たいと思わないか?」

「そうだそうだ。たまには妻をこういうところに呼ぶのもいいかもしれませんよね。」

「ちょっと待ってや!弐條はどない思うねん?」

「ん?面白そうだね。たまにはこういうのもいいんじゃないかな。うちの奥さんもたまには息抜きさせてやりたいし・・・。」


俺は弐條を引っ張って耳元で話んや。


「あのなあ弐條。俺の彼女は超有名タレントなんやで。ばれたらどうすんねん。」

「あ、そうだね・・・。でも伊達さんの彼女は女優さんだよ。伊藤さんの奥さんはアナウンサーだしね・・・。結構有名人ばかりだよ。あとモデルとか、グラビアアイドルとか・・・。結構代議士の娘さんと結婚している人も多いしね。うちの奥さんみたいに特別国家公務員のお嬢さんとか。」


そうだよな・・・。なんだかんだ言って、彩子も弐條の奥さんの妹だから・・・。お父さんは陸上自衛隊のナンバー1だし・・・。でも彩子はタレントだぞ!ほんまなんか合コンのようやわ・・・。


「伊達さん。きちんとした店なんでしょうね?」

「和気君。ちゃんとプライバシーの守れる個室のあるそして裏口のある赤坂のお店を予約したから、安心したらいい。」


そんなこんなで、赤坂の某お店での同伴忘年会。いるわいるわ。みたことのある女ばっかりや。伊達さんの彼女って今一番売れている女優、若宮綾やんか。あのグラビアアイドルも・・・。伊藤さんの奥さんはTBSの中堅女子アナやし。彩子は遅い・・・。そういえば仕事っていってたもんな・・・。ああ携帯や・・・。


『和気さん、今ね紀尾井町の赤プリ前なの。どの店かな?』

「今迎えに行ったるわ。赤プリ近くの橋の上で待っとき。今行ったるから。」


俺は走って5分のところにある紀尾井町の橋に向かう。あ!何や仕事のままで来たんかいな・・・。


「ごめん和気さん。着替える暇なかったの・・・。このままでいいかな・・・。」

「ん?んん・・・。結構知ってる顔ぶれだから・・・。」

「え?」

「女優とかモデルとか女子アナとがいっぱいやで。はよいこ。」


俺は彩子の手を引いて、店に向かう。


「すんません。遅れて・・・さ、はじめましょか?」


俺は彩子と共に中に入る。


「あ!彩夏!」

「美咲ちゃん、凛ちゃん、優華ちゃん!久しぶり!」


この三人はモデル仲間らしい。


「え~!彩夏ちゃんの彼氏ってこの人だったの?期待しすぎたわよ。」

「もう、凛ちゃん。すごくいい人なんだから。」


なんだかモデル組四人で盛り上がっている。ホント華やかな団体様やな。カリスマモデルばっかり4人も揃って。その上にこれまたグラビアアイドルも加わるんや。


「あ、綾香ちゃん、久しぶり!」

「北野さん、ホントね。」


みんな20歳の子達やから、すごくそこだけで盛り上がっている。


「和気君、やるな!あの北野彩夏が彼女なんてな!驚いたよ。確かに綺麗な彼女だ。いつから付き合っているんだ?」

「もうすぐで1年かな・・・。あの子が売れる前から付き合っています・・・。」


モデル4人に、グラビアアイドル、女子アナ、女優。来ている女の子の半分は有名人やんか・・・。なんて華やかな忘年会何やろな・・・。弐條の奥さんは政治家のお嬢妻連中と話しているし・・・。ひとり女優の若宮綾は機嫌悪そうに伊達さんと話している。そしてついには怒って帰っていったんだよ。伊藤さんの奥さんも局でまだ仕事があるからと早々退席。


「伊達さんの彼女どうしたんですか?」

「ああ、ちょっと北野彩夏が可愛いといったら怒ってしまったんだよ。もともと綾は北野彩夏が嫌いらしい。この前のドラマも北野彩夏に主役格を盗られたって怒ってたしね・・・。」


ああそういうことね・・・・。まあこの女が、北野彩夏がこの俺と付き合っているということをばらす張本人になるわけやけど・・・。ホンマ芸能界って所は怖いもんやな・・・。  


最近俺の周りは騒がしいんや。何や・・・。俺の後ろをちょろちょろしとる。俺は彩子のマンションに行こうと思ったんやけど、広尾駅を降りて、麻布に向かわず、広尾のほうへ向かう。行き先はもちろん弐條の家や。突然の俺の訪問に弐條は驚いていたんやけど、俺の顔を見て何も言わずに入れてくれたんや。


「弐條、俺の周りに誰かついとる。彩子は何もいってなかったか?」

「ああ・・・彩ちゃんも同じことを言っていたよ。」

「そうやろ・・・ばれたかな・・・。」

「ああ、どうする?」

「言ったほうが楽かな・・・。彩子は反対されるようなら引退するとまでいっていたんや。でも楽しそうに仕事している彩子を見たら、やめろとは言えんやろ・・・。」

「とりあえず、会わないほうがいいかもしれないな・・・。僕からも彩ちゃんに言っておくよ。」


とりあえず、彩子と俺は会わんことにしたんや。


案の定このことは伯父である平官房長官の耳に入ってきたんや。もちろん正月早々から呼び出しなんや。


「泰明、お前に婚約者がいることは聞いたいたが、その婚約者が、あの北野彩夏というじゃないか・・・。国会議員たるもの、ちゃらちゃらしたタレントと付き合うとは・・・。」

「しかし伯父さん!ホントはあんな子じゃないんです。あれは事務所が決めた芸風なんです。伯父さん、一度会ってみて下さい。きっと気に入ってくれます。彩子はちゃんと東大に通って単位もきちんととっていますし。」


伯父さんは俺の話など聞いてはくれんかった。それどころか、どこからか縁談を持ち込んできたんや。もちろん相手はこの国で一番の企業の令嬢やった。この勢いやったらきっといやいや結婚させられるやろう。俺は意を決して彩子と弐條の家で会うことにしたんや。


俺は彩子の前に座って土下座をする。


「彩子!お願いや!芸能界やめてくれんか?やめんいうんやったら別れなあかんのや。」


彩子はちゃんとわきまえているんや。


「和気さん、わかったよ。彩子もうやめる。彩子は和気さんといたいもん。和気さんがやめろって言うんならやめるってこの前言ったよね・・・。彩子はもう芸能界に未練はないよ・・・。」


彩子は泣いていたんやけど、俺の気持ちをきちんとわかってくれている。


「じゃ、彩子今から事務所行って話してくるね・・・。」

「じゃ、おれは伯父さんからの縁談を断ってくる・・・。」

「え?和気さん?縁談?」

「うん、伯父さんが彩子との結婚に反対してね・・・。縁談を持ってきたんだ・・・。きちんと断ってくるから・・・。」


そして俺は彩子に渡していなかった婚約指輪を渡したんや・・・。


「そんないいもんやないけど、代議士になって初めての給料で買ったんや。あと・・・いきなりでなんやけど・・・。」


俺は胸のポケットから紙切れを取り出したんや。


「今すぐ結婚しよう・・・。な、いいやろ。入籍だけでええから・・・。もちろん大学行ってもええし、もちろん俺が学費だしたるから・・・。今すぐ一緒になろ。」


彩子は悩んだ末、婚姻届にサインしてくれたんや。もちろん俺らはすぐに港区役所に出しにいったんや。まあ、事後報告でみんなには悪かったと思ってるんやけど、きちんと伯父さんにも、彩子のお父さんにも僕らが入籍したことを伝えたんや。彩子のお父さんにえらい怒られて、殺されるかと思ったんやけど・・・。


条件として俺はマスオサン状態になることになったんや。俺は議員宿舎を出て、彩子の麻布の自宅に入るってことや。ま、彩子と一緒になれるんやからそれくらい我慢せんとあかんわな。彩子は今入っているスケジュールをこなしたあと、芸能界引退っていうことになったんや。一番の売れっ子が突然引退したことで、えらい騒ぎになったんやけど、「学業に専念する。」ってことで何とか収まったんや。ま、源彩子から和気彩子になったんやけどな・・・。もちろん俺が学費も生活費も負担してるんや。(家賃がかからんって言うのはいいけどな・・・。)


彩子の夢、アナウンサーになるって言うのはまだ諦めてないんや。というより、俺ら二人三脚で夢を叶える事にしたんやで。周りのみんなは俺らのこと美女と野獣やというけどな・・・。がんばるわな。

ドリーム・クエスト (6) 大学祭の爆弾発言

 俺は金曜日から実家に戻っているんや。なぜって?衆議院当選後、臨時国会も終わり、当選お礼を兼ねた後援会の親睦会が日曜日にあるんだよね・・・。


これが終わると、常任委員会が待っている。俺は弁護士の資格を持っているので、法務委員会に入れられてしまった。父さんには厚生労働委員会に入れといわれたんだけどな・・・。弐條は義理のお父さんが自衛隊だからか、なぜか安全保障委員会に入れられたらしい・・・。まあ最近防衛庁が防衛省になるかどうかでごたついているからなり手が少ない。こういうところは新人議員が穴埋めするんや。一番新人代議士仲間で仲のいい俺らやから、一緒の委員になりたかったんやけどな・・・。まあしょうがないわ・・・。


国会の席順も新人若手やから、与党の一番前。となりは弐條やったから救われたけどな・・・。一番前はいやや。先輩代議士からちゃちゃをいれられたり、怒鳴られたり気を使うんや。


そういえば弐條のやつ、史上最年少当選や。25歳の誕生日に当選やからな・・・。それも当時総理大臣やった弐條常康氏の次男やから超話題になりよった。ま、将来義理の兄弟になるわけやし、仲良くしとこ。


まあこんなことはいいとして、代議士になって初の帰郷や。親戚一同みんなでえらい迎えてくれてな、こんな人おったっけ?という人まで出てくる。国会議員ってこんなもんかな・・・。あれほど俺のことを出来損ないの息子やってけなしてた親父が自慢の息子やと言いふらしているんやもんな・・・・。和気家から国会議員が出よったってな。まあうちは代々古くは平安時代以前から医師をしている名家や。それも直系やからな・・・親父の医師のプライドは超高いんや。あの東京で有名な医師一家丹波家とうちは代々ライバルらしいわ。西の和気家、東の丹波家ってね・・・。うちはずっと京都の御所一本でお仕えしてたしな、あっちは武家、それも江戸幕府。そういうところがいがみ合う原因かもしれん。ま、俺は和気家らしくない政治家肌やから、関係ないわあ。


「彩子さんは親睦会に来ないのかしら?!」


とうちの母さんがいいよる。ま、婚約者として来るのが当然やていうのが母さんの言いたいことかも知れへんが、母さんはまだ俺と彩子のことを認めたがってないからな、何かにつけて文句いうんや。俺は腹たって、言ってやったんや。


「わかったよ!呼んでやるよ!ええんやなほんまに。母さん、連れてきたら許してくれるんやな!」


そうや、彩子は大阪にいるって言うても、仕事できてるんやったわ・・・。夜宝塚ホテルまで来れるんやろか・・・。着るもんあるやろか・・・。俺は早速彩子に電話をするんや。


『え?行かないとだめなの?まあなんとかするね・・・。月曜日は授業が休講でよかったけど・・・。何着ようかな・・・。』

「ドレス系とかないのん?お姉さんに借りたら?だいたい体形一緒ちゃうん?」

『うん、だいたいね・・・。まあお姉ちゃんに相談してみる。あとマネージャーに言わないと・・・。学祭のあと帰る予定だったから・・・。』

「そうだよ、お姉さんは政治関係のパーティーの先輩だからいろいろ聞いたらいいよ。」

『うん、そうだね・・・。もちろん彩子の格好でいいんだよね・・・。』

「そうや・・・。まだうちの家族にいっとらんし・・・。」


ああほんまに有名タレントをこっそり彼女にしているってのも辛いもんあるわあ・・・。それも弟の敏明は北野彩夏の大ファンやし・・・。すごい日曜日を楽しみにしてるんや。


「泰明にいも行くやろ!彩夏ちゃん来るんやで!トークショーは朝11時から講堂やで。」

「ああ、行くつもりにはしているよ。入れるかな・・・。」

「さあな・・・。みんな楽しみにしてるんや。彩夏ちゃんを生で見られるんやもんな・・・。」


ホンマたのしそうやわ・・・。どんなトークショーになるやら・・・。彩子はほんとの彩子を知ってもらうんだって言ってたんやけどなあ・・・。


当日親睦会の会場は僕の公設秘書2名(恥ずかしながら、公費で雇っているんだ)に頼んで、朝9時に会場へ向かう。さすがに開場前からすごい人!まあチケットは彩子からもらっていたからいいんやけど・・・。ま、たくさんもらったから、敏明にもやってけどな・・・。敏明のやつ「何でこんなに持ってんねん」って驚いたんやけど、俺にはコネがあるって言ってやったさ。さすが国会議員って珍しく尊敬の目で見てくれたんや。


ま、開場後、俺は恥ずかしいから、中段の端っこに座ってチラシとかを見てたんや。やはり人気タレントのトークショーや。すぐに満員になった。司会者が出てきて、流行の服とヘアメイクをした彩子(いや北野彩夏)が出てくるとみんな大騒ぎ。


「皆さんおはようで、いいのかな?北野彩夏です。今日はよろしくお願いします。」


彩子よりもトーンは高いな・・・。久しぶりだな・・・生「北野彩夏」。やっぱしスタイルいいよな・・・。椅子に座るのも綺麗な座り方ってのをマスターしているから、すごく綺麗なんやわ。もちろん姿勢もええし・・・。


司会者とともに質疑応答風にトークショーが始まる。やっぱり彩子は仕事の顔になっているよ。彩子と同一人物には思えへんな・・・。


1時間ほどのトークが終わると、待ちに待った、質問コーナーや。そりゃみんな聞きたいことばかりだ、大騒ぎや。彩子は深呼吸をして質問に答えていく。まあはじめは仕事の話から始まって、だんだんプライベートな話になっていく。


『そのプロポーションを保つ秘訣は?』

「やはり、女性は愛が必要だと思います。だから私もこうして保たれるのかな?」


(その愛は俺の愛や・・・。)


『出身地は?』

「実は関西なんですよ。中学まで、父の都合で海外にいましたが、中学から大学までずっと、神戸にいたんです。」

『学生なんですか?失礼ですがどこの?』

「え?言うんですか?赤い門で有名な大学の文Ⅰに在籍しています。」


会場はどの大学かわかるから、おお~~~~~~って反応するんや。


『好きな異性のタイプって?』

「そうですね・・・。誠実で、優しくて、教養のある人かな・・・。顔にはこだわりません。あと、がっしりタイプで、包容力のある人かな・・・。」
ドリーム 和気照れる 彩子は僕のほうを見つめていうんや。そして僕に向かって微笑む。俺に向かってだよな・・・。


『好きな人っているんですか?』


彩子が答えようとすると、マネージャーからのNG 指令・・・。でも彩子は無視して話し出す。


「いますよ。すごくいい恋愛をしています。公にできるものならしたいんだけど。彼に迷惑がかかるのでここで言うのはやめておこうかなって思います。ね!」


彩子よ!この俺に手を振るのはやめてくれ・・・。彼氏がここにいるのばればれやんか・・・。マネージャーは慌てて彩子を引っ張って会場を後にするんや。会場は北野彩夏の彼が誰かと騒ぎ出したんや。俺は恥ずかしくなって講堂をさっさと出た。彩子から電話がかかる。


『和気さん今どこ?彩子着替えたから今から会える?』

「ん?んん・・・。今駐車場におるよ。」

『え~~~もう帰っちゃうの?』


俺は駐車場で彩子を待った。彩子は大きなカバンを持ってニコニコしながらやってくる。もちろん今は彩夏じゃなく、彩子だ。


「和気さん、待った?」

「んん・・・ちょっとね・・・。」

「今からどこへ行くの?ねえ。」

「ま、彩子の宿泊先を押さえよう・・・。今夜遅くなるから・・・。着替えるところもいるやろ。俺も着替えなあかんしな・・・。」


俺はホテルで準備している秘書に頼んで部屋を取ってもらったんや。まあ何とかダブルルームが取れて、車に乗って親睦会の行われるホテルに向かう。吹田から車で30分かかるかかからへんか。ホテルに着くと、車を預けてロビーへ。ロビーでは俺の秘書がルームキーを持って待ち構えているんや。俺は彩子の手を引いてルームキーを受け取る。


「時間が来たら呼びにきて。それ以外は取次ぎしないでくれないかな・・・。」

「はい、かしこまりました。」


俺は部屋に入ると彩子を抱きしめる。彩子はキスを求めてくるので、キスをする。


「和気さんごめんね・・・。あんなこと言って・・・。マネージャーさんに怒られちゃった・・・。」

「いいよ、ほんまのこといっただけやろ。でもあそこで手を振らんでも・・・。」

「だって和気さんが見えたからついね・・・。」


親睦会開始まであと3時間・・・。彩子は今日着る服を取り出して、クローゼットにかけるんや。


「どんな髪形がいいかな・・・。メイクもきちんとしないとね・・・。和気さんきちんとスーツ持ってきたの?」

「んん・・・。」

「めがねは?議員バッチは?」

「ちゃんと持ってきているよ。それよりも・・・。」


俺は彩子をベッドに座らせ、ゆっくり話す。


「和気さんは、彩子がいいの?それとも北野彩夏がいい?」

「ん?どっちも好きだよ。どちらも彩子なんだから。」

「もう彩子は芸能界に未練はないよ。今日のことで、和気さんが迷惑かかるのなら今のお仕事やめるし、この前もね、事務所にグラビアのお仕事やめるっていってきたから。もう前みたいな撮影はしないよ。だから和気さんは彩子のことだけ見ていてね。」

「ああ、わかってる。」

「じゃ、今日の親睦会で彩子が彩夏だってバレるかも知れないよ。いいかな・・・。」

「んん・・・いずれわかることだし・・・。まあ、弟の敏明は驚くやろうけど・・・。」


親睦会が始まる2時間前、彩子は準備を始める。お姉さんに借りてきたと思われる清楚なドレスというかワンピースというかそんなんを着て、ヘアメイクも自分でする。カバンからいろいろな道具を出して、なれた様子。さすがモデル。あっという間にできあがりって感じ。出来上がった感じは彩子と彩夏の中間ぐらい・・・。俺はさすがに見惚れてしまったんやな・・・。ホンマ綺麗やもん・・・。


「和気さん、おかしくないかな・・・。」


おかしいどころか完璧やん。俺は慌てて自分の身支度をするんや。最近買ったスーツにネクタイをする。すると彩子が議員バッチをつけてくれた。そして俺はトレードマークのめがねをかける。グッドタイミングで、秘書が迎えに来る。


「さあ、行こう・・・。ほんまにばれるかもしれないけどいいんやな?」

「んん・・・。いいよ。彩子は彩子だから。」


俺たちは宴会場に向かう。宴会場前には開始30分前にも関わらず、続々と後援会の人達が集まっている。そういえば今日弐條も呼んだんやった・・・。大親友やしな。ほんまは弐條のお父さんを呼びたかったんやけど、お忙しい人やから、代理人としてきてもらうことに。もちろん奥さん同伴。やっぱ奥さん半年前に双子を出産したなんて信じられんスタイルの良さやな・・・。弐條も相変わらずカッコええし。ほんま周りから見たら理想的な夫婦像やて・・・。あ、ぼおっとしてる場合やない。俺が主役なんや。挨拶回りにいかなあかんて・・・。


「彩子、お姉さんと一緒におればいいわあ。」

「うん。」


俺は出席者一人一人に挨拶している。彩子は楽しそうに弐條夫婦と話しているんや。立食形式の親睦会。もちろん会費制。司会者によって親睦会は進められる。俺も弐條も挨拶を済まし、親睦会開始や。すると母さんが俺の前にやってくるんや。


「彩子さんは来てないの?」

「おるよ。弐條君のとこや。待っててやつれてくるから。」


俺は弐條のとこ行ってな、彩子を引っ張ってくる。


「ほら母さん、彩子や。」

「お久しぶりです。お母様。」


母さんはなんともいえない顔で離れていくんや。親父は綺麗なカッコの彩子を見て、喜ぶんや。


「さすが未来の代議士夫人。泰明とお似合いやわ。早く一緒になって、父さんを安心させてくれ。早く孫も見たいしな・・・。」

「父さん!まだ俺たちは結婚できんわ。」

「学生結婚でもいいやろ。なあ彩子さん。」


彩子は真っ赤な顔をして、下を向いてたんや。少しすると、学祭の片づけの後遅れてやってきた弟の敏明が入ってきて叫ぶ。


「あ~!何でこんなとこに北野彩夏がいるんや!」


みんな注目の的や。なんやなんやって人が集まってくるんや。ああ・・・ばれてまうやんか・・・。


「何でにいの側に彩夏ちゃんが・・・・。」

「ちょっとこい!」


俺は敏明を引っ張って、会場から出る。


「うるさい!静かにしろ!」

「何で彩夏ちゃんがにいの横におるんや。」

「あの子は俺の婚約者の彩子や。」

「あれはまさしく彩夏ちゃんや!」


しょうがない・・・こいつにだけはばらすか・・・。


「そうや。北野彩夏や。彩子の芸名は北野彩夏や。彩子が売れる前から付きあっとるんや。いいか内緒や。特に母さんにはな!」

「嘘や!何でさえない泰明にいの彼女が彩夏ちゃんなんや・・・。嘘やって言ってくれ・・・。」

「嘘やない。後で彩子に聞いたらええ。ええか、他人の空似や。そう思っとけ。」


敏明は相当ショックやったんやろな。あれから口も聞いてくれへん。まあその場は何とか他人の空似ってことで収まったけど・・・。弐條のやつ、むっちゃ笑いをこらえとった・・・。


まあ北野彩夏の学祭での爆弾発言は次の日えらい騒ぎになって、北野彩夏の恋人探しが始まったのは言うまでもない。世間では北野彩子の彼氏=イケメンと勘違いしてくれているおかげで、俺は論外扱いになっとる。ま、早瀬裕也ちゃうかって噂も流れたけどな・・・。


弟といえば、いまだ信じられんとか、にいとは絶交やとかわけのわからんこと言ってるけどな、ほっといたらええし・・・。


まあ、源彩子も、北野彩夏も俺のもんって言うことで・・・。


めでたしめでたし(?)

おめでとう!ディープ!!!

おおお!!!ディープインパクト!!!感動した!!!!

おめでとう!ディープインパクト!

すばらしい有終の美を飾ることが出来ましたね・・・・。


あなたの姿は本当に私に勇気を与えてくれました!(ありきたりな感想ですみません^^;)

現実にあのようなお馬さんがいるなんて・・・。

馬ゲー・ダービースタリオンシリーズでは結構いますが、現実に後ろの方からダ~~~~~~~~~~って走る姿・・・かっこよかったです・・・。


あなたのおかげで、読みきり予定の馬さんの小説が思い浮かんだよ・・・。

また今書いている小説の番外編になりそうですが・・・。

ディープさんの息子さん設定でいきますか・・・。もちろん栄光の父とは違ってちょっとお間抜けな・・・。もちろん母馬も良血のお嬢様ってことで・・・。私の小説で出てきます。お馬さんが・・・。母父のお馬さんは何がいいんだろう・・・。どういう組み合わせがベストですか?ダンジグ?ラムタラ?ストームキャット?サドラーズウェルズ?もちろん外国産のお嬢馬にしよう・・・。父父のサンデーサイレンスと組み合わせのいい母父は?あ、そういえば設定のお馬さんは芦毛だった・・・。ということは母馬が芦毛かあ・・・。真っ白芦毛のママもいいじゃない?


だれか!!!血統何がいいか教えて~~~~もちろん純国産でもOK!

題名は「馬の気持ち」


竹下悠&ワキノカミカゼ
またこういう絵も書き直しをしないと・・・。

お馬さん単体ならいいんだけど・・・。


結末は決まっているんです^^;おかしい話・・・。



はい、執筆予告でした・・・・。


このお馬さんが出てくる自作小説はこちら

これはお馬さんの観点から書いたんじゃないので、面白くないですが・・・。

今度は誕生から引退までを書きます。もちろんお馬さんの気持ちで・・・。

読みきりは無理か・・・。


ではでは・・・。

ドリーム・クエスト (5) 北野彩夏の決意

 私は北野彩夏。今をときめくカリスマモデルといわれてるんだけど、これは本当の自分じゃない。事務所が決めたイメージってこと。私の本名は源彩子。お姉ちゃんは弐條雅和っていう新人代議士の奥さんをしている。パパは陸上自衛隊勤務で、この夏また昇進しちゃって、幕僚監部幕僚長という陸上自衛隊のトップになっちゃいました。これは陸上自衛隊のナンバー1(防衛庁長官は除く、いわゆる制服族ね)。最近孫が一気に三人も出来ちゃって、以前の厳格なパパじゃなくなったのよね・・・。だから彩子は芸能界にいられるってわけ。


 彩子にはちゃんとした恋人がいるの。お姉ちゃんの旦那様の同僚代議士、和気泰明さん。彩子よりも6歳年上だけど、真面目で、彩子のことだけ愛してくれるごく普通の人。この前の8月末に、彩子は仕事上のストレスで、和気さんを困らせてしまったんだけど、和気さんは反対に彩子を励ましてくれて、こうして9月以降も仕事をしているの。これからは少しずつでも北野彩夏を源彩子に変えていくつもり。そうじゃないと、体がもたないの。今は女優もしながら毎日を楽しく過ごしているところ。学業は優先にしないとパパに怒られちゃうから大学にもきちんと通っているよ。もちろん源彩子としてね。


 彩子と和気さんはいつも彩子の自宅で会うの。和気さんの家は赤坂の議員宿舎だから彩子から遊びに行けるわけないでしょ。だからパパのいない時を狙って会っていたりなんかしてる。まあパパに公認の仲だからこそこそする必要はないんだけど、やっぱり面と向かっていちゃいちゃはできないでしょ。だからパパがいない時。平日は今臨時国会中で和気さんはお仕事だから、会うのはもっぱら週末。でも彩子の仕事も入ったりするから会えない日が多いのも確かだけど。事務所の人は彩子と和気さんが付き合っていることは知っているけれど、仕事柄内緒。早く公にしたいんだけどな・・・。


「彩子、今度いつ会えるんかな・・・。」

「来週は撮影が入っているの・・・。だからごめんね・・。」

「ええよ、こうやって会えただけでも嬉しいんや。」
ドリーム 和気&彩子2
休みの日、彩子は和気さんに抱かれながら、ゆっくりしている事が多いかな・・・。和気さんも公の人になっちゃったからね・・・。デートって無理。2人で一日中いちゃいちゃしている事が一番の彩子のストレス発散。一番彩子に戻れる時なんだ。


「じゃ、彩子帰るよ。明日は早いんやった・・・。」


そういって和気さんは彩子にキスして身なりを整えると赤坂の議員宿舎に戻っていくの。決しておねえちゃんの旦那様のようにかっこいいことはいえないけど、包容力があって、すっごく優しいから大好き。


彩子は最近モデルからタレントに転向したの。最近グラビアも撮ることになって、彩子の載る雑誌を見て和気さんはやきもち焼くんだよ。そういうところがとても和気さんの可愛いところ。和気さんがとても彩子のこと愛してくれるから、彩子は綺麗なままでいられるんだと思う。彩子が和気さんとお付き合いしてからだもん。こうして注目されだしたのは。愛が女を綺麗にするってホントだね。今までいろんな男の子と付き合ったことあるけど、こんなに幸せな気分になった事がなかったのよね。うふふ・・・。


 みんな彩子のプライベートは知らないの。ただ発表してないんだもん。北野彩夏は今時の女の子のイメージで服装やヘアメイクをしているんだけど、本当の彩子は正反対なの。普段はホントに最低限のメイクしかしないし、服はオーソドックスなお嬢様スタイル。大学に行っても、だれも彩子が北野彩夏ということなんて知らない。知っているのは彩子のすごい親友の一部だけ。和気さんの家族もそう。彩子がタレントやっているなんて知らないよ。もし知ったら破談になっちゃうのかな・・・。お堅い家みたいだから・・・。


 もうそろそろ学園祭の季節。今年は初めて学祭めぐりをするの。トークショーがメインなんだけど、ファッション系の学校では彩子がモデルとして出演したりするよ。ああまた和気さんと会えない日が続くんだよね・・・。大学もあまりいけないしね・・・。


 さあ来週末阪大医学部の学祭「中之島祭」・・・。和気さんの弟さんが通っている阪大医学部。前日には前入りするから、大変よ・・・。打ち合わせもあるし・・・。一応和気さんには彩子のスケジュール渡してあるんだ・・・。いけたら来てねって・・・。


「え、来週大阪なん?奇遇やな。俺も来週金曜から月曜まで地元に帰るんや。後援会の親睦会があってな。阪大吹田キャンパスやろ、行ったるわあ。」

「ホント?」

「おう!俺も一応北野彩夏のファンやしな。もちろん一番彩子が好きやで。」

「もう!和気さんたら・・・。」


 やったあ、和気さんに会えるんだ・・・。事務所にはプライベートのことを話すなって言われているけど、彩子はうそが嫌いなの。彩子はきちんとみんなに本当の彩子を知ってもらいたいの。


「和気さんは彩子のこと好きなんでしょ。もし和気さんと彩子が付き合っている事が公になっても構わない?和気さんと北野彩夏が付き合っているって知られても大丈夫?」

「なにいってるん?俺は彩子が彩子らしくすることには反対はしないやん。別に不倫とかじゃないんやから、構わんよ。公になったも構わん。もし公になって、彩子が困ることになるんやったら、芸能界をさっぱりやめて、俺のとこに来たらええやん。がんばってアナウンサーになるんやろ。夢をおわなあかんで、な、彩子。」


 こういうところが和気さんのいいところ。いつも彩子のことを考えて、意見を言ってくれるの。はじめは勘違いして優柔不断だってけんかしたことあったんだけど、彩子の意見を一番に聞いてくれるその優しさが大好きなんだ。彩子は本当の彩子をみんなに見てもらいたいの。もしそれがだめなら芸能界なんて引退よ。未練はないんだから・・・。


「ところでこの写真はなんや?こういうポーズは俺の前だけにしてくれへん?」


ああ、男性雑誌の袋とじね・・・。あれは彩子も恥ずかしかった。際どい水着で・・・。いかにも挑発してるってやつ?やきもち焼いてる?


「彩子は和気さんだけのものだよ。」


和気さんは真っ赤な顔をして彩子を抱いてくれたの。


「そうやな。こうして彩子の体全部見る事が出来るのは俺だけや。」


そうよ。彩子の生まれたままの姿を見せるのは今は和気さんだけだよ。ああ恥ずかしい・・・。

ドリーム・クエスト  (4) 和気候補の選挙と恋愛と・・・

 ああ!俺はどうして承諾してしまったんやろか・・・。出馬するつもりはなかったんや!俺はやはり頼まれると嫌といえない性格。


まあ両親は喜んでくれたし、後援会も早速作ってくれて、会員もすごい勢いで増えているんや。党の県本部も驚いている。


やはり親父の顔は広かった・・・。兵庫県の医師会もバックについてくれるんや。その代わり、医療改革をマニフェストに入れないといけない・・・。まあ一応マニフェストは医療改革、少子化対策、学校教育改革、そして年金改革を入れようと考えている。ありふれたといえばありふれた内容かもしれんが・・・。ま、党から派遣された担当者というか指導者に相談しながらこなしているんや。今まで3年間伯父さんについて学んできたことを発揮するようにがんばっているんやけど・・・。ホントにバックアップが増えてきた。まだ公示されていないのに当確予想が出ているのは言うまでもないんやけどな。


そういえば、秘書辞めてこっちに来る前、彩子ちゃんに会った。彩子ちゃんはすごく寂しそうにしていたんだよね・・・。でも当選したら東京の議員宿舎に移るから、それまでの我慢ということで・・・。落選した時は僕の持っている資格、弁護士として再出発するしかない。ま、一応弁護士会に登録のみはしてあるから、なろうと思えばなれる。どこかの弁護士事務所に入って修業しなおさなあかんやろけど・・・。彩子ちゃんは待っていてくれるって約束をしてくれた。


夏休みには会いに来てくれるとも・・・。その日が待ち遠しい。彩子ちゃんもそうやけど、選挙に出る以上は異性関係は白紙または極秘にして欲しいともいわれたんや。党としては独身でクリーンなイメージで売りたいみたいや。


弐條なんか比例代表の名簿順位を5位にされて困ってたんや。大体東京都の場合は平均7,8人が当選するからな・・・。もしかしたら今の最高の党支持率のせいで、10人全員当選ってこともあるかもしれん。俺の比例順位8番は微妙だね・・・。まあ結果がでんとわからんけどな。あとひと月と思うと、緊張するわあ・・・。


田村さんのとこは結構激戦区やから大変そうやわ。比例にもいれとらへんらしいし。俺はあの人好かんから、落ちてくれると嬉しいわあ・・・。(あかんあかん。こう言ったらあかんわ。) ま、前、俺の彩子ちゃんを短期間でも誘惑して盗ったわけやから一生許さん。


 そういう彩子ちゃんは夏休みに入って、カリスマモデル北野彩夏として活躍している。最近メディアにようさん出て、もうモデルというよりタレントさんやわ。写真集出すとか出さんとか噂されているんやけど、彩子ちゃんは嫌がってるんや。事務所としてはこれから先女優として売っていきたいらしいんやけど、彩子ちゃんはアナウンサーになるのが夢って聞いたからな。大学卒業を機に芸能界を引退して、どっかのテレビ局に就職したいんちゃう?まあ応援してやりたいとは思うんよ。でもそうなると結婚は遠のいていくわけやし・・・。まあ俺が30までに結婚できたらええかな・・・って言ってもあと4年やんか!


最近の俺の携帯の待ち受けは誰やと思う?北野彩夏や。それも俺だけの写真なんやで。待ち受けサイトでダウンロードしたんやなくって、こっちに来る前に一回だけ俺の前でなってもらったんを携帯のカメラで撮ったベスト写真。誰も持っていない俺だけの北野彩夏や。弟にこの前欲しいっていわれてもやらんかったわ。もちろんどっかのサイトで見つけてダウンロードしたってごまかしといたけどな。もちろん教えろってうるさかったけど・・・。


やっぱ俺の前の表情は週刊誌やらとはちがうんや。どの週刊誌やファッション誌の北野彩夏よりもだんぜん可愛いんやから。なんかあの時はコスプレしてるようで変な感じやったけど、燃えたのは確かや。北野彩夏は俺のもんやって感じで、源彩子と北野彩夏を独り占めしたって感じ。こんな贅沢なことはないな・・・。


まあ惚気話はこれくらいにしてな、これからは選挙に集中しないといけないのは確かや。弐條のように結果を待つだけってことはないしな。選挙区内を走り回らんと。若さをアピールするために自転車で走れと党本部に言われた時はさすがにわろたわ。まあがんばってみるわな。


彩子ちゃんは秋のドラマに向けて今撮影中って聞いたんや。フジテレビの月9。見ないといかんなあ・・・って言うよりそういうのって恋愛ものが多いやん。キスシーンとかもあるんかい?珍しく夜彩子ちゃんから電話がかかって来た。


『和気さん今大丈夫?』

「ん?ええけど?どうしたん?」

『あのね彩子、明日キスシーンが入っているの・・・。』

「ええ!!だれと?」

『知らないかな?今すごく売れている早瀬裕也って・・・。』


早瀬裕也といえば、今すごく売れているイケメン俳優。この早瀬が出るドラマの視聴率はすごいらしくって、彩子ちゃんがこのドラマに出るのも、この男のリクエストだったらしい・・・。腹立つわ!俺の彩子だぞ。


「近所なら今すぐ会いにいってやりたいけどな・・・ごめんな・・・。」

『ううん・・・いいの。和気さんと話ができてうれしかったな。選挙がんばってね・・・。』

「うん。がんばるよ。当選したらまた・・・。」

『また電話していいかな?』

「この時間帯ならいいよ。俺も彩子ちゃんの声が聞けて嬉しかったから・・・。彩子、愛してるよ・・・。」

『うん、彩子も和気さんのこと愛してるよ。おやすみなさい。』


そっかキスシーンか・・・ということはベッドシーンもあるんやろか・・・ちょっと嫉妬・・・。早瀬に彩子ちゃんを盗られんようにせなあかんなあ・・・。


 8月13日、選挙活動の開始や!まず選管に出馬届けを出して番号をもらう。やった!1番や!これで選挙ポスターは掲示板1のところに貼れるんや。先手必勝(?)スタッフで手分けして宝塚、川西、猪名川町といった選挙区をめぐって選挙ポスターを選挙掲示板に貼りまくった。選挙ポスターもいい写真を撮ってもらって、いい出来だ。この俺がかっこよく見えるのはなぜだろうか?俺のトレードマークのめがねがいいなあ・・・。ま、めがねかけるんは仕事中だけやけど・・・。普段はあまりかけないというかコンタクトなんやって・・・。この際コンタクトにしよっかなって選対の人に相談したら、やはりめがねかけんと俺の顔に特徴がないいうて、却下されたんや。ほんまにごく普通のそこら中に溢れているような顔やからなあ・・・。


彩子ちゃんはこんな俺のどこに惚れたんやろか・・・。ほんま弐條のような顔に生まれたかったわあ・・・。身長も175ぐらいやし、がっしりタイプ。まあこのがっしりさは学生時代柔道してたからなんやけど・・・。別に太っとんとちゃうで。骨太の筋肉質。もしかしてそこが良かったんやろか・・・。でも弐條の身長180越え、モデル並みの体形には憧れる。あれでよく走り回ったりして体力が持つなあと思ったりするんや。結構脱いだら筋肉質やったりしてなあ・・・。


まあ今日から選挙活動開始やから、がんばるで。 遠方は車スタッフに任せて、超地元の宝塚市内の市街地や住宅地は自転車で選挙活動や!走るで。何人かでチーム組んで・・・。うちの選挙区はうちの党ひとり勝ちのところやから、立候補者は三人。形式上は三つ巴ってやつや。与党のうちの党と、野党第一党の民主党、そして無所属。まあ無所属の人には悪いけどな、表面上民主党の候補の人と一騎打ちになっとるけど・・・。


この民主党の候補はなんと若い女!俺が26やからか、きっと俺とやりあうつもりで出してきたんやな。なんと同じ年の甲南女子大出のお嬢やったりする。もちろん出身は神戸なんやけど、お父さんが参議院の議員さんやて。対抗馬としてこの選挙区に来たわけやな。まあ綺麗なお嬢やけど、どうかなって感じや。


この前選管いった時もばったり会ってな、「よろしく」って微笑んでたわ。普通の男ならついていくかも知れんけど、俺には彩子ちゃんがいるんや。彩子ちゃんのほうがなんぼ綺麗か。お色気戦略かよ!エロ親父の有権者を取り込もうって魂胆見え見えや!


選挙運動中も何度もすれ違ったけど、ほんまミニスカートなんか穿きやがって・・・。汗だくの俺を見てイヤーな目で見やがる。この前もふん!とかいいやがった!お前なんかに興味なんかないわ。可愛いともおもわへんって。この厚化粧女!覚えとけよ!一回泣かしたるわ!もちろん程ほどにしといたるけどな!俺は一生懸命彩子ちゃんのため(?)にがんばってるんや!当選して彩子ちゃんとの遠恋を解消するんやから!大差で勝って泣かしたるわ!


いろいろ俺の粗捜ししてるみたいやな・・・最近怪しい人が選挙事務所当たりをうろうろしとる。 投票日は明後日。明日最後の選挙運動だ。夜8時までが選挙運動時間。やっと事務所に帰ってきて、お茶を飲みながらくつろいでいた時、突然俺の携帯がなる。あ、彩子ちゃんからだ!


『今大丈夫?』

「いいよ。何?」

『この週末そっちに行けるよ。行ってもいいかな・・・。』

「え?昼間は事務所にはいないよ・・・。これくらいの時間ならならいるけどな・・・。どうしたん?」

『会いたいの・・・。和気さんに会いたいの・・・。』

「俺もそうだけど・・・。でも選挙終わるまで会えないんや・・・。」

『遠目でいいから・・・。和気さんの顔見たら元気になりそうな気がするの・・・。』

「なにかあったんか?」

『疲れたの・・・。北野彩夏はもういやなの・・・。本当の彩子じゃないもん。』

「わかった、明日の夜会おうか・・・。」


きっと何かあったのに違いない。ほんまにそうや、彩子ちゃんは北野彩夏じゃないんや。仕事が忙しすぎる上に、この俺に会えないから?それは言い過ぎかもしれないんやど、ここ最近夏休みをいいことに仕事ばっかりだというメール。最近お父さんも怒り出したというんや。はじめはバイト感覚でやっていた仕事やもんな。


ほんま俺は次の日、選挙運動最終日を終えてから会うことにしたんや。 朝8時から最後のお願いということで、選挙区内を車で回ったり、駅前で演説したり、あっという間に運動終了の夜8時。スタッフと明日の最終確認をして、彩子ちゃんに電話をかけようとすると、彩子ちゃんから電話がかかる。


「今どこにいるの?」

『すぐそこ・・・。』


俺は携帯を切って、事務所を出ると、彩子ちゃんの姿を探したんや。


「彩子!」

「和気さん!」
ドリーム 和気&彩子
俺は一目を気にせず、彩子ちゃんを抱きしめていた。彩子ちゃんは僕の胸の中で泣くんや。党の選対担当者は驚いて事務所を飛び出し、俺らを引き離すんや。


「和気さん!こんなところで何してるんですか!」

「俺の婚約者や!婚約者が悩んでるんや!」

「だからといって、このようなところで!」


担当者と俺は彩子ちゃんの前でごたついているのを見ていうんや。


「ごめんなさい!彩子のせいで・・・。ごめんなさい!」


彩子は走って俺の前から姿を消すんや。そのあと何度携帯に電話をかけても出ないどころか、電源を切っているんや。俺は事務所で選対担当者を怒鳴りつけたんや。


「もし、彩子になんかあったら、お前のせいや!悩み悩んで意を決して東京からここまで来たんや!もう選挙なんてどうでもええ!俺は彩子を探す!」


ほんま事務所のスタッフは普段温厚な俺が立腹している姿を見て驚いていたのは言うまでもないんや。俺は弐條に電話して神戸の実家の電話番号を教えてもらったり、地元で行きそうなところを教えてもらったんやけど、なかなかみつからないんや。どこに行ったんや・・・。


心配やないか!


俺は知り合ったときに彩子ちゃんが言ってたことを思い出したんや。


『彩子ね、ポルトバザールから見える明石海峡大橋が大好きなんだ・・・。とっても大きくて夜景がとても綺麗なんだよ。』


そうだ!垂水に行ってみよう!明石海峡大橋だ!俺は車を飛ばして神戸市垂水区にあるポルトバザールへ・・・。ここはアウトレットショップがあるところなんやけど、そこから見える明石海峡大橋がむっちゃ綺麗なんや。そういえば前、選挙終わってこっちに帰って来たら一度行こうなって約束してたんや・・・。


時間は22時半。一応駐車場はあいていた。路駐はあかんやろ。駐車場に止めて彩子ちゃんを探したんや。


「彩子・・・彩子・・・。」


やはり土曜日の夜だ。カップルばかり・・・。薄暗いここはやはり目の悪い僕にとって苦手や。やはりここやなかったんやって思ってたらいたいた!


「彩子!そこにいるの彩子やろ!」


やっぱり彩子やった。じっと端のほうで海と橋を見ながら泣いてたんや。俺の声に彩子は気がついて振りかえったんや。


「和気さん!」


ホンマに俺らはドラマのような再会をして俺は彩子を抱きしめたんや。


「ごめん彩子・・・俺が悪かったんや。もう離さへん・・・。」

「彩子が突然事務所の前に行ったから悪いの。ごめんなさい・・・。」


俺は彩子にキスをした。ほんまに長い長いキスやったわ・・・。


気が付いたらもう12時を過ぎてたんや。ああ、駐車場閉鎖・・・。結局俺たちは朝までいろいろ寄り添い話しながら駐車場が開くのを待った。


ああ良かった・・・彩子はなんともなくって・・・。それだけが心配やった・・・。


彩子の悩みの原因はやはり自分とは違う人格をずっと演じなければならないというストレスと、それを発散するための俺がいなかったということやった・・・。


「なあ彩子。自分を出したらええやん。それがだめなんやったら、もうやめたらええ。彩子は彩子らしくするのが一番やん。」

「和気さん・・・。」


彩子ちゃんはすごく清々しい顔をして俺を見つめてくれたんや。


夜が明けて、6時、やっと駐車場が開いた。俺はとりあえず宝塚の選挙事務所に向かう。昨夜取り乱したことを詫びないといかんやろ。


今日は投票日や。昨日の俺の行動が、吉と出るか凶と出るか・・・。


選挙事務所に付くと、数人が泊まり込んでいた様子。帰ってきた俺を見て安心した表情で見つめるスタッフ・・・。中には彩子ちゃんのお姉さんがいたんだ。彩子ちゃんのお姉さんは彩子ちゃんを見るなり詰め寄るんや。


「おねえちゃん・・・。」

「彩子、あんた何してたの!和気さんに迷惑かけて!和気さんだけじゃないわ!後援会の人たちも選挙事務所のみんな心配していたんだから!それでよく政治家と結婚しようと思ったわね!」

「ごめんなさい!彩子、和気さんに会いたかったから・・・・。でもどうしてお姉ちゃんがここにいるの?」

「あたしは雅和さんのお父さんのお手伝いで芦屋の選挙事務所にいるの!お父さんはこっちにこれないでしょ。奥さまもいないし。弐條家の嫁として地元のお手伝いをするのは当然のことよ!うちの旦那様はじっと待っているだけでしょ。本当なら彩子はここにいてお手伝いしないといけない立場なのに・・・。まあ、見つかって安心したわ・・・。雅和さんもすごく心配してたんだから・・・。和気さんごめんなさい・・・。本当に馬鹿な妹で・・・。」


お姉さんは俺と事務所のスタッフに深々と頭を下げて、彩子と共に芦屋に戻って行った。俺もスタッフたちに深々と頭を下げ誤る。


「良かったですね・・・。彼女が無事見つかって・・・。」

「そうよ。和気さんにあんな綺麗な彼女がいたなんて・・・。」

「ま、俺らは和気さんの味方だし・・・。」


ホンマこの数ヶ月で団結力ができたんやなあ・・・。ホンマ感謝せなあかんわ・・・。


この後、家に着替えに戻って、ゆっくり風呂に入ってから再び事務所へ・・・。あああとは結果を待つのみ・・・。昨日寝てないから、裏の仮眠室で、昼過ぎまで寝てたんや・・・。ちょっと遅い昼食をとってな、身なりを整えた。


夕方あたりになると、一部の報道陣が集まってくる。情報収集をしているスタッフから出口調査の結果が順次入ってくる。いい感じかもしれない。伯父さんの七光りか、それとも党のおかげか、俺の活動のおかげか・・・。どうだろうね・・・。


投票時間が終わった。ああドキドキするわあ・・・。東大の合格発表のとき以来やん・・・。某国営テレビの出口調査ではうちの党の圧勝!さてここはどうだろう・・・。続々と後援会のひとたちや俺の家族が入ってくる。俺は中央の椅子に座って開票速報を見ているんや。もちろん真っ先に決まるのは党首弐條常康氏。もちろん小選挙区で当確で圧勝している。さすがやなあ・・・。出来るもんならもう一期党首やって欲しいわあ・・・。でももうこれ以上出来ひんからな・・・。


うちはどうや・・・。まだ開票率は一桁・・・。各開票所にいかせているスタッフから続々と票数が入り、ホワイトボードに女性スタッフが書き込んでいく。思ったよりも苦戦・・・。やはり昨日の事が響いたのか?それともあの厚化粧の女のお色気戦略か・・・。


しかし、うちの地域が開票されるにつれて、差がついてくる。そして無所属の候補者も票を伸ばす。やっと当確が出たのは夜11時をまわっていたんや・・・。


やった!初当選!


もちろん続々と比例代表の当選者も決まっていく。東京都ブロックの弐條ももちろん10時ごろには当確が出ていた。


「万歳!万歳!・・・・」


地方テレビ局だけやけど、ばっちりテレビに当選風景が映っていたんや。もちろん彩子ちゃんからお祝いメールが届いていたし、続々と元秘書仲間や同級生、弐條からお祝いの電話が入る。ほんま当確から当選になったときはどっと疲れが来たんや・・・。


で、あの田村・・・。そう俺の大っ嫌いな田村やけど・・・。最後までもつれにもつれてほんの1000票差位で見事落選。ざまあ見ろ!今度は来年の参議院選挙に出るってよ!もうやめれば?って感じや。ああこれであの嫌味な田村の顔を見なくていいと思ったらすっきりしたわあ。


あの厚化粧女ときたら、結局最下位落選で、泣いて泣いて!せっかくの化粧がぼろぼろで、放送コードギリギリって感じで映ってやがった!ざまあみやがれ。


せっせと足で稼いだんやから。圧勝!ほんまに良かったわあ・・・これで彩子との遠恋はなくなったんやもん。よしとしよう・・・。



【作者からの一言】

これから和気と雅和の代議士生活が始まります。

あくまでもこれは恋愛モノです。

堅苦しい政治小説ではありませんし、フィクションですよ^^;

自作小説の挿絵~振袖姿・・・


綾子 別IDで書いている「朧月夜の恋~さくらの木の下で」 でのひとコマ。


振袖姿の女の子です。


政略結婚のために生まれてすぐから婚約者がいる彼女。

ある朧月夜の日に出会った運命の人と駆け落ちします。

運命の人とは誰???



これもまた私の書いている小説の番外編。最後はハッピーエンドなんだけど、悲しい終わり方です。

話を見れば、ああ、この二人ね~~~~ってわかります。

ドリーム・クエスト (3) ええ!!!うそだろ???

 梅雨の最中、総選挙の日程が決まる。なんと投票日は運命のいたずらか、僕の誕生日・・・。8月25日の日曜日だ。


おいちょっと待て!って感じ。


僕はその日に25歳になる。ということは・・・。衆議院に立候補できるのは投票日に満25歳以上であること。ということは僕は対象になってしまう。
ドリーム 和気&雅和
もちろん案の定、党の選挙対策本部に呼び出されるのだ。もちろん和気さんも同時に・・・。


「さ、2人とも座って・・・。」


選挙対策本部長はニコニコしながら僕と和気さんを応接室のソファーに座らせる。やばい・・・。出馬要請だ・・・。いつもと違ってお茶とお茶菓子を出される。僕と和気さんは苦笑してわかりきった本部長の話を聞くことにした。


「さて、お2人には出馬をしていただきたい。和気君の地元兵庫6区はうちの党の天下。今の斉藤代議士が政界引退をするからそこに入っていただきたい。まあ和気君の実家は地元でも有名な家だからきっと当選確実だ。そして、弐條君。」

「ぼ、僕はだめです!兵庫7区は父の選挙区ですし!」

「弐條君は小選挙区ではないよ。東京都の比例代表の名簿に入っていただきたい。どうだろ・・・。」

「うちの場合は・・・妻が最近子供を出産しまして、まだ子供達が入院しているものですから・・・。」

「いやあ、比例だから選挙運動はしなくていいんだよ。和気君、できる限りバックアップするので、検討してくれないか?」


本部長は詳しい説明をした。もちろん新人としてあの田村さんも出るとのこと・・・。断りたくても断りきれず、ふたりとも承諾。


僕の場合はいいんだけど、和気さんの場合は今から準備をしないと間に合わない。もちろん6月末付で、内閣官房副長官平氏の私設秘書を退職して、地元に戻って選挙準備にかかる。まあ和気さんの実家の場合、顔が広いから、後援会などすぐに準備できるんだろうな・・・。党本部も県の党事務所のほうもバックアップするらしいから何とかなるだろうけど・・・。しかし彩ちゃんとの遠距離恋愛が始まるのはいうまでもない。


僕は家に帰ると、綾乃に出馬の件を言う。

「え?何それ!」

「だから、僕は出馬することになったの!」

「わかっているわよ。」


僕は選挙の公示日である8月13日まで仕事をする。その後は一応休職ということにしておいて、当選したら、今の仕事を退職し、だめなら復職という形にしてもらったんだけど・・・。


本当に僕は断りたかった・・・。父さんも困った顔をしていたんだよね・・・。ホントに数合わせって言うか・・・。今の党は若返りをスローガンに掲げているみたいで、新人を20代30代で固めるらしい・・・。もちろんある一定の年齢の代議士さんにはやめていただいているようだ。


その代表格が僕と和気さん、そして田村さんだ。本当に困ったもんだ・・・。出馬なんてまだまだ先だって思っていたけれど・・・。


「明日は雅と彬が退院するのよ。わかってる?」

「あ、そうだったね・・・。」


そういえば明日お子ちゃま達が退院してくるんだった。ほんと出馬の件で頭がいっぱいになってしまって、明日休みを取って雅と彬を迎えに行くことを忘れていたよ・・・。だからかな・・・綾乃の機嫌が悪いのは・・・。光子さんが僕が苦笑しているのを見て微笑んでいた。


 次の日僕と綾乃はちびたちを迎えにいく。きちんとプリウスの後部座席には買ったばかりのベビーシートをふたつ取り付ける。ちびたちは2500gを超え、生まれたときに比べると、はっきりした顔になった。僕達はNICUの看護師さんに御礼をして、僕は雅を、綾乃は彬を抱いて、看護師さんたちと記念撮影をした。そしてキャリーに2人を乗せて入院費用を精算して帰路につく。


「綾乃、今日から育児大変だろうけど、がんばってよ。」

「うん、がんばるよ。ま、光子さんがついているから、安心かな・・・。いつお父さんに見せに行くの?」

「そうだな・・・今晩あたり行くかな・・・。連絡しておくよ。」


結局その日の晩、公邸に雅と彬を連れて行ったんだけどね・・・。もちろん父さんはもう嬉しくて嬉しくて、交互に二人を抱いて、何か話しかける。光子さんはその光景を見て微笑んでいる。


「雅のほうが重くないか?彬は雅和のこれくらいの時によく似ている。可愛いな・・・。」


ホントに爺馬鹿・・・。特にうちには女の子がいないから雅を離そうとしない。雅はおなかが空いたのか、大きな声で泣き出した。


「綾乃さん雅が・・・。」


綾乃は雅を受け取って、哺乳瓶でミルクを与える。それにつられてか、彬も泣き出す。まあ光子さんが彬の世話をしてくれて、助かった・・・。


僕と父さんは別室に移って、これからのことを話す。


「父さん、本当に勝手に決めてしまい、すみませんでした。」

「前々からこのことは聞いていたが、選挙日が予想よりも遅くなってしまったからね・・・。偶然にもお前の誕生日が投票日とは・・・。まあ比例代表だから待っているだけでいいし・・・。多分順位も下のほうにするだろうね・・・。形だけと聞いたよ。」


父さんは小選挙区でも立候補するんだけど、比例代表全国区でも党首として名簿順位1位で登録される。東京都ブロックの場合は、平均10人ぐらいだからきっと僕は最後に登録されるだろう・・・。


総選挙まであとひと月、全国の比例名簿の案が上がってくる。もちろん僕も東京都の名簿に入っているんだけど、ちょっと待て!10人中5番目じゃないか・・・。話が違うぞ!これじゃあ形だけじゃないじゃないか・・・。もちろん父さんも驚いてたけれど、やはり人選の問題上このような順位になったと聞いた。一応和気さんも近畿ブロックの比例代表として8番目あたりに入っていた。田村さんは?小選挙区1本らしい・・・。


和気さんは私設秘書を退職して、地元兵庫県宝塚で選挙の準備を整えている。先日もメールで事務所を建てたと報告があった。毎日いろいろ選挙区内を走り回っているようで、大変そう。もちろん彩ちゃんと会えるわけもなく、寂しい思いをしていると書いてあった。


投票まであとひと月、僕の運命は?そして和気さんの結果はどうなってしまうんだろう・・・。問題は父さんだよね・・・。父さんには奥さんがいないから、爺ちゃんが選挙区内を行脚して選挙活動をしないといけない。もし綾乃に子供がいなかったら頼むんだけど・・・。



【作者からの一言】

ついに雅和に出馬要請が・・・。まだまだって思っていたのに・・・。苦悩の続く雅和君でした^^;

少し体調回復?

昨日久しぶりに書いたものです。

ちょっとましになってきたのでしょうか?

風邪は少し回復。

でも眠い^^;


彩子 全身はまだ書けません。

一応この絵は、自作小説の主人公の社員証用の写真と言う設定・・・。















この絵を利用してこういうのも・・・。

彼女は入社したての新米アナウンサー。多分某テレビ局のHPでプロフィールを紹介されるとしたらこうなるんでしょうね^^;


sayakopurofi-ru
もちろんこれは別名で書いている小説の挿絵になるんですが・・・。

別名で書いているのはすべて本編の番外編を載せています。


まだ新米アナウンサー編は始まっていません^^;


タレントから局アナになるってありえない設定ですが、まあいいんじゃないのって思いながら書こうとしています。


第1章でとまってしまって・・・。

位置UPできるかわからないのですが・・・。


今書けない病ですから・・・。


私のたわごとでした・・・。


もうそろそろカラーを書かないとね・・・・モノクロばっかりだわ^^;



ではでは・・・。

ドリーム・クエスト (2) 和気君地元に里帰り

 「和気さん。彩子には夢があるの。」


俺の彼女、源彩子ちゃんが言うんや。実は彼女、大学生の傍ら、人気カリスマモデル兼タレント。モデルは高校時代からやっていたそうやけど、ここ最近(はっきり言って俺と付き合いだした頃やろか・・・。)人気が出てきてな、ファッション雑誌に取り上げられるようになったんや。もちろん芸名っていうのがあって、北野彩夏って言う。


ホンマにこんなさえない俺が独り占めしてもいいんやろかって時折思うんや。もちろん彩子ちゃんは事務所に俺の存在を隠すように言われているんやけど、彩子ちゃんは俺のことをすごく想ってくれていて、今度僕の家族に挨拶に来ることになったんや。


「夢?なんやそれ・・・。」


彩子ちゃんはいつものようにベッドのなかで俺に抱かれながら微笑む。


「彩子はアナウンサーになりたいの。」

「へえ・・・アナウンサーねえ・・・。え?!」


アナウンサーになるって言うんやったらもっともっと俺らの結婚が延びるってことやろ!!!俺としては彩子ちゃんが大学卒業後すぐにでも結婚しようと思っていたんやけどね・・・。最低あと5年は出来ないかもしれないって事やろ?!焦るあせる・・・。


「もちろん和気さんとは結婚するよ。でも彩子はおねえちゃんと違って、早くに結婚したくないし、仕事もしたいの。」


彩子ちゃんは俺にキスをしてベッドから出る。


「彩子は結婚しても仕事はするの。いいでしょ、和気さん。」


彩子ちゃんはキャリアウーマンタイプなんやなあ・・・。感心している場合やないやんか!


彩子ちゃんはシャワーを浴びて服に着替えてるんや。


ここは大阪梅田にある外資系の超高級ホテルザリッツカールトンの一室。今日ここのレストランで俺の両親と会う約束をしているんや。彩子ちゃんは仕事中の北野彩夏とまったく見た目は違う。ほんまにはじめ同一人物かと疑ったぐらいや。仕事中は今流行のヘアメイクに服を着てポーズを撮っているけれど、普段は清楚な神戸スタイルにまとめる。神戸のお嬢って感じや。きっとこれならうちの両親も認めてくれるんやないかな・・・。ほんまにこのギャップがたまらなかったりするんやけど・・・。まあ当分は両親に内緒ということで・・・。(笑)


俺はちょっとショックを受けながら、ベッドから出てシャワー浴びてスーツに着替えたんや。着替え終わった頃には、彩子ちゃんは準備完了って感じで、いつものお淑やかタイプの彩子ちゃんになっていた。やっぱし可愛いなあって思いながら俺は眺めてた。


これなら誰も「北野彩夏」と同一人物やなんて思わないやろう。


「和気さん、おなか空いたね・・・。」

「うんそうやな・・・。」


俺たちはチェックインのあと今の時間までいちゃいちゃしてたりなんかしたけど・・・。昼が軽すぎたのかほんまにおなかすいたんや。予約時間は6時から、フランス料理ラ・ベの個室で・・・。今日は両親のほかに兄貴や姉貴も弟も来る。うちは家族の連帯感が強いのが特徴で、このおかげで、何度彼女に逃げられたことか・・・。(そういう子に限って玉の輿狙いやからまあいいけどな。) 彩子ちゃんはうまくやってくれるんやろかな・・・・。ま、彩子ちゃんのお姉ちゃんが結構世渡り上手で、あの華麗なる一族、弐條家でよくやってるから上手くやっていけると思うんやけどな・・・。


エレベーターで5階まで降りて、ラ・ベへ・・・。ここのホテルは結構うちの御用達。兄貴も姉貴もここで挙式したし、事あるごとにここで食事したりしているんや。特にここのフランス料理はお気に入りで、ザガットというレストランガイドの京阪神版でもいつも上位を占めているしな。


「和気ですけど・・・。」

「お連れ様はもうお待ちでございます。」


個室に通されると相変わらず5人の顔ぶれ。普通なら引くよなあ・・・。でも彩子ちゃんはやっぱり違ったんや。きちんと俺の家族の前で挨拶をしてとびっきりの顔で微笑んでいる。やはりきちんとお父さんのしつけがよかったんやろうな・・・。やはり彩子ちゃんも世渡り上手だよ・・・。


「まあ座りなさい。」


親父の一言に緊張しながら座ったんやけど、平然としてるんや、彩子ちゃんは。食事も始まっても初体面なのに楽しそうに話している。


「そうか、お父さんとお兄さんは自衛官幹部かね。お姉さんはあの弐條家に嫁いだとは・・・。」


親父はえらい気に入った様子で話しているんや。特に親父は彩子ちゃんの才色兼備なところが気に入ったらしい。まあ家柄もいいしな・・・。彩子ちゃんの家は神戸での名家のひとつだし・・・。


母さんは俺が可愛いてしょうがないからな、こんな可愛い相手が出来て相当嫉妬していると聞いた。はよう子離れせんとあかんわ・・・うちの母さんは・・・。兄貴も姉貴もまんざらではないらしい。手ごたえはいい。


「いつ結婚するんだい。泰明。」

「まだまだ先だよ。彩子が大学出ないといけないしな。働きたいっていっとるし。あと5年は先かな・・・。」

「で、泰明はいつこっちに帰ってくるんや。今度の総選挙に出るんか?」

「いや出ない。まだまだだよ。」

「じゃ、来年の市議会議員選挙に出たらどうか?地方からはじめてもいいと思うぞ。母さんも寂しいといっているんだ。早くこっちに帰って来い。」

「考えとくわあ・・・。でも今の仕事今が一番楽しいしな・・・。」


まあこんな話は顔を合わすたびにするんやけどなあ・・・。あれほど俺を出来そこないといっていた親父が最近可愛がってくれる。多分母さんの入れ知恵だろうけど・・・。 まあ何とかお食事会を済ませた。まあ感触はよかったと思うな・・・。うんうん。


そのあと梅田の街に出かけたんや。まあ今日は土曜日だから、映画館はレイトショーをしている。まあなんとなくやっている映画館のペアシートに座って、じっと映画を見ていたんや・・・。よく映画の前にCMがあるやん。あれになんと彩子ちゃんいや北野彩夏が出ているんだ!知らなかったよ。化粧品のCMまで出ているんやもん・・・。焦って焦って映画どころじゃなかったのはいうまでもないやん。最近よくテレビにも出るようになったんかい・・・・。同じカリスマモデルの蝦ちゃんとか優ちゃんとかも目じゃないやん。ほんまいいんかなこんな子と結婚して・・・。ファンに殺されそう・・・。俺のようなさえない男が相手やなんて誰も予想できないやろな・・・。


次の日、彩子ちゃんは神戸のおばあちゃんのところへ行くって言って、別れたんや。もちろん俺は宝塚の実家にいったわけなんやけど、えらい昨日のことで親父が褒めてくれてな。ホンマ驚いたわ。でも母さんは相変わらず機嫌悪そうやったけど。


「泰明にい。泰明にいの彼女どっかでみたことあるんやけど・・・。」

「だれに?」

「似てないか?北野彩夏に。」


俺は思いっきりドキッとしてもうた。


「ここに北野彩夏がいるわけないやん。他人の空似や空似。」


やっぱ彩子ちゃんと同じ年代の弟は結構鋭い。鋭すぎる。


ドリーム 北野彩夏 「なあ敏明、ああいうのがいいわけ?」

「そりゃそうだろ!北野彩夏ちゃんって俺らの年代の憧れなんだぜ。泰明にいはああいうこは好きじゃないんだろうけど?まあにいは昨日の彩子さんのほうがお似合いさ。でも北野彩夏って結構私生活は謎なんだぜ。本名や出身地も公にしてないし。ミステリアスなところがいいんだよな・・・。阪大医学部の学祭に呼ぶように今交渉中らしいけど・・・。一度でいいから会ってみたいよな。」


昨日会ったっちゅうねん。まあ北野彩夏には彼氏がいないことになっているから内緒。きっと驚くやろな・・・俺の彼女が北野彩夏なんだからな・・・。


「ほんと今回のCMいいよな・・・。あの唇でキスされたら俺は何にもいらね~。」

「はははは・・・・。(いつもキスされてる俺は幸せものやな・・・。)」


秋には女優としてデビューするらしいけど。そんなこと聞いてないよ・・・。

あまりこれから会えなくなるってことか・・・。

彩子ちゃんがそんなすごい子だと思わんかった・・・。


今やっと自分がえらいことをしていると気がついたのはいうまでもないわ・・・。



【作者からの一言】

和気君の里帰り編です。

イラストも使いまわしさせていただきます。

ラブラブな2人に立ちふさがるお母様。お母様は彩子が気に入らないのです。だって自分の知らないところで彼女作って、結婚の約束まで・・・。結構ずっと嫌味たらたら言うんです。お母様。