超自己満足的自己表現 -451ページ目

ドリーム・クエスト (17)彩子の初恋?

 和気さんの議員宿舎に転がり込んだ夜。彩子は夕飯の片づけを和気さんとして、和気さんとテレビを見ながらゆっくり過ごす。夜のニュース番組を見ながら、和気さんの体に身を預けて、彩子はウトウト・・・。今日は本当に疲れたんだもん。


朝早くから会見場に入って、記者会見用のCAの制服を着てヘアメイク・・・。復帰後初めての記者会見だから、うちの事務所はぴりぴり・・・。前もってプライベートのことはNGと報道陣には通達していたんだけど・・・。やはり記者会見後の質問の時間に彩子のことをいろいろ聞いてくるの。メインは彩子の就職活動のこと。もちろん内々定済み。なんとかしてどこの局か聞いてくるのよ。そして芸名で入社なのか?本名で?まあそういうのは会社が決めるんでしょ・・・。でも彩子は堂々と和気彩子としてやっていくつもりだから・・・。そして昨日イブだったから、何していたの?誰と居たの?なんて・・・。もちろん彩子は何も答えないままマネージャーに連れられて会見場を後にした。


あ!ブログ書かなきゃ!


「和気さん、パソコン借りていい?」


彩子は和気さんの執務室にあるパソコンを立ち上げて、毎日恒例のブログ更新。


『12月25日 昨日は誰と過ごしましたか?

 皆さんこんばんは。昨日はイブでしたね。私は大好きな身内の人と過ごしました。私が料理作ってね。そして大切な人から、欲しかったものをもらったの・・・。以前雑誌でみたものが欲しくって、探してもなくって・・・諦めてたの・・・。でもね大切な人からプレゼントしてもらったの。結構探したみたいだけど・・・。今日はクリスマス。
そうそう・・・記者会見はいかがでしたか?CA姿・・・いろいろな格好をしてきたけれど、一番のお気に入りだったの。
感想を聞かせてください。

北野彩夏  
追伸:今日、ばったり街で初恋の人に会っちゃいました^^;はじめは誰かと思ったりしたんだけど・・・。驚いた・・・。うふふ。        』


 そう、今日初恋の人と会見場の近くで会っちゃったの・・・。

でも初恋かな?はじめて付き合った人なんだけど・・・。なんとなくって感じで1年弱付き合ったって感じ?ホントに好きになった人って少ないよ・・・。あとのみんなはお友達の延長みたいな人ばっかりで・・・。


和気さんとはじめて会った時に違った感覚があって、ドキッとしたの。次の時会うまで和気さんの事が忘れられなくって、夜も眠れなかった・・・。ああこれが本当の恋なのかなって思ったのよ。


和気さんはなんだかんだ言って毎日北野彩夏のブログをこっそり見てるのよね・・・。たまにコメント入れてくれたりするんだよね・・・。ま、それが別居時の楽しみだったりするんだけど・・・。今日は彩子がパソコン占領してたからかな・・・和気さんはモバイルサイトでこっそり見てたのよ。結構恥ずかしがりやさんだから・・・。彩子の前で見たらいいのにね・・・。結構可愛い・・・。


和気さんはベッドのなかで彩子を抱きながら聞いてきた。


「初恋の人ってどんな人?」


やっぱり気になるんだね・・・。


「ん?内緒。彩子は和気さんが好きなんだもん。聞きたい?きっと和気さんヤキモチ焼くよ。」
「いいやん。俺は彩子の夫やから知っとく必要あるやん。かわりに言ったろか?俺の女性遍歴・・・。」
「別に聞きたくないよ・・・。でもねホントに好きになったのは和気さんだけだから・・・。」
「彩子、何人もの男にそう言ってんじゃないの?」
「もう!和気さんたら!」


和気さんと彩子はね、そのあとじゃれあってた。


私のはじめて付き合った人?彩子よりも二歳年上で、中学1年の春出会った人。中学の先輩でね、野球してた。うちの学校には野球部が無かったから、硬式野球のシニアリーグのあるチームに入っていてね、高校はスポーツ推薦で、高知の明徳義塾高校に行っちゃって、そのまま消滅って感じ?キスはしたけど、それ以上はない交際だった。もちろん彼はレギュラーで甲子園に何度もでてた。高校生ドラフトで阪神に入ったまでは知っているけど・・・。何で東京にいるかわからないんだよね・・・。会見会場は某ホテル。何かあったのかな・・・。和気さんは阪神ファンだから、その人のこと知ってたよ。
uesugi
「ああ、上杉ね・・・。あいつはトレードされたんや。ええ外野手やったけど、今阪神はええ選手多いからな。どこやったかな・・・西武?金銭トレードや。ホンマええ選手やった。トレードには惜しい選手やったけど・・・。」


そう上杉君に、携帯番号とアドレスをもらったのよ・・・。「まだ僕にもチャンスある?」って言ってたんだ・・・。

最初は???って感じだったけど、そういや彩子は結婚していることみんな知らないんだよね・・・。

ま、ほっておけばいいよね・・・。


次の日の朝、和気さんを送り出して、彩子は和気さんのお部屋を大掃除。たまった洗濯物も一気に洗った。そして合間に和気さんのパソコンを借りて、ブログの管理をするの。たくさんのコメント・・・。


(大切な人って誰?)
(初恋って誰?)


いろいろたくさんのコメント・・・。メッセージをチェックすると、上杉君から・・・。このメッセージは管理者以外は見れないのよね・・・。


『彩ちゃん、電話かかってくるのを待っていたんだよ。僕はずっと君とは別れていないと思っていたんだよ。別れの挨拶なんかしてないじゃないか・・・。君と会いたいんだ・・・。今まで大阪にいたからなかなか会えなかったけれど、僕は所沢にいるから、これからいつでも会えるよね・・・。未だに僕は君の事が好きなんだよ。決して君のことを忘れたことないんだから・・・。連絡待っているよ。  上杉祐哉』


やっぱりそういうことね・・・。これ、和気さんのパソコンだから返事は出せない。アドレスは代議士専用のアドレスだし・・・。フリーメールでもいいんだけど・・・。ヤフーのフリーメールを取得して、返事を出した。


『上杉君へ。ごめんなさい。私にはもう心に決めた好きな人がいるから、諦めてください。さようなら・・・。  源彩子』


もちろん上杉君は和気さんに比べたらかっこいいし、スタイルは抜群。年棒も和気さんより上なのは知っている。でも上杉君は少し薄情なところが合って、うんざりしてたから、上杉君の高校進学と同時に連絡を取らないことに決めたの。私は別れたつもりでいたんだけど、そうじゃなかったってことね・・・。もちろんフリーメールはすぐに解約。でもしつこい!


夕方パパから電話がかかってくる。中学の友人だって言うから、連絡先教えたって言うのよ。もちろんパパは上杉君と付き合っていたこと知っているからだろうけど・・・。何度も何度もかかってきて、しつこいから電話に出てはっきり言ったの。


「お願いだからいい加減にして。私は本当に好きな人がいるんだから。とても誠実で、真面目で、地位もあって、優しい人よ。もう私のことなんか忘れてよ・・・。」
『でもさ・・・。彩ちゃん。』
「わかってよ・・・今彼の家にいるんだから・・・。もうかけてこないで。切るね!」


それ以来かかってくることはなかったけれど、ホントに相変わらずしつこい人だった・・・。あああと何人こういう処理をしないといけないんだろう・・・。

やっとWiiを開封^^;

wii 元旦に並ばずにすんなり買ったWii。

1週間経ってやっと開封しました。




もう子供は大はしゃぎで・・・・。

操作はもう慣れてしまったようですよ^^;

さすがだ・・・。

ドリーム・クエスト  (16)和気泰明の惚気すぎ!

 俺は昨日彩子にもらったポスターやチラシを持ってマンションを出た。ラッシュに巻き込まれてしわがいくのが嫌やから今日に限ってタクシーで永田町の議員会館へ・・・。


「おはようございます。」
「おはよう・・・。三木さんちょっと・・・。」


俺はバイトの事務員の女の子を呼ぶ。


「これに合う額買ってきてよ。」
「え?」
「そうだな・・・ポスター用の額を・・・。」


俺はその子にお金を渡してお使いに行ってもらう。俺はデスクのいすに座って、ポスターを眺めながらにやける。1時間ほどして三木さんは帰ってくる。


「これがちょうどいいと思うのですが・・・。」


三木さんは不思議そうな顔をして、お釣と領収書を渡す。


「悪かったね・・・。仕事に戻っていいよ。」
泰明にんまり
俺は包みを開け、額にポスターを入れる。やっぱりCA姿はたまらんわあ・・・。秘書が入ってきてにやけている俺を見て噴出している。


「和気さんそろそろ官邸のほうに・・・。ぷぷぷ・・・。」
「ほら、毛利君見てみろよ。いいだろこれ。」
「そうですね・・・。ぷぷぷ・・・。」


俺は画鋲を壁に打ち、額を引っ掛ける。うんうんいい位置や・・・。これで会えない日もばっちりやね・・・。


もちろん官邸でも同じ・・・。総理の執務室前にデスクをもらってるんやけど、そこのデスクマットにチラシをはさんでおいた。


「あれ?和気さん・・・。」
「お、弐條!ええやろこれ・・・。これで毎日仕事がんばれるってことやね・・・。」
「ホント、和気さんは彩ちゃんと・・・。さ、仕事ですよ。今日は会見が入っているんですから、内容を詰めましょう・・・。」
「おお。」


俺は弐條と午後の会見の原稿を取り出し話をする。


「ちょっと和気さん!ホントにこれでいいんですか?!」
「あ、ごめん・・・。」
「昼食会議もあるんですから、ちゃんとしてくださいよ!それ取り上げますよ!」


弐條だって子供の写真入れてにやける時あるやん・・・。


まあ何とか昼食会議も終わって、さて今年最後の会見だよ・・・。俺はカバンから昨日彩子からもらったネクタイを取り出して結びかえる。そして会見会場に向かう。今日は俺の番やから・・・。弐條が仕上げた原稿を手に持ち、会場に入る。ああ何回こういうところにたっても慣れないな・・・。やっぱり彩子ってすごいかも。今回の会見は今年の総決算みたいなこと。原稿どおりにしゃべる。質問系は前もって決まっているので、これも原稿どおり・・・。


「ではこれで・・・。」


するとある新聞記者が立ち去ろうとするこの俺を引き止めるんや。


「和気さんちょっと質問が・・・。」
「はい・・・。」


一番後ろに座っていたみたことのない新聞記者・・・。


「私はTスポーツ新聞の南と申します。」


スポーツ新聞??こういうところに来る新聞やない。なんか嫌な予感が・・・。


「和気さん、ご結婚されていますよね?」


すると弐條が驚いて飛んできて俺の代わりに答える。


「申し訳ありませんが、この場はプライベートなことを話す場ではございません。では失礼します。」


案の定や・・・。俺は弐條に引っ張られて会見会場を出たんや。だれや政治関係以外の記者入れたん・・・。ほんとやったら言ってもいいんやけどな、相手が相手やから・・・。もちろんその記者は政治記者に囲まれてぼこぼこにされたらしいんやけど・・・。俺が結婚しているのを知っているのは一部の政治報道関係者と、テレビ局の人事部ぐらいかな・・・。ま、去年の秋いろいろ騒がれたことあったけどな・・・。ちょっと浮かれすぎてたかな・・・。反省や・・・。


「弐條、当分麻布に帰られへんな・・・。」
「そのほうが懸命ですね・・・。」


俺は彩子にメールを入れて、当分帰られへんことを伝える。あさっては仕事納めやのに・・・。そのあとは彩子と一緒にゆっくりしようと思ったのに・・・。彩子は仕事再開させたところやからな・・・。邪魔で今やろ・・・。年末は議員宿舎の大掃除でもしようかな・・・。

ホンマ惚気すぎやった・・・。反省反省・・・。


俺は赤坂の議員宿舎に戻った・・・。夕飯は相変わらずコンビニ弁当。俺は料理が苦手・・・。自炊は出来るけど、作ってもうまくないんや。特に仕事でむっちゃ疲れているから作る気なんかならんやろ。必ず宿舎近くのコンビニで買う・・・。お弁当に500mlのビールとそしてタバコ・・・。いい生活してないな・・・。ホンマコンビニ弁当は太る。こういう食生活はあかんねんやろけどな・・・。やばいズボンが最近きついな・・・。最近運動ってのをしていないから筋肉がみんな脂肪に変わっていく。運動せなあかんわ・・・。帰ったら腹筋ぐらいはしとこ。でないと彩子に嫌われるよな・・・。


俺はカバンから鍵を出して、ドアを開ける。

ん???鍵が開いてるぞ。

確か昨日出る前に締めたはず・・・。

ドアを開けるといい匂いがする。


「和気さんお帰り。来ちゃった。」


彩子が俺を出迎えてくれたんや。俺はホンマ驚いた。


「何でここにおんねん!!!」
「だって和気さん、麻布のマンションに帰らないって言うし、着替えとかいるでしょ。掃除も洗濯もしないと・・・。」
「この階は同じ党の人ばっかりで俺と彩子の事知っている人ばかりやからええけどな、ほかの党の人は俺らのこと、知らんねんで・・・。俺が女連れこんどるように見えるやん・・・。これでも俺は堅物で通ってるんや・・・。ここに来るときに誰にも見られんかったか?」
「うん・・・。でも彩子は和気さんの奥さんだよ。奥さんだから・・・だから・・・ここに来たって・・・・。」


彩子は珍しく泣いた・・・。俺は彩子を抱きしめてキスをする。


「悪かった彩子。居たいだけ居たらいいよ。で、お父さんには言って来たの?」
「うん。」
「さ、おなかすいた。メシメシ・・・。」


彩子は暖かくておいしいものを作ってくれた。せっかく買った弁当が無駄になったけど・・・ま、明日の朝にでも食えばいいか・・・。俺はそっとコンビニ弁当を冷蔵庫の中に入れた。



ドリーム・クエスト  (15)北野彩夏復活!

新幹線の中で、京都伊勢丹で買ったお弁当を食べた後、和気さんは私設秘書二階堂さんから渡された紙袋を開け、中身を確認する。中身は週刊誌とスポーツ新聞。はじめは新幹線内の暇つぶしかなって思ったのよ。だんだん和気さんの表情が曇っていくのよね・・・。そして溜め息・・・。


『北野彩夏(21)CM復活。再来年春はアナウンサー?』
『北野彩夏 待ってましたの復活!まずはCMから。』
『某テレビ局女子アナ内々定!北野彩夏復活カウントダウン。』


はっきり返事していないのにもうCM復活が決まったように書かれている。未確認情報として保険会社も?テレビ局に内々定をもらっていることも書かれている。何社受けて何社内々定もらってはっきりとした局名は書かれていないんだけど、わかるような表現で書かれている。


「へえ、もうここまで決まっているとわな・・・。」


和気さんは彩子の顔をじっと見て不機嫌そうに言葉をかける。まあ何とか和気さんとの関係は書かれていない。もうそろそろこうやって公の場で和気さんの側にいるなんて不可能なんだろうな・・・。そっと和気さんの手に彩子の手をのせて握ってみても、払われてしまう。あまり怒ったりなんかしない温厚な和気さんが怒ってるよ・・・。気まずいまま品川駅に着き、タクシーで南麻布の自宅へ戻ってきた。和気さんは何もなかったようにパパにお土産を渡していろいろ話していた。そのあと寝室に入って和気さんは彩子にいったの。


「俺、議員宿舎に戻るわあ・・・。」
「どうして?」
「俺がここ出入りしたら迷惑やろ。」
「もしかして別れるって言うの?」
「いや。そうじゃないんや。別居。俺の存在、彩子にとって迷惑やろ。落ち着いて仕事できんやろうし・・・。」
「嫌!和気さん、彩子と一緒にいてよ!和気さんが議員宿舎行くって言うんなら彩子も行く!彩子は和気さんと離れるのが嫌なの!」
「彩子・・・。」


和気さんは彩子を抱きしめてくれて、このままの生活を続けることになったの。でも一応和気さんは再び議員宿舎を契約してたりするんだけど・・・。


「どうして?」
「俺の逃げ場や。なんかあったらそこに逃げれるやろ。あと遅くなった時にここまで帰ってこなくてええし・・・。それくらいは許してな。」
「うん・・・。」


12月に入って和気さんは議員宿舎に形だけ引っ越す。引っ越してみると、週末以外ほとんど仕事が忙しすぎて南麻布のマンションに帰ってこない。
彩子CA姿  彩子も彩子で、航空会社のCM撮影に入る。訓練センターとか、空港とかのロケで、CAの制服着たりなんかして、歌ったり踊ったりしてホントに楽しかった。ホント彩子そのままのキャラを北野彩夏にしたから楽ちんでいい。やっぱり制服物ってうれしいな・・・。


 12月の間にCM撮影4本。ハードだけど、とても充実した12月だった。アヒルがキャラの保険会社でしょ。携帯電話でしょ。軽自動車に・・・。そして今まで北野彩夏は秘密でいっぱいだったんだけど、ブログやHPを再開し、プロフィールもきちんと紹介される。


『北野彩夏(KITANO SAYAKA)   4月15日生まれ O型
 出身地:兵庫県
 サイズ:T165 B90 W56 H85
 趣 味:料理、買い物
 特 技:英会話
 その他:大学生
  夢 :アナウンサー
                  


 毎日夜になればブログの更新。仕事の話を書く。ほんとの私生活はかけないもんね・・・。一応和気さんと結婚していることは伏せられている。当たり前でしょ。


 毎日アクセス数のすごいこと・・・。1日平均3万件。某ブログサイトと組んでやってるから余計にね・・・。コメントや掲示板にどばっと毎日数百件書き込みがあるから大変。


『12月24日
 北野です^^v
 いつも書き込みありがとうございましたm(_ _)m
 お返事できなくてすみません。いつも感謝していますよ^^
 皆さんの励ましのおかげで、何とか12月の仕事が明日で終わりです^^
 あと事務所のほうにクリスマスプレゼント39です。今日自宅にもって帰りましたよ。後でゆっくり見ますね。
 
 大学も冬休みに入って、年末年始何をしようかなんて考えるのが楽しいかな。
 初詣にでも行こうかな・・・。
 いちおうCM撮影のほうは終わったし、明日は航空会社の記者会見があります。CAの制服姿にご期待くださいね^^

ではおやすみなさい。

北野彩夏でした^^                              』


 写メで撮った仕事中の写真をブログに貼り付けて完了。更新した途端待ってましたのごとくコメントが入りだす。イブの今日は何しているんだろうとかの書き込みが多い。もちろん今日は和気さんが帰ってくる。パパは出張中だから、二人でゆっくり過ごすの。和気さんは赤坂でケーキを買ってきてくれるし、今日仕事が速く終わったから、手の込んだ料理を作ってゆっくりね・・・。


帰ってきた和気さんはびっくり。もちろん料理もだけど、事務所からもって帰ってきたプレゼントの山・・・。事務所はきちんと変なもの(盗聴器とかなんかね・・・。)はいってないか中身を確認した上で持って帰っているからね・・・。


「こんなにあったら彩子にプレゼント必要ないな・・・。入籍して初めてのイブなのに・・・。」
「え~~~和気さんは別だよ・・・。」


食事を終えたあと、2人で後片付けをしてリビングでプレゼント交換。和気さんは彩子が欲しがってたコートを買ってくれたの。そう、雑誌見ながらこれ欲しいなって言ってたものをちゃんと覚えていてくれて、なかなかない物をいろいろな人に探してきてもらって用意してくれたの。彩子はね、最近和気さんったらテレビ見ていたらいつも同じようなネクタイをしているから、仕事の合間にこそっと買っておいたの。もちろんパパにも買ったけどね・・・。マネージャーさんに付き合ってもらってね、和気さんに合いそうなものを何枚か買ったのよ。和気さんはとても喜んでくれて、彩子を抱きしめてくれたの。


「見てみて和気さん!これいいと思わない?」


彩子はね、今日事務所からもらってきたJの航空会社のポスターとかチラシを見せた。


「これもらってええ?」
「どうするの?」
「事務室に額に入れてかけとく。あと官邸のデスクマットにはさむ。彩子のCA姿もええな・・・。」


ホント和気さんってミーハーなんだから・・・。もちろん議員会館の事務室や官邸にいる人は彩子との関係を知っている人ばかりだからいいんだけど・・・。きっとこれを眺めながら仕事するんだろうね・・・。


「じゃ、またほかのCMのポスターできたらもらっておくからね・・・。」
「んん・・・。」


和気さんは嬉しそうな顔をして彩子との久しぶりの夫婦生活・・・。来年もずっとこんなんだったら幸せでいいな・・・。

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梅の技 008.jpg

我が家の余っているWiiの行方・・・・?

身内が欲しいっていっていた余っているWii。

まだ返事来ていないんだよね・・・。

定価で譲るんですけど・・・。

そして1日に買った我が家用のWii。

未だ開けていません^^; だって肝心の長女の宿題が終わっていないもので・・・。

いつWiiをあけることが出来るのか????


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ドリーム・クエスト  (14)奈良&京都旅行

 俺の妻彩子は悩んでいたんや。「究極の選択!」って。家からむっちゃ近いAか、行きなれたFか・・・。悩み悩んだ末、彩子はな、ぜひ来て欲しいと熱意を感じたFTVに返事を出した。俺もそっちのほうが彩子のキャラが生かせるんじゃないかなって思ったんや。バラエティーやスポーツ関係をしたいって言っていたしね・・・。何度も彩夏時代にFTVには出ていたから慣れているって言うし・・・。


 よっしゃ、決まったんやから、弐條や総理と相談して休みをもらったんや。彩子の内々定祝いもかねての旅行。地元にいる私設秘書にいろいろ手配してもらって、週末を入れた3泊4日+α。


 秘書はハイヤーを手配しようと思ったんやけど、断ってレンタカーを借りることになった。二人でいろいろ行くつもりやったんやけど、何かあったらいけないって言うから、この秘書が運転手兼ねてついてくるんやもんな・・・。ま、急に仕事関係とかで用事が出来た時に役に立つからいいかな・・・。でも二人っきりにはなれないやん。


 11月初旬。俺たちはついたらすぐ、墓参りをするので、きちんとスーツを着ている。(もちろん胸には国会議員バッチ)昼過ぎ、伊丹空港に降り立って、到着口から出ると、地元事務所のスタッフ達が出迎えてくれた。もちろん彼らは選挙の際に団結した同年代のスタッフ。


「和気さん、お帰りなさい!さ、こっちにレンタカーを用意していますから。」


スタッフの道明寺君は俺と彩子の荷物を持ち、用意したレンタカーのところまで案内するんや。結構な高級車クラスの車を用意してくれたんやな・・・。


「こんなええ車じゃなくったってええのに・・・。」
「いえいえ、和気さんは代議士ですから・・・。セルシオくらい乗らないと・・・。」


黒のセルシオ。黒光りしてるわ。運転手は地元私設秘書をしてくれている、中学・高校時代の同級生そして親友。電話ではよく話すんやけど、直で会うのは久しぶりや。もちろん運転は上手い。安心して任せる事が出来る。


「おう!久しぶり、二階堂。元気にしてたか?」
「ホント久しぶりやな。始めまして奥様。いろいろ和気から聞いていますよ。」


彩子は珍しく下を向いていた。


「すまんなあ二階堂。彼女おるんやろ、週末付き合わせてしまって・・・。」
「ええよ、和気のためやったらな。その代わり高いで。手当て増やせよな。」
「何言ってんねん。お前の分も宿代と食事代出したるんやから我慢せい。」


俺は二階堂に俺名義のETCカードを渡して、駐車場代とかの諸経費を渡しておく。


「二階堂、経費残ったら小遣いにしたらええわ。さ、今日から4日間頼んだで。」
「了解!さ、イコか。」


ほんまにこいつの運転は上手い。なぜって??こいつは大阪大学大学院を出てたのにさ、不況のあおりで、タクシーの会社に勤めとったんや。一時ハイヤーも運転しとったから、うまいんやで。道も良くしっとる。選挙の際に、こいつは当選したら雇ってくれって言ったから、私設秘書として雇ったんや。やっぱり頭ええから、きちんと仕事はしてくれるやつ。もうちょっと給料上げてやりたいけどな、俺もまだ1年生議員や。ま、補佐官になって議員給料少し上がったんやけど・・・。ホンマやりくりは大変や。


 大和郡山にある小さなお寺に着く。ここはうちの超遠縁に当たる半井さん宅。もともとうちは室町時代に、和気から半井に改姓したんやけど、明治ごろになって和気姓に戻した経緯があるんや。何でか知らんけど。ここの半井さんは代々奈良に平城京があった時代から墓守をしてくれている家系。もちろん直系であるうちの家系と代々交流がある。


 俺がここに訪れるのは何年ぶりか・・・。そうそう・・・東大に受かった時以来?もう十年近く?前もって、調べて電話しておいたから、住職が出迎えてくれた。二階堂が用意してくれていたお供え物を本堂に供えて、ご本尊に拝む。そして和気家代々の古い墓にお参りし、俺の代議士、そして補佐官就任、そして彩子と入籍したことを墓前に報告する。


墓参り終了後、住職と話す。


「本当にお久しぶりですね。泰明君は。お父様は彼岸に来られました。」
「本当ですね・・・。ずっと東京にいたもので、本当でしたら去年の選挙前にこちらへ訪れたかったのですが、バタバタしておりまして・・・。」
「遅れましたが、選挙のご当選と、内閣補佐官就任おめでとうございました。よくテレビで拝見しておりますよ。本当に泰明君はしっかりされて・・・。安堵しましたよ。ご兄弟の中で、一番のやんちゃで、お父様は手を焼いておられた。ところで、そちらは?」
「妻の彩子です。今年の初めに入籍いたしまして。」


彩子はきちんと住職に挨拶をしたんや。さすがに彩子・・・。


「いいお嬢さんを奥様に・・・。でも先日お父様は何も・・・。」
「実は両親には許しを得ていないのです。ですから・・・。入籍のみなのですよ・・・。とくに母がね・・・。」


住職は苦笑してたよ。住職は母さんが俺を一番可愛がっているのを知っているからね・・・。


この寺を出ると、もういい時間・・・。宿泊先の奈良ホテルにチェックインする。まあ俺らの新婚旅行も兼ねてるからな、いい部屋を取った。スイートはもったいないから、デラックスツインで・・・。二階堂はシングル。二階堂がチェックインをするって言ったけど、俺がすることになった。予約入れたん俺やしな・・・。俺は宿泊名簿に名前と職業などを書き込んでフロントに渡す。


「和気泰明様、デラックスツインが1室、シングル1室でお間違えありませんか?」
「はい、それで・・・。」


フロントで鍵とクーポン類を受け取り、ボーイの案内で部屋に入る。やはりここのホテルはいい部屋だ。何度か墓参りの帰りに泊まった事がある。彩子は窓から見える奈良公園を眺めながら喜んでいた。さあここからは自由時間。二階堂はせっせと車をきれいに拭いていた。そういうところはホントにマメ。車が好きなんだあいつはな。すると二階堂は誰かと話している。すると電話がかかる。二階堂からだ。このしゃべり方は仕事関係やな・・・。


『和気さん、面会したいという方が・・・・。』
「誰?」
『党奈良県連の代表者がお見えですけれど?いかがいたしましょう。』
「じゃあ、下のティーラウンジで話を・・・。」
『はいそのように・・・。』


せっかく着替えて彩子と出かけようと思ったのにさ・・・・。何で関係ない県連が来るんや?いくら補佐官いうても一年生議員の俺・・・。何か内閣に直訴か?なんだかんだ言ってもおれは内閣広報補佐官やし・・・それよりなんで俺がここにいるに知ってるんやろか?疑問だ・・・。もう一度、議員バッチつきのスーツ着て、プライベートではかけないめがねをかけてる。


「彩子、ちょっと待ててな・・・。話してくるから・・・。」
「うん・・・。早くね・・・。」
「ああ・・・・。」


俺は下に降りて、二階堂を探す。二階堂は県連代表者はじめ数人を連れてロビーで待っていた。とりあえずラウンジに行って、名刺交換。特にこれといって話はなく、ただのご挨拶。


「実はプライベートの旅行でして・・・。どうして私がここにいる事がわかったのですか?」


そういえば、ここの選挙区は伯父さんの選挙区やった・・・。伯父さんは文科相。だから挨拶に来たのか・・・。なるほどね・・・。きっと伯父さんがうちの秘書に宿泊先の連絡先とかを聞きだしたんやな・・・。そうやな・・・俺は将来伯父さんの後継者やからな・・・・今の選挙区から鞍替えして、ここに来るかも知れんのやった・・・。なんでもない話をして、お茶代払って帰っていったけどな・・・。ホンマいらん時間使ってもうたな・・・。あーあ、もう暗くなってきてしもうたやんか・・・。明日はゆっくりさせてくれるんやろな・・・。明日は明日香とかあっちのほうまで足延ばそうと思ってたんやけどな・・・。明日はゆっくりして奈良見物か・・・。まあええか。


「二階堂、明日はチェックアウトギリギリまでゆっくりさせてな。」
「わかってるって。まあいう新婚旅行みたいなもんやもんな・・・。俺もゆっくりさせてもらうよ。じゃ、部屋戻るわ。何かあったら電話くれ。」
「おう。」


ロビー階のエレベーターの前で別れ、俺は部屋に戻ったんや。彩子は疲れたんかな・・・。ベッドの上で寝てたんや。俺は大事なスーツをハンガーにかけてから寝ている彩子の唇にキスしたんや。彩子は驚いて起きたんや。


「あ、びっくりした!」
「ただいま彩子。遅くなってごめんな・・・。県連の人が挨拶に来ただけやから・・・。」


俺は今日彩子が危険日やないの知ってるから、そのまま彩子といちゃつく。だってさ、麻布の家じゃ、俺はマスオサン状態やから、彩子とゆっくりいちゃつくことって出来んやろ。その上、彩子が就職活動してたからお預けくらってたしな・・・。環境も違うし、まあいう新婚旅行や。夕飯の時間を忘れていちゃついてたんやな・・・。


次の日、朝早く目が覚めてしまったから、朝靄の中を彩子と散歩する。遠くで鹿を呼ぶホルンの音。鹿のえさの時間や。このホルンの音を聞いて山から鹿が下りてくる。その風景を見て俺たちは微笑み和んでいたんや。ホンマにこんなに外でゆっくりできるんは久しぶりというかはじめてかもしれん。ホンマたくさんの鹿・・・。ここまでいると可愛いなんて思わんと怖いわあ・・・。


「和気さん・・・。」
「なに?彩子。」


彩子はなんか戸惑った表情で俺を見るんや。なんなんやろ・・・。彩子は俺と向かい合ってたち、俺の両手を握り締めて言うんや。


「和気さん、また彩子タレント業はじめていい?」
「え?」


なんてこと言うんや。引退しても北野彩夏の人気は根強い。そんなことは知っている。今年の春に引退宣言して、この半年、徐々に復帰の声が高まっているのは確かや。昨年の学園祭行脚で、彩子は華やかなカリスマモデルイメージから清楚なイメージに転換してからさらに人気が上がって、CM中心のタレントをしとった。人気絶頂の時に引退したもんやから・・・。ホテルに戻って彩子から詳しい事情を聞いたんや。


「ここ最近、事務所からしつこく連絡があって・・・。もちろん彩子がFTVに内々定をもらっていること承知のうえよ。FTVも承知しているって・・・。」
「え?そこまで話し進んでるんか?で、何すんねん!」
「CMだよ。新年度からのキャンペーンなんだって・・・。事務所が断ったらしいんだけど、どうしても北野彩夏じゃないとだめだって航空会社の人が・・・。FTVに入社するまでの間の契約だから・・・。和気さん、だめかな・・・。」


約束が違う!この前事務所にきっぱり言ったはずや。


「彩子は・・・やってみたいの!」


わかってるよ・・・。いちばんCMの仕事が生き生きしているくらい・・・。引退前最後のデジカメのCMはすごく良かった・・・。北野彩夏がCMに出ると何でも売れるって言うのはよく聞く話・・・。もちろんOKするしかないやろ・・・。もちろん俺との入籍は内緒の話・・・。また始まるんか・・・。2人の関係を隠す生活が・・・。もちろん俺が結婚しているこのも世間では知られていないのは確かやけど・・・。また議員宿舎に移るかな・・・。


「いいよ。彩子の好きにしたらいいけど、ちゃんと大学の単位は取れよ。」
「うん!」


まあ彩子は大分単位をとってるもんな・・・。四年で楽できるくらいの単位は取れる予定やし・・・。なんだかんだ言って彩子は要領がいいから、いい成績で単位をとっているんやもん。


俺たちは二階堂と一緒に朝食を食べる。


「二階堂、日程中いっぱい2人の写真を撮ってくれへんかな・・・。」
「おう。了解。どうしたんや、朝から暗いで。泰明らしくない。」
「ん?ちょっと、いろいろあってな。」
なら公園
チェックアウトを済ませ、駐車場にある車に荷物を積んでから奈良公園を歩き回る。さすがに紅葉がきれいだ。俺と彩子はラフな格好で歩き回る。(もちろんめがねはなし!)その後ろをスーツを着た秘書の二階堂がカメラ片手についてくる異様な感じや。二階堂はもちろん仕事中みたいなもんやから、IDカードを胸ポケットに忍ばせ、胸には党のバッチを付けている。二階堂は東大寺のチケットを購入してくると、俺たちに渡す。いろいろなところで彩子と記念撮影をした。もちろん二階堂は楽しそうなスナップ写真も撮ってくれた。ホントに二階堂に来てもらって助かったな。ほかの秘書じゃここまでしてもらわれへん。


「和気、そろそろならを発たないと・・・。」
「もうそんな時間?」


ホテルの駐車場に戻り、車に乗る。国道24号線から京阪和道に入って、宇治方面に入る。京都市内に入り、京都駅上のホテルにチェックイン。時期的にいい部屋しか空いていなくって、セミスイートを・・・。二階堂は実家が近いので、実家に泊まることになる。実は俺は京都には詳しいんや。中学から進学校で有名な洛南に行ってたしな。通うの大変やったから、親戚んちに下宿してたけど。もう京都市内は庭。中学から一緒に二階堂と遊びまくってたんや。


次の日、朝起きて、スーツに着替える。今日は氏寺神護寺に行く予定。ここは和気家の祖の墓がある。霊園には代々うちの墓もある。ここにくるとなんだか落ち着くんだよね・・・。やはり縁があるんやろか・・・。あまり前世とかそんなものは信じないほうやけど、やはりここにくると信じたくなるような事が何度も感じた事があった。まあそれがなんなのかはわからないけれど・・・。懐かしい感じって言うんやろか・・・。寺参りを済ませ、墓参りをする。きちんと先祖にいろいろ報告をする。彩子もきちんと手を合わせ、何かを願っているんやろうか・・・。ふと彩子が俺に言うんや。


「一時期ね、前世占いって流行ったことあるでしょ。彩子占ってもらった事があるんだ。大昔彩子はお姫様だったんだって。いろいろ苦労した・・・。最後はお医師様と結婚して幸せになったって・・・。ホントかな。」


そういえば10年程前に流行ったよな。そういえば俺も見てもらったな・・・。


「和気さんも見てもらったことある?」
「ん?」


すると二階堂が口を挟む。


「和気は前世もその前もずっと医師だったらしいよ。今現世は医者じゃないけどな・・・。代々和気家に生まれ変わってるってよ。」


そういえばそんなこといわれてたんや。別に占い師に家系が医者やって言ってなかったのに、ずばりあなたの家系は医者でしょからはじまり、特に俺は何代も何代も優秀な医師として生まれ変わってるって・・・。ということは彩子と会っているかもしれない?ま、そんなことは信じない性質だから・・・。それなら何で今の俺は医者ではないんやろ。前世を否定したかったから?決められたような道筋を嫌った?だから医者を辞めたのか?10年前の高校時代の気持ちなんておぼえていやしない。そんな話をしていたからか、夜変な夢見たやんか。ホンマ相当昔の時代・・・。


まあ気にしない・・。寝起きが悪かった・・・・。


「大丈夫?結構うなされてたよ。」
「変な夢見たんや・・・あんなはっきりした夢は初めてや・・・。」
「和気さんらしくないね・・・。」


彩子は俺の汗を拭いてくれた。前世の夢?そんなの信じない。

いろいろ京都観光をして、夕方の新幹線で東京に戻る。二階堂は新幹線のホームまで荷物を持って見送ってくれたんや。


「二階堂、気をつけてな。またこっちに遊びに来いよ。」
「おう!俺も楽しかったよ。地元のことは任せておけ。そうそう、これ読んどけ。和気、忘れもんないか?」
「もしあったら議員会館のほうに送ってくれ。ほんま4日間ありがとう。」


二階堂は紙袋に入った週刊誌や新聞を渡す。そしてのぞみが見えなくなるまで見送ってくれたんや。



ドリーム・クエスト (14)内々定!~どこにすればいい???

 大阪から帰ってきて何日たったのかな・・・。もう返事の期限がとっくに過ぎたFと、A、そしてテレビAから返事があった。ってことはTとMはだめだったってことね・・・。よく考えるとテレビAとAって同じ系列局。TとMもそう・・・。ということはやはりその局のイメージに合うか合わないか、なのかな・・・。FとテレビTに関しては取締役面接がありますって言われた。Aか・・・。在阪局なのよな・・・。一応内々定ってことを知らされた。


「A放送受かったん?すごいやん。おめでとう!」


もう寝る前の和気さんはすごく喜んでくれた。大阪か・・・。


「和気さん、まだFTVとテレビAの最終面接が・・・。」
「気軽に受けて来いよ。とりあえず、ひとつは内々定もらったんやし・・・。いつや?今度の面接は?」
「明日と明後日・・・。出来ればこっちの局に行きたいな・・・。」
「何でや?」
「だって大阪勤務だったら、和気さんと別居だよ。」
「あ!!!!そうや~~~~~!だめやだめ!大阪は地元やからえっかなって思ったんやけどそうや、俺はなかなか地元に帰られんのやった!!!!」


今頃気づいたんだね・・・和気さん・・・・。


「じゃあ、俺が明日と明後日の面接受かるようにおまじないをしたる。」


和気さんは彩子をそっと押し倒して久しぶりに・・・。ずっと彩子は就職活動の疲れから、ベッドに入ると和気さんとの夜の夫婦生活をする前に寝ちゃってたんだもん・・・。やっぱり大学行きながらの就職活動って疲れるよね・・・。和気さんは私にパワーをいっぱいくれた。そういえば和気さんと付き合うようになってからだもんね、何事にも上手く行くようになったのは・・・。和気さんは彩子を抱きながら言ったの。


「就職活動終わったら、旅行に行かへん?」
「旅行?」
「遠くにはいけないけれど、休みを取っていこうや。」
「どこ?」
「京都と奈良・・・。彩子と結婚してお盆に墓参りに行こうと思ってたんやけどな、夏にいろいろあったやん。行けんかったやろ。だから俺らの入籍報告もかねて墓参りに行こうや。」
「でもなんで京都と奈良?」
「あのな、うちの和気家の発祥は岡山の和気町なんやけどな、奈良にも小さいながらむっちゃ古いお墓があるしな、京都高雄の神護寺はうちの氏寺なんや。先祖代々のお墓がある。観光半分お参り半分かな・・・。いいやろ。」


ふうん・・・すごく古い家系だって知っていたけどね・・・。まあうちも平安時代中期ぐらいからのおうちだし・・・。よくわかんないけど・・・。がんばって和気さんと旅行に行くんだ。久しぶりだよね・・・和気さんと一緒に泊まりで出かけるって・・・。


次の日さあ!最終面接。もう早く決めて和気さんと旅行に行くんだ。朝早く起きて!気合入れて、きちんと髪とお化粧を清楚に・・・印象よく整えて・・・。さあお台場!FTV!なんと面接は4人男一人に女三人・・・。男の子ってこの前声をかけてきたうちの一人・・・。ああ、いやだな・・・。もしここ通ったら一緒に仕事するのか・・・。

柳生弘 「やあ、また会ったね。俺たち縁がありそうだ。俺の名前は柳生弘(やぎゅうひろむ)よろしく。」


(ないない・・・。)


彩子はしつこい男が嫌い!ま、和気さんと比べてスタイルいいし、テレビ向きって感じだけどね・・・。彩子はホントにこんな男嫌い。


「和気彩子さんどうぞ。」


え?今日は彩子からなの?中に入ると社長さんとか、ずらっと取締役ばかり並んでいる。彩子お得意の業務用スマイルで面接開始よ。もちろんモデル時代に鍛えた綺麗に見える座り方で座って・・・。和気さん、彩子、がんばるからね。前の面接と違って和やかなのは気のせいなのかな・・・。聞かれたことにすらすら微笑みながら答えるの。聞いた話によると、ここで内々定がいただけるか、即わかるみたい。さあ!そろそろ結果が・・・。


「ところで、和気さんはほかにどこか内々定をもらっているの?」
「はい・・・。一応大阪のA放送に・・・。」
「そう、ではそちらをすぐに断ってもらってもいいでしょうか。ぜひうちに来ていただきたい人材です。」
「え?」
「和気さんは、こういう世界に慣れていますからね。即戦力としてきていただきたいくらいです。話題性もあるし・・・。で、まだどこか受けるのですか?」
「はい・・・。あとTVAを・・・。」
「そうですか。では内々定を出しますので、結果が出次第、よく考えて返事をください。まあうちとしては条件面は考慮させていただきますが。」


封筒に入った書類を渡され、彩子は面接室を出たの。もちろん中身は内々定の書類と、これからのことについて書かれた紙。

彩子はね、きちんと挨拶をして局を出たの。足取り軽やか・・・。ついスキップなんかでちゃったりしてね・・・。朝、和気さんは結果出たら早く連絡ちょうだいって言ってたけど、内緒にして驚かせてやるんだ。明日はテレビ朝日か・・・。通勤はこっちのほうが近いんだよね・・・。

「ちょっと待ってよ!和気さん!」


あああのしつこい男か・・・。彩子は溜め息をついて振り返ったのよ。


「俺も内々定もらったよ。ほら!」


見たくもない。


「ちょっとお茶でもしない?」


もちろん丁重にお断り。早く帰って夕飯の買い物に行かなきゃ。すると和気さんからの電話。


『もしもし?彩子?どうやった?』
「内緒。で、何?」
『今日さ、飲み会が入ってな。夜いらんわ。で、どうだったの?』
「和気さん、早く帰ってきたら教えてあげるよ。」
『え~~~~!じゃあ断って早く帰るわあ。ちゃんと夕飯作っといてな。』
「わかったよ。早く帰ってきてよ。超特急で。仕事残ったら弐條のお兄さんに任せてさ。」
『あいよ。弐條に任せて帰るわあ・・・。』


私はニコニコがおで電話を切ると、まだあの男がしつこく側にいるの。


「ねえ誰から電話?」
「家の人。家族から。ごめんね、早く帰って夕飯の支度しないといけないから。」


彩子は走ってその男から逃げたわよ。今日はこれから大学ないから、東京臨海高速鉄道東京テレポートから大崎まで出て恵比寿、そして東京メトロの広尾まで帰ってくる。上手くいったら30分ちょっとか・・・。買い物を済ませてやっとのことで家に戻ってきたの。ああ、もう5時か・・・。6時には和気さん帰って来るよ・・・。さっさと着替えてお化粧を落としたあと、急いで夕飯の支度。パパももう帰ってくるんだよね・・・。


「ただいま・・・。」


あ!何でこんなに早く帰ってくるのよ。和気さんはもう!


パパがいない時は決まって和気さんは彩子にただいまのキスをしてくるの。今日は何?ぎゅっと抱きしめられて、濃厚なキス・・・。いつもは頬か軽く唇に・・・。


「どうやった?今日さ昼から仕事どころじゃなかったんや・・・。」
「ん?うかったよ。ぜひ来て欲しいって・・・。明日は朝日だけど?」
「良かったやん!明日もガンバレや。A放送はどうするんや?」
「大阪は別居になるから断るよ。和気さんはなしてよ・・・。ご飯作れないよ。」
「あ、ごめんごめん・・・。」


パパは思ったよりも帰ってくるのが遅そうだったから、先に2人で食事を済ませたの。もちろん今日の出来事はすべて話したの。あの男のこともね。和気さんは笑っていたけど。


「じゃ、休みを調整しておくよ。こういう時は広報担当が2人って楽だね・・・。」
「うん。楽しみにしているね。」


和気さんと2人で仲良く後片付けをしたの。パパは結局10時過ぎに帰ってきた。

次の日は自転車でも行けるテレビA。ここは淡々と面接が終わって、普通に内々定をもらった。Fほど、熱意は感じられない。今日のうちにA放送はお断りの電話を入れておいたし、後は熱意のあるFか、家から近く通勤楽々のテレビA・・・。このふたつからひとつ決めないと・・・。ああ悩んじゃうわ。早く返事を出さないと失礼に当たるし。本当に贅沢な悩み・・・・。あ、Fを選ぶとあの男がついてくる可能性大!いやだな・・・勘違い男っぽいしね・・・。く~~~~~~究極の選択だわね!

ドリーム・クエスト  (13)彩子就職活動開始!

 彩子はアナウンサーになるのが夢なのよ。アナウンサーになるためにはもう3年生のころから就職活動をする必要があるの。特にキー局はね。もちろんキー局をはじめ関西のテレビ局に履歴書を送ったわよ。彩子が今年の春までタレント業していたことに影響はあるのかな?それとも和気さんと入籍していることももしかしてある?別に既婚者はだめってかかれていないでしょ。応募したっていいじゃん。


11社履歴書送って、返事があったのはやはり民放10社・・・。とりあえず説明会を兼ねた一次試験を受けることになったの。履歴書の段階で随分落とされるって聞いたわ。すべて日にちがばらばらだったのが天の助け、また在阪テレビ局のうち、東京支社があるところは東京で試験をさせてくれた。


1次試験のほとんどは筆記・・・。小論文を書かせるところがあったり、一般常識のところ・・・いろいろバリエーションがある。一応10社受ける。返事は半分の5社・・・。関西が2社に東京が3社。ここまでで結構絞られるらしいんだけど・・・。はっきりした数はよくわからない。


和気さんはここまで残った彩子を褒めてくれたの。すごいすごいって・・・。


「で、彩子はアナウンサーになって何やりたいんや?」
「スポーツアナとか、バラエティーとか・・・。いろいろたくさん人と出会えるところがいいな・・・。」
「そういえば伊藤さんの奥さん東京放送の女子アナやったな・・・。で、どこが残ってんの?」
「東京がT、テレA、Fテレビ。関西がMとAなの・・・。」
「かたよとんな・・・。まあFテレビが彩子を残す理由がわかるけど・・・。いつやねん。2次は・・・。」


ホント明日から毎日のように2次面接・・・。これさえ通れば内定ほぼ確定かもしれない。会社によってはこのあと取締役との面接があるらしいけれど・・・。ああまだ卒業まで1年半もあるのにな・・・。


彩子はきちんとリクルートスーツを着て、長い髪の毛を清楚にまとめる。お化粧も印象よく・・・。和気さんは補佐官になってから毎日朝から晩まで忙しそうに家を出て行く。


「彩子、がんばってこいや。応援してるしな。」
「うんがんばるね・・・。」


彩子はパパと和気さんを送り出して今日の面接先お台場に向かう。ゆりかもめを降りて、有名な社屋を目指して歩く。数人のリクルートスーツを着た学生が通り過ぎていく。ああ、緊張・・・。彩子はここには北野彩夏として何度か来た事がある。今回は違うもんな・・・。彩子は嘘つくのが嫌いだから、きちんと履歴書に高校時代からこの春までモデルをやっていたことと、今年のお正月に和気さんと入籍したことも書いた。それを知った上でここまで通ったんだから別に構わないってことよね・・・。


さあ面接会場。男5人の女7人・・・。ここから何人採用されるんだろう。みんな彩子よりも優れているように見える。彩子を見て何か話している男子学生。指定された控え室の椅子に座り、呼ばれるのを待つ。私は最後かな・・・「わ」だから・・・。


「つぎ、和気彩子さんどうぞ。」
「はい!」


彩子は深呼吸をして緊張をほぐす。別に緊張は苦手ではないよ。こういうのはなれているんだし・・・。何度もオーデション受けたことあるし・・・。人前に立つのは好きなほう。


面接会場の前に立ちドアをたたく。返事があり中に入ると、ずらっと並ぶ面接官。人事関係の人もいるんだろうけれど、有名なアナウンサーもいる。


「和気彩子と申します。」


彩子はきちんと挨拶をして椅子に座る。もちろんモデル経験のある彩子は椅子に座るのも綺麗に座れるもん。一番綺麗に見える座り方って言うのを心得ているしね・・・。そしてきちんとした姿勢。これが大事。マニュアル通りの志望理由やらを聞かれ、難なく話す。するとひとりの面接官であるアナウンサーが話しかける。


「和気彩子さん、あなたどこかでみたことがある顔だけど?」


あ、きたきたって感じ・・・。もちろんこのアナウンサーとは一度だけ番組で一緒になった事がある。


「この春まで、モデルやタレントをしておりました。」
「ほう・・・。芸名は。」
「北野彩夏です。」
「ああ、あの子ね・・・。」
「その節は大変お世話になりました。いい経験をさせていただき、感謝しております。」
「で、どうしてやめてしまったのですか?」
「はい、どうしても夢でしたアナウンサーになるため、そして学業優先にしたかったからなのです。」
「そう・・・。」


面接官は何かこそこそ話しながら、ついに和気さんとのことを聞いてくる。


「今年に1月に入籍をされているみたいですね・・・。ご主人の和気泰明さんは何を・・・。」


(そこの履歴書に書いているじゃない・・・。聞きたいの?)


「主人の和気は、衆議院議員をしておりまして、現在内閣広報担当補佐官をしております。」
「どうして入籍を?もしかして子供がいるとかではないみたいだけど?」
「はい、主人の仕事の都合といいますか・・・。」
「代議士の妻としてやっていったほうがいいんじゃないですか?」
「いいえ、主人も私の夢を理解してくれています。そしていろいろと協力も・・・。」
「はいわかりました。結果は通過者のみお知らせした頃に・・・。いいですよ。」


彩子はきちんと挨拶をして面接室を出たの。ああ、だめかな・・・。そうよね・・・代議士の妻は大変だもの・・・。特にまた何年かしたら選挙もある。でも本当は内緒にしないといけない内容を夢のために言っているの。マスコミに和気さんとのことをさらけ出しているんだよ・・・。それなりの覚悟をしてきているんだから・・・。


彩子は社屋を出ると和気さんに電話をする。


『彩子?どうだった?』
「だめかも・・・。いろいろ和気さんのことも聞かれたから・・・。」
『そっか・・・。でもきっとどこの会社でも聞かれるわ。どっか引っかかればいいな。じゃ俺はまだ仕事中やから、きるわな。』
「うん。」

ドリーム12 駅まで歩いて数分。改札口前で一緒に面接を受けた男の子たちに声をかけられる。


「あの、君は北野彩夏でしょ。きっとそうだよ。」
「いえ違います。すみません急いでいるので・・・。」


そうよ彩子は今から大学に行かないといけないのよ。新橋駅までしつこく聞いてくる。


「ごめんなさい。本当に・・・。今から大学があるから・・・。」
「どこ?」
「東大です。」


彩子はもう我慢できなくて、新橋からタクシーに乗って大学に行ったのよ。もう要らないお金を使ってしまったわ・・・。和気さんに言って臨時のお小遣いをもらわなきゃ。大阪に面接も行かないといけないのに・・・。ま、日にちが続いているから、何往復もしなくていいし、お婆ちゃんの家に泊まるからいいんだけど・・・。


TもTVAも同じようなことを聞かれた。やっぱり彩子の芸歴と旦那様、和気さんの事が気になるみたいね・・・。彩子はこれでも帰国子女でバイリンガルなのに・・・。そういうところは見てくれない。もっぱら芸歴と和気さんのことばかり。そして決まって同じ試験を受けた男子学生が彩子に声をかけてくる。今日のTVAの時は最悪。写メまで撮られた。


実は彩子、去年末までにいろいろ写真集(グラビア写真ではないよ・・・和気さんに怒られたもんね・・・。)とかカレンダーを発売したり、ブログなんかもやってたりしたの。公式ブログはやめちゃったけれど、匿名で別のブログサイトで日記風のブログを書いている。ま、和気さんのこととかは書かないけれどね・・・。写真集とかはまだまだ人気があって、オークションサイトでは結構な値段がついていると聞いた事がある。だって彩子はもう引退した身。写真集は廃盤にしてもらっているし・・・。あ、そういえばモデル仲間三人でCDも出したよね・・・。その印税が少しだけど未だに入ってくる。公式ブログは更新していないにも関わらず、毎日相当のアクセスがあるみたいで、事務所も削除したくても削除できない状態・・・。この前も元マネージャーさんから電話があって、ちょこっとでいいから復帰できないかなって言われたの。それだけFANの要望が多いらしいのよ。でもきっぱり和気さんに変わってもらって断った。彩子はよく街で声をかけられるんだけど、いつも他人の空似の振りしてる。


そろそろFテレから結果が来そうなものだけど・・・・。やっぱりだめだったのかな・・・。ドラマもそこだったのよね・・・。さあ、次は関西ローカル・・・。


運よく面接は週末だった。やはりローカルよね・・・。もうだいぶんこの段階で絞られてる。数が少ない。ああ懐かしい関西のノリ・・・。普段は標準語をしゃべる彩子もつい面接で関西のイントネーションになってしまった・・・。もちろん家では和気さんが関西弁でしょ。つい自宅では関西のイントネーションになる。やばいな・・・。やはりここでも同じことを聞かれる。でもさすが地元・・・。和気家の知名度は高い。まあそれが合否につながるってことはないけれど・・・。でもこっちに決めたらホントに和気さんと別居だよね・・・。毎日補佐官で朝から晩まで官邸にいるんだから・・・。こういうことを聞かれたもの事実。適当に答えておいたけれど・・・。

彩子は最後の面接があったMを出ると、ロフトの前で和気さんが待っていてくれたの。


「あれ?和気さん。わざわざどうしたの?」
「ん?ちょっと心配になってな・・・。無料航空券を使ってきてしまったんや。プライベートで使うのはどうかと思ったんやけどな・・・。使えるときに使っとかな・・・。」


そう国会議員には月4往復の無料の航空券がある。和気さん自身補佐官という仕事柄、地元には帰れないでしょ。総理の地方の公務についていくぐらいだから・・・。ま、弐條のお兄さんは電車事故の後遺症で電車に長時間乗れないって事があるから、飛行機以外で行く地方はみんな和気さんが行くことになっているのよね・・・。


「実家にいったの?」
「ん?いいや・・・。行ってないというか行けないんよな・・・。母さんが今かんかんに怒ってるんや・・・・。勝手に入籍したから・・・。親戚一同に彩子が芸能人やってたことばれたしな。地元のことは地元にいる秘書や事務所の人に頼んでるんや。今の仕事じゃなかなか帰れんやろ・・・。」
「そっか・・・。」
「特に敏明がもうカンカンなんやって・・・。あいつ彩夏のファンやったしな・・・。俺が彩子を独り占めしてるからおこっとる。父さんは別にいいとは言ってるんだけどな。母さんが一番厄介だ・・・。」


彩子と和気さんはね、そのままJRに乗って(和気さんはタダ・・・。)新大阪から、新幹線に乗って帰るの。だって和気さんは明日仕事でしょ。普段のスーツじゃないし、議員バッチもつけていないから、駅員さんに国会議員の乗車証を見せた時に変な顔をされたんだよね・・・。まあ滅多に国会議員がこんなもの関西で使わないから、どうしたらいいのかわからないのかもしれない。


帰りの新幹線ももちろん和気さんはグリーン車。混んでいるとはいえ、なぜか2席だけ残っている。噂で聞いた国会議員席。マジであるんだって思ったよ・・・。窓口で乗車証を見せて、彩子の分だけ代金を支払い、彩子の分だけ乗車券を受け取る。。


「すごいな・・・噂はホンマやったんや・・・。この夕方の時間ってグリーンでも満席になるんやけどな・・・・。」


感心している場合じゃないでしょ。彩子の座席番号を見ながら席を探すと、やはりあった!出口近くに・・・。ホントに満席なのにここだけ・・・。和気さんと彩子はそこに座って車掌さんの改札を待つ。ホントにドキドキもの・・・。ついに来た来た車掌さん。和気さんは彩子の分の乗車券と、パスケースに入っている国会議員乗車証を車掌さんに見せる。


「これ、いけるよね?」
「はい、もちろん。ご苦労様です。」


彩子はリクルートスーツ着ているから和気さんの秘書に見えるかな?和気さんは弐條さんと共に政界のプリンスとか貴公子とか言われてマスコミにも顔を知られているから、もしかして顔パスできるかもしれないけど・・・。でも言っちゃ悪いけど、和気さんはプリンスとか貴公子ってがらじゃ・・・・。顔は普通だし・・・。


和気さんはパーサーに毛布を借りて彩子の膝にかけてくれた。そして彩子の手をずっと握っていてくれたの。もちろん見えないように毛布をかけた状態で・・・。やっぱり和気さんの大きくて暖かい手・・・。和気さんの手ってグローブみたいで厚い手・・・。ホントに和気さんと手をつなぐとホッとするんだよね・・・。彩子はね、疲れと緊張からか、すぐに寝てしまったの。ああどこかの局に引っかからないかな・・・。来週いっぱい待ってこなかったらもうだめだよね・・・。彩子は携帯とにらめっこする日々を過ごすのよ・・・。携帯に出れないときは留守電に入れておいてくれるって聞いたし・・・・。ああ、どうなるんだろう・・・。ドキドキ・・・。

うまのきもち~ある競走馬物語 (4) ついにデビュー?

 僕は母さんのことを忘れようと一生懸命競走馬になるためのトレーニングをした。そしてめきめきと上達。デビュー前から注目の的。厩舎も決まった。先輩競走馬がこっちを向いて何か話しているんだ・・・。そっと耳を済ませてみる。

「あれか?例の・・・。」
「あの3冠馬の?」
「ホンマか?あいつ芦毛やん。」

わははは!!!!という風に僕にいいよる。芦毛芦毛芦毛ってうるさいなあ・・・。毎日毎日。ホントに僕は父さんの子なんだろうかと疑問に思うようになった。この芦毛は母さんの毛色なんだ!知らないだろうすごく綺麗だった母さんの芦毛・・・。きっと僕は母さんのように真っ白い芦毛になるんだ。最近だいぶん白くなってきたんだから・・・。

「やあ、カミカゼ。今日から俺がお前の世話をするんだよ。」

と、新人厩務員。僕の綺麗な芦毛を撫でながらブラッシング・・・。ああ丁寧なかけ方・・・。気持ちいい・・・。この人なら信用できそうだ・・・。

「この馬房はね、カミカゼのお母さんがいたところなんだってね・・・。そういやむっちゃ綺麗だったな・・・シラユキ・・・。馬主さんも結構可愛がっていてね・・・暇さえあれば栗東まで来ていらしたらしいよ・・・。」

そっか・・・ここは母さんのいた馬房・・・。そう思うとなんだか・・・気持ちが安らぐ・・・。(様な気がする・・・。)調教師も、調教助手もとてもいい人ばかり。ただし・・・競走馬連中のいじめ・・・・いじめ・・いじめ・・・。調教中にわざと寄ってきてぶつかりそうになったり、ウッドチップを僕に当てるやつ。噛み付いてくるやつ!!芦毛芦毛芦毛・・・。もうやになっちゃうよな・・・。そのせいで僕は対馬恐怖症・・・。あんなに上手くいっていた調教も受け付けなくなる。困った調教師さんは馬主さんを呼んだんだ。

「和気さん、このままではレースに出すことは出来ません・・・。どうしましょうか・・・。」

馬主さんは悩んでいた。その姿をみたほかの競走馬たちは・・・

(処分!処分!処分!!ぎゃはははは!!!!)

「わかりました。もうちょっと様子を・・・。デビューは年明けになっても構いませんから・・・。それとこれを・・・。」

馬主さんは厩務員さんに面子を差し出した。

「これはシラユキのかぶっていた面子です。これにブリンカーをつけてやってみてはどうですか?シラユキも怖がりでした。そのせいで勝てなかったんです・・・。」

え、母さんのだって???とても綺麗なスカイブルーも面子・・・。次の日からこの面子にブリンカーを装着しての調教。僕はもちろんがんばったさ・・・。母さんが側にいる、一緒に走るんだ・・・・。走って走って天国にいる母さんの期待に添えるような競走馬に・・・。
kamikazetakesitayuu  ついに決まったデビュー!鞍上は竹下悠って言う若手ジョッキー。馬主さんのお気に入りと聞いた。ちっちゃい男・・・。いろいろのジョッキーの中でも小さいんじゃないか?パドックで馬主さんと何か話している。さあデビュー!!もちろん注目馬。一番人気。よしがんばって母さんを喜ばせてやるんだ!!!そして馬鹿にした競走馬たちを黙らせてやる!!!