明るい家族計画 (9)妊婦生活~旦那様の過去編 1
旦那様との愛の結晶の双子ちゃんを妊娠中のあたし、もう6ヶ月になりました。
早いもんね・・・。普通の妊娠ならもう安定期にはいるんだけど。多胎妊婦には安定期などない!双子発覚後すぐに安静指示が出ているんだもの。でもそんなにすごいものじゃなくって、近所くらいならお散歩程度歩いていいって言われたのよね。まあ内緒で大学に通ってたりなんかしたけど。学生生活最後の試験も何とかクリアしてあとは卒業!でも、卒業式にでられないから、旦那様が代わりに卒業証書をもらってきてくれる約束なの。
早ければあと3ヶ月で生まれてくる。先生は出来るだけ帝王切開をしないようにがんばりましょうって言ってくれて、なんでも親身に相談してくれるいい主治医の先生。予定日は6月中旬のはずなんだけど、双子ちゃんでしょ、ひと月早いかもしれないって言うのよ。もう結構お腹は大きくって、知らない人がみたら8ヶ月くらいに見えるのよね。今のところ、ウテメリンって言う張り止めのお薬のみで、生活できているから、まあ順調なのかな?
双子を妊娠してからね、ブログをはじめたの。もちろん双子ちゃん妊婦日記を毎日つけてるの。結構お友達が出来ちゃって、いろいろ相談したりして楽しいのよね。
光子さんもあたしをとても親身にお世話してくれて、よく散歩に付き合ってくれる。もちろんあたし達のワンちゃん白いミニチュアシュナイザーのマックスを連れて。
「若奥様、今日は暖かいですし、マックスちゃんと一緒のお散歩でも行きましょうか。」
「そうね・・・。今日は本当に小春日和よね・・・。最近マックスと散歩に行っていないし・・・。」
あたしは暖かくして、近所の有栖川宮記念公園へ散歩に出かける。あたしと久しぶりに散歩が嬉しいのか、マックスは飛び跳ねながら散歩を楽しんでいるの。もちろんリードは光子さんが持っているんだけど・・・。
日のよく当たるベンチに腰掛けて、あたしは本を読む。小説読んだり、育児書読んだり、赤ちゃんの命名の本よんだり・・・。ここの公園の裏にはいつも通っている愛育病院があるから、何かあっても安心なのよね・・・。
マックスはあたしの側にちょこんと座ってうとうとお昼寝をしている。光子さんはその間にナショナル麻布スーパーで夕飯のお買い物。あたしは元気な赤ちゃんたちの胎動に幸せを感じながらひなたぼっこ・・・。
ホントに幸せ・・・。
時折赤ちゃんたちに話しかけながら、お腹をなでる。
するときちんと反応してくれるから嬉しいのよね・・・。
うふふ・・・。
こういうのに参加しています^^;
ハッピークエストっていうコミュニティーサイト知っていますか?私はそこの会員です。
眞鍋かをりさんがしゃちょーをしてる会社形態のサイト。
そこの有志で企画しているブログに参加しています。現在登録数7名
happyquestメンバールーム『創作広場:』 といいます。
絵を発表したり小説書いたり作品発表の場を提供しています。
もしよろしければごらんください。
私は今小説の掲載を開始しました。今書いているもののネタバレなんですが・・・。
ですので小説関係のブックで私のイラストを見つけたら私なので・・・。驚かない(?)でください。
時計の事があまり得意でない私がみた感想^^;(ブルガリ ディアゴノ GMT)
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実物みたけど、定価70万する割にはちゃちなのよね^^; 50%OFF無金利24回払いで売っていた。同じ価格で結構いいもの買えるかも?オメガとか・・・。
やはり半分以上ブランドネーム代???本体はかっこいいんだけど、ベルトが超ちゃち。カクカクしていて腕につけたら痛そう。デザイン重視って感じ。見た目より軽い!!!
ブルガリの時計が欲しいんだって???馬鹿じゃないの?セイコークレドールの限定モノ(定価35万くらい)を筆頭にオメガシーマスターのごついやつ(定価54万くらい)。オーディマ(定価100万くらい・・・中古で破格の20万でした^^;)など6個。毎日時計を変えられるのです。
どれだけ持ってたら気が済むんだろう・・・。あほかお前はっていいたいですね^^; そんなお金があったらガスコンロと洗濯機とかを買ってくれ・・・。 はいはい私の愚痴でした^^;
ちなみに中身はブルガリのムーブメントらしいんです。旦那としては以前出していたオーディマのムーブのやつが欲しいらしいのですが、中古でも一桁違うので手を出せません。
ブルガリ好きの方には申し訳ないんですけれど、時計の価値などわからない私の勝手な感想なのでご了承ください。
旦那の最終目標は・・・・考えるだけで怖いです。
私はオメガシーマスターひとつで十分です・・・。
明るい家族計画 (8) 内閣官房副長官私設秘書・和気の恋 2
俺は12月31日、弐條の自宅を再び訪れたんや。
なぜって?年明けまでここに彩子ちゃんがいるって聞いたしな・・・。
「あれ?和気さんどうしたんですか?」
「あ、弐條。」
何俺は驚いてんやろか・・・。当たり前やないか・・・ここは弐條の自宅やし、弐條も俺も仕事納めを済ませて何かない限り出勤しなくていいんやから。
あとは仕事始めまで休みって言うわけや。(ま、急な休日出勤はあるときはある。)
「彩子さんいるかな?」
「あ、いるけど・・・。彩ちゃーん!」
彩子ちゃんは昨日と変わらない笑顔で、俺の前に現れたんや。やっぱしかわいいやん!
「あ、和気さん!なに?」
「ちょっと近所まで来たから・・・今空いてる?」
「うん。いいよ。」
俺は彩子ちゃんを誘って広尾のお洒落なイタ飯屋に誘ったんや。ここは前々からええでって弐條に聞いてたイタ飯屋や。
ランチをご馳走にして、いろいろこの前の話の続きをしたんや。そんで俺は意を決してデートに誘ってみたんや。
「よかったら、二人で初詣いかへんかな・・・。もしかして友達や彼氏と?」
「ううん・・・。予定はないよ。うれしいな・・・。友達はみんな彼氏とデートだし、彩子は今彼氏いないもん。」
そっか、彼氏いないんだ・・・。やった!
「じゃ、今夜の11時くらいに迎えに行っていいかな・・・。お父さんはいつ帰ってくんの?」
「パパ?3日だったかな・・・。今、年越し演習中だから。11時ね。待ってるよ。」
なんて嬉しそうな顔をするんやろうか・・・。むっちゃかわいいやん。俺は彩子ちゃんを弐條のマンションまで送って別れたんや。もちろん携帯の番号交換は赤外線通信で・・・。ああこれが俺らの赤い糸やったらいいのになあ・・・。
「和気さん、これもって帰ってよ。うちの奥さんの手作りだから。お裾分け・・・。」
「え?」
「おせちだよ。関西風だから美味いよ。」
「ありがとう・・・。」
え?弐條の嫁さんって若いのにおせちまで手作りするんや・・・。すごいかも・・・。
家に帰って開けてみたらやっぱりすごい。どっかで買ったやつみたいや・・・。黒豆もしわひとつない綺麗な状態で煮てあるし、きちんと慣例どおりの物を詰めてある。弐條ってホント幸せやなあ・・・。そういえばいつも持ってきている弐條の愛妻弁当はいつも幕の内のような弁当だった。料理うまいんや・・・。うらやましい・・・。彩子ちゃんはどうなんだろ・・・。
俺は大晦日の夜11時に弐條の自宅に彩子ちゃんを迎えに行ったんや。俺は気合入れてお洒落したんやで。もちろん彩子ちゃんは神戸ファッションでお嬢様って感じの格好。やっぱりセンスいい子や。そこらのコギャルやお水っぽい女なんて目じゃないやん。やっぱし俺の目は確かかもしんない。きっとこの子もお姉さんのようにむっちゃ綺麗な子になるで・・・。
「ちょっと待たせてしまったみたいでごめんなさい。」
「いいよ。構わん。」
彩子ちゃんはちょっと顔を赤らめて苦笑する姿・・・。おお!!って感じ。
俺は東京で有名な明治神宮に初詣にいったんや。やっぱし人、人、人で、俺らの密着度は最高!迷子になりそうやったから、俺は彩子ちゃんの手を握ったんや。そしたらぎゅっと握り返してくれてなあ・・・。もう俺の心臓は爆発しそうやった。
やっとのことで賽銭箱の近くについて俺は賽銭を投げて神頼み。
(彩子ちゃんといい関係になれますように・・・。出来れば結婚したい・・・。)
なんて祈ってたんや。今考えると恥ずかしいこと・・・。
人ごみを外れて夜の表参道を手をつなぎながらあるいたんや。やはり年が明けたばかりの夜や。周りはカップルばかりで、気分は最高潮・・・。ぶらぶら渋谷まで歩いて、俺の自宅近くの恵比寿まで・・・。
「うち来る?お腹すいたやろ?今日弐條のとこでおせちもらったから一緒に食べへん?」
「ん、んん・・・。」
やった。部屋を大掃除しててよかったぜ。俺の家は恵比寿郵便局の近く。弐條みたいにいいマンションやないけど、一人暮らしするにはいい大きさの1LDK。家賃は10万台。地元宝塚でもここまで高くないんやけど。給料の三分の一は飛んでいくんや。まあ仕事仕事であまりお金使うことないからたまる一方で、マンションの頭金ぐらいの蓄えはある。
俺は彩子ちゃんを紳士的に招きいれて、お茶を入れる。彩子ちゃんは微笑んで僕の入れたお茶に口をつける。俺は昼間もらった、弐條の家のおせちを出して食器棚から小皿と割り箸を出す。そして彩子ちゃんは未成年やから、温かいお茶を入れなおし、俺は冷蔵庫から缶ビールを取り出す。彩子ちゃんはいろいろ取り分けてくれて、一緒に話しながら食べたんや。やっぱし弐條の嫁さんの料理は美味い。もしかしたら料亭の大量生産されたおせちよりもうまいかもしれん。
「彩子ちゃんのお姉さんって料理美味いなあ・・・彩子ちゃんも料理すんの?」
「ん?彩子はするけど、お姉ちゃんほどうまくないよ。パパはおいしいって食べてくれるけどね。」
「じゃあ、彩子ちゃん、今度、俺のためになんか作ってくれへんかな・・・。」
「え?」
「この俺でよかったら付き合ってくれへん?」
俺は彩子ちゃんの手を握って意を決して告白したんだよ。彩子ちゃんはすごく嬉しそうな顔をして承諾してくれて、そのまま一緒に朝を迎えたんやけど・・・。
彩子ちゃんは俺のベッド、そして俺の胸の中で、スヤスヤ眠っていたんだ。出逢って数日でこういう関係になるなんてね。まあ同意の上での関係だから、問題はないと思うんやけど、彩子ちゃんのお父さんにばれたら殺されるかも知んないや。
完璧に日が昇ったあと、俺は弐條のマンションまで彩子ちゃんを送ったんやけど、弐條は俺の疑いの眼差しで見つめてたんや。
「もしかして和気さん・・・彩ちゃんを・・・。」
「え?何のことやろ?まあこれから彩子ちゃんと付き合うことになるからよろしくな。」
「なんかあったらきちんと責任取るんですよ。結局和気さん、モテるんじゃないですか。前まで俺はモテへんとかいっちゃって・・・。」
「弐條!またいろいろアドバイス頼むな!特にお父さん攻略を!」
「まあまあ・・・誠意を持って彩ちゃんを大事にしたら大丈夫だと思いますよ。」
ホント弐條ののほほんとしたところはちょっとむかつく事があるけど、反対していないようやし、ま、安心かなあ・・・。
ホント俺って運がいいかも・・・。
学生時代まではいろんな女と付き合ってたが、みんな俺の家目当てだったし、(世に言う玉の輿?)まあ今回彩子ちゃんはそんなことなさそうやな・・・。
目標はもちろん結婚!まあそれまでにはお父さんって言う大きな壁がある。それを乗り越えないといけないんやろな・・・。ああ今度お父さんに会うことにしよう・・・。それまで弐條にお父さん攻略法をレクチャーしてもらわないとあかん。
あ、でも彩子ちゃんは俺と結婚する気あるのかな?
それが一番の問題だ・・・。
明るい家族計画 (8) 内閣官房副長官私設秘書・和気の恋 1
俺の名前は和気泰明っていうんや。年は25。今は俺は母方の伯父で官房副長官平清治氏の私設秘書をしてるんや。
出身は兵庫県宝塚市。宝塚歌劇で有名なところやねん。実家は阪急雲雀丘花屋敷って言う駅の近くにあって、大阪平野を一望できる家に家族は住んでるんや。
うちの実家は関西でも有名な総合病院を数軒持っている、医者一家。兄弟四人いる中で一番上の兄さん、姉さんは医者。そして俺で、下には阪大医学部にいる弟。俺だけがなぜか文系で、東大を出た。これはもうおかん(お母さん)の遺伝やなあ・・・。まあいうおかんはもともと政治家のお嬢やから・・・。
まあほかに文系を選んだわけもあるんやけど・・・。実は血が苦手、グロイ映像、もちろんホラー系はだめなんや。おとん(お父さん)は医者やない俺のことだめ息子のレッテルを貼りやがって、母方の伯父のところに掘り込まれたっていうんや。
まあ今の仕事は好きやし、小さい時の夢は総理大臣。子供のいない伯父さんの後継いでいずれ出馬。今はそれに向けて修行中ってわけや。世間では俺のこと政界のサラブレッドやっていうけどな・・・・。
同僚にはすごいやつがいるんや。
そのすごいやつ、それは弐條雅和。父親は現在の総理大臣、おじいさんも総理経験あり。叔父さんは参議院議員。今は官房長官の公設秘書しとるわ。頭も、顔も、スタイルも抜群で、もちろん家もいいとこの坊ちゃん。あと24歳って言う若さなんやけど、嫁さんがおって、もう可愛いってなんの。神戸美人なんや。でもすごく清楚で、微笑んだ顔なんてそこらのモデルや女優顔負けや。やはり弐條みたいなやつにそういう子は集まるんやな・・・。
総理Jrといっても仕事はバリバリできる。(そういや歴代の総理の息子に俳優してるやつおったなあ・・・。)雑用も文句言わないでてきぱきやって、この前の忘年会なんかな、幹事の一人として、先輩秘書たちに頭を下げるんや。ホンマに腰の低いやつ。
この前、弐條の自宅にいったんや。広尾の閑静な住宅街にあって、低層マンションの最上階角部屋。3LDKなんやけど、100平米以上ある。そうやな、俺の目利きで2億はくだらんやろな・・・。いやもっとかも・・・。多分嫁さんの趣味なんやろな、すごく品のいい調度品やカーテンじゅうたん、食器・・・。ホント趣味のいいものばかり。こんな生活に憧れるっちゅうか・・・。
今、弐條の嫁さんは妊娠中で、それも双子って言うから、安静指示が出てるらしくって、弐條が生まれ育った芦屋から光子さんって言うお手伝いさんが来ているんだよな。一応医者の家庭で育っているから、知識はあるんや。もちろん双子妊娠っちゅうのはリスクがある。それも彼女は結構細いからなあ・・・。しょうがないやん。で、そこで知り合った彩子ちゃん・・・。弐條の嫁さんの妹らしくって、俺と同じ東大に通っている才女。やはり姉妹だな・・・。よく似てる。でもこの彩子ちゃんはちょっとお姉さんとタイプが違うみたいや。やはり関西で育っているから、おもろいもんが好きみたいや。お姉ちゃんは癒し系やけど、この子はその場を盛り上げてくれるような子かな・・・。活発ではきはきしてて・・・。俺はこっちのほうが好みかも。いろいろ地元兵庫のはなしやら、大学のはなしで盛り上がってなあ、いい感じなんや。
別れ際も、「また会えるかな?」って可愛い瞳で見つめてくれるもんやから、俺はマジで彼女を好きになってしまったわあ・・・。
でも親父さんが相当厳しいらしいからそれが心配かもな・・・。
明るい家族計画 (7) 妊夫生活~綾乃の兄、自衛官・源一等陸尉編
俺は源博雅。現在30歳。職業は陸上自衛隊中部方面第3師団所属の一等陸尉。一応幹部。家族は俺と今年春に一緒になった妻、美月とお腹にいる子供。美月は妊娠6ヶ月で早々実家の代官山に里帰り。もちろん俺は中隊長やってるから、最近演習が多くて留守がちになりだしたから、美月のお父さんが早く里帰りをしろと命令したんだよ。
美月と俺は見合いだった。当時幕僚監部幕僚副長の親父の上官幕僚長に縁談を持ち込まれて、防衛庁長官の一人娘と見合い。断りきれずにそのまま婚約。半年くらい結婚前提のお付き合いをして、春に神戸北野で邸宅ウェディング。
美月はちょっとそこらの女の子とは感じが違っていて、いかにも箱入り娘。実は俺の仕事内容を知らなかったと言う経歴の持ち主。世間知らずもいいところだ。
結婚当日の初夜からそうだった。今まで防衛庁長官の一人娘と言うから、手も握らず、キスさえせずにただ会って話すだけの関係で、結婚までたどり着いたんだけど・・・。
あれは忘れはしない。 2次会を終えて宿泊予定のホテルへ帰ってさ、初夜にやることってひとつ。抱きしめて、キスして、そのまま・・・って言うのが筋書きだろ?まあキスは結婚式の時初めてしたんだけど、軽く唇と唇を当てただけ。それでも美月は目をまん丸開けて、驚いた表情だった。おかしいなって思って、向かえた初夜。俺はまず美月を抱きしめて、ディープキス。すると美月に頬をたたかれた。
「何するの!苦しいじゃない!」
「え?俺たち夫婦だよ?」
ああ、そういうことかと思ったよ・・・。まったくそういうことに初心だってこと。
幼稚園からずっと超お嬢様学校にいたといっても普通こういう行為ぐらい興味持つときあったはずなのに、なかったってことかな・・・。そこまで箱入りだとは思っていなかったよ。ああ変な子と結婚してしまったって思ったよ。俺が1からレクチャーしないといけないってことか・・・。今の時代、化石級の人物かもしれない・・・。
「ん、んん・・・。だって制服姿がかっこよかったから・・・。」
なに?俺の制服姿に惚れたって言うのか???あちゃー・・・。
「でも今は博雅さんのこと好きよ。」
「じゃあいい?今からすることは、好きな人同士がすることなんだ。だから驚かないで、俺がすることそのまま受け入れてよね。わかった?」
「は、はい・・・。」
俺はまず上半身を脱いで、次は美月をベッドに横にして、キスをしながら美月のワンピースのボタンを外していった。美月は一生懸命目をつぶって我慢しながら、俺の愛情表現を受け入れてくれたんだよね・・・。まあ何度も何度も止められたのは言うまでもないし、最後のほうはわんわん泣いてた・・・。
俺はいろいろな女を抱いたことあるけど、こんな子初めてだよ・・・。
次の日ショックを受けて、一言もしゃべってはくれなかったけど・・・。新婚旅行も指一本触れさせてはくれないほど・・・。
でもこういう子はハマると怖い・・・。新婚ひと月で快感を覚えたのか、俺が夜勤以外の日は・・・。行ってきますのキス、お帰りのキス、そして夫婦生活・・・。こんなに甘い新婚生活が待っているなんて思わなかったよ。すると新婚3ヶ月で出来ちゃいました。
まあ妊娠話はいいとして、ホントに何も知らない子で、家事一切した事がないのか、何も出来ないんだよね。しょうがないから俺がひと月かけて家事を仕込んでいったんだ。まあのみこみがはやいほうだったからよかったんだけど・・・。傍目から見ると、すごく俺が家事を手伝っていい旦那さんに見えるのかもしれないんだけど、出来ないんだから俺がするしかない。新婚当初は俺が買いもん行って美月に教えながら料理して、洗濯の干し方から掃除の仕方、いろいろ手助けしながら教えた。そのせいか今では下手だけどきちんと自分でやってくれるようになってホッとした。まあ未だに食料の買出しは2人で待ち合わせしていくけど。
俺らはJR伊丹駅近くに住んでいるんだけど、毎日俺は30分かけて自転車通勤。まあ運動は嫌いじゃないから苦にはならないけど・・・。週に数回、駅前にあるイオンで買い物をする。もちろん俺は制服で通勤しないといけないから、引っ越してきたころはみんなじろじろ見られてたな・・・。でも今ではもう店員さんと仲良くなってしまって、お勧めのものとかを教えてくれる。
「あれ?源さん、奥さんは?」
「東京の実家に里帰りなので・・・。」
「えらい早いお帰りだねえ・・・。」
「まあ俺が最近留守がちだから・・・。」
「そういえば、中東に派遣されるかもしれないんだってね?」
「んん・・・うちの部隊はどうかわかりませんが、もしかしたらいくかもしれませんね。」
「じゃ、奥さんは大変だ・・・まだ新婚さんなのに・・・。」
どの店員さんにも同じようなことを聞かれる。
本当にそう。未だに中東はまだ情勢が良くないから、国連の決議によっては陸、海、空の精鋭部隊が人道支援のために派遣されることになる。
以前イラク戦争のときも中部方面隊を始め日本中の精鋭部隊が派遣された。まあその時はまだ俺は防大にいたから、行かなかったけれど、現在、第36普通科連隊の中隊長である俺はきっと派遣されるに決まっている。
まだそのことは美月にいっていないけれど・・・。いずれ美月のお父さんである防衛庁長官から美月に伝えられるのかな・・・。年度末までには行くか決まるんだよね・・・。だから最近日本中のどの部隊も演習、訓練などが多いんだ。親父のいる東部方面もそうさ。親父は偉すぎていかないだろうけれど、俺は幹部とはいえ、まだ一等陸尉の立場だから、行かないとね・・・。
美月は喜んで送り出してくれるかな?
多分現在の首相の弐條さんは憲法9条を擁護する保守的な人だから任期が切れる9月まではもしかしたら行かないかもしれない。まあ俺が決めることではないからね・・・俺は命令に従うのみ・・・。
それならいっそ清原先輩みたいに事務的職に収まったほうがいいかもしれない・・・。 ああ、うちの家庭はどうなるんだろう。幸せそうな妹の綾乃夫婦がうらやましい。
明るい家族計画 (6) 妊夫生活~永田町秘書仲間との飲み会編 3
「うちで飲みなおしましょう!!!」という僕の提案に皆が賛同してきたんだよね・・・。まずったな・・・。ほんとに・・・。和気さんだけ呼ぶつもりが・・・。
僕は自宅に電話して5人も連れて行くといったら、光子さんが快く承諾してくれた。でもうちは基本的にお酒を置いていないから、赤坂にある酒屋でいろいろ買い込む。そしてお酒の飲めない三浦さんに僕の車を運転してもらって、タクシー1台と共に広尾の僕の自宅へ・・・。みんな新婚家庭に興味津々・・・。でもなんで田村さんまでくるんだ?まったく興味なさそうなのに・・・。きっと橘さんみたいなタイプだと思うよ。独身貴族タイプ。
「ただいま。」
「おかえりなさい。」
綾乃が笑顔で僕を合わせて総勢6人を迎えてくれた。ちょっと顔は引きつっていたけど・・・。僕は綾乃の耳元で言った。
(ごめん・・・遅くに・・・。)
(いいよ。たまにだし、彩子が来てるから・・・。)
(彩ちゃんが???)
(パパが年末恒例の年越し演習に行ってるのよ・・・。だから当分泊まるって・・・。)
まあいっか・・・。いいことないかな・・・?光子さんと綾乃は冷蔵庫にあるもので適当につまみを作ってくれて、わいわいがやがややっていた。本当に光子さんがいて助かったよ・・・。綾乃も本当なら安静にしないといけないのに・・・。綾乃は綾乃で妹の彩子と楽しそうに話していた。
「あの子は奥さんの妹です。そういえば和気さんの後輩に当たりますよ。東大文Ⅰだから。」
「ふうん・・・可愛いなあ。奥さんによく似て・・・。」
「よければ紹介してあげたいけれど、お父さんが厄介なんだよ。」
「え?」
「お父さんは陸上自衛隊東部方面総監だからね・・・。こわいかも?!」
「じゃよく奥さんと結婚できたなあ・・・それも学生結婚やし・・・。」
「お父さんは権力に弱いからね。父さんに協力してもらったんだ。まあ僕も誠意を見せたけど。」
なんか和気さんは彩ちゃんがえらい気に入った様子。
和気さんは兵庫県宝塚市出身。仕事中は標準語しゃべるけど、プライベートでは関西弁。この人といれば僕もつられてたまに関西弁になる。ホント仕事以外では関西気質の面白い人。彩ちゃんと6歳違うんだよね・・・。紹介してあげてもいいけれど、多分お父さんが許さないかも。
和気さんは酔った勢いで、早速彩ちゃんにアプローチしていた。彩ちゃんもこの関西弁で同じ兵庫県出身、東大卒の和気さんと話が合うみたいだ。超地元話で持ち上がっていたんだよ。もちろん東大の話でも。彩ちゃんもすごいすごいって言って、まんざらでもなさそうだ。綾乃がいいと言ったら縁結びでもしてやるかな・・・。和気さんは伯父さんが代議士だし、お父さんは結構有名な総合病院の理事長。お兄さんは若いが腕のいい院長という地元でも有名な開業医さん一家だし・・・。
ホントに僕の周りにはそんな家系が多いな・・・。
ところで異様におとなしい田村さん。みんなわいわいがやがややっているのに、一人黙って飲んでいる。田村さんの視線の先には綾乃と彩ちゃんそして和気さん。和気さんは関係ないとして、彩ちゃん?それとも????時折フッと口元がにやける。本当にこの人は何考えているかわからない。僕は立ち上がって綾乃を呼ぶ。
「綾乃、もう横になっておいでよ。無理したらだめだから・・・。」
「ん?んん・・・。」
「お腹張ってない?気分は?」
「大丈夫だよ。じゃあ横になってくるね・・・。」
綾乃は寝室に入って横になりに行った。僕は田村さんの視線の先を見つめる。やはり綾乃か・・・。気のせいであって欲しいけど・・・。やっぱ綾乃は綺麗だもんな・・・特に結婚してからは・・・。
相変わらず和気さんは彩ちゃんと盛り上がっている。
「あ、もうそろそろ帰る。明日地元に帰るからさ。」
「俺も!」
「そうだな・・・。弐條遅くまで悪かったな。奥さんによろしく。」
まず地方組が先に帰っていく。僕は下の玄関ロビーまで見送り、3人をタクシーにのせ手を振る。
「田村さんの自宅は?」
「俺?元麻布。じゃ、帰るわ。遅くまですまなかったね、弐條君。」
「いえ、また皆さんで遊びに来てください。」
「んん・・・。ところで、弐條は出馬するのか?」
「いえ。田村さんは?」
「んん・・・。じいちゃんの選挙区で、出馬予定だよ。神奈川4区でね。」
「そうなんですか・・・。がんばってください。」
きっと当選なんだろう・・・あのルックスで・・・。若者受けする顔だもんな・・・。鎌倉か葉山出身なのか・・・。神奈川はうちの党ひとり勝ちだからな・・・・。
ところでいつ帰るんだ?和気さんは・・・。
「和気さん、もう12時過ぎたんですけど・・・。もしかして泊まる気ですか?」
「え、そんな時間????じゃ、帰るわ・・・。ごめんな弐條。」
「いえ。楽しそうでしたからなによりで・・・。いつ帰郷ですか?」
「今年は帰らへんよ。帰っても楽しくないしなあ・・・。自宅でのんびりするほうが性に合っているんや。で、奥さん大丈夫なん?」
「はい。双子を妊娠中ですので、安静指示が出ているから・・・。」
「それは大変やね。お大事にな。じゃあ帰るわあ・・・。」
「家まで送りましょうか?」
「いいわあ、広尾病院や恵比寿郵便局の近くやからすぐすぐ。酔い覚ましにいいしな。じゃ、お休み。」
すると彩ちゃんが走ってくる。
「和気さんお休みなさい!また会えるかな?」
「ん?どうかなあ・・・またな。じゃおやすみ。」
和気さんは手を振ってマンションを出て行った。彩ちゃんは嬉しそうな顔をして部屋に戻っていく。彩ちゃんは和気さんのこと好きなのかな?
「彩ちゃん泊まるの?」
「うん。パパがね、ここにお世話になりなさいって言うから。」
「そっか。じゃあ遠慮せずにゆっくりしなよ。」
「うん、ありがとうお兄ちゃん。」
本当に嬉しそうな顔・・・。こんな顔、綾乃も高校時代していたな・・・。やっぱり恋をしているぞ。彩ちゃんは・・・。
「お兄ちゃん、和気さんっていい人ね。面白いし・・・。」
「・・・。そうかな・・・。官邸ではすごく真面目でがり勉タイプ。バリバリ仕事をこなすタイプだよ。気に入ったんだ・・・。良かったら連絡先教えてあげるけど?」
「ホント?」
「でもお父さんはどういうかな・・・。まあ和気さんは有名な医師一家だからね・・・。実家は立派だよ。」
彩ちゃんはホントに和気さんが好きになってしまったんだね。
縁結びするしかないかな?
明るい家族計画 (6) 妊夫生活~永田町秘書仲間との飲み会編 2
今年はちょっとお洒落な焼肉屋。本店は池袋にある。やはり案の定入り口に女の子たちが待ち構えて品定めをしている。僕は下っ端なので、先輩秘書官たちを案内するんだ。今日は公設も私設も関係ない。年功序列・・・。いくら僕が下積みが長い上に総理大臣の息子だったとしても下っ端は下っ端。
独身組の一番若い和気さん。東大出身の超エリート25歳。官房副長官の私設秘書。未来の代議士。官房副長官の甥っ子さん。僕の同期でライバルであり、大親友。顔は普通。がり勉タイプ?その和気さんが一緒に案内係を手伝ってくれた。
結構官邸ではお堅い人も、こういう場では和やか。意外な一面が見えたりする。 一番年上の武田さんが乾杯の音頭を取る。一斉にわいわい言いながら会食。自然と若者組みと中年組に分かれて飲んでいる。こういう場でも派閥が出来る。まあ僕は中立と思っているんだけどな。
「おーい!弐條!酒ないぞ!」
「こっちも!」
「肉追加!」
僕はゆっくり座る暇はない。ビールを挨拶しながら注ぎに回ったり、店員さんに注文したり・・・。もうくたくた。見かねた和気さんが代わってくれたから良かったもの・・・。
「弐條の奥さん、妊娠中なんだって?」
「は、はい。」
田村さんが珍しく僕に声をかけてくる。あんまり田村さんと話したことないんだよね・・・。官邸では結構黙々と仕事をこなす人で、僕と同じように党本部や地元との橋渡しのような仕事をしているし・・・。
「ホント田村さんと弐條が並ぶと、まるでファッション雑誌のようやな・・・。」
と、いつものように和気さんが口癖のように言う。周りの若手独身族も同じことを言うんだけどね・・・。
「ホント弐條は政治家にならんのならモデルか俳優やな・・・。うらやましいやん・・・。田村さんもそうや。秘書やめてモデルしたらええんとちゃうかな?」
田村さんはまんざらでもなさそうだけど、僕は恐縮・・・。
「ところで弐條、奥さん妊娠中だって?いつ生まれるん?」
「え!そうなの?まだ奥さん学生だよね。」
「奥さんすごく綺麗なんだよね・・・。聞いたよ、元ミス慶應!」
そう一度にいわれても、困るんだけど・・・・。
すると一番年長の、官房長官政策担当秘書の武田さんが言うんだ。
「ちょっと聞いてくれ皆さん。うちの官房長官つき公設秘書弐條君の奥さんがご懐妊だ!6月生まれるんだ!弐條、総選挙前の忙しい時に・・・。まあお祝い事はいいもんだ。」
その言葉を聞いて、秘書仲間が順番にお酒を注ぎに来る。ホントに恐縮。みんな総理Jrの僕を特別扱いしないから助かるよ。
そろそろお開きの時間。前もって預かっていた会費を持って僕が会計をする。前もって一人いくらで決まっているので、お釣はなし。そのあと僕は近所に停めてある自分の車に戻って、用意した人数分の手土産を持ってくる。そして配っていく。みんなとても機嫌良さそうな顔をしてある者は地下鉄で、ある者はタクシーある者は運転代行を呼んで帰路に着く。まだ残っているのは若手独身組。なんだか集まってわいわい語り合っている。
「おう!弐條。幹事ご苦労さん!今から2次会行くんだけどお前も行くか?」
「そうだよ弐條!たまには付き合え。」
いくら若手独身組とはいえ、僕の先輩たちだ。断れず2次会に付き合うことになった。やっぱりエリート集団。自然と知らない女の子たちが寄って来る。やっぱり田村さんにたかっている。なんだか知らないけれどこの僕にもたくさん寄って来る。僕は独身じゃないってば・・・。
「どこにお勤めなんですか?」
とかいろいろ聞いてくる。うっとうしい・・・。さすがだ田村さんは普通にあしらっている。僕は苦手・・・。こういうときの田村さんはいつもと違う。やっぱり噂どおりプレイボーイなんだ・・・。嫌な顔ひとつせずに微笑みながらあしらっているんだもの・・・。
「和気さん、やっぱ帰ります。奥さん待ってるから・・・。」
「え~~~弐條!付き合い悪いで!」
「付き合い悪くてもいいんです。」
「ああ、わかってるで、未来のファーストレディーが待ってるんやからな。ホントにご馳走様。いいね新婚さんは・・・。俺も早く落ち着きたい・・・。で、来年の選挙でるんか?」
「いえいえ・・・。まだ父も健在ですし・・・。もうちょっと修行を・・・。和気さんは?」
「う~ん、伯父さんは勧めるんやけどな・・・。まだ俺も自信はないなあ。弐條なら絶対親の七光りで当確だと思うんやけど・・・。」
まあ最近こういう会話ばかり・・・。来年総選挙だからね・・・。僕は総選挙あたりに25歳になる。そして出馬できる。親の七光りを使ってまで当選はしたくはないな・・・。
「そうだ、和気さん。うちで飲み直しませんか?和気さんの自宅確か恵比寿のほうでしたよね。うちは広尾ですから歩いてでも帰れますよ。一度遊びに来て下さいよ。ちょうど聖心女子の近所ですから。」
「そうやな、いっぺんいってみようかな・・・。」
(つづく)
明るい家族計画 (6) 妊夫生活~永田町秘書仲間との飲み会編 1
うあー。うちの奥さん双子を妊娠中!妊娠でさえ予定外の上、3回目の検診で双子発覚!こういうときの男って弱いもんだね。奥さんは驚いていたけど、少し経つともう落ち着いてたよ。子供たちのパパである僕は未だに落ち着かないんだよ。おろおろしている。
診察後、早速父さんに報告したら驚いてたっけ・・・。 そういえば僕も双子で生まれたんだけど、生まれてすぐに妹が死んじゃってね。僕だけが生き残ったわけ。母さんはそのあと産後に肥立ちが悪く、病気がちになってね・・・。東京に住まずに芦屋で兄さんと僕と一緒に過ごしてたんだけど、父さんは政治家でしょ。いろいろ気苦労があったんだろうね、僕が小学1年のときに亡くなってしまったんだよね・・・。その時僕はとても父さんを怨んだよ。だから僕はずっとおじいちゃんのいる芦屋に住んでいたんだよね。綾乃と出会うまで東京も嫌い、政治家なんてもってのほかって思っていたんだ。綾乃と出会って、綾乃を守ってやりたいって思うようになってね、なぜか政治家を目指すようになってしまった。ホント不思議・・・。
なんとなくだけど、今回の綾乃の妊娠は死んじゃった妹が戻ってきたような気がしてね・・・。きっと一人は女の子だって思うんだ。出来ればもう一人は男の子であって欲しい・・・。まあ贅沢なことだろうけれど・・・。 昨日夜、ベッドの中でいろいろ話したんだ。
「性別って聞く?僕は聞きたいな・・・。名前とか準備とかあるでしょ。」
「うんそうだね・・・。双子だもんね・・・。でもあたしは聞きたくないかな・・・。楽しみにしたいのよね・・・。でも聞きたいような・・・悩んじゃう。」
僕は綾乃にキスだけしてそのまま眠ったんだけど、夢の中まで赤ちゃんたちのことでいっぱいで・・・。朝起きたら綾乃の腹部をなでていたんだ。
「もう、赤ちゃんたちばっかりね。ホントに雅和さんは親ばかなんだから・・・。」
といってやきもちを焼く綾乃がすごく可愛いと思って、綾乃の唇にキスをして布団から出る。
「綾乃も大好きだよ。もうちょっとゆっくり寝てなよ。」
「うん・・・。」
朝ごはんは光子さんが作ってくれる。僕はシャワーを浴びて出勤の準備。そして新聞を見ながら朝ごはんを食べ、身支度をしていつもの時間に自動車通勤。
「光子さん。今日遅くなるから、綾乃のこと頼んでいいかな?」
「はい。お坊ちゃま。」
「光子さん。もうお坊ちゃまはやめてよ。来年僕は父親になるんだから。」
「そうですわね。」
光子さんは微笑みながら綾乃の代わりに見送りをしてくれる。光子さんがいてくれるおかげで安心して仕事が出来る。
今日は仕事納め。忘年会が入っているから、帰りは運転代行を頼むつもりで車に乗って出かけた。今日はいつもと違って官邸内の駐車場の止めさせてもらった。
今晩は官邸に詰めている秘書官たちの忘年会。総理大臣つき、官房長官つき、副総理つき、官房副長官つきなど総勢数十人の飲み会!会の名前は「永田町同盟会」。赤坂で開始!今年の幹事、官房長官付きの秘書が会場設定から、運転代行、タクシーの手配まで行う。会費は結構高い。男が多いからわいわいがやがやうるさい。でも一流の秘書たちばかりだから、赤坂でも毎年注目の的。この日にあわせてどこかの女子大生やら、OL達が独身秘書官を狙って集まってくるのも確か。まあ去年は僕は休みを頂いていたから、出席してないけれど、結構すごい。一種のコンパ状態になる年もあるらしい。まあみんな立場をわきまえているから、警察のお世話になる事はないけど・・・。僕は一番若いから、一番動かないといけないんだよね・・・。
官邸秘書官の中で独身秘書官は6人。もちろん僕は入っていないけど・・・。下は25歳上は40歳。
お勧めは30歳副総理つき若手出世頭の公設秘書田村さん。実はこの人のおじいちゃんは元政治家。結構背が高くってハンサムだ。お母さんがイギリス人でハーフ。どこかのモデルかと思うような姿。まあ10代のころはモデルしてたらしいけれど・・・。この人は僕の大学の先輩。綾乃には会わせたくないんだよね・・・。かっこよすぎて・・・いろいろ噂もあるし。
そしてかっこいいのに結婚できないんじゃなくってする気のないチョイ悪オヤジ風のうちの父さんの公設秘書橘さん・・・。この2人がいつも人気だ。何で橘さんは結婚しないだろう。六本木ヒルズに住んで一人暮らしをエンジョイしている。早大政経出身。彼女多数。(昔から知っているけれど・・・信じられないよな・・・。彼女多数ってのは・・・。)
もちろん女性秘書官もいるよ。ホント数人だけど。なんだかんだ言って男の職場だね。
(つづく)
明るい家族計画 (5) 妊婦生活~驚き編 2
いつもの診察のあと、いつものように先生は雅和さんを呼んで、あたしの横に座らせたんだけど、先生は少し困った様子であたし達を見つめる。もしかしてあたし達の赤ちゃんになんかあったの?
「すみません。こちらの落ち度で今まで見つけられなかったのです・・・。」
先生何言うの?もしかしてなんか異常が見つかったの?
やめて!
すると先生はあたし達に超音波写真を何枚も見せる。
「角度の関係でもう一人見つける事が出来なかったようです・・・。実はよくみてください・・・。」
先生は超音波写真に指差して詳しく説明をする。
「実は双子ちゃんです。一人隠れていたんですよ・・・。今回随分大きくなってきて見えやすくなったのでしょうか・・・。おかしいなと思って角度を変えたらもう一人・・・。」
「ええええええ!!!!!!」
あたし達は驚いたわよ。双子ちゃんよ、双子ちゃん!一気に二人のパパとママになるの?あたし達。まあ雅和さんがもともと双子だから、家系的に出来る確率はあるらしいけれど、(一卵生の場合のみね)どうよ!
「この時期ですから、一番危険な一卵生で同じ部屋にいるのか、二卵生の一番安全なものなのかは詳しく調べてみないとわかりませんが、まあこれからいろいろ制約があるので、がんばってください。もちろんできるだけ安静に・・・。次半月後に来てください。普通の妊婦さんよりも管理が大変なので、回数は増えますし、何かあったらすぐ来て下さいよ。予定日は半月からひと月早まることも頭に入れてください。あ、そうそう先月の血液検査は異常無しです。ただ双子ちゃんなので、鉄分カルシウムを多めに摂って、塩分は控えめに・・・。では再来週お待ちしています。お大事に・・・。あ、母子手帳もう一冊用意してくださいね。」
あたし達は驚いて言葉も出なかったわよ・・・。
安静と言うことは年末のクリスマスも、お正月も・・・。
自宅にいろってことか・・・。
まあ派閥の新年会は出なくていいのはラッキーだけど・・・。
雅和さんの驚いた顔ったら忘れられないわ・・・。まあ驚くのも無理はないけれど。 診察のあとまた渋谷区役所へ・・・。
役所の人に「またですか?」と言うような表情で見られるのは気のせいだろうか・・・。こういう時は半公人のあたし達は不利ね・・・。
母子手帳発行の書類に必要事項を書き込む。もちろん第何子のところは第2子になるんだかど、そこは大きめに書いておいたわ。そうしたら担当者は驚いていてね、いまさら「双子ちゃんなんですか?」って声をかけてくる。もしかして再発行だと思ったの??双子ちゃんだからもう一冊もらいに来たんじゃない!
すると今度はもらう時に違う職員が言うのね。
「おめでとうございます。先月もいらっしゃいましたね。双子ちゃんなんですね。まあ一気にお子様がお2人も・・・。」
あたし達はテレながら逃げるように区役所を出て行ったわよ。職員なんだからあたし達の相手をしないでしっかり仕事しなさいよ。こういうところからマスコミにばれたりするんだろうか・・・。ちゃんと個人情報を保護してよね・・・。
よく見ると母子手帳のデザインが違う。切り替わったんだね・・・。まあ間違わなくっていいんだけど・・・。
あたしはもらった母子手帳を母子手帳ケースに入れて、大事に保管する。
さすがに自宅に戻ると雅和さんはどこかに電話をかけていたの。多分お父さんなんだろうな・・・。きっと大騒ぎに違いない。あたし達の双子ちゃん。ホントに不安だらけだけど・・・。
雅和さんったら面白いの。きっと男の子と女の子だって言い張って、名前まで付けちゃって、暇さえあればお腹に話しかけてるんだもん。まだあたしは胎動を感じてないから、実感なんてわかないけどね。
こんな姿を見て、雅和さんのばあや光子さんは微笑んでいたわよ。
「本当に昔の旦那様と奥様を見ているようですわ。」
なんて。
ふうん雅和さんのお父さんとお母さんってこういう感じだったんだね。詳しくは話してくれないけれど、きっと幸せだったのだろうね。
(一言)
実はうち、3回目の診察で双子を妊娠している事がわかったのです。驚き!!!さすがに1週間寝込んでしまいましたよ。そして母子手帳のデザインもちょうど切り替わりの時で、二人は違うんです・・・。私の場合は、すぐに転院してくださいって言われました。同じように一卵生か二卵生かで安全性が違うからって・・・。今回のお話は半分実体験のようなことです。はい・・・。^^;