報道から見るロックダウン下の南アフリカ
これまでの話↓
南アフリカでロックダウン その1ーコロナウィルスってなんだ?
南アフリカでロックダウン その2-イースター休暇はヨーロッパへ
南アフリカでロックダウン その3-振り返れば、とっても充実した2月だった
南アフリカでロックダウン その5ーラマポーザ大統領、国家的災害事態を宣言
南アフリカでロックダウン その6ーラマポーザ大統領の言葉は国民に届いたのか?
南アフリカでロックダウン その7ーシュタイナー学校の休校対応(その1)
日本にいるお友だちから、アフリカは大丈夫?と連絡が入るようになりました。
そうよね、、、こんな報道ばかりだもの。タイトル観ただけで、「大丈夫?」と思いますよね。
残念ながら、日本のメディアは、どうしてもアフリカについて報道する時、このようなネガティブな報道が多い、、、
感染拡大したアフリカ 南アの外出制限「まるで刑務所」 (3/28 朝日新聞)
買いだめ行列にゴム弾発射 警察、新型コロナ感染阻止へ強硬―南ア(3/29 時事ドットコム)
「距離取って並べ」食料品店の行列に南ア警察が連日のゴム弾発射(3/29 読売新聞)
外出制限続く南アフリカ 酒の販売禁止で略奪相次ぐ(4/14 NHK)
アフリカで外出規制相次ぐ 感染急増、生活に打撃―新型コロナ(4/5 時事ドットコム)
ロックダウンで変わった南アフリカの日常 軍も出動して治安維持(4/10 朝日新聞)
南アフリカ、戸別訪問で新型コロナ検査を強化(4/14 AFP BB News)
*末尾にアフリカ全地域のCovid-19関連ニュースを網羅しているサイトを紹介しています
実際に、タウンシップに住んでいる友人からもゴム弾の話は聞いているし、今回のロックダウンでやはり一番打撃を受けるのは貧困層になります。外出の制限があっても、子どもたちを遊ばせる庭のある家に住んでいる富裕層と小さなお家(中には家と呼べるのかというような掘っ立て小屋)に、大家族がひしめき合っている状況の貧困層とでは、まったく状況が違います。
私達、駐在員とそ家族は、ある程度の生活が保障された中でのロックダウンなので、牛乳が必要であれば、近くのスーパーまで車で行くこともできます。それ以前に、経済的に困窮しているわけではないから、大抵の駐在員含む富裕層は、ロックダウン開始前に2~3週間分の食糧を備蓄しています。でも、日銭を稼いで生活している人たちは、備蓄する余裕などあるわけがありません。
また、インターネットにいつでもアクセスできる状況にある家庭は、Netflixで映画を観るなどの娯楽もあるでしょう。でも、そうでない家庭の方が大半なのです。
悲しいかな、これらの記事に書かれていることは実際に起きていること。でも、普段から治安は良くないヨハネスブルグは、ロックダウンで、犯罪数は格段に減っているんです。
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以下、在南ア日本大使館のHPより引用
「4 月 22 日に警察大臣が発表したところによると、警察等による街頭活動の強化により、ロックダウ ン期間(4 月 20 日時点)における重要凶悪犯罪の発生数は前年同時期と比較して大幅に減少して います。殺人は 72%、凶悪強盗は 69.6%減少し、凶悪強盗のうちカージャックは 80.9%、住居侵入強盗 は 53.8%減少等となっています。」
全文はこちらから
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私達、駐在員と家族は、比較的安全な地域で、生活ができています。ロックダウンが始まってからは、軍や警察の目が光っているので、家宅侵入などの犯罪がめっきりなくなりました。
コロナウィルスのことだけで言えば、私たちにとっては、ロックダウンのお陰で、南アフリカにいた方が、人との接触もないし、今の日本にいるよりも安全かと思うくらい。子どもたちも、友達と会えないのは寂しいけど、兄弟でケンカしながら、毎日走り回って遊んでいます。
でも、これからマジョリティの貧困層に感染が拡大し始めたら、、、心配なのは、感染者が増え続け、医療システムが崩壊したり、失業により収入がなくなり、飢餓が生じたりすること。
ハウテン州では、この21日間のロックダウンの間、無人となった学校が狙われ、67校もの学校が盗難に入られたとか、、、パソコンなどはお金になりますから、、、ね。
その後、さらに事態は悪化し、南ア全体で400を超す学校が略奪されているそうです↓
南ア、学校のパソコンや食料の略奪相次ぐ…外出禁止令で職員不在(4/19 読売)
日本語で配信されている報道は、どうしてもこういうものばかりですが、南ア政府が何の手も打っていないわけではありません。
ハウテン州では、このロックダウンの間の貧困と飢餓対策のための予算を当初の1.5倍に増やし、フードパーセルの配給をしているそうです。教育省と社会開発省が協力し、特に学校給食が主な栄養源となっていた子どもたちのいる家庭を優先的に支援対象とするとしていますが、タウンシップに住む友達に現在の状況を聞いてみると、その地域では、一日置きに、子ども一人に対して食パン一斤が配給されているのみで、もちろん足りていないと、、、私ができるのは、せめてこれまで関わってきた子どもたちの家庭を支援することか、、、
これまでのタウンシップの子どもたちとの交流↓
自分は安全な状況にあるけれども、すぐ近くでは、コロナウィルス以前からの貧困と闘っている人たちがたくさんいる、、、なんとも歯がゆい。
コロナウィルスは人を差別することなく感染します。南アフリカにおける初感染者はヨーロッパからの旅行帰りの人(たぶん富裕層でしょう)でしたが、感染が拡大していけば、これからは社会的経済的に脆弱な人たちが感染しやすい環境にあることも確か。
ロックダウン開始前日に、今住んでいる地域で、パンやジャム、果物などを集めて、タウンシップの子どもたちに届けました。
ロックダウンが開始してから2週間経った4月9日夜,ラマポーザ大統領は3回目の演説を行い,ロックダウン期間を2週間延長(2020
また子どもの教育という点では、オンラインを駆使した教育方法が導入できる学校とそれを受けることができる環境にある家庭、そしてそうではない学校や家庭との間にさらなる教育ギャップが生まれないか、子どもの教育を受ける権利すらも奪われる可能性があることも気がかりです。
人命を守るため、コロナウィルスの感染拡大を食い止めるために必要な対策と、人々の生活が脅かされていく状況のバランスを、どのようにとっていくのか、、、これからの南アフリカ政府の舵取りから目が離せません。
アフリカ全地域の様々なニュースはこちらがよくまとまっています。↓