南アフリカでロックダウン その6ーラマポーザ大統領の言葉は国民に届いたのか?(追記あり) | 南アフリカでシュタイナー教育〜やんちゃ男児たちの子育て日記〜

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日本人夫婦による2010年&2012年生まれの男児2人の日本でのバイリンガル子育ての記録で始めたブログ。
2017年夏からは、夫の駐在先・南アフリカでのシュタイナー学校の様子などを伝えながら、生活の中から見えるアフリカの魅力などをお伝えしています。

ラマポーザ大統領の言葉は国民に届いたのか?

 

これまでの話↓

南アフリカでロックダウン その1ーコロナウィルスってなんだ?

南アフリカでロックダウン その2-イースター休暇はヨーロッパへ

南アフリカでロックダウン その3-振り返れば、とっても充実した2月だった

南アフリカでロックダウン その4ーコロナと人種差別

南アフリカでロックダウン その5ーラマポーザ大統領、国家的災害事態を宣言

 

感染者数62名、死亡者数0名という比較的早期の段階で出された、3月15日のラマポーザ大統領の国民に対しての国家的災害事態宣言は、国外からの人の移動による感染拡大および国内での感染拡大をなんとか食い止めようという決意が伝わってきました。そして、ここ南アフリカでもこれから感染拡大の波がやってくる可能性がある危機感を、私自身もようやく感じ始めました。

 

翌々日の17日、我が家に週2回来てくれているクリーナーさんに、意気揚々と尋ねました。

 

私「ラマポーザ大統領の演説聞いた???」

 

ク「聞きました!学校が休みになるって」

 

私「えっ?それだけ?」

 

ク「ちゃんと手を洗うように、咳をするときは気をつけることとか、握手しないとか?」

 

私「そうね。感染を拡大しないために、しっかりと気をつけないとね。じゃ、子どもたちを学校に送ってくるね」

(この日は休校に入る前の最後の日)

 

ク「あ、今日は仕事終わったら、教会に行くので戻りません」

(勤務は週2回だけですが、住居がないということで、我が家のスタッフ用のお部屋を一部屋彼女に貸しているので、家に泊まっていますが、夕方教会に行く日は、ボーイフレンドのお家に行くのが恒例です)

 

「えっ、大統領の演説聞いたんだよね???」

  びっくりびっくりびっくりガーンガーンガーン

 

ク「はい」

 

私「教会には何人来るの?」

 

ク「たくさん」

 

私「たくさんって100人とか?」

 

ク「もっとたくさん」

 

私「だめじゃん、教会に行っちゃ!ラマポーザ言ってたよね。100人以上の集会禁止って。」

 

ク ショボーンショボーンショボーン (ふてくされた表情)

 

私「とりあえず、学校行ってくるから、帰ってきたら話しましょう」

 

そして、私は心の中でえ”-っポーンポーンポーンと何度も何度も叫んでいました。

 

・・・・・・・・・・・・・・

 

学校から戻ると、私はすぐにPCを立ち上げ、昨晩の大統領のスピーチが納められているYouTubeを探しました。

 

私「ごめんね。仕事の邪魔して、でも大事なことだから、30分付き合ってくれる?」

 

私はお茶を用意し、YouTubeを流し始めました。

30分、二人で静かに画面を見つめていました。

 

私「これを聞いて、それでも今日の夜、教会に行く?」

 

ク「大変なことが起きているんですね、、、」

 

私「こんな時だからこそ、祈りたい気持ちは分かる。でも、今は行かないほうがいいよね。乗り合いタクシーを乗り継いで、教会まで行くのよね?ぎゅうぎゅう詰になって。そして、教会でも、ぎゅうぎゅう詰になって、みんなで歌を歌って踊るんでしょう。」

 

ク うなずく

 

私「自分を守るためにも、お友だちを守るためにも、今は行かない方がいいと思うけど、どうしても行きたいというのであれば、我が家の仕事はお休みしてください。旦那が海外から戻ってきて、今、家族と距離をおいて生活しているのを、あなたも見ているわよね。怖いウィルスなの。どこで感染するかわからないの。」

 

ク「コロナウィルス、怖い滝汗教会はしばらく行きません。行きたくない。」

 

私「その判断、賢明だと思うよ。そして、お友だち10人にも、ちゃんと話してあげて。ラマポーザ大統領がなんて言っていたのか。そして、その人たちからもさらに10人のお友だちに話してほしい。もし、教会のトップがまだミサをやろうとしているなら、勇気をもって話して。最終的には、みんなをコロナウィルスから守るためだから」

 

ク「はい」

 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・

 

びっくり、がっかり、でもこれが現実。

 

15年前に、南アフリカのリンポポ州でNGOのスタッフとしてHIV陽性者の支援をしていた私は、今回のこのコロナウィルスが低所得者層の間で感染し始めたら、どんなに大変なことになるのか想像がついていました。性行為で感染するHIVでも、この国では爆発的に感染し、医療システムが機能していなかった現状を垣間見ました。ましてや、通常の社会生活をしているだけで感染してしまうこのコロナウィルスは、あっという間に感染拡大してしまうでしょう。富裕層は、お金を出せば、質の高い医療サービスを受けることができるし、医療サービスを選択することさえできます。でも低所得者層は、政府系の医療サービスを頼るしかなく、そのサービスのキャパシティには限りがあります。医療システムが崩壊するに留まらず、働き手がバタバタと倒れたら、国は経済的にも大きな打撃を受ける。だから、大統領がリーダシップをとって、必死に感染を食い止めようとしている、、、でもでもでも、、、本当に必要な人に、必要な情報が、タイムリーに届いているのか、、、ショボーンショボーンショボーンと不安に感じた朝のひとこまでした、、、悲しいかな、南アフリカには、経済格差だけではない、情報格差も確実に存在している、、、いや、経済格差があるから情報格差も無くならない、、、

 

その後、クリーナーさんは、遠くに住むお母さんにも、ちゃんと話をし、教会のお友だちにも話をし、教会にも行っていません。

 

ほっ照れ

 

2017年に撮影したリンポポでの夕日 アフリカは広大だー 一歩一歩前進

 

(追記)

南アフリカ政府は、WhatsAppという無料通話アプリ(日本でよく使われているLINEのような)を利用した情報提供を早い段階からはじめました。全世界で20億人が活用していると言われるこのアプリは、国民の大半が携帯電話を持つ南アフリカでも、日常的に利用されています。電話番号を登録するだけで、チャット形式で様々なコロナウィルスに関する情報にアクセスできるようになっています。しかも、ズールー語、アフリカーンス語、コサ語、ソト語などの言語でもアクセスできるようになっているので、コロナ対策に関する情報は国民全体に行き渡るようになっています。

 

 

 
 
 

 

 

 

 

 

 

 

 


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