先週末、今年初めて海に潜ったが、海底の豹変に驚愕した。
マリンビレッジを設立して23年、毎年のように鳥羽の海に潜り続けた。
今年はいつもの見慣れた海底ではなく景色が一変、海底から水面まで届きそうな海藻に覆い尽くされていた。
船で内湾の海岸に近づくと薄茶色一色、ホンダワラなどの褐藻類で海底が見えない。
これではシュノーケリングも困難。
比較的外洋からの潮通しが良い無人島はそこまでではないが、潜ると見慣れない光景に移り変わりつつあった。
異変は今年の春から現れていた。
海のサバイバル講習で磯に上陸した時、岩場が全面「牡蠣」に覆い尽くされ、二十数年間変わらなかった干潟の磯が激変していた。 牡蠣は河口や湾の奥など淡水が流れ込む場所でよく育つ。
透明度も良く水が奇麗でも生態系は急激に変化。
これらの原因は、この3年間の大雨で大量の川の水が伊勢湾に流入したからであり、農地からの大量の肥料分、特に窒素分が主因。
生活産廃関連もあるが生活排水などは日々流入している。
大雨で土中に浸透出来ず、地表から表土と共に河川へ流れ出たからであり、沖縄や石垣島でもサトウキビ畑からの流出で白砂浜が茶色に変化しつつある。
窒素分などが大量に流入すれば植物性プランクトン・藻類が異常繁殖、それをエサにする動物性プランクトンも異常繁殖、水は酸欠に陥り死滅、大量の無酸素水が発生する。
動物性プランクトンの死骸は赤潮となって異臭を放つ。
海老などの甲殻類が死ぬと赤くなるのと同じで、プランクトンも海老のようなもの。
いかに一気に流れ込んだかはこの3年間の伊勢湾の状況でわかる。
一昨年から昨年にかけてタコが全滅したのは逃げ場を失ったからであり酸欠が原因。
タコだけでなくサザエなどの貝類もほとんど見かけなかった。
タコよりも逃げ足が遅いから当然だろうな。
深場から浅場・海面まで自在に動けるスズキや黒鯛は無酸素水から逃げられるだろうが深場に住むマダイはそうではない。
数年前、伊勢湾の海面に大量のマダイが浮いた。
酸欠で弱って腹を見せて浮いているのを漁船がたも網ですくい、船に満載して持ち帰った。
大雨が続かなければ外洋からの海水流入もあり徐々に復元するだろうが、これから幾度も同じことが起き、漁業に壊滅的な打撃を与えるだろう。
この数年間で急激にマリンビレッジ・マリーナが川が運んだ濁流の泥で埋まり続け、むータニックなどの大型船の干潮時の航行が困難になりつつある。
豪雨が海にもたらすものは大量のゴミだけでなく大量の泥と肥料。
泥は河口や干潟を埋め尽くし、肥料分は生態系を破壊。
オーストラリアのグレートバリヤリーフも大量の肥料分が地下水を通して流れ込み猛毒オニヒトデの異常繁殖、サンゴ・生態系の崩壊に直面している。
中国の青島市の海水浴場も大量のアオノリの発生で大変なことになっている。
どのようなものかは下記サイトの画像を見ていただけばわかるが、海水浴は困難だ。
問題の解決は、温暖化だけでなく農業のあり方、暮らしの在り方が変わらない限り困難だろう。
しかし誰かがやらなければ人類社会もまた崩壊に向かうだろう。
このままでは・・と、指摘・警告は科学者だけでなく誰にでも出来る。
重要なことは、いかにして成し遂げるかだ。
現在の科学・学問では不可能なことは間違いない。
「不可能」・・このことが最大の糸口であり、役に立たない学問は捨ててかかれば思考も開けて道も開ける。
牡蠣で覆いつくされた磯
濁流がおさまらない伊勢湾
ショッキングな画像
青島市の沿岸海域で繁殖した藻類の回収作業 山東省 (msn.com)
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