東京湾はこのままでは死滅するだろう。
水質は悪化の一途をたどっている。
見た目では綺麗になったとか川に鮎が溯上したと言うのだが、悪化していることは間違いない。
その理由は埋め立てなどで湾の面積が狭くなり、護岸整備による生き物の再生能力がなくなったということらしいが、それもあるが主因は他にある。
東京湾と比べたら微々たる護岸整備の伊勢湾でも同じ道をたどっている。
東京湾の護岸にびっしり付着したムラサキイガイが年に一度は大量死、海底に落ちて堆積していると言う。
付着する貝は幅1mの護岸に200キロ平均、湾全体で10万トンものムラサキイガイが毎年死んで底に溜まる。
ムラサキイガイとはムール貝の仲間で、湾内ではよく見かけるがそう簡単に死ぬものではない。
貝を始めとする生き物には海の浄化能力があるが、その許容能力をはるかに超えている。
見た目は水の透明度が改善されても大量の生活排水や農業肥料が流れ込めばそれを養分として異常繁殖、やがて酸欠で自滅する。
それを養分にプランクトンも異常繁殖、それも自滅して赤潮になり海底に堆積、こうして酸素欠乏の連鎖が続いて行く。
科学では止めることは不可能に近く、伊勢湾でもそれが進みつつある。
昨年は透明度の高い海底で見渡す限りサザエが酸欠で死んでいるのを目撃した。
外洋でもガンガゼの異常繁殖で海藻が丸裸にされた死の海を見た。
東京湾だけでなく日本の海は確実に死滅の方向に向かっている。
今の生活様式で入浴剤や洗剤、農業の在り方が変わらない限り負の連鎖が止まることはなく、さらにそれが加速している。
人はこのまま海を死滅させる道を選ぶのだろうか。
当たり前のように用いている入浴剤や肥料が本当に必要なものなのか、海を代償にしてもやむを得ないと断言出来るものなのか、あらためて考えてもらいたい。
農薬の害は感じていてもこれらが海を破壊するという意識はないはずだ。
世界の海は既にその答えを出している。
野人の力は微々たるものだが海を元に戻したい。
科学ではなく人を信じて森羅万象の道理を説き続ける。
それらをやめなさいと言う運動ではなく、必要ないと言う道理だ。