植物の使命と肥料の循環 2 | 野人エッセイす

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森羅万象から見つめた食の本質とは

植物の根の吸収能力が及ばないのは人の畑であり、地下に浸透する量が多すぎて根も根に負えない。そうなれば地下水と共に海まで流れ出して行くしかない。

浄化槽の役割を持つ草もなく、耕起により土壌構造も不完全だから当然だろう。

地下水から流れ出た大量の化学肥料で、オニヒトデが異常発生したオーストラリアのグレートバリヤリーフの珊瑚は壊滅の危機に陥っている。

オーストラリアのような広大な地での小麦などの量産に有機肥料は向いていないが、有機も微生物に分解されれば科学肥料と同じ無機になる。

不完全な土壌の循環では分解されないことの方が多く、腐敗したまま地下に浸透する。

微生物による有機物分解の大半は通気性のある表土であり、土中に入れればさらに腐敗は進む。

例え今、施肥を止めたとしても何十年間も地下水から海への流出は止まらない。

これを「仕方ないこと、やむを得ないこと」と言い切れるのだろうか。

野人は人の知性と良心と慈悲の心を信じているからこれを書いている。

20年以上調べて来た目の前の豊かな海「伊勢湾」も確実に死滅の道をたどっている。

船釣りだけでなく、至る所で潜り続けていればそれがわかる。

成り立たない漁業の後継者は育たず、身近な漁協の100人を超えていた専業漁師はこの20年間で20人を割ってしまった。

立派な漁港は今も漁船で溢れ、船で活気はあるが人の活気が見られない。

毎年数人が世を去り、あと10年でこの村の漁業はほぼ消滅するだろう。

乱獲ではなく、漁師は激減しているにもかかわらず魚介は激減している。


続く・・


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今は乗る人もほとんどいない漁船
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