youtubeに見る懐疑論
ふとyoutubeで温暖化を検索してみました。
例3.ワクチン
例4.抗がん剤
おわっ?!思った以上に否定論?!というか、関連度順検索だと上位20個のヒットのうち19個が否定論じゃないか。ここまでとは・・・。
と、待てよ。温暖化以外で、否定論が活気づくワードだと、どうなるんだろう。検索してみよう。以下、検索結果は全て関連度順にソートしています。
例1.進化論
と、待てよ。温暖化以外で、否定論が活気づくワードだと、どうなるんだろう。検索してみよう。以下、検索結果は全て関連度順にソートしています。
例1.進化論
否定論もぽつぽつあるけど、これはまあマシなほうかな?
例2.アポロ(月面着陸はなかった論)
多い。これは思った以上に多い。9/20が嘘・ねつ造と主張している模様。
例3.ワクチン
ひどすぎる。個人の命だけでなく多くの人を巻き込む可能性があるから、かなり頭が痛い。16/20が、「ワクチンは陰謀だ」「ワクチンは危険だ(※危険性がゼロでないのは事実だが必要以上に強調しすぎるのはさらに危険)」に属する内容。というか、ここにも顔を出す武田邦彦氏。
例4.抗がん剤
だいぶ頭が痛くなってきた。11/20が「抗がん剤は毒薬だ(※まあ毒性があるのは確かなのですが、それを上回るベネフィットがある)」「抗がん剤は陰謀だ」に属する。
あと、9.11とかも香ばしい結果が出てきます。
一方、ホメオパシーとか千島学説とかで検索すると、上位すべてが肯定する動画で埋まります。うーん、youtubeがこれほど否定論や疑似科学と親和性が高いとは。
学術誌とか大手マスコミとかに自分の見解を掲載させるには多くの努力が必要だけど、youtubeとかブログ、SNSだと、さしたる努力もなく多くの人の目に留まることができる。その際は、信ぴょう性より「インパクト」「面白さ」がより物を言うので、こういう否定論が幅を利かす、というのはあるのかなあ。
ただ、これらの語を英語版で検索すると、否定論はあまり多くは出てこない不思議。なんなんだろう。もやもやする夜でした。
あと、9.11とかも香ばしい結果が出てきます。
一方、ホメオパシーとか千島学説とかで検索すると、上位すべてが肯定する動画で埋まります。うーん、youtubeがこれほど否定論や疑似科学と親和性が高いとは。
学術誌とか大手マスコミとかに自分の見解を掲載させるには多くの努力が必要だけど、youtubeとかブログ、SNSだと、さしたる努力もなく多くの人の目に留まることができる。その際は、信ぴょう性より「インパクト」「面白さ」がより物を言うので、こういう否定論が幅を利かす、というのはあるのかなあ。
ただ、これらの語を英語版で検索すると、否定論はあまり多くは出てこない不思議。なんなんだろう。もやもやする夜でした。
社説読み比べ
IPCC AR5 WG2に関する各新聞社の社説が出そろってきました。読み比べてみましょう。
「温暖化報告書 排出削減策と適応策を両輪に」(読売新聞)
「地球温暖化報告 被害見越した対応急げ」(毎日新聞)
「地球温暖化のリスクから目をそらすな」(日経新聞)
全国紙では、朝日新聞と産経新聞からは社説が出ていません。
「温暖化対策 薄すぎる政府の危機感」(北海道新聞)
「IPCC大詰め 過酷な未来回避は人類の責務」(愛媛新聞)
47news加盟の地方新聞社の多くが社説を出しています。
"Climate Signals, Growing Louder(気候変動の鐘は大きく鳴り響いている)"(The New York Times)
"Climate change: smell the coffee while you can(気候変動:可能なうちに現実を直視しろ("smell the coffee"は現実を直視しろという意味の慣用句のようです)"(The Guardian)
海外の新聞社も多く社説を寄せています。
これらの新聞社はすべて、程度の差はあれど温暖化対策をとることの重要さを強く主張しています(むろん、ほかの全ての新聞の社説を読んだはずもなく、探せば例外もあるかもしれませんが)。
また、各社とも「すでに適応策を取らざるを得ない段階に踏み入っている」ことを述べているのは注目です。IPCCの危機感は各新聞社に伝わっていると言えるのではないでしょうか。
日本の新聞社だと、日経新聞が最も踏み込んでいると感じました。「温暖化はどこまで進行するのか。深刻な被害はいつどこで発生するのか。正確な予測は困難だが、不確実性を理由に備えを怠るのは許されない」という一節など、その表れと言えます。
海外誌はさらに直接的に踏み込んでいるようで、The Guardianはタイトルからして飛ばしていますねえ。
・・・朝日新聞と産経新聞、がんばれ。
「温暖化報告書 排出削減策と適応策を両輪に」(読売新聞)
「地球温暖化報告 被害見越した対応急げ」(毎日新聞)
「地球温暖化のリスクから目をそらすな」(日経新聞)
全国紙では、朝日新聞と産経新聞からは社説が出ていません。
「温暖化対策 薄すぎる政府の危機感」(北海道新聞)
「IPCC大詰め 過酷な未来回避は人類の責務」(愛媛新聞)
47news加盟の地方新聞社の多くが社説を出しています。
"Climate Signals, Growing Louder(気候変動の鐘は大きく鳴り響いている)"(The New York Times)
"Climate change: smell the coffee while you can(気候変動:可能なうちに現実を直視しろ("smell the coffee"は現実を直視しろという意味の慣用句のようです)"(The Guardian)
海外の新聞社も多く社説を寄せています。
これらの新聞社はすべて、程度の差はあれど温暖化対策をとることの重要さを強く主張しています(むろん、ほかの全ての新聞の社説を読んだはずもなく、探せば例外もあるかもしれませんが)。
また、各社とも「すでに適応策を取らざるを得ない段階に踏み入っている」ことを述べているのは注目です。IPCCの危機感は各新聞社に伝わっていると言えるのではないでしょうか。
日本の新聞社だと、日経新聞が最も踏み込んでいると感じました。「温暖化はどこまで進行するのか。深刻な被害はいつどこで発生するのか。正確な予測は困難だが、不確実性を理由に備えを怠るのは許されない」という一節など、その表れと言えます。
海外誌はさらに直接的に踏み込んでいるようで、The Guardianはタイトルからして飛ばしていますねえ。
・・・朝日新聞と産経新聞、がんばれ。
閉校の日
先日、私の母校(小学校)が閉校してしまいました。 私が在学していた時、すでに全校生徒は100人を切っていました。今は全校生徒10人。閉校もやむなし、でしょう。100年以上の歴史がある学校なだけに、残念ですが。
閉校式にも出席してきました。閉校式に立ち会うなんて、人生に一度あるかないかでしょう。しんみりするのかな、と思っていましたが、立食パーティーしている中で、来賓があいさつしたり、今までの写真をプロジェクターで流したり、余興があったりで、「結婚式の披露宴か!」という感じでした。そういえば餅まきもしてたなあ・・・。
閉校式にも出席してきました。閉校式に立ち会うなんて、人生に一度あるかないかでしょう。しんみりするのかな、と思っていましたが、立食パーティーしている中で、来賓があいさつしたり、今までの写真をプロジェクターで流したり、余興があったりで、「結婚式の披露宴か!」という感じでした。そういえば餅まきもしてたなあ・・・。
まあ、大変なのはこれからです。地域から学校がなくなるというのは、おそらく想像以上に影響が大きいものでしょう。できれば故郷はそのままあって欲しい、と願っています。
IPCC AR5 WG2
IPCCは3つの作業部会からなっています。そのうちの第2作業部会の報告書が発表されました。
http://www.ipcc-wg2.gov/AR5/
http://edition.cnn.com/2014/03/30/world/un-climate-report/index.html?hpt=hp_c1
http://www.cnn.co.jp/world/35045907.html
第2作業部会は、温暖化が人類に与える影響を検討するための部会です。
気温変化や海面上昇など物理的な影響を検討する第1作業部会報告が去年の10月に発表されましたが、その結果が人類に与える影響を評価したのが、今回の第2作業部会報告ということになります。
何しろ、計30章、1,000ページにもわたる報告書です。まだざっと眺めてみた程度ですが・・・。
報告書冒頭に「温暖化の影響はすでに現れている」と明記されています。もはや「温暖化は本当かどうか」という段階はとうに過ぎているのです。CNN.comでは"気候変動(が起きていること)は議論の余地がない"と記載されていますね。
そして、CNNの記事によると、「温室効果ガス排出を抑制することで、温暖化に適応するための時間稼ぎができる」という論調になっているようです。もはや私たちは温暖化を止めることが可能なポイントを過ぎてしまっているのです(正確には、今すぐ温室効果ガス排出量を減少に転じさせることができれば産業革命前に比べ+2℃以内という目標を達成できる可能性があるのですが、今の世界情勢を鑑みるにそれはかなり難しそうです)。
いかに温度上昇幅を小さくするか、いかに対策を取り被害を少なくするか―。これらが、全人類に突き付けられた課題になっているのです。
http://www.ipcc-wg2.gov/AR5/
http://edition.cnn.com/2014/03/30/world/un-climate-report/index.html?hpt=hp_c1
http://www.cnn.co.jp/world/35045907.html
第2作業部会は、温暖化が人類に与える影響を検討するための部会です。
気温変化や海面上昇など物理的な影響を検討する第1作業部会報告が去年の10月に発表されましたが、その結果が人類に与える影響を評価したのが、今回の第2作業部会報告ということになります。
何しろ、計30章、1,000ページにもわたる報告書です。まだざっと眺めてみた程度ですが・・・。
報告書冒頭に「温暖化の影響はすでに現れている」と明記されています。もはや「温暖化は本当かどうか」という段階はとうに過ぎているのです。CNN.comでは"気候変動(が起きていること)は議論の余地がない"と記載されていますね。
そして、CNNの記事によると、「温室効果ガス排出を抑制することで、温暖化に適応するための時間稼ぎができる」という論調になっているようです。もはや私たちは温暖化を止めることが可能なポイントを過ぎてしまっているのです(正確には、今すぐ温室効果ガス排出量を減少に転じさせることができれば産業革命前に比べ+2℃以内という目標を達成できる可能性があるのですが、今の世界情勢を鑑みるにそれはかなり難しそうです)。
いかに温度上昇幅を小さくするか、いかに対策を取り被害を少なくするか―。これらが、全人類に突き付けられた課題になっているのです。
本報告書の中で印象深い図をいくつか提示しましょう。

図1 環境への影響(水色)・生態系への影響(緑)・人類への影響(赤)を示した図。各記号の横にあるバーの高さがリスクの大きさを示す。影響の出ない地域など存在しない。図TS.2. より。

図2:「100年に一度の洪水」が、2080年にはどの程度の頻度で起きるようになるかを示した図。青で回数が増え、赤で回数が減少する。日本では5~25年に1度の頻度にまで増える地域が多い。南・東南アジアでは2~5年に1度の頻度で起きるようになる地域もある。図TS.6. より。

図3:農業による収量変化。青系が増加する地域の割合を、赤系が減少する地域の割合を示す。今はまだ農業に対する影響は功罪半ばだが、2030年以降になると、明らかに収量は減少していく。図TS.9. より。

図1 環境への影響(水色)・生態系への影響(緑)・人類への影響(赤)を示した図。各記号の横にあるバーの高さがリスクの大きさを示す。影響の出ない地域など存在しない。図TS.2. より。

図2:「100年に一度の洪水」が、2080年にはどの程度の頻度で起きるようになるかを示した図。青で回数が増え、赤で回数が減少する。日本では5~25年に1度の頻度にまで増える地域が多い。南・東南アジアでは2~5年に1度の頻度で起きるようになる地域もある。図TS.6. より。

図3:農業による収量変化。青系が増加する地域の割合を、赤系が減少する地域の割合を示す。今はまだ農業に対する影響は功罪半ばだが、2030年以降になると、明らかに収量は減少していく。図TS.9. より。
心胆寒からしめるデータが並んでいますが、むろんこれは確定した未来などではありません。影響をゼロにすることはできませんが、影響を小さくすることはまだ可能なのです。
アマゾンの炭素収支
森林は炭素を吸収して大気中の濃度を低下させます。これは当然の話・・・ではありません。
植物は枯れると地面に落ち、石炭等として固定されるわずかな部分以外は分解されて二酸化炭素になり、大気に戻っていきます。マクロな視点では、すでにある森林は、それ以上に二酸化炭素を固定できないのです。
それどころか、森林は二酸化炭素の放出源にすらなることがあります。森の土には、落ち葉や枯れ枝、腐葉土などが貯まっています。これらが分解して発生する二酸化炭素量が、森林が吸収する二酸化炭素量を上回ることもあることが知られています。温暖化の進行により気温が上昇し菌類の活動が活発になったり、雨量の減少により森林が乾燥したりすることによって、この傾向は強まっているのではないか、とされています。このことは過去記事でも紹介しています。
さて、地球上最大の森林であり、「地球の肺」とまで称されるアマゾンではどうなのでしょうか?
wikipediaでは「アマゾンの熱帯雨林は極相状態にあり、酸素や二酸化炭素の消費と放出が均衡しているため、大気成分に影響を与えない。」と書かれています。これは、上記のように、マクロな視点では全くその通りなのですが、「まさに今」どうなのかというと、大気成分に影響を与えないわけではありません。実際、「アマゾンは現時点ですでに二酸化炭素放出源になっているのではないか?」とする報告もありました。
現時点で、アマゾンは二酸化炭素の吸収源なのか排出源なのか?将来的にはどうなるのか?これは、近い将来の大気中の二酸化炭素濃度を予測する上で重要なのです。
今回、NASAは「現時点でアマゾンは大気中の二酸化炭素を吸収している」と発表しました。
http://climate.nasa.gov/news/1053
http://www.nature.com/ncomms/2014/140318/ncomms4434/full/ncomms4434.html
なぜ今までこのことが分かっていなかったのでしょう?予想ですが、アマゾンは人が気軽に行って調査できるような所ではありません。しかも広大です。炭素収支の調査となると数年単位の継続調査も必要です。したくてもできなかった、というところではないでしょうか。
今回、飛行機や人工衛星を駆使する方法を新たに開発し、これによりアマゾン全体での炭素収支の推定が可能になったとのことです。
推定によると、アマゾンが"放出"する炭素量は17億t/年に達するとの結論が得られました。とんでもない量ではありますが、さまざまなモデルを組み合わせて計算したアマゾンが吸収する炭素量の見積もりに比べると少ない量であり、トータルではアマゾンは大気中の二酸化炭素を吸収する方向に働いているようだ、とのことです。
若木ばかりの森はともかく、極相に達したアマゾン森林でも二酸化炭素を吸収しているということは、逆であるよりはるかによいことでしょう。ただし、この状態は崩れつつあると思われることは、これまで述べてきたとおりです。温暖化の進展とともに、今後どのように推移していくのか注視する必要があるでしょう。
植物は枯れると地面に落ち、石炭等として固定されるわずかな部分以外は分解されて二酸化炭素になり、大気に戻っていきます。マクロな視点では、すでにある森林は、それ以上に二酸化炭素を固定できないのです。
それどころか、森林は二酸化炭素の放出源にすらなることがあります。森の土には、落ち葉や枯れ枝、腐葉土などが貯まっています。これらが分解して発生する二酸化炭素量が、森林が吸収する二酸化炭素量を上回ることもあることが知られています。温暖化の進行により気温が上昇し菌類の活動が活発になったり、雨量の減少により森林が乾燥したりすることによって、この傾向は強まっているのではないか、とされています。このことは過去記事でも紹介しています。
さて、地球上最大の森林であり、「地球の肺」とまで称されるアマゾンではどうなのでしょうか?
wikipediaでは「アマゾンの熱帯雨林は極相状態にあり、酸素や二酸化炭素の消費と放出が均衡しているため、大気成分に影響を与えない。」と書かれています。これは、上記のように、マクロな視点では全くその通りなのですが、「まさに今」どうなのかというと、大気成分に影響を与えないわけではありません。実際、「アマゾンは現時点ですでに二酸化炭素放出源になっているのではないか?」とする報告もありました。
現時点で、アマゾンは二酸化炭素の吸収源なのか排出源なのか?将来的にはどうなるのか?これは、近い将来の大気中の二酸化炭素濃度を予測する上で重要なのです。
今回、NASAは「現時点でアマゾンは大気中の二酸化炭素を吸収している」と発表しました。
http://climate.nasa.gov/news/1053
http://www.nature.com/ncomms/2014/140318/ncomms4434/full/ncomms4434.html
なぜ今までこのことが分かっていなかったのでしょう?予想ですが、アマゾンは人が気軽に行って調査できるような所ではありません。しかも広大です。炭素収支の調査となると数年単位の継続調査も必要です。したくてもできなかった、というところではないでしょうか。
今回、飛行機や人工衛星を駆使する方法を新たに開発し、これによりアマゾン全体での炭素収支の推定が可能になったとのことです。
推定によると、アマゾンが"放出"する炭素量は17億t/年に達するとの結論が得られました。とんでもない量ではありますが、さまざまなモデルを組み合わせて計算したアマゾンが吸収する炭素量の見積もりに比べると少ない量であり、トータルではアマゾンは大気中の二酸化炭素を吸収する方向に働いているようだ、とのことです。
バイオマスの変化推定。(a)は毎年毎年のバイオマス増減、(b)はその累積。いずれのシナリオでもバイオマスは増加(=大気の二酸化炭素吸収)。本論文のsupplementary information のfig.10より。
若木ばかりの森はともかく、極相に達したアマゾン森林でも二酸化炭素を吸収しているということは、逆であるよりはるかによいことでしょう。ただし、この状態は崩れつつあると思われることは、これまで述べてきたとおりです。温暖化の進展とともに、今後どのように推移していくのか注視する必要があるでしょう。