アマゾンの炭素収支
森林は炭素を吸収して大気中の濃度を低下させます。これは当然の話・・・ではありません。
植物は枯れると地面に落ち、石炭等として固定されるわずかな部分以外は分解されて二酸化炭素になり、大気に戻っていきます。マクロな視点では、すでにある森林は、それ以上に二酸化炭素を固定できないのです。
それどころか、森林は二酸化炭素の放出源にすらなることがあります。森の土には、落ち葉や枯れ枝、腐葉土などが貯まっています。これらが分解して発生する二酸化炭素量が、森林が吸収する二酸化炭素量を上回ることもあることが知られています。温暖化の進行により気温が上昇し菌類の活動が活発になったり、雨量の減少により森林が乾燥したりすることによって、この傾向は強まっているのではないか、とされています。このことは過去記事でも紹介しています。
さて、地球上最大の森林であり、「地球の肺」とまで称されるアマゾンではどうなのでしょうか?
wikipediaでは「アマゾンの熱帯雨林は極相状態にあり、酸素や二酸化炭素の消費と放出が均衡しているため、大気成分に影響を与えない。」と書かれています。これは、上記のように、マクロな視点では全くその通りなのですが、「まさに今」どうなのかというと、大気成分に影響を与えないわけではありません。実際、「アマゾンは現時点ですでに二酸化炭素放出源になっているのではないか?」とする報告もありました。
現時点で、アマゾンは二酸化炭素の吸収源なのか排出源なのか?将来的にはどうなるのか?これは、近い将来の大気中の二酸化炭素濃度を予測する上で重要なのです。
今回、NASAは「現時点でアマゾンは大気中の二酸化炭素を吸収している」と発表しました。
http://climate.nasa.gov/news/1053
http://www.nature.com/ncomms/2014/140318/ncomms4434/full/ncomms4434.html
なぜ今までこのことが分かっていなかったのでしょう?予想ですが、アマゾンは人が気軽に行って調査できるような所ではありません。しかも広大です。炭素収支の調査となると数年単位の継続調査も必要です。したくてもできなかった、というところではないでしょうか。
今回、飛行機や人工衛星を駆使する方法を新たに開発し、これによりアマゾン全体での炭素収支の推定が可能になったとのことです。
推定によると、アマゾンが"放出"する炭素量は17億t/年に達するとの結論が得られました。とんでもない量ではありますが、さまざまなモデルを組み合わせて計算したアマゾンが吸収する炭素量の見積もりに比べると少ない量であり、トータルではアマゾンは大気中の二酸化炭素を吸収する方向に働いているようだ、とのことです。
若木ばかりの森はともかく、極相に達したアマゾン森林でも二酸化炭素を吸収しているということは、逆であるよりはるかによいことでしょう。ただし、この状態は崩れつつあると思われることは、これまで述べてきたとおりです。温暖化の進展とともに、今後どのように推移していくのか注視する必要があるでしょう。
植物は枯れると地面に落ち、石炭等として固定されるわずかな部分以外は分解されて二酸化炭素になり、大気に戻っていきます。マクロな視点では、すでにある森林は、それ以上に二酸化炭素を固定できないのです。
それどころか、森林は二酸化炭素の放出源にすらなることがあります。森の土には、落ち葉や枯れ枝、腐葉土などが貯まっています。これらが分解して発生する二酸化炭素量が、森林が吸収する二酸化炭素量を上回ることもあることが知られています。温暖化の進行により気温が上昇し菌類の活動が活発になったり、雨量の減少により森林が乾燥したりすることによって、この傾向は強まっているのではないか、とされています。このことは過去記事でも紹介しています。
さて、地球上最大の森林であり、「地球の肺」とまで称されるアマゾンではどうなのでしょうか?
wikipediaでは「アマゾンの熱帯雨林は極相状態にあり、酸素や二酸化炭素の消費と放出が均衡しているため、大気成分に影響を与えない。」と書かれています。これは、上記のように、マクロな視点では全くその通りなのですが、「まさに今」どうなのかというと、大気成分に影響を与えないわけではありません。実際、「アマゾンは現時点ですでに二酸化炭素放出源になっているのではないか?」とする報告もありました。
現時点で、アマゾンは二酸化炭素の吸収源なのか排出源なのか?将来的にはどうなるのか?これは、近い将来の大気中の二酸化炭素濃度を予測する上で重要なのです。
今回、NASAは「現時点でアマゾンは大気中の二酸化炭素を吸収している」と発表しました。
http://climate.nasa.gov/news/1053
http://www.nature.com/ncomms/2014/140318/ncomms4434/full/ncomms4434.html
なぜ今までこのことが分かっていなかったのでしょう?予想ですが、アマゾンは人が気軽に行って調査できるような所ではありません。しかも広大です。炭素収支の調査となると数年単位の継続調査も必要です。したくてもできなかった、というところではないでしょうか。
今回、飛行機や人工衛星を駆使する方法を新たに開発し、これによりアマゾン全体での炭素収支の推定が可能になったとのことです。
推定によると、アマゾンが"放出"する炭素量は17億t/年に達するとの結論が得られました。とんでもない量ではありますが、さまざまなモデルを組み合わせて計算したアマゾンが吸収する炭素量の見積もりに比べると少ない量であり、トータルではアマゾンは大気中の二酸化炭素を吸収する方向に働いているようだ、とのことです。
バイオマスの変化推定。(a)は毎年毎年のバイオマス増減、(b)はその累積。いずれのシナリオでもバイオマスは増加(=大気の二酸化炭素吸収)。本論文のsupplementary information のfig.10より。
若木ばかりの森はともかく、極相に達したアマゾン森林でも二酸化炭素を吸収しているということは、逆であるよりはるかによいことでしょう。ただし、この状態は崩れつつあると思われることは、これまで述べてきたとおりです。温暖化の進展とともに、今後どのように推移していくのか注視する必要があるでしょう。