長谷川一夫と舟木一夫の付き合いは、ご存知NHK「赤穂浪士」から。
矢頭右衛門七の役に舟木一夫が決定して、舟木一夫がスタジオに姿を現した時、大石内蔵助役の長谷川は、柔和な顔に涼しい笑みを浮かべて彼を迎い入れた。
「長谷川先生ってすごいなぁ、役衣装を着けた時の、重量感に凄く圧倒されちゃった」当時彼は、そう述懐したものだった。
この時から長谷川一夫と言う不世出の名優の存在が彼の胸にどっしりと腰を据えた。
「名優とは先生みたいな人の事を言うんだろう」
スタジオの片隅から、じっと長谷川の名演をみつめる舟木一夫のむさぼるような目。尊敬の意識が激しい欲望のに変って、体中にたぎらせるのだろうか。
いらい舟木は長谷川一夫を師と仰ぎ、師匠また愛弟子をやさしく指導していると聞く。
9月14日 舟木一夫は東宝歌舞伎出演中の長谷川一夫を訪ね、日劇出演を報告、初めて舞う日舞の手ほどきを受けた。
舟木さんが長谷川一夫さんと「赤穂浪士」の稽古でお会いしたのは、1963年12月13日。舟木さんの19歳のお誕生日の翌日の事です。
歌謡ショーに、テレビに、映画に、舞台にと忙しい中、12月はレコード大賞新人賞受賞に、NHK紅白歌合戦出場が決まり、さらにNHK大河ドラマ「赤穂浪士」の出演も決まります。
長谷川一夫さんは、赤穂浪士の撮影を終えて、日劇での東宝歌舞伎に出演中。舟木さんは、この公演の後、9月17日から、初めての日劇でのワンマンショーが控えて居ました。
師匠と仰ぐ長谷川一夫さんを、日劇の楽屋に訪ね、日劇出演の報告をされました。