え~と前回、「謎の女のっち 内なるエースの証明」では、たしか全国インディーズ時代には自分たちの曲に愛情も興味を抱けなかったPerfumeがメジャーデビュー後の三部作、特に「コンピューターシティ」から自分たちの曲を好きになって、それをきっかけにするかのようにテクノ、という音楽ジャンルにも興味を持てるようになった。
この時期から、Perfumeの楽曲への理解、歌詞の世界を自分たちなりに解釈する、というより積極的な踏み込みが深まり、そのことがパフォーマンスのレベルを引き上げた。
Perfume全体のパフォーマンスレベルの底上げが行われる中で、頭角を現してきたのがのっちで、期待されていた才能を開花させた。
そんな感じの内容を書きました。
僕がのっちのことを「謎の女」と、書いてきたのは、あ~ちゃん=女神、かしゆか=天使(小悪魔)、というほどにははっきりとしたキャラクターをイメージ出来なかったゆえの緊急避難だったんですね。
「Perfumeのエース」という僕の勝手な呼び方は、なんかPerfume内での評価として誤解されそうな気がして、割と早くから思いついていたんですけど、使えないで来ました。
しかも、段々と「謎の女」という呼び方がしっくりくるキャラクターらしい、ということも分かってきましたし。
のっちこと、大本彩乃さん、という女性には謎が付きまとっています。
そして、大本彩乃さんに関する謎、というのは、Perfumeの成立過程、その存在そのものの謎に結び付くんじゃないか、と考えてきました。
初代ぱふゅ~む結成時の経緯、のっちのぱふゅ~む加入時における経緯の曖昧さ(のっちのキャリアが語られないこと)、そしてセンター、もしくはエースとしての役割を期待されていただろうはずなのに、その構想が長い間実現されなかったこと。
僕個人が勝手に考える(のっちに関わる)謎、というのは大まかに分けてこの3つになります。
結成時からのメンバーではない、ということは大本彩乃さんという少女のPerfumeというユニット内での立場を決定付けています。
国籍や肌の色の違いほどに。
若い、というよりはっきりと幼い少女たち、人間的な結びつきの強い2人に「後から加わった」人見知りの強い少女。
この構図には、現在でも大きな変化はみられないんじゃないか、という気がします。
ぱふゅ~むから結成時のメンバーが脱退した経緯、というのは現在のファンである僕にはまるで分かりません。
そもそも、初代ぱふゅ~む結成の経緯が分からない。
スクール内で仲の良い何人かが集まってユニットを組む、というのはよくあるパターンだったんでしょうが、あ~ちゃんとかしゆかの出会いが語られることはあっても、この少女の名前、愛称がメンバーに口から語られたのは、僕の知る限り、2回だけ。
脱退したメンバーは、別にぱふゅ~むを脱退した後ASHまで辞めたわけではなく、中学校三年生くらいまでスクール内ユニットでの活動を続けていたようです。
ある芸能サイトでそのメンバーの(おそらく中三当時の)顔写真を見たことがあるのですが、結構可愛らしく、あ~ちゃん、かしゆか、と並べたら、のっちよりも雰囲気は似通っているかな、といった感じの女の子でした。
もしかしたら、脱退の理由は、のっちのように別のユニットでの活動のため、だったのかもしれません。
ぱふゅ~むがのっち加入前からスクール内での人気ユニットだった、ということを考えると、思い切った行動だな、と感じます。
ユニット内のメンバーの入れ替わり、なんてプロデビュー前にはありがちなことのような気がしますけど、結果としてこのメンバーの脱退が無ければのっちの運命がぱふゅ~むと結び付くこと、或いはぱふゅ~むの運命がのっちと結び付くことはなかったことを考えると、メンバー交代劇がPerfumeに与えた影響の大きさは計り知れないものがあります。
あ~ちゃんとかしゆかと、のっち。
実は個性がバラバラな3人によって成立しているPerfumeというユニットの歩んできた歴史。
Perfumeの歴史について一番詳しいのはもちろん本人たちであり、Perfumeの歴史をサーガに喩えるなら、それを伝える吟遊詩人はあ~ちゃんです。
そのことが結構問題だったりするんです、実は。
あ~ちゃんは、頭脳の優秀さ、については疑う余地がないものの、基本的に話は面白くするもの、ライブはひゅーひゅー盛り上がるもの、と思い込んでいる節がありまして、見ている人間が「何もそこまで…」と思わず呟いてしまうほど無茶を仕掛けてくることがあります。
Perfumeの歴史について語る場合も、具体的なエピソードの積み重ね、ではなく、その当時自分たちがどんな風に思われていたか、見られていたか、という自分なりの受け取り方と、そのことをどのように自分が感じていたか、という側面が強調されます。
感覚的な表現が多く、聞きとり手の反応によって話を広げたり、テーマをずらせたりすることも厭わない面もあるようなので、ミステリーの言葉を使うなら「信頼の出来ない語り手」という一面を持っています。
あ~ちゃんの語るASH内でのクラス分けについても、はじめのうちは(のっちのいた)「Bクラスはちょっとレベルの高い子の集まるところって感じだった」「のっちはその時別のグループで、すでに目立っていた」くらいだったのが、いつのまにか「のっちは、もう歌姫でしたね」「もうDIVAですよ」と、のっちの評価が天井知らずに高まり、その分自分たちについては(のっちのBクラスに較べて)「あたし達のDクラスはそうでもなかったから」から「Dクラスはもう雑種ぅ~みたいな」と、自虐っぷりはとどまるところを知りません。
あ~ちゃんがそう語っている時、脇ではかしゆかがうんうんと頷いて
「さすが綾ちゃん、ええこと言うわ~」
見たいな顔をしていることもありますけど、Perfumeの中でも、特にこの二人はブッチ アンド サンダース みたいな共犯関係にありますので油断は出来ません。
「信頼の出来ない語り手」によって語られるPerfumeの歴史の中に間違いなく存在する真実。
ぱふゅ~むを「結成」したあ~ちゃんとかしゆか、ぱふゅ~むに「スカウト」されたのっち、というメンバー構成。
スカウトされた時、まだ「彩乃ちゃん」と呼ばれていた少女は、やがて「のっち」と呼ばれるようになり、ぱふゅ~むを経てPerfumeのエースとして成長していきます。
太陽に向かって咲く向日葵のように。
西脇綾香という少女と出会うことによって▽・w・▽