胆石治療ということで自然と内科治療を行う病棟に入院していた。

内科病棟は基本的にお年寄りばかりで病状も(カーテン越しの話を聞くと)深刻なものが多い。大部屋に検査入院の患者と余命宣告を受けた人が同時期に入っていたりもする。

 

老齢になって体を動かすのも大儀になった状態で入院するのはリスクも高い。

例えば点滴の問題がある。

現在の点滴は針をさすのではなく針状のチューブを差し込み血管を確保してルートを維持し2~3種の点滴を流し込めるようなアタッチメントが繋がっている。

それをテープで固定して点滴が必要な間はずっと挿したままにしておくのだがこれが時間が経つと血管からズレてしまい別の場所から再挿入することになる。

採血の針よりも太くて長いチューブは挿す段階で結構痛いし歳を取ると血管を確保するまでが大変で(細いし血管が固くなって逃げる)「結構痛い」挿す作業を何度か繰り返すことになり患者は痛みで看護師は申し訳無さでそれぞれ声をあげることになるのだ。

 

さらに体を動かすのも大儀になった状態で一日の大半をベッドの上で過ごすということ自体も大変そうだった。

ベッドに身を起こし靴を履いて(現在の病棟ではスリッパやサンダルのような踵を保護しないものは使えない。クロックスタイプもダメ)ベッドから降りトイレまでを歩く(しかも点滴を挿れたまま)。

入院しているくらいだから体のどこかに不具合があり息を切らしながらトイレまでの行き帰りはそれだけで苦行だ。

痰が詰まりやすい人はパイプのようなものを喉から挿れられ吸い出される。

それも辛いようで「勘弁してくれ」と音を上げる人もいた(もちろん勘弁してくれない)。

 

自分もいずれさらに歳をとり体力も落ち関節が軋み血管が弱り痰が絡みやすくなってから入院すると考えると暗澹たる気持ちになる。

健康は大事。

本当に大事。

それが分かっていても健康なままでいてくれない体を授かった生き物として老後を(或いはそれまでを)どう過ごすかを考えたほうがいいですよというお話