今日の一曲!Pastel*Palettes「ワクワクmeetsトリップ」 | A Flood of Music

今日の一曲!Pastel*Palettes「ワクワクmeetsトリップ」

 

乱数メーカーの結果:1107

 

 上記に基づく「今日の一曲!」は、BanG Dream!のセクション(1093~1107)からPastel*Palettesの「ワクワクmeetsトリップ」です。詳しい選曲プロセスが知りたい方は、こちらの説明記事をご覧ください。

 

 

 当ブログ上で名前を出す形でバンドリに言及するのは意外にも本記事が初です。この辺りの裏事情は最後の備考欄に長々と展開したので、まずは純粋に音楽レビューをお楽しみいただければと思います。

 

 

収録先:『ワクワクmeetsトリップ』(2020)

 

 

 本曲はパスパレのディスコグラフィーに於いて6thシングルの表題曲で、後にアルバム『TITLE IDOL』(2021)にも収録されています。

 

 c/wの「ぎゅっDAYS♪」は未収録なので先に同曲を簡単に語りますと、サビメロがUmberto Tozziの「Gloria」(1979)のキーボードを彷彿させるキャッチーさで好みな ― 実際に僕の脳内ライブラリが参照したのはLaura Braniganによるカバー(1982)のシンセリフだと思う ― のと、所々に渋谷系っぽさを匂わせつつも全体としては一昔前のアニメのキャラソン的なポップさでまとまっていて、いずれにせよ2020年らしくはないナンバーだけれども、翻ってそれが素敵なリバイバルとなっている良曲です。

 

 

歌詞(作詞:織田あすか)

 

 注:初めに断っておきますと僕のバンドリについての作品知識はほぼ全部アニメ由来なので、仮にゲームのシナリオに本曲に纏わるものがあったとしても詳細は一切わからず、歌詞解釈に反映させることは出来ない点をご寛恕いただければと思います。

 

 曲名の「トリップ」と台詞のパートから瞭然のように、パスパレの案内によって"遥かなるミュージックの旅"へと誘われる内容です。この要素はサウンド面に反映されているとの認識ゆえ言及はアレンジの項に先送りしまして、主に歌われているのはリトライ精神の尊さだと言えます。例えばA/Bメロの"繰り返す挑戦で 自信MAX♪"や"ギブアップなしの心で"に、サビの"Wake up!諦めずに"や"納得するまで 何度でも やり直そう"など、失敗を前提にしたフレーズのオンパレードです。

 

 これだけではやや放言的ですが、きちんと労りの言葉も鏤められているため応援歌として成立しています。彩ちゃんの台詞がゲストに気を配った丁寧調であることに加えて、"Check it out!準備は良いですか?"や"スミからスミまでHAPPYで歌おうよ!"に、"ケガだけには 気をつけましょう!/焦りはキンモツです! 落ち着いて,,,"など、リスナーを巻き込むインクルーシブな視点が窺えるのは実にアイドルソングらしいです。

 

 

メロディ(作曲:菊田大介

 

 アレンジも同一人物が務めているので横断的な書き方をしますと、サウンドの方向性としてはディスコが軸に据えられていると分析します。メロディに於いてそれが顕著なのはBメロの入りで、"ミスを"("誰が"|"ギブア")の部分はディスコストリングスらしい振る舞いの音運びだと感じますし、事実"誰が"の直後には旋律をフォローする形で弦が鳴り出す作編曲の一致です。

 

 Aメロの切なげなラインの終止に"自信MAX♪"と少しダサめのキメが来るのも、古めのJ-POPに見られるダンスミュージックのマナーに思えます。別作品から例示すればプリパラの記事に紹介した「かりすま~とGIRL☆Yeah!」(2016)のレビューに、「現代から振り返れば少しダサいキメ方が翻ってキュートな"パンパン!"のライン」と書いたことと同一のツボを刺激されたということです。また、ここの"MAX♪"はアイドルソングの王道的には全員のボーカルを重ねてフックを作りそうなものなのに、オケを合わせるだけに止めたのを密かに高く評価しています。ライブでのコール用に残した余地ですかね。

 

 上述したダンスチューンの立脚地からは全てを語れないので追加の視座を盛り込みますと、"(Sha-la-la-lan-lan☆ Sha-la-la-lan-lan☆)"のコーラスと"ワク×ワク×ワクmeetsトリップ"のウィスパーボイスから受ける絢爛且つ繊細なイメージと、メインボーカルのくねったラインの隙をサブボーカルがコーラス隊的に支えて進行していくサビメロから見えるステージ感を加味すると、ジャズコンボらしい世界観のビジョンも浮かんで来ます。

 

 

アレンジ(編曲:菊田大介)

 

 歌詞の項で述べた「"遥かなるミュージックの旅"の要素はサウンド面に反映されている」について、メロディの項に展開した文章を基に総括しましょう。「ディスコ」「古めのJ-POP」「ダンスミュージック」「アイドルソング」「ジャズコンボ」と雑多にジャンル名が出てくる結果となったのは、本曲のコンセプトが"ミュージックの旅"であるのなら得心がいきます。"オープン・ザ・ゲート!未知の先へ/追いかけて 追いかけて ピューン♪"で時間も空間も超えられるのであれば、種々の音楽的ルーツにふれるようなアレンジになるのは道理だからです。

 

 「ワクワクmeetsトリップ」のレビューは以上で、以降は個人的なバンドリ評を展開するセクションになります。読み進めるにつれてポジティブに転化していく未来志向の内容ではありますが、特に書き始めから暫くはクリティカルな文章が続くので一応の注意喚起です。ここからが本編と言えなくもないくらいには長いため、時間と興味があれば下にスクロールしてご覧ください。

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備考:元アンチから見たバンドリについて

 

 白状します。半年ほど前まで僕は明確にバンドリを嫌っていました。嫌悪感が芽生え始めた時期はゲームのCMがTVでバンバン流れていた頃と重なるので、4年以上は悪感情を抱えていたと言っても過言ではありません。なお、見出しではわかりやすく「アンチ」を標榜したものの、関係者やファンに噛み付いたり作品のネガティブな情報を発信したりと、何らかの表立った活動をしていたわけではない点に留意してください。とはいえ抑制が効かず当ブログ上で暗に匂わせてしまった例なら実はありまして、名前こそ伏せていますがナナシスの記事では「某新興バンドゲーム」と、SB69の記事では「別の某プロジェクトのバンド」とぼかした上で、比較対象として槍玉に挙げていました。

 

 バンドリの具体的に何を嫌っていたのかと問われれば、Elements Gardenが携わっている部分‘以外’は全てが気に食わなかったと答えます。つまり好印象だったのは音楽の作編曲に関してだけで歌詞と演奏には否定的でしたし、マーケティングの方法にもアニメに付随する諸要素(キャラデザ・作動画・シナリオ・演出・声優の演技etc.)にも、更には関係者の発言内容からファン層の消費行動に至るまで、プロジェクトの全般に不快感を覚えていたわけです。勿論各視点について深く掘り下げることは出来ますが無益ゆえ省略しまして、自分の心の中でのみ激烈なアンチだったという過去は包み隠さないでおきます。現在の僕はこれらの殆どを好意的に受け止めており、以下に記すのは心変わりの詳細です。

 

 

 

 端的に言えば、RAISE A SUILENのおかげで僕は作品への抵抗感がなくなりました。その第一段階はアニメ『アサルトリリィ BOUQUET』のOP曲「Sacred world」(2020)で、イントロのシンセとピアノが交互に織り成すリフの格好良さに痺れることに。しかしこの段階ではまだチュチュ様の声質が受け容れられず、「なんだこのメスガキラップ!?」と困惑気味だったことに加えて、アサリリ自体が好みだったこともあってアニメへの高評価と混同している可能性を捨てきれず、「まぁそりゃ単発でなら例外的に好きな場合もあるわな」と一歩引いていたのです。

 

 第二段階もアニメきっかけで、『擾乱 THE PRINCESS OF SNOW AND BLOOD』のOP曲「EXIST」(2021)もまたどストライクのナンバーでした。こういった和風のアレンジもいけるのか!…からの鋭利なシンセの凶悪な響きにゾクゾクして、Bメロからサビへの雪崩れるような移行に度肝を抜かれた時点で「好き」と言うほかなかったです。レイヤの声質も相俟って高橋洋子さん的な熱さを感じ、アニメタイアップに向いているなと思いました。

 

 第三段階も同じくアニメが;と言っても今度はバンドリのアニメの話で、昨年にアニマックスでTVシリーズと劇場版の一作目が放送されており、第1期だけは絶賛アンチ継続中の時分に視聴済みであった(観ずの批判は良くないと思って観た結果案の定受け付けなかった)ため、第2期以降を新鮮な気持ちで鑑賞してみたのです。これがRASに好意的になっていた僕にとって功を奏しまして、第2期はRASの結成が話の主軸のひとつであったのと、作劇上の主人公格として新たに登場した六花の存在によって物語に移入しやすくなり、漸くバンドものとして面白いと思えました。こうなると第3期も気に入らないわけがなく、六花がRASに加入するストーリーは期待通りの展開です。

 

 

 

 ここからはもうひたすらに音源集めで、バンドを問わずアルバムは優先的に揃え終わっているため目下c/w曲をディグっています。Poppin'Partyは『Breakthrough!』(2020)の限定盤にB面集が付いていたので有難かったのですが、他のバンドにはそれがないため各シングルにちまちま手を出すしかなく、もどかしくも蒐集家の性分的には楽しいです。このうちRASとパスパレとハロー、ハッピーワールド!の分は終えており、残すはRoseliaとAfterglowのc/w曲のみとなりました。現時点でアルバムがないMorfonicaと特殊なGlitter*Greenの音源もちゃんと押さえているけども、アニメのキャラソンとサントラとガルパ☆ピコ関連はまだ手付かずです。

 

 自分は基本的に否定的なスタンスを取り勝ちになるカバーアルバムについても、バンドリのそれらはなかなかどうして悪くありません。とりわけカバーではハロハピが強いとの認識で、「エイリアンエイリアン」と「おジャ魔女カーニバル!!」はオリジナルよりも中毒性が高いです。こころ役の伊藤美来さんの楽曲に関しては過去に何度かレビューしていて()、その時々には特別視するほどではない並の好き具合だったのに、こころに扮しての歌声はキャラの性格に引っ張られているからか電波な質感がマシマシでクセになります。

 

 

 

 

 以上、バンドリアンチだった自分がファンになっていったプロセスでした。一部フォローしきれていない点を補足しますと、キャラデザは慣れたら違和感がなくなりましたし声優の演技も上達により気にならなくなった次第です。作詞面への批評はエレガ所属の織田あすかさんに対するものではなく、主に原作の中村航さんの手に成るものに対してだったのですが、別のプロジェクトに於ける作詞提供(D4DJの特にLyrical Lilyの作品)で素直に感動したため、バンドリでのワークスも悪くないと考えを改めました。マーケティング斯斯とファン層然然については、別にバンドリに限った話ではないよなと割り切っています。

 

 ともかく自作のプレイリストに枠を設ける(オリジナルが15*3の全45曲編成|カバーが7*3の全21曲編成)くらいには、僕の中でバンドリの音楽はお気に入りとなっているので今後も機会が来れば熱く語りたいです。当ブログ上で初めてバンドリを語る際にはどうしてもアンチの過去にふれなければと気を揉んでいたため、その必要性は扨措き自身の考えを文章化出来て満足しています。ディスっていた過去の自分が狭量だったというだけで、クリエイター陣は当初から良い仕事をしていたと念押しして〆です。