原本証明を付けるように言われたことがあります。


行政機関等へ書類申請をする際に添付する書類は、原本とするのが原則です。しかし、原本を手元に残しておきたい場合、コピーした添付書類を提出することになるのですが、その書類が原本と相違ないという証明をする必要があります。


このことを「原本証明」といいます。


例えば、


株主総会議事録は、株主総会の日から本店に10年間、支店には写しを5年間、備え置かなければなりません(会社法318条)。


取締役会議事録は、取締役会の日から本店に10年間、備え置かなければなりません(会社法371条)。


議事録を提出する必要がある場合に1部のみしか作成していなければ、その議事録を提出してしまうことにより、上記規定を遵守することができなくなります。

この場合は、コピーの提出でも構わないと思われますが、原本証明を付さなければなりません。

また、支店に謄本を備え置く場合には、議事録のコピーに原本証明を付しておきます。


そのほか、


原本還付(原本を返してもらうこと)できる場合には、必ず原本証明を求められます。


法人設立の登記申請の際、添付する書類(定款、就任承諾書 等)は、原本証明付のコピーを提出することにより、原本還付ができます。


※この場合の原本還付の手続きは、申請書提出のときに限られています。


--------------------ー


原本証明の書き方に決まりはありませんが、一般的には最終頁の表面にします。


原本に相違ない旨を記載した謄本の下に、年月日、住所、氏名(法人の場合は、法人名及び代表者名)を記載し、押印します。


書類が2頁以上の場合、ページの連続性を証するため製本(袋とじ)にして、割り印をします。



この写しは原本と相違ありません。


 平成○○年○○月○○日

                  ○○○○○○○○ (←法人名)


                   ○○ ○○   印 (←代表者名)

委任状を作成する際に知っておくべき基本事項です。


委任状は、代理権を証明する文書であり、権原の所在を明確にするものです。

委任者は、代理人の行為に関しても責任を負わなければなりません。代理権の範囲が漠然とした委任状の場合、代理人により乱用される心配があります。そのため代理権の範囲は具体的に書いておくことが必要です。


また、民法は顕名主義をとっており、表見代理の責任問題となることもあります。


顕名とは、代理人が代理行為に際して、本人のためにすることを示すことをいいます。

この顕名がないとその代理行為は代理人自身のために為したものとみさなれます。ただし、相手方がその代理行為が本人のために為されたことをしっていたか、または知ることができたときは、顕名があったのと同様に代理の効果が認められます。


表見代理とは、代理権がないために無権代理となる場合ではあるものの、代理権の存在を推測させるような事情があり、その事情を信頼した相手方を保護する必要性と許容性がある場合に、その無権代理行為を有効なものとして扱い、効果を本人に帰属させる制度をいいます。


委任状の形式は、特に法律で定められているわけではありませんが、慣習として一定の書式が決まっいるといえます。縦書き、横書きいずれでも構いません。


形式

1.一見して委任状であることが分かる標題にします。


1.本人と代理人との間には何らかの信頼関係があるはずです。

  代理人の住所、氏名は必ず記載し、誰に委任するのかを記します。


1.白紙委任状は間違いのもとになります代理権限の内容は具体的に記載します。


1.委任状を作成した年月日を記入します。


1.委任者の署名押印又は記名押印をします。


注意事項

[委任者本人の直筆であること]


[捨て印の押印を制限すること]

捨て印:あらかじめ訂正箇所の生ずることを予定し、上部の空欄に押しておく印のこと


[止め印の活用又は「以下余白」と明記すること]

止め印:文章や金額、数量の下に余白があるとき、余白に書き込みをされないために押す印のこと

[作成した委任状のコピーをとっておくこと]


[複数の委任者がいる場合、各人が押印すること]


[複数の委任者がいる場合、委任内容が異なるのであれば別に委任状を作成すること]


※委任状は、委任契約や代理契約を根拠とするものであって、様々な書き方があります。また雛形が用意されている場合もあります。


※委任状の押印は、認印でも構まわないです。しかし、私人間、私企業間の重要な契約では、偽造でないことの証明のため実印を押印し印鑑証明書を添付します。

そのほか、委任者本人が自署し認印を押印しなければ場合など様々です。



              委任状(有効期間あり)


   法務の印(in) progress 法務の印(in) progress
「この委任状による委任の期限は平成○○年○○月○○日までとし、以後失効する」と記載して、委任状の有効期間を定めています。



           委任状(納税証明書の請求及び受領)


              法務の印(in) progress



        委任状(固定資産評価証明書交付申請及び受領)


    法務の印(in) progress 法務の印(in) progress

         (A市)            (B市)

市町村によって雛形の様式が異なっている場合があります。



         定款認証        設立登記


      法務の印(in) progress 法務の印(in) progress

赤丸の箇所は捨て印です。

内容証明郵便は、将来発生する可能性があるトラブルを防ぐためや、現に発生しているトラブルを解決する一つの手段として利用されています。


また、訴訟や裁判手続きの前に何らかの文書による請求を行っておく方がよいとされています。直ちに相手方の財産に仮差押えをして財産の隠匿を阻止するような必要性がなければ、内容証明郵便を出すことにより解決できることがあります。


裁判所に交渉過程の一端を見せておくことにもなります。


では、


内容証明郵便を受け取った場合の対処方法は?


内容証明郵便の受取人が、返事を出さなくても一般的には差出人の言い分を認めたことにはなりません。


しかし、差出人が最終的には裁判手続きをとる場合があるということも考慮して対策をしていかなければなりません。


内容証明郵便の指摘内容のとおりであれば、その内容を履行しておく必要があります。


直接連絡をして、話し合えば解決策がみつかるかもしれません。


以下、返事を出す場合に注意すべきことになります。


内容証明郵便に返事を書く場合の注意点!


出した内容証明郵便は相手方の証拠になります。長々と返事を書いてしまっていたら、相手方にこちらを攻撃する手がかりを与えかねません。


差出人は相手方が何を考えているのか、どのような証拠を持っているのかを引き出そうとしている場合があります。


そのため、返事は簡単明瞭に書くべきです。


また、どのような内容の返事を出したのか、いつ相手方に届いたのかが分かるように、こちらも配達証明付きの内容証明郵便で出します。


一定期間内に回答しないと法律上一定の効果が生ずる場合とは?


内容証明郵便を受け取ったからといって、返事を出さなくても差出人の言い分を認めたことにはなりません。しかし、これには例外があります。


隔地者間における契約の申込み(商法508条)

 商人である隔地者間において、承諾の期間を定めないで契約の申込みを受けた者が、相当の期間内に承諾の通知をしなければその申込みは無かったことになります。


契約の申込みを受けた者の諾否通知義務(商法509条)

 商人が平常取引をする者からその営業の部類に属する契約の申込みを受けたときは、すぐに返事をしなければ契約の申込みを承諾したものともなされます。


制限行為能力者の相手方の催告権(民法20条1項)

 未成年等の制限行為能力者が行った行為は取り消すことができますが、行為能力者となった後に相手方から1ヵ月以上の期間を定めてその期間内に取り消すことができる行為を追認するかどうかを確答すべき催告がきた場合、その期間内に確答を発しないときには、その行為を追認したものとみなされます。


無権代理の相手方の催告権(民法114条)

 無権代理人がした契約において、相手方は本人に対し、相当の期間を定めてその期間内に追認するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができます。その場合において、本人がその期間内に確答をしないときは、追認を拒絶したものとみなされます。


抵当権消滅請求(民法379条)、債権者のみなし承諾(民法384条)、競売の申立ての通知(民法385条)

 抵当不動産の第三取得者は、登記をした各債権者に対し、一定の書面を送付することにより抵当権消滅請求をすることができます。その抵当権消滅請求の通知を受けたままにしておくと、第三取得者が提供した金額の弁済で抵当権が消滅します。

 抵当権消滅請求に承諾できないときは、債権者は通知を受けた後、2ヵ月以内に抵当権を実行して競売の申立てをしなければなりません。また競売申立ての通知を債務者及び第三取得者にしなければなりません。


選択権の移転(民法408条)

 債権が弁済期にある場合において、相手方から相当の期間を定めて催告をしても、選択権を有する当事者がその期間内に選択をしないときは、その選択権は、相手方に移転することになります。


催告による解除権の消滅(民法547条)

 契約を解除できるのに解除しないでいる場合、相手方は相当の期間を定めて解除するかどうかを確答すべき旨の催告をすることができる。この場合において、その期間内に解除の通知をしないとき解除権は消滅し、契約の解除をすることはできなくなります。


受遺者に対する遺贈の承認又は放棄の催告(民法987条)

 受遺者は、遺贈義務者その他の利害関係人から相当の期間を定めた遺言の承認又は放棄をすべき旨の催告を受けた場合、その期間内に意志を表示しないときは遺贈を承認したものとみなされます。


商法 最終改正:平成23年5月25日法律第53号


民法 最終改正:平成23年6月24日法律第74号

前回の続きです。


業務委託契約解除の通知書を内容証明郵便で出すように言われて、


なぜ、内容証明郵便で出すのか?


どのような場合に内容証明郵便で出せばいいのか?


そのほか、どのような場合に内容証明郵便を利用するのか?


配達証明は付けるべきなのか?


と、いうことは分かりました。


しかし、内容証明郵便はもう少し奥が深いようです。



内容証明の書き方(内容)で、注意することは何ですか?


事実や権利関係につき法律根拠も加えて、簡単明瞭に書きます。


また、事案にもよりますが、こちらの意志を通知するだけではなく、相手方が何を考えているのか、どのような証拠を持っているのかを引き出すような書き方を要すべき場合があります。


内容証明郵便を受け取ったからといって、返事を出さなくても一般的には差出人の言い分を認めたことにはなりませんし、法律上不利にはなりません。但し、一定期間内に回答しないと法律上一定の効果が生ずることがあります(内容証明その3)。


出した内容証明郵便は相手方の証拠にもなります。自分にとって不利な証拠となっていないのか検討する必要があります。


相手方が内容証明郵便に応じてくれない場合、次の手はどうするのか考えて書かなければなりません。



内容証明郵便を出さない方がいい場合はありますか?


相手方が倒産しそうな場合には、内容証明郵便を出すことによって財産を隠匿したり、夜逃げしたりしてしますことも考えられますので、直ちに相手方の財産に仮差押えをするべきです。


また、不渡りの場合にも手形交換所の供託金を仮差押えするか、供託していないときには他の財産を仮差押えするべきです。



内容証明郵便が相手方に届かない場合はどうなりますか?


民法97条1項では「隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」としています。意思表示する通知が、相手方に届かなければ効果がないのです。


配達証明付き内容証明郵便を出した場合、「到達したものとみなされるとき」と「到達したものとみなされないとき」があります。


受取りを拒絶したとき


受取人は、配達された郵便物の受取りを拒絶することができます。


しかし、民法97条1項の「到達」とは、相手方が現実に通知した中身を見たときではなく、相手方がその通知を知りうる状態であればよいということになっています。


そのため受取りの拒絶は、到達したものとみなされます。


また、同居人が受け取った場合や受取を拒絶したときも到達したことになります。


留守で配達されないとき


配達証明付き内容証明郵便で出すと、郵便配達人が直接受取人に渡し、受取人から受取印をもらうため留守のときには配達できません。そのため、留守宅に郵便局で保管していますので7日以内に取りに来てくださいと書いた手紙を置いていくことになります。


しかし、受取人が7日以内に取りに来ない場合、内容証明郵便は差出人に戻ってきてしまいます。


この場合には、その通知は届いたことにはならず、意思表示の効力は生じません。到達したものとはみなされないのです。


※クーリング・オフに関しては、民法97条1項の例外であり、クーリング・オフの通知を発信したときに効力が生じます(発信主義)。


居住不明のとき


公示送達という方法があります。


相手方が最後に居住していた場所を管轄する簡易裁判所に申立てを行い、一定の手続を経ることで、内容証明に記した意思表示は、相手方に到達したものとみなされ、その効力が生じます。

法人から業務委託契約解除の通知書を内容証明郵便で出すように言われました。



なぜ、内容証明郵便で出すのですか?


内容証明郵便は、どんな内容の手紙を、いつ出したのかを証明できるからです。



じゃあ、どのような場合に内容証明郵便で出せばいいのですか?


相手に確実に送りたい、その証拠を残しておきたい場合に内容証明郵便を使います。


例えば、


債権譲渡の通知をするとき


 民法467条1項は「指名債権の譲渡は、譲渡人が債務者に通知をし、又は債務者が承諾をしなければ、債務者その他の第三者に対抗することができない。」と定めています。そして同条2項は「前項の通知又は承諾は、確定日付のある証書によってしなければ、債務者以外の第三者に対抗することができない。」としています。

 

 確定日付のある証書による通知というのが内容証明郵便のことです。


 債務者が債権譲渡を承認すれば、債権譲渡の通知をしなくてもよいことになっています。この場合、譲受人は承認したことを文書にしてもらい、公証役場で確定日付をとっておくべきです。そうしておかなければ、後日、二重に債権を譲り受けた人が現れた場合に対抗できなくなります。


<参考>

※指名債権が二重に譲渡された場合、譲受人相互の間の優劣は、確定日付のある通知が債務者に到達した日時又は確定日付ある債務者の承諾の日時の先後によって決すべきである(最判昭49.3.7)。


※指名債権が二重に譲渡され、確定日付のある各譲渡通知が同時に債務者に到達したときは、各譲受人は債務者に対してそれぞれの譲受債権全額の弁済を請求することができる。この場合、請求を受けた債務者は他の譲受人に対する弁済その他の債務消滅事由が存在しない限り、弁済の責を免れることができない(最判昭55.1.11)。


契約を解除するとき


 契約を解除するには、相手に解除の意思を伝えればよく、その意思表示は口頭で言っても普通郵便で手紙を出しても有効です。しかし口頭で通告した場合には証拠が残りません。また普通郵便で送ったときでも、手紙を受け取っていないと言われたら契約を解除したことを証明するのが困難になります。


 例えば、クーリング・オフによる解約の場合、8日以内に解約する旨の書面を発送しなければなりません。解約の通知をしたことの証拠を残しておくために、内容証明郵便にして、配達証明付きにしておくと安全です。


債権を放棄するとき


 商取引の相手方が倒産し売掛金等を回収できなくない場合、そのままにしておくと帳簿上その売掛金等の債権は資産として計上され、税務上損をします。その売掛金等の債権を放棄しておけば放棄した金額を損金として処理することができます。



そのほか、どのような場合に内容証明郵便を利用しますか?


裁判外の請求により、時効を一時的に中断させるときに内容証明郵便を使います。


 時効が中断するのは、訴訟を起こしたり、支払督促の申立て等の裁判上の請求をしたとき、差押え、仮差押え、仮処分等の裁判手続きをとったときなど、債権者が権利を行使しているとみられるときです。

 裁判外の請求をしたときでも、時効は一時的に中断しますが、請求後6ヵ月以内に、上記いずれかの行為をしなければ時効は中断しなかったことになります。この裁判外の請求は口頭でも文書でもよいのですが、いつ請求したかという証拠を残しておくため、必ず内容証明郵便で行うべきです。


※債務者がした支払猶予の要請や一部分の支払いは、債務の承認となり時効の中断事由となります。


※時効完成後の債務の承認は、時効の主張を放棄したことになります。



内容証明郵便に配達証明を付けた方がいいのですか?


必ず配達証明を付けるべきです。通知は相手方に届かなければ効力がありません。


 内容証明郵便で出しますと、いつ、どんな手紙を出したのかは証明できますが、いつ相手に到達したかということまでは証明できません。届いたであろうと推測はできますが、届いたという証拠にはなりません。そのため相手方に到達したことを証明するには、郵便局の配達証明が必要です。


 内容証明郵便を出した後でも1年以内ならば郵便局で配達証明をしてもらうことはできますが、受けられるのは差出人に限られます。

参考文献:坂本正幸編著『労働事件処理マニュアル』新日本法規、2011、309‐317項


 簡易裁判所は、訴訟の目的の価額が140万円を超えない比較的少額の請求について、第一審の裁判権を有しています。地方裁判所の通常訴訟と同じ手続ですが、比較的軽微な事件を扱っており、簡易迅速な紛争解決という目的を達するため、様々な特則が定められています。

※簡易裁判所では、通所訴訟のほか「支払督促」「少額訴訟」といった手続も扱っているので、事案に応じて手続の利用を検討する必要があります。


                    裁判手続 簡易裁判所の民事事件Q&A


フローチャート


 訴えの提起  訴えの提起

          |

          |※口頭での訴えの提起

          |※任意出頭による訴えの提起

          |※請求原因の記載の簡略化

          ↓

 審理     口頭弁論

          |

          |※書面による準備の省略

          |※続行期日における陳述擬制

          |※尋問等に代わる書面の提出

          |※司法委員の関与

          |

 簡裁訴訟     | → 和解に代わる決定(簡裁訴訟特有)

 の終了      ↓

        判決、和解、訴えの取下げ 等(通常訴訟と共通)



簡易裁判所の訴訟手続に関する特則

 
(手続の特色)

第270条 簡易裁判所においては、簡易な手続により迅速に紛争を解決するものとする。


(口頭による訴えの提起)

第271条 訴えは、口頭で提起することができる。
・・・実際上は、裁判所に備え付けられた定型訴状用紙を交付され、必要事項を記載して提出するよう指導されることが多いようです。


(訴えの提起において明らかにすべき事項)

第272条 訴えの提起においては、請求の原因に代えて、紛争の要点を明らかにすれば足りる。

・・・訴えの提起後、口頭弁論終結時までには、請求の原因が特定されている必要があります。


(任意の出頭による訴えの提起等)

第273条 当事者双方は、任意に裁判所に出頭し、訴訟について口頭弁論をすることができる。この場合においては、訴えの提起は、口頭の陳述によってする。

・・・原告は、口頭弁論で陳述して訴えを提起し、その旨が口頭弁論調書に記載されます。


(反訴の提起に基づく移送)

第274条 被告が反訴で地方裁判所の管轄に属する請求をした場合において、相手方の申立てがあるときは、簡易裁判所は、決定で、本訴及び反訴を地方裁判所に移送しなければならない。この場合においては、第22条の規定を準用する。

2 前項の決定に対しては、不服を申し立てることができない。


(訴え提起前の和解)

第275条 民事上の争いについては、当事者は、請求の趣旨及び原因並びに争いの実情を表示して、相手方の普通裁判籍の所在地を管轄する簡易裁判所に和解の申立をすることができる。

・・・訴え提起前の和解が調ったときは、その内容が調書に記載され、この和解調書は確定判決と同一の効力を有します(民事訴訟法第267条)。この手続きは、請求の価額にかかわらず手数料は1件につき2,000円(郵便切手の予納分は別途)です。

・・・公正証書を作成することによっても債務名義は取得できます。

2 前項の和解が調わない場合において、和解の期日に出頭した当事者双方の申立てがあるときは、裁判所は、直ちに訴訟の弁論を命ずる。この場合においては、和解の申立てをした者は、その申立てをした時に、訴えを提起したものとみなし、和解の費用は、訴訟費用の一部とする。

3 申立人又は相手方が第一項の和解の期日に出頭しないときは、裁判所は、和解が調わないものとみなすことができる。

4 第一項の和解については、第264条及び第265条の規定は、適用しない。


(和解に代わる決定)

第275条の2 金銭の支払の請求を目的とする訴えについては、裁判所は、被告が口頭弁論において原告の主張した事実を争わず、その他何らの防御の方法をも提出しない場合において、被告の資力その他の事情を考慮して相当であると認めるときは、原告の意見を聴いて第三項の期間の経過時から五年を超えない範囲内において、当該請求に係る金銭の支払について、その時期の定め若しくは分割払の定めをし、又はこれと併せて、その時期の定めに従い支払をしたとき、若しくはその分割払の定めによる期限の利益を次項の規定による定めにより失うことなく支払をしたときは訴え提起後の遅延損害金の支払義務を免除する旨の定めをして、当該請求に係る金銭の支払を命ずる決定をすることができる。

2 前項の分割払の定めをするときは、被告が支払を怠った場合における期限の利益の喪失についての定めをしなければならない。

3 第一項の決定に対しては、当事者は、その決定の告知を受けた日から二週間の不変期間内に、その決定をした裁判所に異議を申し立てることができる。

4 前項の期間内に異議の申立てがあったときは、第一項の決定は、その効力を失う。

5 第三項の期間内に異議の申立てがないときは、第一項の決定は、裁判上の和解と同一の効力を有する。


(準備書面の省略等)

第276条 口頭弁論は、書面で準備することを要しない。

・・・証拠の申出の場面でも妥当するものと考えられている。

2 相手方が準備をしなければ陳述することができないと認められるべき事項は、前項の規定にかかわらず、書面で準備し、又は口頭弁論前直接に相手方に通知しなければならない。

3 前項に規定する事項は、相手方が存廷していない口頭弁論においては、準備書面(相手方に送達されたもの又は相手方からその準備書面を受領した旨を記載した書面が提出されたものに限る。)に記載し、又は同項の規定による通知をしたものでなければ、主張することができない。


(続行期日における陳述の擬制)

第277条 第158条の規定は、原告又は被告が口頭弁論の続行の期日に出頭せず、又は出頭したが本案の弁論をしない場合について準用する。

・・・当事者双方が口頭弁論期日に出頭せず、又は弁論をしないで退廷した場合は、民事訴訟法第263条の適用場面となり、同条の定める要件を満たした場合には訴えの取下げがあったものとみなされます。


(尋問等に代わる書面の提出)

第278条 裁判所は、相当と認めるときは、証人若しくは当事者本人の尋問又は鑑定人の意見に代え、書面の提出をさせることができる。


(司法委員)

第279条 裁判所は、必要があると認めるときは、和解を試みるについて司法委員に補助させ、又は司法委員を審理に立ち会わせて事件につきその意見を聴くことができる。

2 司法委員の員数は、各事件について一人以上とする。

3 司法委員は、毎年あらかじめ地方裁判所の選任した者の中から、事件ごとに裁判所が指定する。

4 前項の規定により選任される者の資格、員数その他同項の選任に関し必要な事項は、最高裁判所規則で定める。

5 司法委員には、最高裁判所規則で定める額の旅費、日当及び宿泊料を支給する。


(判決書の記載事項)

第280条 判決書に事実及び理由を記載するには、請求の趣旨及び原因の要旨、その原因の有無並びに請求を排斥する理由である抗弁の要旨を表示すれば足りる。

参考文献:坂本正幸編著『労働事件処理マニュアル』新日本法規、2011、300‐308項


 少額訴訟は、代理人を付けなくとも市民が簡単に利用できるような手続きを創ろうとして、平成8年改正で創られた制度です。裁判所も、当事者が本人訴訟で行うことも考えて対応できるようにしています。


フローチャート


 訴えの提起  訴状、証拠書類の提出

            |

            |※60万円以下の金銭請求に限る

            ↓

        訴状の受付、審理、審理期日指定

            ↓

 審理     口頭弁論期日

            |

            |※原則として審理は1回

            |※電話会議システムの利用

            |※反訴の禁止

            |※証拠調べ(証人の同席)

            |※証人尋問

            |

 少額訴訟手続     ↓

 の終了        判決

            |

            |※口頭弁論完了後直ちに支払猶予の定め可

       確定  ← |

            |※異議申立期間は2週間以内

            ↓

         通常訴訟へ移行



ポイント


訴えの提起

 ・訴額60万円以下の金銭支払請求に限る

 ・年間利用回数は10回まで

 ・被告は、通常の手続に移行させる旨の陳述ができる

(但し、被告が最初の口頭弁論期日で弁論したり、その期日が終了した時はその限りではない。)

※裁判所書記官は、当事者に対し最初にすべき口頭弁論の呼出しの際に、少額訴訟による審理及び裁判の手続の内容を説明した文書を交付しなければなりません。

審理

 ・原則、1回の口頭弁論期日で審理が完了

(攻撃防御方法の提出は、期日前か期日の当日に行う必要があり、相手方の主張をみてから対応することが難しい。)

 ・期日の続行は特別な事情がある場合のみ

(続行期日が開かれない限り、主張立証の追加はできない。)

 ・電話会議システムの利用が可能

 ・反訴の禁止(民事訴訟法369条)
 ・証拠調べは、即時に取り調べられるものに限る

(当事者本人尋問や証人尋問を希望する場合、本人や証人に法廷に同行してもらう必要がある。)

 ・証人尋問は宣誓をさせないで裁判所が相当と認める順序ですることができる

少額訴訟手続きの終了

 ・被告の申述により、通常訴訟へ移行

 ・裁判所の決定により、通常訴訟へ移行

(例:①請求が少額訴訟の要件を欠くとき②少額訴訟により審理・裁判をするのが不適当とするとき 等)

 ・原則、判決は審理完了後直ちに言い渡される

※判決では、被告の資力等を考慮して支払の猶予の定めをすることができるが、必ず仮執行宣言が付されることになっている。

少額訴訟終了後の手続

 ・不服申立方法は異議に限られ控訴はできない(民事訴訟法377条378条)

 ・異議申立期間は判決書又は調書の送達を受けてから2週間

 ・判決により強制執行ができる


民事訴訟・少額訴訟で使う書式

登記 ‐ Wikipedia

 法に定められた一定の事柄を帳簿や台帳に記載することをいう。

 一般には権利関係など公示をするため法務局(登記所)に備える登記簿に記載すること、又はその記載をいう。

商業登記 ‐ Wikipedia

 商法などに規定された商人の一定の事項について商業登記簿に記載して公示するための登記をいう。

法人登記 ‐ Wikipedia

 法人についての登記及び登記制度のこと。


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Aさんが作成している申込書類の総合チェックリストには「敷地・建物の登記簿謄本(又は登記事項証明書)」の他、「法人登記簿謄本(又は登記事項証明書)」も添付するよう記載されていました。


A 「法人の登記事項証明書のことでしょ。」

 

A 「営業所の所在地を管轄する法務局で取得出来るんでしょ。」


法務局・地方法務局所在地一覧


オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について

(商業・法人関係)


A 「交付申請書は法務局に置いてあるんでしょ。」


             交付申請書(会社法人用)

     法務の印(in) progress 法務の印(in) progress


A 「あれ?交付申請書に①全部事項証明書(謄本)②一部事項証明書(抄本)とか、チェック項目に□履歴事項全部証明書□現在事項・・・等書いてあるんけど何?」

 登記簿抄本とは、登記所のコンピュータ化に伴って閉鎖された登記簿など、コンピュータで管理されていない登記簿について、謄本(1登記用紙の全部を謄写したもの)又は抄本(1登記用紙の一部だけを謄写したもの)として交付する証明書のことをいいます。・・・下記リンク商業・法人登記Q&Aより

 辞書によると、抄本とは、原本の内容の一部を写したもので、原本のうち必要部分の内容を証明するために作られる書面と解説されています。


登記事項証明書(会社法人用)には、4種類あります。

1.現在事項証明書

  ・・・現在効力が有効な事項のみが記載されている登記事項の証明

1.履歴事項証明書

  ・・・従前の登記の謄本に相当するものであり、閉鎖されていない登記事項の証明

1.閉鎖事項証明書

  ・・・閉鎖した登記記録に記載されている登記事項の証明

1.代表者事項証明書

  ・・・資格証明書に代替し得る証明書であり、代表権のある者の証明


商業・法人登記Q&A


※交付申請書には、「商号・名称(会社等の名前)」「本店・主たる事務所(会社等の住所)」「会社法人等番号」を記入する項目もあります。

 

資格証明書のブログも参考にして下さい。

登記 - Wikipedia

 法に定められた一定の事柄を帳簿や台帳に記載することをいう。

 一般には権利関係などを公示するため法務局(登記所)に備える登記簿に記載すること、又はその記載をいう。

不動産登記 ‐ Wikipedia

 不動産(土地及び建物)の物理的現況と権利関係を公示するために作られた登記簿に登記することをいう。土地と建物につきそれぞれ独立した登記簿が存在し(区分所有の例外あり)、登記事項も若干異なる。


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Aさんはある申込書類の作成をしていました。総合チェックリストには、「敷地・建物の登記簿謄本(又は登記事項証明書)」を添付するよう記載されています。


A 「不動産の登記簿謄本を取ればいいんだろうけど、登記事項証明書って何?」

 辞典によると、謄本とは、文書の原本の内容を同一の文字符号により全部写したもので、原本の内容を証明するためにつくられる書面と解説されています。

 近年、登記事務のコンピュータ・システム化が進んでおり、コンピュータを使って出力された書類は原本の忠実なコピーを意味する謄本とは言えません。この場合の正式な名称が登記事項証明書となります。

 コンピュータ化されていない法務局で、紙ベースの登記簿からコピーをとったものが登記簿謄本ということになります。


A 「登記事項証明書は何処に取りに行けばいいの?」

 請求対象の不動産を管轄している法務局(登記所)で取得します。一部の法務局では他の管轄の登記事項証明書の取得が可能です(登記情報交換システム)。また郵送やオンライン請求できる場合もあります。


法務局・地方法務局所在地一覧


不動産登記情報交換サービスについて


オンラインによる登記事項証明書等の交付請求(不動産登記関係)について


A 「登記事項証明書はどのようにして取得するの?」

法務局には下図のような交付請求書が置いてあります。 


           不動産用       地図・各種図面用
        法務の印(in) progress   法務の印(in) progress

上図の交付請求書に必要事項を記入していきます。

 ・不動産の土地の場合は、所在と地番

 ・不動産の建物の場合は、所在と家屋番号  等を記入しなければなりません。

注意することは実際の住所表示と地番は違うことです。

※地番や家屋番号は、請求対象の不動産が自分名義の場合は登記済証(権利証)や固定資産税の納付通知書に同封された課税明細書等で調べることが出来ます。分らなければ法務局に置いてあるブルーマップで確認することが出来ます。

 また、土地がいくつかに分かれている場合があります。公図(不動産登記法14条4項に規定する地図に準ずる図面)の写しを請求しておきましょう。


A 「発行手数料はいくら?」

 発行手数料は、窓口交付の場合、登記事項証明書1通につき700円です。公図の写しは1筆500円です。

※公図の写しは、市役所でも請求することは出来ますが、法務局で取得した場合と若干異なっている場合があります。法務局の公図が原本であり、市役所には固定資産税等の課税資料の位置づけとして備え付けられています。また法務局では土地の分筆登記や地図訂正等によって公図の手入れがされています。市役所に反映されるまでタイムログがあります。


登記手数料について

代表者資格証明情報 ‐ WikiPedia

 日本における不動産登記申請の際の添付情報の1つである。会社などの法人が申請人となるときに、原則として代表者の資格を証する情報を申請情報と併せて提出しなければならない(不動産登記令7条1項1号)。

 この情報が書面である場合、俗に資格証明書という。


ウィキペディアでは上記のように記されています。


 資格証明書は、支払督促申立時にも当事者の一方が法人の場合には必要となってきます。当事者である法人が申立てを行う資格があること又は相手方となる資格があることを証明するものであり、また法人の情報に誤りがないこと確認することができます。

 通常、申立のときに資格証明書を添付するのは、「商号」「本店・主たる事務所の所在地」「代表者」が記載されていれば足り、代表者事項証明書で問題はありません。そのため支払督促申立時の必要書類に、「資格証明書又は商業登記簿謄本」と記載されています。


               代表者事項証明書

              法務の印(in) progress


                 上記部分
          法務の印(in) progress

上から順に、「会社法人等番号」「商号」「本店」「代表者の資格、氏名及び住所」が記載されています。


                 下記部分
          法務の印(in) progress
「これは上記の者が代表権に関して登記簿に記録されている現に効力を有する事項の全部であることを証明した書面である。」と書かれており、交付日、発行した法務局、登記官の氏名及び整理番号が記載されています。


 取得方法は、代表者事項証明書及び商業登記簿謄本とともに、「商号・名称(会社等の名前)」「本店・主たる事務所(会社等の住所)」が分かれば誰でも取得できます(公示するための登記ですから)。交付申請書には会社法人等番号の記入欄もありますが、私が取得したときには記入しなくても交付されました。

 また、商業登記簿謄本を取得する場合には交付申請書の①全部事項証明書(謄本)②一部事項証明書(抄本)の項目や□履歴事項証明書 □現在事項証明書 □閉鎖事項証明書の項目にチェックを入れる必要があります。違いについては登記事項証明書で書いていきます。 

 大きな会社の場合、商業登記簿謄本(全部事項証明書)を取得する際、枚数が多量になる事があります。

 どちらを取得し、どのように使い分ければいいのか?との質問に対して、「事件を申し立てる際に、相手方の本店所在地の移り変わりを証明しなければならない場合は、全部事項証明書の添付が必要になりますよね」と分りやすく回答されている方もいらっしゃいました。


オンラインによる登記事項証明書及び印鑑証明書の交付請求について

(商業・法人関係)


登記事項証明書のブログも参考にして下さい。