参考文献:坂本正幸編著『労働事件処理マニュアル』新日本法規、2011、300‐308項
少額訴訟は、代理人を付けなくとも市民が簡単に利用できるような手続きを創ろうとして、平成8年改正で創られた制度です。裁判所も、当事者が本人訴訟で行うことも考えて対応できるようにしています。
フローチャート
訴えの提起 訴状、証拠書類の提出
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|※60万円以下の金銭請求に限る
↓
訴状の受付、審理、審理期日指定
↓
審理 口頭弁論期日
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|※原則として審理は1回
|※電話会議システムの利用
|※反訴の禁止
|※証拠調べ(証人の同席)
|※証人尋問
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少額訴訟手続 ↓
の終了 判決
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|※口頭弁論完了後直ちに支払猶予の定め可
確定 ← |
|※異議申立期間は2週間以内
↓
通常訴訟へ移行
ポイント
訴えの提起
・訴額60万円以下の金銭支払請求に限る
・年間利用回数は10回まで
・被告は、通常の手続に移行させる旨の陳述ができる
(但し、被告が最初の口頭弁論期日で弁論したり、その期日が終了した時はその限りではない。)
※裁判所書記官は、当事者に対し最初にすべき口頭弁論の呼出しの際に、少額訴訟による審理及び裁判の手続の内容を説明した文書を交付しなければなりません。
審理
・原則、1回の口頭弁論期日で審理が完了
(攻撃防御方法の提出は、期日前か期日の当日に行う必要があり、相手方の主張をみてから対応することが難しい。)
・期日の続行は特別な事情がある場合のみ
(続行期日が開かれない限り、主張立証の追加はできない。)
・電話会議システムの利用が可能
・反訴の禁止(民事訴訟法369条)
・証拠調べは、即時に取り調べられるものに限る
(当事者本人尋問や証人尋問を希望する場合、本人や証人に法廷に同行してもらう必要がある。)
・証人尋問は宣誓をさせないで裁判所が相当と認める順序ですることができる
少額訴訟手続きの終了
・被告の申述により、通常訴訟へ移行
・裁判所の決定により、通常訴訟へ移行
(例:①請求が少額訴訟の要件を欠くとき②少額訴訟により審理・裁判をするのが不適当とするとき 等)
・原則、判決は審理完了後直ちに言い渡される
※判決では、被告の資力等を考慮して支払の猶予の定めをすることができるが、必ず仮執行宣言が付されることになっている。
少額訴訟終了後の手続
・不服申立方法は異議に限られ控訴はできない(民事訴訟法377条378条)
・異議申立期間は判決書又は調書の送達を受けてから2週間
・判決により強制執行ができる
民事訴訟・少額訴訟で使う書式