まほり(下)/高田大介 | mokkoの現実逃避ブログ

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発売日:2022/1/21
文 庫:272ページ
ISBN-13:978-4041120521

まほりとは?蛇の目紋に秘められた忌まわしき因習が
今、明かされる――

主人公裕は、膨大な古文書のデータの中から上州に伝わる
子間引きの風習や毛利神社や琴平神社の社名に注目し、
資料と格闘する。
裕がそこまでするには理由があった。
父が決して語らなかった母親の系譜に関する手がかりを
見つけるためでもあったのだ。

大した成果が得られぬまま、やがて夏も終わりに近づくころ、
巣守郷を独自調査していた少年・淳が警察に補導されてしまう。
郷に監禁された少女を救おうとする淳と、裕の母親の
出自を探す道が交差する時――。

前代未聞の伝奇ホラーミステリーにして青春ラブストーリー! 
感動のラストまで目が離せない、超弩級エンターテインメント。
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民俗学ミステリ 下巻です。

わかってはいたけれど、さすがは言語学者さんって感じで
苗字や神社、寺の名前の由来を掘り下げて掘り下げて
触手を伸ばすように史料を読み漁り、考察し、データ化し
膨大な知識を読み解きながら、独自の解釈を確立させていく。
難解です・・・が、面白い。

貧しい村では、子を間引く事が常態化していて
直接的な言葉を使わずに別の言葉で記録している。
歴史を遡れば残酷無残に行き当たる・・・

古い記録に係わる専門の世界には「表記のゆれ」という
ものが存在し、言葉は昔からそうだったわけではない。
ますます難しくなる。

残酷無残は、どこにでもあった話だが、吹聴せず、
自分が発信源にならないようにしろと注意された。
スキャンダラスで差別的な事は広がりやすい。
寝た子を起こすようなことはマズイのだ。

それでもある程度の考察が整い、盛り上がったところで
村の少年:淳が帰ってこないと親から連絡があった。
禁域に行ったのだとあたりをつけて山に向った。

そこで、ゼミ仲間から紹介してもらった先生から
連絡が来て、裕の考察を真っ向から否定する。
解説を聞いているうちに、別の恐ろしい考察が
頭をもたげて裕達は慌てる。
淳と、彼が救おうとしている少女が危ない!

ここから怒涛の展開がすごかったぁ~
久しぶりに焦りと緊張で心臓バクバクでしたよぉ~
「まほり」の意味が分かった時の恐ろしさったら!

そして、裕の本題である、母親の事。
何一つ語られることはなかったけれど、最後の一言で
その理由がわかってしまった。
いやぁ・・・またもスゴイものを読んでしまいました。
この著者の作品の重厚さは、やっぱりスゴイなぁ~

図書館の魔女シリーズの続編である「霆ける塔」は
まだ出ないのかなぁ(-。-;)
 


まほり(上)

図書館の魔女シリーズ 感想
図書館の魔女(第一巻)
図書館の魔女(第二巻)
図書館の魔女(第三巻)
図書館の魔女(第四巻)
図書館の魔女 烏の伝言(つてこと)(上)
図書館の魔女 烏の伝言(つてこと)(下)