“エビ中” そのものだった 松野莉奈 | ももクロ→エビ中→東北産の魅力

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最もエビ中らしかった松野さんは、「永遠に中学生」という理念になって私達の中で生きる…
訃報直後の更新で、そんなふう書きました。


そのことについて、これまでエビ中と松野さんにつて書いてきたことを中心にして、彼女たちの歴史を追って、まとめてみました。

 

長くはなりますが、これを、私的な追悼文にします。

 

 

<2009-10年>

★えびぞりダイアモンド

2009年8月4日、私立恵比寿中学は、女優を目指すタレントのレッスンの場として、中学校を模したコンセプトで結成されました。
その特徴の一つは、「私立」という言葉にも表現されているように、「清楚」でした。

2010年5月22日、星名さんらと共に、松野さんが転入します(第5期)。
自由奔放で明るい二人の加入によって、エビ中のコンセプトは、「清楚」路線から「自由奔放」路線に変わっていきます。

 


瑞季さんと真山さんは、二人の転入によって、自分たちが知らず知らずにうちに若さを失ってしまっていたことに気づかされた、と言っています。

廣田さんは、松野さんのことを、
「遊んでる時も一番楽しそうだし、みんなにハッピーをくれるというか、幸せに満ちあふれているのが伝わってくる」
と、言っています。

 

松野さんの自然な笑顔は、誰よりも幸せオーラを放ち、誰よりもエビ中に幸せオーラを注入しました。


8月7日、エビ中は、初のオリジナル曲、「えびぞりダイアモンド!」をリリースします。
「ハッピー」で、「ワクワク」で、ダイアモンドのような「笑顔」が、エビ中の中学生活だと歌った曲です。

「あいむそーりー えびぞりー」と歌いますが、エビ反りは、謝る姿勢とは正反対なので、これは、やりすぎちゃっても許してね、と開き直るような、自由奔放宣言に近いものです。

松野さんパート、「そうすればケンカも 争いも戦争だって 無くなると思うんだぁ」も、お気軽な楽天性が印象的です。

松野さんの自由奔放さ、幸せそうな笑顔が、この曲につながったハズです。


<2011-12年>

★永遠に中学生

2011年8月14日、最年長の瑞季さん、真山さんが、翌春に現実の中学を卒業しても、エビ中を卒業しないと発言しました。
それと呼応するように、10月5日、「永遠に中学生」が発表されます。

この曲では、メンバーだけでなく、ファンも含めてすべての人が「中学生」だと歌います。
恵比寿中学の「中学生」は、「永遠に中学生」という抽象的な理念になりました。

この曲では、この「中学生」らしさを「バカみたいに遊ぶ」と表現し、その遊び心を大きくなっても忘れないと歌います。

2012年3月25日、瑞季さん、真山さんの2人が現実の中学を卒業するタイミングで、改めて「卒業しない式」を行い、エビ中に「永遠に中学生制度」が導入されました。

話は遡りますが、2011年6月14日、メンバーの自己紹介が決まって公式動画が発表されていました。

松野さんの自己紹介、キャッチフレーズの「見た目は大人、中身は子供」は、メンバーの中でも、「永遠に中学生」に一番ふさわしいものでした。

 

2012年5月5日、初期エビ中の代表曲になる、「仮契約のシンデレラ」でメジャーデビューを果たします。
この曲中では、松野さんが、自分のキャッチフレーズ「見た目は大人だけど!中身は子供だよ!」を、語ります。
仮契約のシンデレラの人物像は、エビ中の姿を表現したものですが、そこには、松野さんのエッセンスが手渡されていました。

そして、エビ中メンバーの自己紹介曲、「エビ中出席番号の歌 その1」で歌われた松野さんの歌詞、「大きいけど 子ども 楽屋で大騒ぎ」も、やっぱり、「永遠に中学生」に一番ふさわしいものでした。

 

 

松野さんと柏木さんが楽屋で「バカみたいに遊ぶ」姿は、他のメンバーから、「中学生」どころか、「動物園」と表現されました。

そんな松野さんこそが、「永遠に中学生」の第一のモデルだったのかもしれません。

 

 

<2013-14年>

★幸せの貼り紙

2013年6月5日、「手をつなごう」を発表。

震災復興という背景のある曲ですが、松野さんのパート、「生きてることのよろこび 今忘れちゃいけない」は、幸せオーラを放つ松野さんにふさわしい歌詞です。

 

昨年の吉田豪さんによるインタビューでですが、松野さんが自分をネガティブだと発言したことについて聞かれて、
「そこまでネガティブになったことはない…、(ネガティブスイッチが入っても)途中であっけらかんと戻る」と答えて、吉田さんを驚かせました。


落ち込むことが似合わないのが、松野さんです。

2014年6月4日、「幸せの貼り紙はいつも背中に」を発表。

 

イナズマロックフェスでは、「私たちにしか歌えない曲」と言ってパフォーマンスしました。

真山さんは、この曲をパフォーマンスしている時、メンバーは本当に幸せそうな顔をしている、と言います。

中でも、松野さんの語りのパート、「大好きだった赤い風船を ふと空に離してしまった どんどん高く昇って行くのを どうしようもできず ただただ 泣いていたんだ」が印象的です。

多くの人にとって、この曲は、松野曲です。


ネガティブになる価値観にとらわれずに、幸せに気づこう、というこの曲は、松野さんにふさわしい曲です。


 

エビ中曲の重要なメッセージの一つ、「幸せを感じよう」は、「幸せの貼り紙」をいつも背中につけている松野さんという存在から生まれ、松野さんが発することで力を持ったのかもしれません。

 


★○○かな?

2013年7月28日、初の「ファミえん」が河口湖で行われました。

この日の「いい湯かな?」は、メンバーのほとんどが涙ぐむほどに曲に入り込み、伝説のパフォーマンスになりました。
家族の孝行がテーマの曲ですが、誰よりも号泣したのが松野さんです。

 

共感力があって、優しく、素直に感動し、素直に表現する、そんな松野さんらしさを見せてくれました。


 

2014年6月15日、パシフィコ横浜で松野さんがソロ曲、「できるかな?」を初パフォーマンス。
これからの人生を、家族を作ってうまく歩んでいけるかな、という内容の歌です。

松野さんは、途中失敗しながらも、一生懸命に、笑顔で歌いきりました。
彼女の歌を、彩花、真山、歌穂、みぞっちはステージ袖で手をつないで見守り、校長と、美怜、そして、たくさんのファミリーが泣きました。

無垢ゆえに不器用で、歌もうまくない松野さんが、ウソなしにまっすぐに歌うからこそ、人を感動させたのでしょう。



無垢さ、素直さ、共感力、優しさ…これらのエビ中の特徴を、松野さんは誰よりも体現しています。

そして、「ファミリー」という、エビ中の重要なテーマをソロで担ったのも、彼女でした。


★未確認中学生X

2013年11月20日、メジャー5thシングルの「未確認中学生X」をリリース。
エビ中の歌詞は、これまで常識的なレベルの表現にとどまっていたのに対して、この曲を境に、ラディカルになっていきます。

この曲は、すべてを忘れて、胸にクる未知なる感情、加速するトキメキに身をゆだねよう、という曲です。

 

エビ中の「中学生」らしさの「バカみたいに遊ぶ」は、“我を忘れる”レベルにまで来ました。

自我のコントロールを捨てて、どんな自分でも受け入れるような、「未確認中学生X」になりました。

松野さんのパート、「ちょっと!すぐに交信するのやめてよ火星人」は、自分の中の、そんな理解不可能で予想外な感情でも、しょっちゅう受け取っていることを、表わしています。

ジャケットでは、松野さんが、未知なる感情の象徴であるイカ型宇宙人に、一人、捕まっています。

 

 

これは、松野さんこそが、エビ中の中で最も「未確認中学生X」であること、つまりは、最もラディカルなエビ中メンバーであることを示しています。
 

 

★予測不可能な笑い

 

2014年4月4日、TOKYO MXで初の本格的な冠バラエティ、『エビ中☆グローバル化計画』の放送が開始されます。
この番組では、徐々に、メンバーの自由奔放な個性が発揮されるようになって、エビ中らしい、天然の笑いを見せてくれました。

松野さんは、例えば、番組中にあくびをしても、それに気づきもしない…という姿を見せて、総合演出の山野邊さんからは、

「いちばん自由人。まったくもって自分のペースで勝手にやってる人。彼女がいちばんいじるのが大変、想像を絶するので。コントロール不可能。」

と、とっても高い(!)評価をされます。

 

 

流れ星のちゅうえいも、「オチがなくてもなぜか笑ってしまう…エビ中で一番お笑いの才能があるかもしれない」、という言葉を卒業式で贈りました。

 

エビ中の「予測不可能な笑い」の中心にいたのは、松野さんでした。

その笑いは、人をバカにする笑いではなくて、ハッピーな笑いです。
 

 

<2015年>

★悩みがないのが悩み

1月15日、2ndアルバム「金八」をリリース。

「バカみたいに遊ぶ」だったエビ中の中学生らしさは、「キングオブ学芸会のテーマ」では、よりラディカルな、「反抗」、「正しい暴動」になりました。

「中学生」らしさは、これまでは大人に許してもらうものだったのに、「正しい」ものになって、大人は「退場」させられました。

あるがままの中学生らしさを、正しいものだと受け入れたら、もう、悩む必要がなくなります。

「キングオブ学芸会のテーマ」の松野さんのパート、「悩みがないのが 悩みかもねむ」は、正に松野さんです。

例えば、彼女は、雑誌「ROLA」の「見た目は大人、中身は子供 相談室」で、相談員をやりながら、自分の悩みの対処法について、

「悩むのがイヤっていうのはあるから、それはそれって置いておいちゃうことが多い」と、平然と語ります。
それが松野さんです。

 

演出家の近藤キネオさん(現国の先生)も、松野さんのことを、「壁とか悩みを感じさせない…それが問題だと思わない」と言いました。

 

3月12~15日、初の本格舞台、「シアターシュリンプ第一回公演 エクストラショットノンホイップキャラメルプディングマキアート」が行われました。

この物語では、登場人物がそれぞれに勘違いをし続け、誰かの作ったウソや芝居や誤解に振り回され続けます。
天然のメンバーが集まったエビ中の現実を、そのまま反映したような世界です。

でも、登場人物の中で唯一、振り回されることなく、積極的にそれを楽しむ役である“田中小枝子”を演じたのは、松野さんでした。

 

マイペースな天然が生む誤解は、正しいもの、創造的なものとして、楽しめば良いのです。



5月26日、MBSラジオの「エビちゅうなんやねん」で、ノンスタイルの井上さんが、そんなマイペースな松野さんのことを「クズ」と(愛を持って)表現し、話題になります。


この時、松野さんは反発しながらも、ラジオ中にぼけーっとしている時があるけど何を考えてんねん、と井上さんに聞かれて、「今日のご飯、何かなとか」と平然と返しました。

 

松野さんは、もう止まりません。

 


<2016年>

★ゼッテーアナーキー

そんな爆発し出した松野さんに後押しされてか、エビ中は、4月20日、3rdアルバム「穴空」をリリース。
曲「ゼッテーアナーキー」ともども、「アナーキー」というラディカルなコンセプトを打ち出します。

「ゼッテーアナーキー」では「世の中だいたいアナーキー そもそも全体アナーキー」と歌います。
エビ中のメッセージ、「みんな中学生」は、とうとう「みんなアナーキー」になりました。

リリース直前の4月13日に放映された、BSフジの冠バラエティ番組「エビ中++」では、メンバーそれぞれが、アルバムの推し曲紹介をしました。

みんなが真面目に説明してるのに、松野さんは、一人、素ままの超ハイテンションでしゃべりまくったり、歌ったりしました。

翌週の、作詞する企画でも、作詞なのに、ひどい鼻歌を歌い始めて、流れ星にイジラレてもイジラレても、止まりません。


松野さんの、素のアナーキーさは、増すばかりでした。

 


★まっすぐ

 

9月21日、メジャー10thシングル、「まっすぐ」をリリース。
純愛を通して、嘘のない大人にまっすぐに成長したい、と歌う曲です。

 

エビ中としては、めずらしくストレートな恋愛ソングで、まっすぐに歌いこむ曲です。

 

「えびぞり」とか、「反抗」とか、「アナーキー」とかっていうのは、表現を変えれば、あるがままの自分に「まっすぐ」でいることです。

「永遠に中学生」は、「まっすぐな大人」になることです。

 

松野さんも、そんなふうに、まっすぐに成長してきましたし、歌唱力も、少しずつですが、まっすぐに成長してきました。

 

 


以上、幸せオーラを放ち、予測不可能にマイペースで、無垢でまっすぐな松野さんは、

最もエビ中らしいメンバーとして、エビ中のコンセプトの起点となり、その体現者となって、エビ中をひっぱってきたと思います。

今後、エビ中メンバーは、きっと、そんな松野さんを心に生かし、彼女をオーバードライブするような姿を見せてくれるでしょう。

 

 

 

PS 今、ネバーランドは、りななん姫の帰還を祝って、青い光と笑顔にあふれています。

 

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