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これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ライフ〜壮絶なイジメと闘う少女の物語〜』(2007)フジテレビ系列全11話

原作はすえのぶけいこの漫画。

 

脚本 根津里香

演出 谷村政樹加藤裕将遠藤光貴

音楽 海田庄吾山嵜廣和(やまざきひろかず)

 

北乃きい、福田沙紀、関めぐみ、細田善彦、北条隆博、星井七瀬、末永遥、夏目鈴、中村倫也、酒井美紀、大沢あかね、瀬戸朝香、真矢ミキ、山田健太、うえむらちか、平野早香、中村静香、勝村政信、小野武彦、矢島健一、中村静香、山根和馬、他。

 

椎葉歩=しいばあゆむ(北乃きい)篠塚夕子(大沢あかね)は親友同士だったが、同じ高校を受験して歩が受かり夕子が落ちてしまった。歩より夕子のほうがその高校に行きたかっただけに自殺未遂まで起こし友情が壊れてしまう。

歩は友達を作ることに臆病になり希望も期待もない高校生活が始まる。そんな歩の前に県議であり街の有力者である父親大治郎(小野武彦)を持つクラスでも中心にいる押しの強い安西愛海=あんざいまなみ(福田沙紀)が現れ、友達になる。少し高校生活に光がさした歩だったが、愛海が交際中の佐古克己(細田善彦)に別れを切り出され、ショックで電車に飛び込もうと暴挙に出る。すんでのところで歩が止めてことなきを得るが、愛海のために佐古に話をしに行くことになる。そこで歩は佐古の異常性を知り、あられもない姿で写真を撮られてしまう。愛海に佐古の人間性をうったえたいが、写真で脅され自由が効かない。その上、逆恨みしている廣瀬倫子=ヒロ(星井七瀬)の告げ口から佐古との間を愛海に疑われ、最初は愛海とそのとりまき数人、やがてクラス全体のいじめの対象になってしまう。そんな中、あまり学校に来ないのに成績優秀でフラットな目線を持つ一匹狼的な羽鳥未来(関めぐみ)、中学時代いじめにあっていたため何より自分を守ることに注力する薗田優樹(北条隆博)と親しくなっていく。

歩へのいじめは裏で暗躍する愛海によってエスカレートしていき、それは羽鳥や薗田だけならず、ヒロやいじめを疑い親身になってくれていた副担任平岡正子(酒井美紀)にも影響が及ぶ。また、歩の母親文子(真矢ミキ)や担任の戸田和佳絵(瀬戸朝香)をも巻き込んでいく…。

 

愛海は甘やかされ育った孤独を抱えており、佐古は父親敏克(勝村政信)からの虐待に苦しんでいるという背景はあるにしろ、また、愛海と佐古の親の上下関係、歩の家は母子家庭で母親は弟に期待を寄せて歩をみていない、羽鳥にも金銭的な家庭の事情があり、薗田は過去のいじめのトラウマがある、最後まで愛海を信頼していた岩本みどり(末永遥)にも愛海をかばうだけの理由がある、クラスのみんなはおしなべて自分が標的にならなければいいというスタンス、教師たちは自分の立場第一で事なかれ主義、という中ではあるが、毎回毎回そのいじめの酷さがこれでもかとばかりにグレードアップしていき、ものすごく胸くそ悪くてイラつくほど面白かった。

 

ラストは愛海がクラスから排除されるわけだが、それでも負けない愛海が逆に頼もしく潔く思える。さらに歩も決して愛海を許したわけではないし同情ももちろんないのがいい。いじめの対象が変わっただけで羽鳥、薗田とともに歩は戦う闘志を見せて終わる。すっきりはしないが妥当。

 

佐古の父親敏克と、愛海の腐れ縁の汚れ役狩野アキラ(山根和馬)がほぼサイコでいい味になっている(薗田は中学時代アキラからいじめを受けていた)。やはりこのくらい理不尽なキャラがいないと不愉快にならない。それに本来味方になるべき母親が敏克と同窓で、その経歴からいとも簡単に信用してしまうのもミソ。平岡の真剣な訴え、問題意識を誰も取り合わないのもミソ(最終的に飛ばされるし)。佐古の手中に落ちる戸田もエグい。本当に胸くそ悪くて最高。

 

男子の中心的人物石井知典中村倫也。若い。

 

細かく言えば穴(無理)は色々あるのだけど、それが見せたいものではないし、俯瞰してしっかりテーマに重きを置いているから、単純に話を追え楽しめた。

 

あ、一応最後には夕子とは友情が復活する。まあ、腫れ物には変わりないだろうけど癒しポイントだった。

 

★★★★★

 

 

公式

 

こちら、FODで配信されているようです。

 

 

『バグダッド・カフェ』(1987/日本公開1989)

原題は『Out of Rosenheim』、英題は『Bagdad Café』の西ドイツ映画。

 

監督 パーシー・アドロン

脚本 パーシー・アドロン、エレオノーレ・アドロン

 

ラスベガスを目指して車で旅をしていたドイツ人夫婦。夫ムンシュテットナー(ハンス・シャタードルバウアー)とケンカをして妻ジャスミン・ムンシュテットナー(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は車を降りて歩き出す。

夫と別れたジャスミンは道中モハーヴェ砂漠にある「バグダッド・カフェ」というモーテル、ガソリンスタンドを兼ねたカフェへ辿り着く。店をきりもりするブレンダ(CCH・パウンダー)はちょうど大喧嘩をして気の利かない夫サル(G・スモーキー・キャンベル)を追い出したばかりだった。遊び呆けてる娘フィリス(モニカ・カルフーン)、ピアノばかり弾いてる息子サロモ(ダロン・フラッグ)、とその赤ん坊の世話もあり忙しく働くブレンダには掃除をする暇もない。雑多に物が山積された事務所で埃だらけの部屋に案内されるジャスミン。それでも宿泊できるだけマシだった。それにコーヒーがうまい。といってもそのコーヒーは実はサルが途中で捨て置きされてるのを見つけた元々はムンシュテットナー夫妻の魔法瓶のものだった。

部屋で荷解きをすると、なんと夫のスーツケースを間違えて持ってきてしまっていた。およそ女性の持ち物ではないとその荷物を目にしたブレンダは怪しんで保安官アーニー(アペサナクワット)に連絡をするが身分証に不備はなかった。それにジャスミンは時間を持て余し気を利かせて事務所や店、部屋の掃除を始める。さらに夫の荷物に見つけた手品道具一式を覚え始めコミュニケーションに役立てる。イラつき攻撃的なブレンダもなんだかんだ子供好きなのに子供がいないジャスミンに同情心も湧き、心を許していく。

そしてジャスミンのそのおおらかさにブレンダの子供たちはもちろん、カフェの店員カヘンガ(ジョージ・アギラー)、隣接するトレーラーハウスに住む画家ルディ・コックス(ジャック・パランス)、タトゥーアーティストの長期宿泊客デビー・ベビー(クリスティーネ・カウフマン)、テント宿泊の旅人エリック(アラン・S・クレイグ)、カフェ常連客のトラッカーたちに歓迎されていく。やがて砂漠の中のバグダッド・カフェはジャスミンとブレンダのマジックショーが評判となり、客が集まり繁盛し始めるが…。

 

コメディとのくくりだが…人種、国籍を越えた人と人との繋がりを描いたヒューマンドラマのように思う。特に生涯続くだろう夫婦より固い(かもしれない)友情の成り立ちを描いていて、単純に「いいなぁ」と思った。また、タトゥーアーティストのデビーがモーテルを出ていく理由が「仲が良すぎる」というものだったのだが、これがまたわかる気がする。

 

コメディというなら、ブレンダの様子を遠くからずっと見ていた夫のサル…は、笑わせるところだろうな。あと、ラストシーン、お互いに惹かれあっていたコックスとジャスミン、コックスのプロポーズに「ブレンダに聞いてみる」と答えるところも笑うところかな。他にもちょいちょいクスッとくるところはあるけど(ムンシュテッドナーの嗜好品の嗅ぎ煙草、コーヒーの濃さや魔法瓶の動きなど)、コメディかというとどうだろう? 公開当時はそうだったのかもしれないけど。

 

ゆるい雰囲気の映画だった。

アーニーとカヘンガはインディアンかな。コックスにもその系統が見える。ブレンダ、サルは黒人。

コーヒーの好み(濃さ)に人種が現れているのは粋。

 

★★★★(★)

 

 

 

 

『PICU 小児集中治療室スペシャル2024』 

フジテレビ系列(放映日20240413)

 

脚本 倉光泰子

演出 平野眞相沢秀幸阿部雅和

音楽 眞鍋昭大

 

吉沢亮、安田顕、高杉真宙、生田絵梨花、菅野理央、木村文乃、高梨臨、正名僕蔵、中尾明慶、甲本雅裕、武田玲奈、小林虎之助、山田キヌヲ、柊木陽太、小吹奈合緒、湯田幸希、ともさかりえ、大竹しのぶ、他。

 

小児科医志子田武四郎(吉沢亮)が丘珠病院のPICUに配属されて1年。武四郎とは幼馴染みで親友でもある救命医矢野悠太(高杉真宙)は稚内の病院に移ってしまったが、PICUは科長の植野元(安田顕)のもと、救命救急医の綿貫りさ(木村文乃)、小児外科科長の浮田彰(正名撲蔵)、武四郎の幼馴染みで小児外科医の河本舞(菅野莉央)、麻酔科医の今成良平(甲本雅裕)、救命の東上宗介(中尾明慶)、そして看護師の羽生仁子(高梨臨)をメインに順調に稼働している。しかしいまだ専用のドクタージェット運用は実現していない。

時期がら、後期臨床研修医七尾乃亜(武田玲奈)瀬戸廉(小林虎之助)が入り、武四郎は二人の指導係となるが、七尾は頭でっかちで自尊心が高く、瀬戸は大病院の御曹司だけあり不遜、植野に指導してもらいたいと武四郎をはなから小ばかにしている。コミュニケーションの手がかりがうまくつかめない中、持久走中に倒れ一時心停止した少年笠間義和(塚尾桜雅=つかおおうが)がたまたま空いていたドクタージェットで稚内から救急搬送されてきたかと思えば(ECMO使用)、生後間もなく遺棄された赤ん坊が蜂窩織炎(=ほうかしきえん)を起こし他院から運ばれ(いつまでも「緊急患者あ」では…と浮田医師の苗字を借りて浮田愛衣と名付けらる)、さらに交通事故に遭った姉弟が利尻島から悪天の中ドクターヘリで運び込まれる。その姉の佐藤真子(太田結乃)は意識不明の重体で脳死も危ぶまれる状態、弟の元太(湯田幸希=ゆだこうきも大怪我をしたが命に別状はない。だが、事故寸前に姉弟喧嘩をし、真子にきつい言葉をあびせたことを深く後悔し、精神的にまいっている。その両親(前田亜季、中野マサアキ)も怪我をしたが、移動できるまでに回復し、真子と元太のところへ通いつめる。そんな患児と武四郎始めPICUチームの仕事ぶりを通して研修医二人も意識に変化が芽生える。そしていよいよ真子の病状に決断を下さなけらばならない、母親もわからない壊疽も広がる赤ん坊の今後にも決断が迫られる…。

その他、補助人工心臓を入れた小松圭吾(柊木陽太=ひいらぎひなたも13歳となり定期検査に通院しているし、急性リンパ性白血病の立花日菜(小吹奈合緒=こぶきななおも病棟間移動や入退院を繰り返している。研修医が起こすトラブルはもちろん、幼馴染みのバスガイド涌井桃子(生田絵梨花)の育児ノイローゼ、また植野の10年前の判断に苦しむ親子野島美代子(ともさかりえ)と意識不明寝たきりの娘みどり(ここな)の実情も描かれる。

 

2時間によくまとめたな、このボリュームを、と感心した。多少のはしょりはあったけど、気になるほどではないし冗長すぎて無駄になるよりははるかにいい。七尾のハラスメント告発も、至るまでを何気なく細かく描いているのがみごとだった。また、カラコンもキャラ設定に効果的だしその細かさに感心した。


野島母子の例もあるし真子が圭吾のドナーになるのかと思ったけど違った。赤ん坊の決断には涙が込み上げてきそうだったし、いや、元太役の湯田幸希がうますぎてこの子にも泣かされそうになったし、全体的に涙なくして見られない話だった。


テーマとしては命の重さは変わらずのこと、武四郎の母南(大竹しのぶ)が言った「親より先に死ぬなよ!」という、子供が親より長生きするのが最大の親孝行ということでは。

 

今後も1~2年に1回のスペシャルを続けて欲しい。圭吾と日奈をどう片付けるのか気になるし(でもこれは連ドラで描いたほうがまとまりがいいかもしれない)、念願のドクタージェット常駐もどうなるのか。また、武四郎が成長し植野とどう違う医者になっていくのか、後輩にとってどんな医者になるのか。サイドストーリーとしては桃子が母親になっていく姿が見たいし、舞もまたどんな医者になっていくのか、悠太も同じく。


そういえば、南が桃子の娘南々子(関美琴)に贈ったおくるみが愛衣に渡るという気の利いた演出も良かった(わざわざ「愛」と一文字にせず、スタッフの愛を「衣」にかけた上でのおくるみで拾うラスト)。

 

オリジナルメンバーは言うまでもなく、武田玲奈も小林虎之助もすごく良かった。

 

それにしても吉沢亮、良い仕事する…。

 

★★★★★

 

 

公式サイト

 

 

インタビュー

 

 

 

『PICU』スペシャルが放送されるにちなみ、吉沢亮、高杉真宙の過去出演作がTVerで配信となったようで。どちらも記憶がないので視聴してみた。

 

 

『オトナ女子』(2015)フジテレビ系列

脚本 尾崎将也泉澤陽子

脚本協力 穂科エミニシオカ・ト・ニール

演出 田中亮関野宗紀

 

篠原涼子、江口洋介、鈴木砂羽、谷原章介、吉瀬美智子、斎藤工、平山浩行、千葉雄大、吉沢亮、池田成志、丸山智己、市川実和子、平山あや、藤村聖子、堀口ひかる、東加奈子、平埜生成(ひらのきなり)、矢部昌暉、浦上晟周、前川泰之、朝加真由美、他。

 

アプリ開発会社「フルテージ」の恋愛アプリ開発チームトップの中原亜紀(篠原涼子)、亜紀の高校時代からの友達でフラワーショップオーナーの大崎萌子(吉瀬美智子)、その二人と友達の三人の息子を育てるシングルマザーで弁当屋で働く坂田みどり(鈴木砂羽)は同じ40歳。仕事は順調だが男運はよろしくない。そんな三人に新たな出会いが訪れる。

亜紀はヒモ状態の山岡伸治(斎藤工)と別れたあと、仕事で知り合った作家・脚本家の高山文夫(江口洋介)、高山の担当編集の出版社の池田優(平山浩行)、萌子は「フルテージ」社長栗田純一(谷原章介)、レンタル彼氏の田代(丸山智己)、みどりは三男陵(浦上晟周)の中学の担任沢田健太(千葉雄大)とすったもんだある。また、亜紀はアプリ開発チームメンバーの後輩前川亮介(吉沢亮)に恋心を抱かれ、そのことで同じチームの女性社員立花沙織(平山あや)から反感を持たれたりと、恋愛の他、それぞれ仕事や家庭の諸事情、年齢的な制約、将来に向き合い、前進する話。

 

目的は吉沢亮で、やはりその役以上でも以下でもない好演だった。ぴたりハメてくる技術は毎度感心する。


亜紀の飼い猫のちくわ(エキゾ)は覚えているので、当時このドラマはチラッとは見たことはあるのだろうけどほとんど覚えてなかった。

9年前の作品だけど、こんな時代だったっけかなぁと流行りの先端をいく女性陣に変な感じ。90年代の流れと変わらない気がする。長く生きてると時代の区別が出来なくなるんだろうか。80年代には明らかな境界線は感じるのだけど。

でもまあ、面白かった。

 

★★★★

 

 

 


 


 

 『高校入試』(2012)フジテレビ系列全13話

原作・脚本 湊かなえ

演出 星護北川学

音楽 佐橋俊彦

 

長澤まさみ、南沢奈央、中尾明慶、徳山秀典、篠田光亮、小松利昌、斉木しげる、阪田マサノブ、羽場裕一、高橋ひとみ、清水一彰、山本圭、山崎紘菜、入江雅人、生田智子、美山加恋、柾木玲弥、高杉真宙、清水尋也、姜暢雄(きょうのぶお)、中村倫也、荒木宏文、倉貫匡弘(くらぬきまさひろ)、横山幸汰、他。

 

地元では有名な県立高校の進学校(一高)の入学試験で様々な妨害が起こる。話は前日の準備段階から始まり、当日の事件、事後の対策と犯人捜し、というミステリードラマ。


帰国子女で旅行会社勤務の春山杏子(長澤まさみ)は修学旅行を担当し、その時知り合った教師寺島俊章(姜暢雄=きょうのぶお)と交際が始まる。しかし寺島はある年の入学試験の採点ミスで自殺者を出してしまい、アルコール依存症に陥り事故死する。高い理想を持った寺島の影響もあり、杏子は高校の英語の教師に転身し、一高の2年B組担任となる。

一高出身の教師が多い中、音楽教師の滝本みどり(南沢奈央)は女子高出身でフラットな付き合い方をし、杏子にも親切。一高出身体育教師の相田清孝(中尾明慶)と交際中だが、その相田は2年B組生徒の石川衣里奈(山崎紘奈)と二股をかけている。石川は一高入学試験時、携帯電話が鳴るという騒ぎを起こし、入学後クラスに馴染めずにいたところ、相田に部活に誘われ救われたのだった。

杏子の指導担当で英語教師の小西俊也(徳山秀典)も数少ない非一高出身者。頭の回転が速く、仕事も出来る。一高より落ちる三高出身の数学教師村井佑志(篠田光亮)は自分に自信が持てず空回りばかりしている。一高出身の英語教師松島崇史(羽場裕一)の教え子でもある。その松島は息子良隆(高杉真宙)が受験生であることから入試管理員にはつけず、滝本と一緒に入試当日は試験会場には出入りせず保護者の案内係につく。良隆は一高出身の同窓会会長でありプライドの高い沢村幸造(入江雅人)の息子翔太(清水尋也)と同じ中学で、翔太からずっといじめを受けている。第一志望校に落ち、一高にかけるしかなくなってる。翔太は翔太で親や一高出身だが二流大学に進んだフリーター兄哲也(荒木宏文)のプレッシャーからいじめや自己弁護に走る歪みを持っている。

一高出身の英語教師坂本多恵子(高橋ひとみ)は一高至上主義者。どんな良い大学や企業だとしても一高出身じゃないと下にみる。言い訳やミスが多く、過去に採点トラブルも起こしているクセの強い人物。

一高出身社会科教師の水野文昭(坂田マサノブ)は東京大学を出て、次期管理職候補ナンバーワン。真面目が服を着て歩いているような人物で冷静沈着。

受験生の麻美(美山加恋)の母親芝田昌子(生田智子)は過保護で、夫が県会議員なこともありモンペの様相。その麻美は携帯電話を持っていないことで同級生から仲間外れにあった過去があり、さらに親の圧に苦しみ、携帯電話が手放せなくなってしまった。そのため入試当日にトラブルを起こす。

麻美、翔太、良隆と同じ教室で受験する田辺淳一(柾木玲弥)は成績優秀ですでに一高よりレベルの高い高校に合格しているが、5年前一高を落ちて人生が狂いかけてる兄光一(中村倫也)を思いやり一矢報いようと考えている。

その他、一高出身の美術教師宮下輝明(小松利昌)、同じく一高出身の入試部長を務める荻野正夫(斉木しげる)、一高出身教頭の上条勝(清水一彰)、やはり一高出身の校長的場一郎(山本圭)、杏子の元同僚旅行会社の徳原優介(倉貫匡弘=くらぬきまさひろらを絡め、犯人捜しとその目的が明らかになっていく。

 

犯人はひとりではなく、それぞれの思惑が交錯し、先が読めず面白い。家族や人間関係の複雑さ、学校という立場、教師という役割、受験の厳しさが見て取れる。そしてラストはしれっとぼやかし、さすが湊かなえという感じ。

良かった。


高杉真宙はもちろんだが、驚いたのは清水尋也の幼さ。二人とも「東京リベンジャーズ」に出てるけど、よくぞ育った感でいっぱいになる。12年前だものな。

 

★★★★

 


コメンタリー


 

『もうひとつのことば』(2022)

監督・脚本 堤真矢

 

菊地真琴、藤田晃輔、中山利一、連下浩隆、新井敬太、山田良介、澤麻衣子、小高えいぎ、前田薫平、藤岡有沙、他。

 

2020年のコロナ禍の夏。ワンコイン英会話カフェで出会った翻訳の仕事をしているミキ(菊地真琴)とハリウッド俳優を夢みる健二(藤田晃輔)。意気投合したかに見えたが、ミキは深入りを避ける。ミキの経歴は嘘だった。けれどそこから二人は別人になって英会話カフェに参加する遊びを思いつく。インプロ(即興芝居)だ。英語で話すことは嘘、日本語で話すことは本当、そして互いの人生に立ち入らない、という縛りを設けて。遊びは意外に楽しく、二人の距離も縮まるかのようだったが…。

 

普通に恋の話かと思ったら、然に非ず。ミキの描いていた近い将来、健二の夢はコロナによって頓挫し悶々としていたところでの出会い。向かい合うべき現実からの逃避だった。ラストを見ても、二人の関係は先に進まないだろうなと思う。それが現実的だし潔く、いい。

 

二人はもちろん、英会話カフェで出会う人らの話す内容(台詞)には監督自身の思いが込められているようで、例えば通訳観光ガイド山田(中山利一)が文句を言うコロナ対策の不備、塾講師祐樹(連下浩隆)の乾杯の音頭、それが自然に組み入れられてるところ、うまいなと思った。ミキが彼氏(新井敬太)と自分の立場を逆転して内省するところとか、見過ごしてしまうけど、物語が進むと「あ!」と振り返る仕掛けもある。

英語と日本語の嘘と本当の見極めの楽しさもある。男女間のかけひきでもあるからなお。

他にも、人類嫌いの青年とか、闊達な女性とか、頼りない流されがちの祐樹の職業が塾講師というのはきっと嘘で(あって欲しい)、ミキと健二と同じく人生が停滞している、それがコロナのせいかどうかはわからないけど、そういう誰もが心当たるキャラクターが嫌味なくいるのが良かった。

 

もうひとつ、と言わず、もっとたくさんのことばがあるように思えた。

 

★★★★

 

 

 

配給 Tick Tack Movie

 

 

『惚てはじめ』(2024)ユーロライブ

 

惚てってるズ(金子大地、前原瑞樹、三村和敬)旗揚げ公演。

 

20分前後のコント芝居。ムービーは10分程度だろうか。次の演目にいく間の繋ぎになる構成。

(以下、役名がないものは失念。役名があっても間違っている可能性大なので、区別化程度に見て下さい。)

 

 

 

 

【演目】

 

①「友達たち」

脚本・演出 野田慈伸(桃尻犬)

 

友達の友達と友達になれる…?!

それぞれトオル(金子)と友達のミッチャン(前原)コグレ?コジマ(三村)が初めて顔合わせする。その二人、お互い振られたばかりの共通点があるものの、だからといって共感しあえるわけじゃない。さらに、振られたことのないトオルに振らた者たちの気持ちがわかるはずもなく…、が面白おかしく描かれてた。

 

 

舞台裏ムービー「優しさ」

ローラーブレード履きの前原瑞樹を優しく(?)見守る金子大地と三村和敬(みむらかずのり)…!?

 

 

②「大雨プール警報」

脚本・演出 近藤啓介(『食べられる男』他)

 

やろうと言い出したものの二人しかいないシンクロナイズドスイミングに恥ずかしさもありやる気を失ってる男子生徒(金子)。だがもう一人(三村)はやる気満々。天気をめぐって練習をやるやらないの攻防戦が始まる。そこへいじめにあってるのに自覚のない男子(前原)がやってくる。困ってる様子に二人は助けようとするが…。

いじめにあってる原因がわかるようなキャラクターなのだが、それがコミカルに描かれていて悲壮感がなく、きれいに笑いに転換されてた。

 

 

舞台裏ムービー「情熱」

稽古のオフ日にバスケで遊ぶ金子大地と三村和敬。まったく経験のない三村に、経験のある金子だどんどん本気になっていく…。

 

 

③「2拾った」

脚本・演出 神谷圭介(画餅/テニスコート)

 

三人で暮らす男たち(金子、前原、三村)。ある日数字の「2」を一人(三村)が持って帰ってきた。間もなく団地の棟の号数が剥がれ落ちたものとわかるのだが、いざ付け直しに行くもののなかなか付けられない。その理由は…。

洗濯物から妄想が膨らみ気持ちが恋に発展するのだが、笑いの中、悲惨な結果が訪れる。ラストにふさわしい友情の感じられる展開だった。

 

 

どの作品もすごく面白くて、脚本がいいのはもちろんだが、さすが俳優といったところ、どのキャラクターもあてがきのようにそれぞれに合っていた。

お気に入りはムービーの「情熱」。しょっぱなから飛ばしていたけど、だんだん熱く本気になっていく金子と、それに反して冷めていく三村が面白かった。

映像の演技(表情)は小さく細かく一瞬でも伝わるのが利点。演出も効く。「優しさ」もそうだが、映像だからこその題材だった。

 

面白いということは、共感ができるということで、それはつまり「わかる!」という、誰もがどこかで経験、もしくた見聞きしたものであるということ。もしかしたら笑えない深刻な経験だったかもしれないが、それを笑いにもっていくのが脚本家、演出家の技術なんだろうなぁと思った。

 

金子大地は舞台のほうがいいかもしれない。特にコメディは。もちろん映像でも芝居はうまい。

前原瑞樹も三村和敬も両方いけるけど、このコントがどハマりだったのか同じく舞台に魅力を感じる。

ゆくゆくはオリジナル作品ができるようになるまでになってほしいな。

 

 

(観劇日 20240429)

 

ユーロライブ 0426~0429(計6公演)

 

テアトロコントspecial

 

 

惚てってるズ公式X

 

金子大地Instagram

 

 

金子大地×三村和敬

 

 

 

 

野田慈伸(のだしげのぶ)桃尻犬

 

神谷圭介 画餅(えもち)YouTube

 

神谷圭介 テニスコート YouTube

 

 

『恋は光』(2022)

原作は秋★枝の漫画。

 

監督・脚本 小林啓一(『殺さない彼と死なない彼女』他)

音楽 野村卓史

 

神尾楓珠、西野七瀬、平祐奈、馬場ふみか、伊東蒼、宮下咲、花岡咲、森日菜美、山田愛奈、田中、他。

 

恋をしている女性が光って見える大学生西条(神尾楓珠)はある日、小説の感想文を綴ったノートを拾う。それは恋というものを知りたいと渇望する浮世離れした文学少女東雲(平祐奈)のものだった。幼馴染みで実は西条に想いを寄せている北代(西野七瀬)を介して友達になった西条と東雲は交換日記を始め、恋について考察を交わす。そこへ略奪恋に興じてる宿木南(馬場ふみか)が加わり、四人は恋の実体について考え、思いを巡らす…。

 

恋についてグダグダ哲学を求めるのは高二病的で萎えるけど、西条と同じく光が見える女子高生大洲央(伊東蒼)の見解は一番合点がいって、かつ爽やかで愛おしく、良かった。大洲も先輩の小笠原(宮下咲)に恋してるというのがまた今時であり、純粋さがまさしく光って見えた。

北代のナチュラルな感情表現、宿木の無自覚の感性、東雲の冷静さ、など性格が面白かった。合いようがない三人がパジャマパーティーしてるのなんか女子っぽい。

 

冒頭、格言かのように、『「恋とは、誰しもが語れるが、誰しもが正しく語れないものである。」シーロウ・キーター』と紹介されるのだが、これ…笑。

 

平祐奈がやっぱりここでもダントツにかわいかったし、東雲のイメージがすごくハマっていた。それにうまい。

あと、西野七瀬も初めていいと思えた。

馬場ふみか少しボリューム出たのかな、雰囲気が変わってむしろ良くなった。(好みの問題)

伊東蒼も宮下咲もかわいい。

と、かわいいだけで終わった。

 

★★★(★)

 

 

 

 

制作 グラスホッパー、NeedyGreedy

配給 ハピネットファントム・スタジオ、KADOKAWA

 

 

『正欲』(2023)

原作は朝井リョウの小説。

 

監督・編集 岸善幸(『あゝ、荒野』『前科者』他)

脚本 港岳彦(『あゝ、荒野』他)

音楽 岩代太郎(『かぞくのくに』『あゝ、荒野』『キネマの神様』『ヤクザと家族』『新聞記者』『ひらいて』『ヴィレッジ』『MOTHER』『前科者』他)

 

新垣結衣、磯村勇斗、稲垣吾郎、山田真歩、佐藤寛太、東野絢香、宇野祥平、渡辺大知、徳永えり、岩瀬亮、坂東希、山本浩司、他。

 

広島で実家住みの桐生夏月(新垣結衣)はモールの寝具売り場の販売員をしながらずっと生きにくさを感じている。夏月は「水」に異様に惹かれる。それは性的な悦びに通じる。中学時代、同じく水に惹かれる同級生佐々木佳道(磯村勇斗)と出会うが、佐々木は転校していってしまった。その佐々木が地元に帰ってきた。同級生の結婚披露宴で二人は再会し、互いに分かり合える存在と交友を深めることになる。そして二人はもっと自由に生きるために横浜で新生活を始める。

横浜に暮らす検事の寺井啓喜(稲垣吾郎)は小学生の息子が不登校となり、学校へ行かないという選択肢をめぐり妻由美(山田真歩)と子育てで対立をしている。世間的にまっとうな考えを持つ寺井と子供の気持ちを優先する由美の間の不和は加速していく。

トラウマから男性と接触するだけで過呼吸になり、まともに男性と話が出来ない大学生の神戸八重子(東野絢香)。学園祭実行委員として、ダンスサークルのトップに立つ諸橋大也(佐藤寛太)と知り合い、唯一、諸橋には恐怖心が湧かないことに気づく。どうにか繋がりを持ちたいと行動するが、諸橋は心を開かない。

その諸橋もまたほとばしる水飛沫に魅せられていた。その異常性に悩み、他人を近づけない。諸橋と佐々木、夏月は水を扱う動画サイトで互いの存在を認識していた。諸橋は、その昔、夏月らが中学生の頃、窃盗と建造物侵入の罪で捕まった異常性愛の持ち主藤原悟の名前「SATORU FUJIWARA」をハンドルネームにしていたため、夏月も佐々木もシンパシーを感じていた。

オフ会として佐々木、諸橋、そしてもう一人水フェチの谷田部陽平(岩瀬亮)とで、寺井の息子とその友達のチャンネル企画で子供らと水遊びを楽しむ。その動画が上がった頃、児童買春の事件がおこる…。

 

検察事務官の越川(宇野祥平)がひとり、全体を俯瞰して見てる役柄。おそらく私たち枠外の人間ではないかな。

いろんな問題が詰め込まれていた。Aセクとも言える他人に対して性別関係なく性欲がない人たち、代わりに何に性欲(もしくはそれに準ずるもの)を感じるか、小児性愛、性的暴力(おそらく)によるトラウマ(男性が怖い嫌なのに好きになってしまうという悩みはキツイ)、不登校からの小学生ユーチューバー、学校や勉強の意味、子育て、人間関係、信頼、等々、考えさせられるものだらけ。それら全てが一線上に繋がっていて、きれいな脚本だった。

 

寺井の気持ちも由美の気持ちも、神戸の気持ちも、同窓の言動も、夏月の職場の人間(徳永えり)の行動も、なんとなくわかるから見ていて複雑な気持ちになった。

 

「正欲」とはよくつけたなと感心。画一的な性欲というものはなく、個々別々の性欲があるということだろう。

他人にわかってもらえない特殊な性愛を持つだけに、世間一般の常識にかすりもせず、生きにくい。わかってくれる人が現れたらどんなにか嬉しいだろうし、生きていくために繋がりたい、大事にしたいと思うだろう。生物として正しい気がする。

誤認で捕まっている佐々木に夏月は「いなくならないから」という伝言を頼む。分かり合える存在以外に生きるに重要なものってあるだろうか。

 

新垣結衣がとても良かった。『リーガルハイ』でコメディもできるんだと思ったものの、以降その容姿に合った役柄しか見てこなかったので、今回のキャラクターはようやく一皮剥けたなという感じだった。長澤まさみのように今後を期待してしまう。

私の中で美人女優御三家が綾瀬はるか、長澤まさみ、新垣結衣。特に演技がうまいわけではないけど、存在感のある中堅女優って感じ。

 

稲垣吾郎も年齢もあってか、とても良かった。

 

★★★★★ 

 

 

 

 

制作 テレビマンユニオン

配給 ビターズ・エンド

 

『ある男』(2022)

原作は平野啓一郎の小説。

 

監督・編集 石川慶(『愚行録』『蜂蜜と遠雷』他)

脚本 向井康介(『マイ・バック・ページ』『ふがいない僕は空を見た』『愚行録』他)

 

妻夫木聡、安藤サクラ、窪田正孝、清野菜名、眞島秀和、小籔千豊(こやぶかずとよ)、坂元愛登、山口美也子、柄本明、でんでん、きたろう、真木よう子、仲野太賀、小笠原覚、カトウシンスケ、伊藤駿太、森優理人、河合優実、小野井奈々、水間ロン、岩川晴、芹澤興人、矢柴俊博、山野海、モロ師岡、池上季実子、松浦慎一郎、中村シュン、眞田惠津子、他。

 

里枝(安藤サクラ)は離婚して幼い息子悠人(幼少期:森優理人/少年期:坂元愛登)を連れて宮崎の実家に出戻り。父の死から立ち直れてない母(山口美也子)一人で営む文具店を手伝う。そこに絵を描く道具を買いに来た谷口大祐(窪田正孝)と惹かれ合い再婚する。悠人とも仲良く、娘花(小野井奈々)が生まれ幸せな日々を過ごしていたが、大祐が生業の林業で事故死してしまう。一周忌を迎え、墓のこともあるし大祐の実家伊香保の温泉旅館に連絡をする。後を継いでいた兄の谷口恭一(眞島秀和)が法要に現れるが、遺影にある人間は弟の大祐ではないと放つ。じゃあ、いったい誰なのか。里枝は離婚調停で世話になった弁護士の城戸章良(妻夫木聡)に相談がてら身元調査の依頼もする。城戸もまた何かから逃れるかのように、はたまた突き動かされるかのように大祐…ある男「X」(窪田正孝)の人生を追う。

城戸自身の出自の問題、妻香織(真木よう子)との仲の多少の行き違いを描きながら、戸籍売買で収監されている小見浦憲男(柄本明)を通して、「X」の隠された真実が明るみになっていく…。

 

城戸は帰化してるとはいえ在日三世であり、香織の裕福な実家との落差がある。おまけにその義父母(モロ師岡、池上季実子)には差別意識が少なからずある。

本物の谷口大祐(仲野太賀)は恭一との確執があり、父親が亡くなったことにより後継の問題も浮上。高校時代から付き合いのある後藤美涼(清野菜名)とも連絡を断つ選択をする。それだけ家を捨てたかったということのようだ。

それは谷口大祐の戸籍を買った原誠(窪田正孝)も同じで、殺人を犯した父親小林謙吉(窪田正孝)の呪縛から逃れるため、生き直すため、2度も戸籍を変えた。犯罪者の子供であることは(凶悪であればなお)、その血を継いでるということで、自家中毒みたいになってしまうんだろう。

キツイなと思ったのは、城戸の浮気を疑っていながら香織の裏切りがあった点。それを城戸は不問に付す。これを背負ってどのくらい長く家族を保っていられるだろう。

 

面白かったけど、なんか色々繋がりが悪い気がした。ミステリーなので登場人物の過去含む動機に説得力が欲しい。大祐と恭一の具体的な確執、戸籍交換をした大祐の動機、本心。城戸の在日三世としての生き方、香織との結婚に至った過程。原の1回目の戸籍交換相手曽根崎の詳細。小見浦の具体的な過去も欲しかった。

て、そんなの入れたら2時間じゃ収まらないだろうな、てことでドラマの方が良かったんじゃ…。

 

ラスト、バーで城戸は初見の客と身上を語るシーンがある。そこで城戸は原誠が谷口大祐だった時の人生を語る。在日であることを城戸も苦に思っていて、違う人間になりたいのかもしれない。名前を名乗る寸前のところで映画は終わってる。そしてオープニングがラストとリンクしてるんだけど、そのバーには一つの絵画があって、ルネ・マグリットの「複製禁止」という絵らしいが、後ろ向きの男が鏡に写ってる。あり得ない構図なのだが、その前に立ち、城戸は絵画と同化する形になる。何者かに代わりたい、でもそんなことは無理なのだと言ってるかのようだった。城戸は誰の名を出したのか、本名を名乗ったのか、どっちだろう。

 

悲しくはない、ただ寂しくて、お父さん=大祐に聞いてもらいたいことがいっぱいあると言う悠人の言葉に、出自や過去がどんな人間であろうと、人の心に入ってきていることが全てだと思わせられ、人生は事実のみ、今の関係性が一番であると感じた。

一方、2度目の人生を精一杯生きようとしたんです、こうまでしないと生きれない人がいるんです。という作品のテーマであろう台詞には「だから?」としか思わなかったのはなぜなんだろう。

 

中学生になった悠人役の坂元愛登、まだ子供ぽい。ドラマ『不適切にもほどがある!』でキヨシ役。それを見てると大きくなったなぁ、男子の成長かぁと思わずにいられない。また、純子役の河合優実も食堂の子、原に好意を寄せる女性役で出てる。こちらはあまり変わらない。

 

★★★(★)

 

 

 

配給 松竹

 

 

マシュー・ボーンの『ロミオ+ジュリエット』(2024)東急シアターオーブ

原作 ウィリアム・シェイクスピア

 

音楽 セルゲイ・プロコフィエフ

演出・振付 マシュー・ボーン

 

ロミオパリス・フィッツパトリック、ジャクソン・フィッシュ、ロリー・マクラウド

ジュリエットモニーク・ジョナス、ハンバ・クレマー、ブライオニー・ぺニントぺ

ティボルト:マシュー・エイモス、キャメロン・フリン、ダニー・ルーベンス、アダム・ガルブレイ

(太字は観劇日のキャスト)

 

タニシャ・アディコット、ターシャ・チュウ、アダム・デイヴィース、アニャ・ファーディナンド、ユアン・ガレット、ルイス・ハリス、ディラン・ジョーンズ、釜萢来美(かまやちくるみ)、デイジー・メイ・ケンプ、ケイト・リオンズ、ブルー・マクワナ、レオナルド・マッコーキンデイル、エレナー・マクグラス、イヴ・ンボコタ、ハリー・オンドラック‐ライト、ライラ・トレグラウン、アラン・ヴィンセント

 

 

 

 

近未来。反抗的な若者を対象とした矯正施設。男女の接触も許されず自由を奪われ厳しい監視下に置かれた若者たち。そんな中でもマキューシオ(ロリー・マクラウド)バルサザー(ハリー・オンドラック‐ライト)は互いに想い合っていた。

ひときわ暴力的な看守ティボルト(ダニー・ルーベンス)は収容されているお気に入りの女子を性のはけ口にしていた。ジュリエット(モニーク・ジョナス)もその犠牲になる。

ある日、モンタギュー上院議員(アダム・ガルブレイス)の息子であるロミオ(パリス・フィッツパトリック)両親(デイジー・メイ・ケンプ)に見放され収容される。

ロミオとジュリエットは出会いはな惹かれ合い、恋に落ちる。看守らの目を盗み、協力的なローレンス牧師(デイジー・メイ・ケンプ)や仲間たちのおかげで恋の成就となるが、思いのほかジュリエットにご執心のティボルトが酒に酔った勢いで不埒な仕打ちをし、乱闘となり、マキューシオが銃弾に倒れてしまう。怒りが頂点に達したジュリエットはロミオら仲間とティボルトを手にかける…。

施設は大荒れとなり、ショックで精神を病んでしまったバルサザー始め収容されてる者たち。ジュリエットも自死を考え始める。いったん家に戻されたロミオだったが、再び施設のジュリエットのもとに行くが…。

 

 

 

 

悲恋は悲恋。

反抗的な若者とあるが、これ思想矯正施設じゃないのかな。近未来なのでわからないけど、ロミオの家が政治家なのでそんな気がするし、いやもしかしたら精神病院かもしれない。ティボルトの横暴さもひどいもんだし。ジュリエットの出自はわからない。

マキューシオとバルサザーはゲイカップル。親身になってくれるローレンス牧師は女性。

ティボルトの仕打ちに男同士無理やりキスさせる性的暴力があった。どうせお前らゲイなんだからと言わんばかりのいやがらせで実に今風。余談だが、観劇日、インターナショナルスクールの生徒も観劇していてすぐ後ろにいた。このシーンで笑い声が上がってびっくりした。笑い声は男子だし、まだ中高生か、幼いこともあろうし照れ隠しかもしれない。でも、もしかしたら文化の違いというもう少し大きい問題だったら…とすれば、人種の壁、国家観の壁は高い。まぁ、本当のところはわからん。

 

そうそう、驚いたのは声を出していたこと。叫び声だったり笑い声だったり鼓動を伴う吐く息だったりだったけど、ダンスって身体表現なのでパントマイムの要素が強いと思っていたから、台詞はもちろん息遣いを含めた声を表現のひとつに加えるとはびっくりした。新しいのか、コンテンポラリー(バレエというくくりのようだけど)では普通のことなのか、マシュー・ボーンだからなのかわからない。

同じく、そこまで表現するのかと思ったのは、愛を形にするいわゆるベッドシーン。なかなかの艶めかしさだった。また、キスを続けたまま舞台上を右へ左へ上へ下へと踊るのは画期的というかすごいダンスパフォーマンスだった。

 

オープニング、お馴染み「モンタギュー家とキャピュレット家」は一気にこの世界観に連れて行ってくれる効果てきめんだった。

 

ロミオとジュリエット定番のバルコニーのシーンはモノは違えど再現されていた。

 

表現の幅の広さを実感できる作品、とても興味深かった。

(同じダンスパフォーマンスということで、2年前に観たシッキンの公演を思い出した。あの時も身体表現の可能性に感動した)

 

↓カーテンコール↓

 

 

(観劇日 20240417)

 

 

東京:東急シアターオーブ 0410~0421