バグダッド・カフェ | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『バグダッド・カフェ』(1987/日本公開1989)

原題は『Out of Rosenheim』、英題は『Bagdad Café』の西ドイツ映画。

 

監督 パーシー・アドロン

脚本 パーシー・アドロン、エレオノーレ・アドロン

 

ラスベガスを目指して車で旅をしていたドイツ人夫婦。夫ムンシュテットナー(ハンス・シャタードルバウアー)とケンカをして妻ジャスミン・ムンシュテットナー(マリアンネ・ゼーゲブレヒト)は車を降りて歩き出す。

夫と別れたジャスミンは道中モハーヴェ砂漠にある「バグダッド・カフェ」というモーテル、ガソリンスタンドを兼ねたカフェへ辿り着く。店をきりもりするブレンダ(CCH・パウンダー)はちょうど大喧嘩をして気の利かない夫サル(G・スモーキー・キャンベル)を追い出したばかりだった。遊び呆けてる娘フィリス(モニカ・カルフーン)、ピアノばかり弾いてる息子サロモ(ダロン・フラッグ)、とその赤ん坊の世話もあり忙しく働くブレンダには掃除をする暇もない。雑多に物が山積された事務所で埃だらけの部屋に案内されるジャスミン。それでも宿泊できるだけマシだった。それにコーヒーがうまい。といってもそのコーヒーは実はサルが途中で捨て置きされてるのを見つけた元々はムンシュテットナー夫妻の魔法瓶のものだった。

部屋で荷解きをすると、なんと夫のスーツケースを間違えて持ってきてしまっていた。およそ女性の持ち物ではないとその荷物を目にしたブレンダは怪しんで保安官アーニー(アペサナクワット)に連絡をするが身分証に不備はなかった。それにジャスミンは時間を持て余し気を利かせて事務所や店、部屋の掃除を始める。さらに夫の荷物に見つけた手品道具一式を覚え始めコミュニケーションに役立てる。イラつき攻撃的なブレンダもなんだかんだ子供好きなのに子供がいないジャスミンに同情心も湧き、心を許していく。

そしてジャスミンのそのおおらかさにブレンダの子供たちはもちろん、カフェの店員カヘンガ(ジョージ・アギラー)、隣接するトレーラーハウスに住む画家ルディ・コックス(ジャック・パランス)、タトゥーアーティストの長期宿泊客デビー・ベビー(クリスティーネ・カウフマン)、テント宿泊の旅人エリック(アラン・S・クレイグ)、カフェ常連客のトラッカーたちに歓迎されていく。やがて砂漠の中のバグダッド・カフェはジャスミンとブレンダのマジックショーが評判となり、客が集まり繁盛し始めるが…。

 

コメディとのくくりだが…人種、国籍を越えた人と人との繋がりを描いたヒューマンドラマのように思う。特に生涯続くだろう夫婦より固い(かもしれない)友情の成り立ちを描いていて、単純に「いいなぁ」と思った。また、タトゥーアーティストのデビーがモーテルを出ていく理由が「仲が良すぎる」というものだったのだが、これがまたわかる気がする。

 

コメディというなら、ブレンダの様子を遠くからずっと見ていた夫のサル…は、笑わせるところだろうな。あと、ラストシーン、お互いに惹かれあっていたコックスとジャスミン、コックスのプロポーズに「ブレンダに聞いてみる」と答えるところも笑うところかな。他にもちょいちょいクスッとくるところはあるけど(ムンシュテッドナーの嗜好品の嗅ぎ煙草、コーヒーの濃さや魔法瓶の動きなど)、コメディかというとどうだろう? 公開当時はそうだったのかもしれないけど。

 

ゆるい雰囲気の映画だった。

アーニーとカヘンガはインディアンかな。コックスにもその系統が見える。ブレンダ、サルは黒人。

コーヒーの好み(濃さ)に人種が現れているのは粋。

 

★★★★(★)