『未成年〜未熟な俺たちは不器用に進行中〜』(2024)読売テレビ1104〜全10話
原作はヒヌンの漫画(韓国)。
監督 柴田啓佑(『ひとまずすすめ』他)、牧野将
脚本 森野マッシュ、松下沙彩
音楽 遠藤浩二(『藁の楯』『I❤︎DK』『トリガール!』『ジョジョの奇妙な冒険』『カッペイ』『土竜の唄』シリーズ、他)
オープニング曲 ONE N' ONLY 「SAVIOR」
エンディング曲 ココラシカ 「花瓶」
本島純政、上村謙信、今井悠貴、宮地樹、堀家一希、関幸治、西原亜希、オクイシュージ、加藤貴子、他。
2018年、高校一年の時、教師(関幸治)からも期待される優等生水無瀬仁(本島純政)と問題児の蛭川晴喜(上村謙信)は出会う。校舎裏の踊り場で蛭川が教師の首を締めているシーンを目撃、さらに水飲み場で水道の水飛沫を浴びる蛭川に釘付けになる。二年になると同じクラスになるが、水無瀬は常々母親沙紀(加藤貴子)に「変なトラブルに巻き込まれて人生を棒に振るなら誰とも仲良くしない方がマシ」と、友達は選べと教えられていることもあり、どだい交わることのない世界に住んでると関わらないことを決める。そもそも水無瀬には勉強一筋の柴健人(今井悠貴)、恋愛体質の根本ショージ(宮地樹)という友達がいたし、蛭川にもよくつるんでいる不良仲間の真島京平(堀家一希)がいた。接点はなかった。
けれどある日、蛭川が父親の正彦(オクイシュージ)にひどい暴力を受けている場面に出くわす。誰にも言わないでという蛭川の頼みを受けて二人の間に秘密の共有ができ、しかも蛭川は映画好きで、尊敬してやまない雨沢義人監督が水無瀬の父親(結城貴史)だったこと、二人とも孤独な家庭環境なこと(水無瀬は父親とは別居状態で母親は仕事でほぼ海外。蛭川は両親は離婚しており離婚から立ち直れていないアル中気味の父親との二人暮らし)などわずかな接点が見え、蛭川の積極的なアプローチもあって急接近する。学校では水無瀬の希望で無関係を装うが、二人はやがて恋愛感情を自覚する。そして離婚後新しい家庭を築いている蛭川の母親潮田晴華(西原亜希)のところに一泊で遊びに行った際に、水無瀬は蛭川の悩み、自分もいつか父親のように暴力を抑えられなくなるんじゃないかという恐怖心に駆られていることを知り、自分が歯止めになることを伝え、二人は結ばれる。
けれど、幸せな時は続かず、水無瀬は父母の離婚が決まり母親についていくため留学の話が持ち上がり、蛭川は真島が起こした問題に巻き込まれ、かつ、父親が急死、水無瀬の前から姿を消すことになる。そうこう日は経ち、水無瀬は現役で志望大学へ合格。誰もいなくなった蛭川の家で水無瀬宛の手紙を見つける。誕生日に手紙を書き合おうと約束したものだった。そこには蛭川の水無瀬への想いが綴られていた。
数年後、まるで蛭川をなぞるかのように喫煙を始め、大学で小説を書き始めていた水無瀬。それは渡すことのない蛭川の手紙への返事だった。そんなある日に、別の大学にいった根本から蛭川の話を聞く。ずっと連絡の取れなかった蛭川が、偶然にも根本と同じ大学に一浪して入ってきていたのだった。しかも映画サークルで映画製作をしているという。そして上映会で二人は再会を果たす。会えなかった間も互いのことを想っていた二人は将来を共に歩むことに…水無瀬の小説「未成年」を蛭川が映画にして…。
誰にも吐き出せない孤独を受け入れてくれる人を求めていた蛭川と、諦めて孤独を受け入れていた水無瀬。二人は足りない部分を補い合い、結果、自己嫌悪に押しつぶされそうな蛭川を水無瀬のまっすぐな愛が救う恋愛ドラマだった。
実にポエトリーだが二人の関係を海に例えていて、
「世の中には三種類の人間がある。加害者、被害者、傍観者。それぞれ棲み分けしていて水(海)が交わることは決してない。」
「最初は少し足をつけてみただけだった。足元の砂が波にさらわれていつのまにか沖へと流されていくような。気づいた時にはずいぶんと君の近くまで流されていた。」
「自分から荒れた海に入っていくなんて、きっとどうかしてる。」
「空と海の境界が混ざってわからなくなるように、僕と君の境界が溶けてひとつになればいい。」
「君の海に僕はいるんだろうか。僕の海は君がいなくなってから静かなまんまだ。」
「とてつもなく広い海ではぐれた魚が仲間と出会えるのはどれほどの確率なんだろう。」
「君の海と僕の海はきっとどこかで繋がっている、今もそうそう信じている。」
等々、実に良い。
海を海域を二人の環境に例えてる「海の前に人は無力だ。どうかきみが波にさらわれてしまいませんように。」は無償の愛を感じた。
また、雨沢監督の作品評で「この主人公は苦しみの波が大事な人にまで押し寄せないように海に残って見張ってんだよ」という蛭川の解釈もある。
ロマンチック。
台詞もいいものが多く、
蛭川「俺かわいそうに見える?」
水無瀬「うん、かわいそう。」
一般的にはウエメの同情心だが、そうではなく、これがポジティブで甘い言葉にしか感じないなんて、なんていい台詞と設定かと思った。
蛭川の母親を訪ねた際、水辺で水無瀬が「帰ろう、俺んちに一緒に帰ろう」という台詞、蛭川の悩みを聞いて全てを受け入れる決意がうかがえてグッときた。
水無瀬「おまえといると弱くなる。」
蛭川「俺は強くなる。」
だけど、どちらも耐えて虚勢を張っているから、どちも弱く、相手がいるからこそどちらも強くなり、補い合えてるんだと思う。
ラストの水無瀬からの「結婚する?」はナチュラルでものすごく良かった。
簡単にいうとBLなんで、萌えポイントも多い。
プールでの離れ際のキスシーンは秀逸。
一緒に天沢監督の新作映画を見るシーン、蛭川の見入っている感じはまさに天沢監督を尊敬しているようにしか取れないし、そんな蛭川を見る水無瀬の愛おしそうな眼差しが更に効果を高めてる。上村謙信がダントツで良かったシーン。
あと再会の後、酔いつぶれた水無瀬を迎えに蛭川が店へ駆けつけるのだが、その時なんで蛭川がいるのかわからない、しかも蛭川の「迎えに来たよ」の台詞の後の水無瀬の目からの一筋の涙はびっくりするほどきれいだった。待ちわびていた蛭川、愛おしい蛭川、やっと会えた喜び、たくさんのまとめきれない感情が溢れているのがよく伝わって素晴らしいワンシーン。また、それに続く公園での二人の会話での水無瀬の駄々っ子みたいな口調も、帰り道おんぶをねだるなど、心情が伝わってきてすごく良かった。
とにかく本島純政の演技が素晴らしい。都度の表情はもちろん、キスシーンは女子のようにきれい。これは監督の撮り方、演出もあるだろう。そして単に見つめ合うだけでも、情感が伝わってくるのはやはり役者の力と演出力がぴったりと合ったためだろう。
あと、柴と根本の会話が面白かった。アドリブもあったようだ。
実はもうBLはお腹いっぱいで深夜帯のものは特に興味対象外になっていたのだけど、これはハマった。雰囲気が『美しい彼』に似てる。脇役は脇に徹し映像を崩さない、きちっと演技つけて演出にこだわる感じ。
そんなわけで『美しい彼』『永遠の昨日』『オールドファッションカップケーキ』に次ぐお気に入りBLドラマになってしまった。
★★★★(★)
FODではアフターストーリーが配信されてるそう。それ込みでDVD化お願いします。。。いや、ネトフリで配信してよ。。
そうそう、ONE N' ONLY 「SAVIOR」最高の主題歌だった。
まだやっと二十歳。仮面ライダー以降初めての主演ではないかな。本島純政の俳優としての成長を注目していきたいと思う。
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