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これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『ジョジョ・ラビット』(2019/日本公開2020)

アメリカ映画。原題は『Jojo Rabbit』。原作はクリスティン・ルーネンズ「Caging Skies」

 

監督・脚本 タイカ・ワイティティ

 

第二次世界大戦下のドイツ。父親は出征し、姉は亡くなり、母親ロージー・ベッツラー(スカーレット・ヨハンソン)と二人暮らしの10歳の少年ヨハネス・ジョジョ・ベッツラー(ローマン・グリフィン・デイヴィス)は、少年兵を作出する青少年組織「ヒトラー・ユーゲント」で日々訓練に勤しんでいた。けれど心優しく臆病なジョジョはバカにされ、いじめの対象にもなっていた。訓練でウサギを殺せなかったばかりに「ジョジョ・ラビット」とあだ名されからかわれる始末。同じくちょっとノロマのヨーキー(アーチー・イェーツ)という親友はいたが、ジョジョは空想上のアドルフ・ヒトラー(タイカワ・ワイティティ)が唯一の相談相手。孤独だった。そしてある日の訓練で負傷したジョジョはしばらく休むことになった。

自宅療養中のジョジョは、留守番中に亡き姉の部屋の壁に違和感を覚え、探ってみると隠れ扉になっていて、そこで一人の少女を見つける。母親がかくまっていたユダヤ人のエルサ・コール(トーマシン・マッケンジー)。最初は警戒していたものの、エルサとの交流から、戦争と命、人種と尊重、恋と嫉妬など、思春期に味わう様々なことを思考し体感し、ジョジョは変化、成長する…。

 

ジョジョに不幸が訪れ、そのタイミングでドイツの敗戦も決まるのだが… 最後には空想上のヒトラーを消し、恋が愛に転化する。のがとても良かった。

 

ウサギ、靴紐や蝶々、ポスター、メモ、吊るし首、ダンスが大事なことのアイテムになっていて、全部回収されていくのがとても気持ちよかった。

恐ろしいなと思った構図があって、半ナチ、レジスタンスの吊るし首が街中に晒されていて、その周りの家々の屋根裏窓がまるで人の目のように見える。その目の表情が同調圧力だったり悲哀だったり、冷酷さだったり、おそらく観る側によって変わるであろう微妙さがあるのだ。無言で映像で訴えかけてくるなかなかな演出。

 

「ヒトラー・ユーゲント」のナチスの女性教官フロイライン・ラーム(レベル・ウィルソン)、ナチスの将校クレンチェンドルフ大尉(サム・ロックウェル)、その部下のフィンケル(アルフィー・アレン)のユダヤ人を揶揄するコミカルな感じ、未来ある子供を守る気持ちが最後に現れていたのが、もの悲しい。

 

エルサをウサギに例えるなら、ジョジョは今度は確かに助けることが出来たのだ。自分の気持ちをいったん抑えて、愛でもってエルサを解放したとなる。そしてエルサとリズムを合わせてダンスになるであろうところで終わる。これは余韻はそれぞれにお好きに、と贈る素晴らしいエンディング。

 

一応コメディというくくりらしいけど、胸が痛くなるシーンも多かった。大人でも、足元を今一度見直すきっかけとなるような作品だった。

面白かった。

 

オープニング曲がザ・ビートルズ「抱きしめたい」(ドイツ語)、エンディング曲がデヴィッド・ボウイ「ヒーローズ」(ドイツ語)で、挿入曲にトム・ウェイツ「大人になんかなるものか」があって郷愁も味わえた。

他に「エヴリバディズ・ガッタ・リヴ」(ラヴ)、「タブー」(レクオーナ・キューバン・ボーイズ)、「ママ(ドイツ語)」(ロイ・オービソン)、「蝶の羽根」(マイケル・ジアッキーノ)、「ディプシー・ドゥードゥル」(エラ・フィッツジェラルド)、「ワルツ・春の声」なんかが効いていた。

 

★★★★★

 

 

 

 

 

『See』s**t kingz (2025)新国立劇場中劇場

 

作・演出・出演 s**t kingz 

 

 

 

 

話は新作舞台のミーティングルームに始まる。shojikazukiNOPPOOguriのシットキングスメンバーが集まり、テーマは「See」と決まり、それぞれの「See」=「見る・見える・見られる・見えない」についてあれこれ考え案を出す。けれどちっともまとまらない。煮詰まった頃、食事のデリバリー(ウーバー的なやつ)が届いたはいいが、配達員が泣きながら去っていく。不思議に思いながらも開けてみると、落としたのか手荒く扱ったのかお弁当がめちゃくちゃになっていた。4人は配達員に何があったのか思いを巡らす…。

配達員(shoji)と動物園のパンダとの友情、そして辛い別れの物語を皮切りに、4人それぞれの体験からくる「See」が始まる。

振り付けに悩み中のNOPPO。やっと完成したかと思えば、いざMV撮影時にアーティスト(kazuki)もマネージャーも監督も言うことを聞かない。それでもなんとか出来上がったMVに消化不良…。

Oguriに恋する昭和感ただよう女(shoji)。でもOguriには彼女が見えてない。それもそのはず(?!)家の中にはハイソなおしゃれ女(NOPPO)が!ショックを受け嫉妬に狂う女は昭和歌謡で嘆く…。次にkazukiにもアプローチするけど振り向いてもらえず、憤怒に燃える…。実はこれ、アンテナ女とWi-Fi女。彼を一生懸命支えてるのに、見えない、使えない、快適かつ安定した速度は部屋の中…。

SNSの心ない、だけど本音でもある、姿の見えない烏合の衆の言葉を受けつつ、自己の壁に苦悩するOguri…。

とまぁ、最後まで出そうで出ない、決められそうで腑に落ちないアイデア、やっとこ名案を思いつくもダメ出しの嵐に四苦八苦するシッキンメンバーがおもしろおかしく、時に切なく描かれる。

 

 

 

 

舞台裏を見せた作品。それはエンディングで大道具などセットを前面に押し出したことで全てが裏話だと認識させる形。裏話のストーリーなのか、ストーリーが裏話なのか、それは見る人に投げる、という優しい作品だった。

また、ミーティングルームの中央に置かれる円形のテーブル板は眼球のデザイン。そこから見えるパフォーマンスという取り方もあり?!

アーティストkazukiの完成したMVは笑える。

パンダにお別れにもらった笹の葉は二度使いするのだけど、次のお題がスモークで、それ大麻にも取れるけど…?と気になった。(個人の感想)

 

不服を言うと…一番声出てた。言葉ではなく、擬音ではあるけれど、これまで通り最小限にとどめて欲しかったな。『キン・ザ・ザ』浮かんだ。それから登場人物…といっても黒子ならぬ白子(顔にかかるベールには目が貼られている)の8人のSeeダンサーズももっともっと裏方であって欲しかった。

 

『HELLO ROOMIES!!!』の方が面白かったし、『The Library』の方が良かった。やはりストーリー性があった方が面白い。コミカルな流れに素晴らしい高度なダンスパフォーマンスがあって、さらに深淵を覗ける、というやつ。

でもまぁ、今回はSNSの弊害ネタが良かったかな。作品を作る苦悩を可視化したようだけど、それこそSNSの大海原のおかげでそんなの誰もが知ってるでしょう。だからどうふるのか、あるあるで終わらせないでもう少し踏み込んだ展開が欲しかった。私の解釈力が足りないのかもしれない。

 

 

(観劇日20250206 ネタバレ解禁まで待ちましたのでアップがおそくなりました。

 

 

東京 新国立劇場中劇場 0201~0209

(0222にストリーミング配信、その後アーカイブ配信も有り)

 

 

 

 

 

 

 

  

 


インスタライブとファンクラブ062でシッキンによるネタバレトークをやっています。ライブ配信を見ながらトークを聴くというのも有りですね。


公式Instagram




『バイバイ、ブラックバード』(2018)WOWOWドラマ全6話

原作は伊坂幸太郎の小説。

 

監督 森義隆(『パラレルワールド・ラブストーリー』他)

脚本 鈴木謙一(『アヒルと鴨のコインロッカー』『裁判長!トイレ行ってきていいですか』『グッモーエビアン!』『アイネクライネナハトムジーク』『残穢』他)

音楽 安川午朗(『しゃべれどもしゃべれども』『君に届け』『八日目の蝉』『北のカナリアたち』『凶悪』『ストレイヤーズ・クロニクル』『残穢』『団地』『日本で一番悪い奴ら』『ちょっと今から仕事やめてくる』『半世界』『閉鎖病棟』『一度も撃ってません』『ユリゴコロ』『孤狼の血』シリーズわ他)

 

高良健吾、城田優、石橋杏奈、板谷由夏、前田敦子、臼田あさ美、関めぐみ、松村雄基、丸山智己、岡村いずみ、斎藤洋介、あがた森魚、他。

 

借金のため、二人の男と共に捕らわれた星野一彦(高良健吾)の前に現れたのは、態度も体も大きく、力もある、言葉遣いはおよそ女とは思えないほどの悪さ、でも金髪ハーフで美女と言えなくもない借金が嵩んだ人をバスに乗せる謎の組織の「送り」係繭美(城田優)。一緒に捕らわれた男二人はバスに乗せられどこかへ行ってしまった。星野もバスに乗らなくてはならないのだが、その前に、幼少期母親との突然の辛い別れを経験してたことから、つきあってる恋人たちにきちんと別れを告げたいと頼み込み、猶予をもらった。バスに乗り込むことを言いたくない星野は、繭美を結婚する相手と偽り、その数、五人! の星野の恋人たちとのお別れ行脚が始まる。

不倫から覚めた一番最近付き合い始めた廣瀬あかり(石橋杏奈)、バツイチシングルマザーの霜月りさ子(板谷由夏)、キャッツアイよろしく女泥棒の真似事に夢中の如月ユミ(前田敦子)、数字好き算数好き数学好きの計算が得意で真面目な神田那美子(臼田あさ美)、一番付き合いの古い女優の有須睦子(関めぐみ)と思い出を振り返りながら誠心誠意接し思いやりのある別れ方をするのだが、その中で、星野の悲しい幼少時代、そこから培われた垣根がない素直で優しい性格を知るうちに、子供の頃から世間を敵とみなし反骨精神よろしく育った繭美の意識に変化が訪れる。星野と行動を共にするうちに、世の中を達観し傍若無人な態度の底に正義が見られるようになる。

そしてついに、行き先も行った先で何があるのかも繭美さえも知らない、ただ、戻ってきても人が変わったようになる、そんなバスへ乗る日がやって来た。二人の距離はなんとなく縮まっていて…トラブルも手伝い、バスへ乗り込んだ星野に、繭美はわずかな賭けに出る…。

 

「バイバイブラックバード」という歌があり、そもそもブラックバードは不吉とか不安を指し、君と別れてこれからは幸せになります、という意味らしい。一方でブラックバードは幸運の意味もあるそう。(ブラックバード、日本では黒ツグミ、クロウタドリというらしい)

最初ブラックバードは繭美のことかと思ったけど、「バイバイ、」がつくし、星野のことでもあるのかも。五人の女と一人の女、それぞれが星野にバイバイと言ってるわけだし。でもこの場合、星野も不幸のタネなんだろうか? 優しい幸せな時間とのお別れでもあるのに。まぁ、五股男はフツーに悪か。

ただ、繭美はラスト、星野を助けに行こうとしている。間に合ったかどうかはわからないけど、繭美は闇に住まう自分自身にバイバイしたということなのかも。そして繭美にとって星野は幸せの象徴だったのかも。ブラックバードの二重使い。

 

面白かった。

2〜3週間ごとに来るバスは、どこへ行って乗った人間がどうなるのかは不明(人間とは言えないものになって戻るとはいう)。繭美は全身黒ずくめの服装で、部屋には土足のまま上がる。最初は本当に存在してるのかなと思ったけど、周りの人間にまでちゃんと見えてる生きてる人間だった。でもそんな点がファンタジー。また、漫画や映画、ドラマなどの作品へのオマージュもあり、それはだいぶコミカルで、やはりファンタジー。愛らしい二人組だった。

 

城田優が最初は美人だなぁ、でもニューハーフの設定かしら?なんて思ってたら、ちゃんと女性役。回が進むに連れてなんとなく男っぽさが表情にも出てきてたけど、それは何か意味があったのかな? わからない。でもきれいだったし、やはり『キンキーブーツ』のローラはまた城田優で観たいなと思った。

 

★★★★★

 



 

↓試写会インタビュー1~3↓

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『そして、生きる』(2019)WOWOWドラマ全6話

 

監督 月川翔(『君と100回目の恋』『センセイ君主』『響』『君は月夜に光り輝く』他)

脚本 岡田惠和(『おっぱいバレー』『世界から猫が消えたなら』『雪の華』『いちごの唄』『余命10年』『メタモルフォーゼの縁側』、『にじいろカルテ』『姉ちゃんの恋人』『セミオトコ』『銭ゲバ』『ひよっこ』他)

音楽 村松崇継(『64』『漁港の肉子ちゃん』『護られなかった者たちへ』、『クレイジークルーズ』他)

 

有村架純、坂口健太郎、知英、岡山天音、光石研、南果歩、萩原聖人、寺田藍月(てらだあづき)、細野涼聖、森脇英理子、伊藤洋三郎、小柳友貴美、平野貴大、内田慈、他。

 

3歳の時に両親を交通事故で亡くした瞳子(有村架純)は岩手県盛岡で理髪店を営む伯父生田和孝(光石研)に引き取られすくすくと育ち、ご当地アイドルも務め、やがて女優を夢見るようになる。そして高校卒業となり、オーディションを受けるべく上京するその日、東日本大震災が起こる。

オーディションを受け損ねた瞳子は地元のカフェで働き、そこで仲良くなった世界を旅する韓国人のハン・ユリ(知英)と共に、宮城県気仙沼にボランティアに向かう。ボランティアを統率してたのは東京の城東大学の学生で、ここで瞳子は、就職活動も控える清水清隆(坂口健太郎)と知り合う。清隆もまた幼い頃父親を病気で亡くし、さらに母親も自死で亡くして伯母清水美恵子(南果歩)の家に引き取られていた。そんな似た境遇もあり、互いに惹かれ合い、交際が始まる。

時は進み、一流商社に採用が決まった清隆は、それを捨て、発展途上国の人々の役に立ちたいと夢を待ち就職先を変え日本を出ることに。瞳子もまた、もう一度東京でオーディションにチャレンジするが、その日倒れてしまい妊娠がわかる。夢を追う清隆を思い、瞳子は清隆から離れ、一人で産み育てることを決意する。ところが流産。清隆もまた赴任先のフィリピンで爆破テロに遭い、満身創痍で帰国…その途中で各国を旅していたハンと再会し、ハンは奈落の底にいた清隆の手を取り、東京で二人は新しく居を構える。

そんな二人の現在を知った盛岡の実家で暮らす瞳子の前には、高校の後輩で、ずっと瞳子に憧れ恋心を持っていた久保真二(岡山天音)が現れていた。静かに日常が流れる中、和孝が病に倒れ、真二は瞳子にプロポーズをしていた。ハンと清隆の交際が現実のものと認識したその日、瞳子は久保のプロポーズを受ける。

ハンと清隆も、瞳子と真二も自分を偽ることなく相手を想い一緒になった。しかし真二によって清隆は瞳子がなぜ身を引いたのか、自分の子を流産していたことを知らされ、再び奈落へと落とされる。瞳子の方は、新しい命をこの世に産み落とした時、和孝が亡くなり、真二は詐欺罪で逮捕される。

時は経ち、2019年、ハンとは良い形で別れた清隆は新しい仕事につき、瞳子は娘と共に真二を待つ生活をしている…。

不幸な過去を待つ二人が出会い、恋をし、過去があるが故に思い悩みながらも一歩ずつ、自分の人生を歩む8年が描かれる。

 

有村架純節が甚しいが、なかなか良かった。伏線もきれいに回収、なあなあでまとめず、人の心の複雑さ、人生に向き合う真摯さもしっかり描かれていて、人間愛に落ち着かせる納得の展開とラスト。

清隆の性格はイラッとするけどそれも納得がいく。ハンの気持ちにも違和感がない。真二も。父親代わりの和孝、母親代わりの美恵子の心情もとてもよくわかる丁寧なキャラ付け。

 

美恵子が言う清隆を「幸せな子にしたい」と、和孝が言う「瞳子を守る」は、瞳子の「(娘を)絶対幸せにしてみせる」「親は揃ってなくても一緒に生きてる人に愛されれば幸せな子になる」、清隆の「俺たちがその証拠だ」につながるのがとても良かった。

 

「生きてて良かった」「これからもしっかり生きていく」がまさにテーマだった。

 

★★★★(★)

 

 

 

こちら劇場版もあるけど、それは未視聴。

 

『陸軍中野学校』(1966)

中野に実在した旧陸軍の秘密戦要員養成所を舞台にした作品。

 

監督 増村保造

脚本 星川清司

 

市川雷蔵、加東大介、村瀬幸子、小川真由美、ピーター・ウィリアムス、E・H・エリック、待田京介、早川雄三、仲村隆、穂高のり子、森矢雄二、仁木多鶴子、他。

 




1938年。三好次郎陸軍少尉(市川雷蔵)草薙中佐(加東大介)のもと秘密裡に組織されるスパイ養成学校「中野学校」の要員に抜擢され、母親(村瀬幸子)と婚約者布引雪子(小川真由美)には仕事と偽り、家を出ることになる。

「中野学校」には陸軍予備士官学校出身者の優秀かつ適性を試された面々が揃う。三好らは名を変え、1年に渡りスパイとしてのノウハウを叩き込まれる。その間、脱落者も出て、当然生きて出られるわけもなく、彼らの死の真相は闇に葬られる。

一方、まめな三好から手紙さえも届かないと不安にかられた雪子は、外資系貿易会社でのタイピストの経歴を活かして参謀本部の暗号班に勤め始める。そして前職の上司ベントリイ(ピーター・ウィリアムス)から三好の理不尽な死を聞かされ、機密情報の持ち出しに協力する。

ちょうど、三好らは卒業を前に暗号解読のためのコードブック入手を課されていた。しかし、手に入れた時、暗号そのものが変更されてしまっていた。そんなに早く変更されるのはおかしいと調べると、雪子とベントリイの存在が確認された。ベントリイは憲兵隊を前に自死を選ぶが、雪子は何も知らない。

愛した女性ではあったが、今三好は名も椎名次郎と変え、スパイとして生きている。三好は雪子とコンタクトを取り、生きていたことに喜ぶ雪子を手にかける…。

 

「中野学校」一期生は卒業を迎え、三好には次の命が下り、中国へ向かう…。

 

というところで終わってるだけあり、「中野学校」シリーズで数作あるようだ。今作が第一作目。

 

カリキュラムの内容が細かくて笑いも出そうだったが、きっとそこまでしっかり取り組むからこそ優秀なスパイが出来上がるのだろう。少しずつスパイという重責に責任感と学校への愛が深まり、目的のためには手段を選ばなくなるのも、洗脳と言ってしまえばそれまでだが、仕事なら多かれ少なかれ芽生える感情だろう。


小川真由美の女っぷりが良かった。1966年でここまでの表現が許されていたのかと驚いた。古いから規制が厳しいだろうというのは思い違いか。


E・H・エリックが懐かしかった。この作品では小川真由美と彼しかわからなかった。

 

★★★★

 


古い映画もいいな。思ったよりしっかり作られているし。


『赦し』(2022)

 

監督 アンシュル・チョウハン

脚本 ランド・コルター

音楽 香田悠真(『その日、カレーライスができるまで』他)

 

尚玄(しょうげん)、松浦りょう、MEGUMI、藤森慎吾、生津徹(きづとおる)、真矢ミキ、成海花音(なるみかのん)、清水拓藏(しみずたくぞう)、他。

 

7年前、高校生だった17歳の福田夏奈(松浦りょう)は同級生の樋口えみ(成海花音)を殺害し、20年の懲役刑を受け、服役している。しかし今になって再審の話が持ち上がり、減刑、釈放の可能性が出て来た。それは、無実ではなく判決の不公平さを追求、正しい審判を願うものだった。

その知らせを受けた被害者の父親樋口克(尚玄)は別れた妻岡崎澄子(MEGUMI)と連絡を取り、二人とも法廷に通い証言台にも立つことになる。

最愛の娘を失った悲しみから抜け出られず仕事もままならない酒浸りの自堕落な生活を送る克、グリーフケアに通い同じ苦しみを持つ岡崎直樹(藤森慎吾)と知り合い再婚し、娘の死という残酷な過去に見切りをつけたい澄子、7年前よりもっと前、機能不全家庭に育ち学校ではさらに辛い目にあっていた夏奈の苦しみが明らかになっていく。

 

また、我が子を殺されたという共通の痛みから情を捨てきれない克と澄子の、だからと言って分かち合えない心情、互いに乗り越えようと一緒になったはずの澄子と直樹の微妙なズレと親愛、検察の責務、弁護士の表裏がある中、裁判官の目線にチクチクとしたトゲが読み取れ、自分のした事に真摯に向き合い、苦しみながらも将来を生きる覚悟を決めている夏奈の姿が痛い。

 

とても良かった。良かったのだけど、淡々とした会話も多いので感情が必ずしも必要ではないけど、重要な役、それじゃ伝わりにくいしそうじゃない感が強い演技の父母役尚玄とMEGUMI、なぜそのキャスティング? とイラッとした。藤森慎吾が一番うまかった。検察清水拓藏弁護士生津徹裁判官真矢ミキも。

この作品、実は松浦りょうの表情に惹かれて見たのだけど、顔は本当にいい。のに、尚玄同様声質が高くて台詞がすべるのが残念だった。演技は物語る目が素晴らしく、唯一無二。他の作品も見てみたいと思った。(これまで見た作品にも出てたようだけど、ぜんぜん目に止まらなかった)

 

脚本的には、台詞に、所詮自分以外の誰にも自分の気持ちはわからないんだというものがしつこいほど多く、こういう台詞はここぞというところで一発で決めるものと思っていただけに、反復する中で道を切り開いていくのは新鮮であり、残念でもあった。焦点は被害者遺族の深い悲しみと、加害者の生きている限り続く罪悪感の折り合いの付け方で、決着所はいいなと思った。これが限度だろうと納得がいった。

 

これ、ほんと、父母役もっと出来る役者さんだったら…と残念。

 

★★★★

 

 

 

 

『正体』(2024)

原作は染井為人の小説。

 

監督 藤井道人(『青の帰り道』『宇宙でいちばんあかるい屋根』『ヤクザと家族』『ヴィレッジ』『最後まで行く』他)

脚本 小寺和久(『明け方の若者たち』『ある夜、彼女は明け方を想う』他)、藤井道人

音楽 大間々昂=おおままたかし(『彼女がその名を知らない鳥たち』『見えない目撃者』『ひとよ』『死刑にいたる病』『最後まで行く』他)

主題歌・挿入歌 ヨルシカ

 

横浜流星、吉岡里帆、山田孝之、松重豊、原日出子、森本慎太郎、山田杏奈、前田公輝、西田尚美、山中崇、宇野祥平、駿河太郎、木野花、田中哲司、田島亮、遠藤雄弥、宮﨑優、森田甘路(もりたかんろ)、他。

 

一家惨殺事件…猟奇殺人を起こし死刑判決を受けた鏑木慶一(横浜流星)が刑務所を脱走した。潜伏逃走を1年に渡り続ける間、関わった人間がいた。その人たちにはとても死刑判決を受けるような凶悪な人物とは思えず、鏑木もまたずっと無実を訴えていた。しかし警察はがんとしてゆずらず、なぜそこまで頑ななのかの理由と共に、なぜ鏑木が脱走をしたのか、ついにはその目的を理解したその出会った人々の協力によって真実があきらかになる…。

 

借金まみれの工事現場の人夫、でも心根の優しい野々村和也(森本慎太郎)、弁護士の父親(田中哲司)が痴漢の罪(冤罪)を受けたことでいっそう真実を追い求めることを止まない雑誌編集者で娘の安藤沙耶香(吉岡里帆)、事件の唯一の目撃者であった遺族でもある井尾由子(原日出子)が入所しているケア施設に勤める新人介護士酒井舞(山田杏奈)、…それぞれ鏑木が名を偽り職を得た先で出会う。彼らの背景、人生の葛藤も描きつつ、鏑木の人間像が浮かび上がってくる作り。

 

山田孝之が刑事という権力側で、かつ刑事部長(松重豊)に逆らえない、損得勘定をする立場にあるという珍しい役柄だった。新鮮。最後には正義を貫くんだけど。その又貫刑事の下につくのが若く青い正義感を持った井澄刑事前田公輝で、こちらはイメージぴったりで、むしろこれまでの「HiGH&LOW」の轟とかがおかしかったと改めて思った。そういえば朝ドラ「ちむどんどん」の智も良かった。

少し端折り気味で駆け足な印象も受けたけど、もしかしたら現代においてはこのくらいのスピード感でいいのかもしれない。私はもっと行が欲しかった。行間を読むのではなく、行が。三行くらい。

 

正しいこととは誰の正しさなのか、真実と事実の境界は何なのか、そして生きること、誰もが持っているたった一つの人生の意味を考えさせられた。

横浜流星いい演技するようになったなぁ(何様(^^;;)。

 

森本慎太郎うまいな。たぶん、SixTONESで一番映像向きの演技がうまい。

 

★★★★

 

 

 

 

 

 

配給 松竹

 

 

『青いパパイヤの香り』(1993/日本公開1994)

フランス、ベトナムの共同制作。原題は『Mùi đu đủ xanh / 味𣛦𣛭青』、仏語で『L'odeur de la papaye verte』、英題は『The Scent of Green Papaya』

 

監督・脚本 トラン・アン・ユン

 

1951年、10才のムイ(リュ・マン・サイ)はサイゴンに住む一家に奉公人として雇われる。その家の家長である父親(トラン・ゴック・トゥルン)は放浪癖があり、普段は琵琶ばかり弾いて何もしない。母親(トルゥオン・チー・ロック)が布地屋を営み生計を立てていた。他に祖母、社会人の長男チェン(ソウヴァンナヴォング・ケオ)、中学生の次男ラム、小学生の三男ティン(ネス・ガーランド)、そして長年女中として働いているティー(グエン・アン・ホア)がいる。実はこの家にはトーという娘もいた。けれど7年前に病気で亡くなっていた。生きていればちょうどムイと同じ年頃。母親はムイを娘のように目をかけていた。ムイがティーに倣い徐々にこの家の仕事に慣れていく中で、チェンの友人クェン(ヴォン・ホア・ホイ)に淡い恋心を抱く。やがてチェンが嫁をとり、ムイは音楽の道をいく裕福なクェンの家で働くことになる。

10年後、ムイ(トラン・ヌー・イェン・ケー)は20歳となり、変わらずクェンを想っていたが、クェンには恋人がいた。けれど、美しく慎ましく育ったムイに、いつしかクェンも惹かれ、二人の恋が成就する…。

 

なんてことなく過ぎる日常に、ムイの心優しさや成長、父親の失踪〜死、祖母と母親の不仲、思春期の母思いのラム、ティンのムイが気になるがゆえの意地悪、祖母を想う老人の恋慕、クェンの恋人の嫉妬、なども描かれる。

中でも印象に残ったのは、蟻など昆虫の生命力に愛おしさを感じるムイの姿、文盲のムイに読み書きを教えるクェンの愛情だった。

 

サイゴンの住宅セットを、フランスはパリ郊外に再現したらしい。本物かと思った。家の構造がどうなってるのかわからず終いだったが、1950〜60年代のベトナム・サイゴンの富裕層はこんな暮らしだったのだなぁというのは知れた。

まったく知らない環境なのにノスタルジーを感じる。おそらく台詞が少なく、丁寧に撮られた情景と表情で進む映像のせい。匂いまで感じる。音楽が不穏な感じがするけど、これがベトナム色なのだろう。

良かった。

 

青いパパイヤは野菜として扱われ、熟したパパイヤは果物になる。まさにそんな感じの映画。

 

★★★★(★)

 

 

 

 

 

 

『草原に黄色い花を見つける』(2015/日本公開2017)

原作 グエン・ニャット・アイン

 

監督 ビクター・ブー

脚本 ベエト・リンビクター・ブードアン・ニャット・ナム

 

1980年代半ばのベトナム。自然豊かな緑が広がる、けれど貧しい田舎の村。12歳のティエウ(ティン・ビン)には、御伽話の好きな弟トゥオン(チョン・カン)がいて、二人は仲の良い兄弟。トゥオンは心優しく、お姫様の存在を信じているし、ヒキガエルの「小さいおじさん」を大切に育てている。ティエウは幼なじみのムーン(タイン・ミー)に恋心が芽生え始め、ダンおじさん(グエン・アイン・トゥー)ニャン先生(マイ・テー・ヒエップ)の娘ヴィン(カイン・ヒエン)との恋路に協力していたトゥオンから愛の詩を聞いてムーンに送る。しかしいじめっ子によってうまくいかず…そんな時、ムーンの家が火事になってしまう。ムーンの母親は火事の際いなくなった父親を探しに町に行き、ムーンはしばらくティエウのところで預かることになる。

ティエウとムーンの仲が深まるかと思いきや、ムーンはトゥオンとばかり遊んでティエウは嫉妬心からひとつ、ふたつと意地悪をしてしまう。そのふたつ目の意地悪が、トゥオンの体を不自由にさせてしまい、ただでさえお金がないのに、父母にも迷惑をかけることになってしまう。そしてムーンも結局町へ出た父母に呼ばれ、わだかまりを解消することなくティエウのもとを後にする。

ティエウは後悔しつつ献身的にトゥオンの面倒をみ、やがてムーンの本当の気持ちも知ることとなる。トゥオンもまた本当に存在したお姫様…ニー姫(ミー・アイン)に救われ、ニー親子を救うのだった…。

 

思春期を迎えつつある少年の初恋と、まだ子供ながらも御伽話から発生した弟の小さな恋、それからダンおじさんの大人(といっても青年)の恋愛、モーターサイクルサーカスの一家(ニー姫の家族)の愛が描かれる。

 

トゥオンはあまりに優しく全てを赦す包容力もあって、(神様というと大仰だから)天使みたいだった。

 

愛の詩集の中の「恋わずらい」

“神様が病気だと空が泣く

君を想う切なさは恋わずらい”

がキーアイテムになっていて、その年齢に見合った解釈がされてる。

 

子供らしい感情の起伏、子供同士の関係、親子の関係に人間らしさが見て取れ、とても良かった。

そういえば、ダンおじさんの片腕が欠損してるのは戦争かなあ。とすれば、世界情勢も描かれてたことになる。


ベトナムの1980年代の田舎はもちろん、暮らしぶりなんかも知らないのになんで郷愁を感じるんだろうか。

覚えというか既視感があるのは子供の心情。それは万国共通なのかな。

 

★★★★(★)

 

 

 

 

公式サイト



『天使にラブ・ソングを2』(1993/日本公開1994)

前作『天使にラブ・ソングを…』(『Sister Act』)の続編。原題は『Sister Act 2: Back in the Habit』

 

監督 ビル・デューク

脚本 ジェームズ・オア

 

あれからデロリス・ヴァン・カルティエ(ウーピー・ゴールドバーグ)はラスベガスでマネージャー(ロバート・パストレリ)も付けられるショーガールとして忙しい毎日を送っていた。ある日、聖キャサリン修道院のシスター仲間、若手のメアリー・ロバート(ウェンディ・マッケナ)、陽気なおデブちゃんメアリー・パトリック(キャシー・ナジミー)、大柄なメアリー・ラザラス(メアリー・ウィックス)が現れ、修道院長(マギー・スミス)からの頼み、奉仕活動先の聖フランシス高校の立て直し協力を伝える。かくしてデロリスは再びサンフランシスコの街へ行き、シスター・メアリー・クラレンスとして、最も手のかかる音楽科の生徒たちを受け持つことになる。本物のシスターでもなければ教員免許もないデロリスなのだったが…。

生徒たちは純粋で無邪気ではあるけどまったく耳をかさない。しかしデロリスは学校が今期いっぱいで閉校になることを知り、シスターたちの力も借りてより熱を持って指導することに。校内コンサートもうまくいき、次にカリフォルニア州音楽コンクール出場を掲げる。というのも実は、聖フランシス高校聖歌隊は過去にコンクールで何度も賞を取っていたし、デロリスはクラスのみんなそれぞれに資質があることを見つけていたのだった。校長モーリス神父(バーナード・ヒューズ)から禁止されていた校外授業もなんとか通し、遠征費用はフェスティバル募金で集め、また生徒たちは苦難も乗り越えコンクールの日を迎える。

ところが、当日、理事長クリスプ(ジェームズ・コバーン)が雑誌でデロリスの正体を知ってしまう。すぐさま神父たちと共有し、出場停止すべくコンサート会場へ向かうデロリスと生徒たちのバスを追う。しかし神父たちは本気の生徒たちに接し、ギリギリのところでデロリス、シスターたちの味方に変わり、クリスプ理事長の足を止め、無事生徒たちはパフォーマンスを終える。そしてみごと最優秀賞を獲得、聖フランシス高校の存続も約束され、もちろんデロリスはお咎め無しで大団円となる…。

 

生徒の問題としてはクラスの中心的人物リタ(ローリン・ヒル)の母子関係がメインに描かれる。何があっても苦労しないために堅実な人生を願う母親(シェリル・リー・ラルフ)と、音楽の道へすすみたいリタ。

 

笑いとほのぼの(涙…まではいかない)の組み合わせのオーソドックスなコメディで、普通に面白かった。やっぱりミュージカルステージで一度は観てみたいなと思った(ほぼ毎年演っているのに機会に恵まれず)。

 

でも、1作目の方が良かったかな。やっぱり。

 

★★★(★)