愛しのタチアナ | これ観た

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基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『愛しのタチアナ』(1994/日本公開1995)

原題は『Pidä huivista kiinni, Tatjana』(フィンランド語)、英題は『Take Care of Your Scarf, Tatiana』

 

監督 アキ・カウリスマキ

脚本 アキ・カウリスマキサッケ・ヤルヴェンパー

 

舞台は1960年代のフィンランド。

母親(イルマ・ジュニライネン)と営む仕立て屋のヴァルト(マト・ヴァルトネン)は大好きなコーヒーが切れたことに腹を立て、母親を納戸に閉じ込め勢い家を出る。ありったけの母親の金を持ち出したヴァルトは、修理工のレイノ(マッティ・ペロンパー)のところへ預けていた車を取りに行き、そのまま二人でドライブに出る。

真面目なヴァルトと不良ロッカーを気取るレイノは立ち寄ったバーで、エストニアに帰るため港へ向かうつもりが、バスがエンコして困ってる二人の女クラウディア(キルシ・テュッキュライネン)タチアナ(カティ・オウティネン)と出会う。そして二人を港へ送ることになる。

宿へ泊まったり野宿したりする間に、レイノとタチアナはなんとなく惹かれあっていく。ヴァルトの金もわずかになった頃、港に着くが、そのなけなしの金でレイノの希望からタチアナとクラウディアの目指すエストニアのタリンまでフェリーで一緒に行くっことになる。クラウディアはそこからさらに列車に乗って帰るためタリン駅でお別れするが、タチアナを家まで送ったレイノはそのまま残ると言い出す。

ヴァルトはクラウディアからプレゼントにもらったコーヒーミルと共に一人寂しく帰路につき、数日ぶりに母親を納戸から出す。ヴァルトは何事もなかったかのようにいつものようにミシンを動かし、母親もまたいつものように息子にコーヒーをいれる…。

 

 

 

 

たんたんと独特のリズムで進む雰囲気と、映像から読み取れるおかしさを楽しむ映画。

主人公の二人はけっこうな奥手の中年。タチアナはフィンランド語が多少できるが、クラウディアはロシア語しかしゃべれない。そんな設定もあってかよりいっそう男女の会話が少ない上、噛み合わない。目の前とはいえ文化の違いもあるかもしれない。それが面白い。

また、ヴァルトのコーヒー好きが異常。同じくレイノはウォッカ。二人はそれを常に携帯、または注文し、ほぼ一気飲みする。お腹を壊しもしないし酔いつぶれもしない。変わらないのだ。それも笑えるポイントだった。そういえば四人が最後にテーブルを囲んだ時は女たちのおごりで、飲み物は紅茶だった。そういう落とし方かとクスッときた。コミュ力よ…w

仕立て屋ならではか、きちんと背広のシワ取りをし寝押しする几帳面なヴァルトには、なんだかんだマザコンぽい面が見え隠れしておかしかったし、クラウディアがいつの間にか宿の女主人(エリナ・サロ)からイヤリングをもらってるのは、なぜ?!、とおかしかった。

なぜついでに、母親は少なくとも4日閉じ込められていたはずなので、開錠する時不安だった。でも出て来た母親は痩せてる様子もなく服が多少埃っぽいだけでまったく無事だった。すぐにコーヒーをいれに動けたくらいだ。

そうか、コメディだった、と思い直した。

 

愛しいのタチアナと題打つほどのドラマはない。奥手すぎる中年男が色に目覚めた結果…、という感じ。タイトルとの対比がもうコメディなのかも。

 

アキ・カウリスマキお馴染みの役者揃い。歌の挿入も。

 

★★★★(★)

 

 

そういえばカーオーディオがレコードプレーヤーなのだが、こんなの60年代でもないよね??? まず針飛びするでしょ!? と思ったらあるみたい。