マスクガール(ネタバレ有り) | これ観た

これ観た

基本アマプラ、ネトフリから観た映画やドラマの感想。9割邦画。作品より役者寄り。なるべくネタバレ避。演者名は認識できる人のみ、制作側名は気になる時のみ記載。★は5段階評価。たまに書籍音楽役者舞台についても。

『マスクガール』(2023)

Netflixシリーズ 全7話

原作は作メミ画セヒによる韓国のWEB漫画。

原題は『마스크걸』、英題『Mask Girl』。

監督・脚本 キム・ヨンフン

 

1話ごとにフィーチャーされる人物が変わっていく。まずは発端となるキム・モミ。次はキム・モミを助けるチュ・オナム。その次がオナムの母親キム・キョンジャ。次はキョンジャにモミと勘違いされるキム・チュネ。ここまでが2009年までの話。次がモミの子供キム・ミモで、2011〜2023年の話になっていく。最後は2023年現在のモミとミモの話。

7話かけてモミと関係する人々の転落していく人生が描かれる。きっかけは些細な、ほんの少しのつまづきだったのが恐ろしい。

 

最初はコメディのノリもあり、ルッキズムをテーマにしたヒューマンドラマの色合いも感じたが、やがてサスペンスホラー味も出てきて、復讐劇からの最後犯罪事件モノで終わった。盛りだくさん。韓国ドラマっぽい。たぶん日本では作れない。安っぽくなるだろうし、日本人はウェットなので。

全体的にドライな「恨」が蔓延した空気感で、唯一、ミモとイェチュンの友情は心温まった。モミ(アルム)とチュネの絆も不幸な環境下の癒しとして良かった。

 

★★★★★

 

 

 

 

 

以下ネタバレ含むだいたいのストーリー。

 

 

①キム・モミ

ブスだけど子供の頃からダンスが好きで人前で踊るのが大好きな少女だったモミ。でも成長するにつれ、その外見から誰からも相手にされなくなる。

2009年27才になったキム・モミ(イ・ハンビョル)は相変わらずその容姿から会社で理不尽な目にあっていた。そんなモミはマスクをつけて「マスクガール」と名乗りライブ配信することを思いつく。セクシーなダンスと魅力的なボディ、マスクをつけているから神秘性が増し、より人々を魅了した。あっという間に人気になる。

しかし実生活はといえば、憧れていたパクチーム長(チェ・ダニエル)にも軽くあしらわれ、そればかりか不倫現場を目撃しショックを受ける。泥酔した挙句配信中に全裸になる暴挙に出て、アカウント停止に追い込まれる。八方塞がりなモミはパクの不倫を暴露し、陥れる。が、モミ自身にも垢BANされた時の全裸のスクショが脅迫まがいに送られてきた。

そんな時、ファンの一人ハンサム和尚(パク・クンノク)が寄り添ってくれる。しかし彼も実は体目当て。揉み合いになった挙句、ハンサム和尚が頭を打ち倒れる。慌てるモミ…そんな状況下、マスクガールがモミだと勘づいた同僚チュ・オナム(アン・ジェホン)が駆けつける。全ては自分が片付けるからとモミを帰す。まだ息のあったハンサム和尚に、死んだと思って処理をしようとしていたチュは驚いたあまり本当に殺してしまう。

モミは翌日には会社を辞めて姿を消す。後を追うようにチュも会社をやめる…。

 

 

②チュ・オナム

オナムの幼少期からモミに想いを寄せるまでが描かれる。

親バカ母親キム・キョンジャ(ヨム・ヘラン)に育てられ、非モテでコミュ障、オタク、根暗な性格になってしまったオナム。マスクガールのファンで、母親によくウォンビンに似てると言われていたことから、ハンドルネームは「前世はウォンビン」とし、よくコメントをしていた。

ある日会社でモミの手のホクロとネイルでマスクガールがモミなのではとあたりをつける。さらに飲みの席、会社での出来事を配信で話すマスクガールに同一人物であると確信を得る。だからといって会社で仲良くするわけでなく、コミュ障なオナムは遠巻きに見ているだけだった。そんなわけでパクチーム長の不倫現場も目撃してるし、モミの心情に心痛めていたし、想いが通じない苛立ちから全裸スクショを送りつけたのもオナムだった。

ところがある日モミがとんでもない目にあっていると知り、救出に向かう。それがハンサム和尚との一件。モミがオナムの正体(脅迫メールの送り主、「前世はウォンビン」であることなど)を知ることとなる。

二人は共犯関係になったが、全てのリセットを望むモミに、オナムは悲観し衝動に駆られ押し倒す。その時剥いだマスクの下のモミの顔は包帯がぐるぐる巻きになっていた。モミはそのままオナムに手をかける…。

 

 

③キム・キョンジャ

信心深いキョンジャ。かわいい息子オナムが思春期も過ぎ、会社勤めになる頃には邪険になった。何かと世話を焼きたいのだが拒否される。それでついこちらも放っておいたら会社も辞めたというし連絡が取れなくなる。心配してマンションを開けてもらうと、その荒廃ぶりはもちろんだが、切り刻まれた遺体が見つかる。どうやらオナムのものではないが、殺害の疑いがかかる。が、程なくしてオナムの遺体も見つかった。

キョンジャは愛する息子に何があったのか独自に調べようと画策。キム・モミ、マスクガールの存在にまでたどりつく。

マスクガールファン代表と名乗るクマさん(キム・ヒョンモク)と知り合い連絡し合いながらキム・モミを追う。そしてようやくそれらしき人物キム・チュネ(ハン・ジェイ)にたどり着く。

そして張り付き拉致したもののチュネはモミではないと言う。ただ、探してる女を知っていると言う…。

 

 

④キム・チュネ

チュネも子供の頃からその容姿にコンプレックスを持っていた。ただでさえおとなしくて引っ込み思案、いいように使われがちの性格。高校一年、初恋をする。相手はアイドル志望のチェ・プヨン(イ・ジュニョン)。2年に上がり、クラスは別になるがバイト先のコンビニで久しぶりに会う。プヨンはチュネにも優しかった。しかしその優しさの裏は金目だった。やがて卒業と共に貸した金はそのまま、プヨンは手の届かない存在、アイドルになった。結局ATM代わりにされていたことをを知ったチュネはショックを受け、過去の非行をネットでばらまく。プヨンはあっという間に地に落ちる。

2009年、チュネはコンプレックスをぬぐう意味でも整形をして美人になっていた。働いている「クラブ・ルビー」でも一番人気。そんな時、どん底のプヨンと偶然再会したチュネは仏心がともり、自分の住まいに居候させる。ところが荒んでるプヨンは家事も働きもせず。イラついて文句を言うと、自分を陥れたのはお前だろと、常時家にいてチュネのパソコンで遊んでいたため、バレる。そこからプヨンのDVが始まる。

一方で、チュネの働く「クラブ・ルビー」にモミことアルム(ナナ)が入店してくる。なんとなく、過去に共通点を見出し仲良くなる。やがて互いに助け合うようになり友達関係が出来上がる。

チュネがキョンジャの存在を教え、更にマスクガールファンのクマさんに正体を知られたことから、モミは逃亡を考え始める。チュネもプヨンから逃げるために二人で街を去る支度を始める。しかしそれがプヨンに気づかれ、チュネはひどい暴力をふるわれ、その危機をモミが救う。二人でプヨンを殺害し、遺棄すべく湖へ出かけるが、チュネの裏切りに勘付き張り込みをしていたキョンジャにつけられていた。モミがアルムであると知ったキョンジャはアルムを殺すために違法ライフルを購入して準備していた。その時がきて引き金を引くがトラブルがあり、チュネが命を落とす。また、キョンジャもアルムに殴られ、車ごと湖に沈められる…。

 

 

⑤キム・ミモ

2011年、産んだ子供を祖母シン・ヨンヒ(ムン・スク)に預けてついにモミは無期懲役囚となる。子供はミモ(シン・イェソ)。学校では犯罪者マスクガールの娘とわかるといじめられ排斥された。祖母の持ち家の豪邸も引越し、学校も転校する。

2023年、中学生になったミモ。孤独には慣れて、何度も友人に裏切られた経験から友達も作らずにいたが、入ったクラスにブスで冴えない嫌われ者のイェチュン(キム・ミンソ)がいた。隣席になり、クラスで間がもたないイェチュンはなにかとミモにからんでくる。

イェチュンには虚言癖があり、自分の不幸を創り上げ、やがて二人は同じ恵まれない境遇という共通項で友達同士になる。イェチュンは嘘をついてることは悪いと思っているけど、ミモへの友情に偽りはなかった。そしてミモもイェチュンには母親が殺人で服役してることを話す。それくらい心を許していた。しかしマスクガールの子であることが周りにバレて、さらにイェチュンの嘘も知って二人の友情は壊れてしまう。

でも、イェチュンがバラしたわけではなかった…。

 

 

⑥キム・モミ

刑務所でのモミ=囚人番号1047 (コ・ヒョンジョン)

刑務官と受刑者との間に癒着があり、手を出せない権力を持った受刑者アン・ウンスク(イ・スミ)がいた。ウンスクは子分を従え、他の受刑者に幅を利かせていた。しかし荒んでるモミは力を得るため歯向かい、何度も独房に入れられながら自分の安寧の位置を得る。そうこうして12年がたち2023年。マスクガールに憧れて服役してくる受刑者まで現れる。

一方シャバでは実は生きていたキョンジャが暗躍していた。整形して新しい身分証も手に入れて別人になっていた。もちろん、湖に沈めた車からは切り刻まれたプヨンの遺体も見つかり、車の持ち主を警察は探してはいた。そして、そもそもミモが通う学校で噂を撒き散らしていたのも、反面ミモに取り入りトッポッキ売りのおばさんとして信頼を得ていたのも、キョンジャだった。復讐を誓ったのである。

刑務所では、所長が変わり、宗教を取り入れるようになり、聖書に導かれたようにモミは温和になっていく。そんなモミのところに娘の命を脅迫する手紙が届く。一気に母親として目覚めるモミ。脱走を図るも失敗する。そこでウンスクの娘が腎移植をしないとならないとわかると、自分の腎臓を提供すると申し出る。検査結果適合したモミは手術に合わせて刑務所を出られることになる。

そんな時宗教団体のボランティア慰問があり、キョンジャはモミと会い、その存在を知らしめる。脅迫文の送り主だと知る。

 

 

⑦モミとミモ

ミモに危険が迫ってると知ったモミはウンスクを使い母親との連絡を取るが、タイミングが合わない。残るは手術の日に合わせた策になる。

一方キョンジャの作戦は最終段階にきていた。ミモが祖母と喧嘩してることをいいことに軟禁する。その生活の中で心から信頼しているミモに情もわくが振り払う。

どうにか祖母と連絡がとれたモミ。祖母も、イェチュンと一緒にミモが囚われてるキョンジャのもとへ急ぐ。モミもまた病院から脱走してミモとキョンジャのもとへ。

心を鬼にしてミモを拘束するキョンジャのもとへ祖母が先に連絡していた警察が尋ね、次に祖母とイェチュンが駆けつける。揉み合いになり祖母は足を刺される。やがてモミも到着して争いつつミモを助けるが、結局祖母は絶命する。どうにか家の外にイェチュン、ミモと出たモミの前には警察が連なっていた。ミモにライフルを向けたキョンジャは撃たれ、ミモをかばったモミもまたキョンジャの放った銃弾に倒れた。

一件が片付き、家の整理をひとりしていたミモ。幼い頃のモミのビデオを発見する。

そこには元気に愛らしく「みんなに好かれる人になるのが夢です!」と笑顔のモミがいた…。

 

 

以上、ネタバレ含むだいたいのストーリー。

実際は細々といろんなことが絡み合っていて、見返したくなるほど面白い。

 

ところで、ミモの父親はオナムだと思うのだけど(唯一性行為描写があった)、それをいつキョンジャに言うんだろうと思い続けてとうとう明かさなかったのはなぜなんだろう。そういうちょっとジーンとするハッピーエンディングはいらないってことなのか? 潔すぎる。