同僚のなかの一人は、そこで傘を10本も買ったらしい。
「傘を10本も買うってどういう意味があるんだよ。」
「どこかに忘れちゃうからってことらしいよ。」
「10本も忘れないだろ。」
そんなにたくさんの傘を買ってどうするのか、俺にはさっぱりわからないが、本人にはそれなりの意味があるんだと思う。
夕方、別の課の女性とエレベーターが一緒だった。僕は書庫に行くつもりだった。
「私は、今から傘を買いに行くの。女性ものの傘があるといいなあ。」なんて言うので驚いた。
「傘って、雨を防ぐ道具でしょ。女性ものとかあるの?どれも機能は一緒じゃん。」
「あるよ。当然でしょ。女性はね、少しでも赤とかピンクとか明るく見える色がいいの。黒の傘なんて使うわけないでしょ。そんなの差していたら暗くなっちゃう。女性はそういう小さな努力をみんな頑張っているんだから。」
「ふーん。」そういうものなのか、と思った。
俺は別に、どうでもいい。
この前、雨のなかを、コートについているフードを被って歩いていたら、顔見知りのおっさんに「傘を持っていないの?」と聞かれた。
「持ってるけど、かばんから出すのがめんどくさい。」
正直に答えたら笑っていた。
以前、東京に暮らしていた頃、都営バスのなかに傘を忘れたことがあった。姉に、そのことを話したら、バス会社に連絡を取って、取りに行ってこいなどと言う。
「いらねえよ、あんな傘。」
そう話したら怒られた。結局、見つからなかった。でも、無駄な苦労をさせられたという思いしかなく、悔しさは全くなかった。
名古屋に住んでいた頃も、酔っ払って女性から借りた傘を紛失したことがあった。その後、捜索して出てきたけれど、そのときの女性も信じられないくらい怒っていた。
俺は、今まで気にしてなかったし、これからもあんまり気にしなさそうだけど、なんだか普通の人たちには、特に女性には、傘ってすごく大切なものなんだなあ、と思った。
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毎年、カリフォルニアにいるクリスティーナからクリスマスカードが届く。今年は、僕も送ることにした。
住んでいるのが田舎なので、あまりクリスマスカードの種類は多くない。仕方がないのでアマゾンで注文した。302円の商品だったが、送料は600円もかかった。田舎はコストが高くつく。

メッセージを書いて、先日、郵便局に持って行った。
「エアメイルで。アメリカまで。」
郵便局の局員が手続きをしてくれる。
「えーと、アメリカまで110円です。」と言われたので、少しびっくりした。
「そんな金額で届くの?」
「ええ。」
「国内での送料は600円もかかったのに、アメリカまで110円ですむのか。」
システムの違いがあるのだろうけれど、少し釈然としない気持ちになった。
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金曜日の夜は係の飲み会で、すごく日本酒を飲んで、2日酔いになった。土曜日は、頭が1日中、ぼんやりとしていた。それで、ずっと漫画を読んでいた。a
ときどき、酔って吐いた暴言を思い出しては、どこか遠くの海に飛び込みたい気持ちになる。
本当に、酒の飲み過ぎはいいことが何もないので気をつけたい。
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日曜日にジムへ行った。
「最近、また太りだしました。」とジムの人に話したら、今までの体重表を見て、「何を言っているんですか。全体的に見たらやせていますよ。12月は、忘年会もあるし、なかなかやせないんです。だから12月は、やせるんじゃなくて、太らないっていう目標を立てれば十分なんです。これまでの2月で3キロやせたじゃないですか。無理しなくていいんですよ。」と優しいご指導をいただいたので、また少しやる気が出てきた。
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寺嶋裕二の漫画「ダイヤのA(エース)」(講談社コミックス)を、今まで出ている47巻まで読んだ。

少年コミックの王道で、野球漫画って本当に面白いなあと思いながら読んだ。そして、これは努力の物語でもある。主人公は、少なくとも、47巻までではエースナンバーをまだ背負えていない。
今まで全国から野球少年を集めて戦う高校に違和感を感じていたが、それが払拭された。
全国から集まった野球センスの塊の高校生たちがしのぎを削り、努力を重ねる姿は、美しく、またうらやましくもあった。野球センスは0なので、野球では無理だっただろうけれど、俺もこういう熱い高校生活が送りたかった。
知り合いの息子さんが、今、高校生で名門高校の野球部に入っている。野球部に1学年だけでピッチャーが10人いると聞いて笑った。「ピッチャーだけで、チームができちゃうじゃないですか。」そのなかで、レギュラーの座を奪い、試合では勝たなければならない。
甲子園というのは、遠いなあ、と思う。
そして、今も、このときもバットを振っているだろう数多くの少年のことを思う。甲子園常連校だからこその冬合宿のハードさも紙面を通じて知った。決して、楽な道ではないのだと考えさせられた。
それから、俺も一瞬、一瞬を無駄にしないように、成果には現れなくても、努力しないといけないなあ、ということを思った。
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井浦秀夫の漫画「弁護士の九頭(くず)」(ビッグコミックス)も全10巻読み終わった。

こちらは、なかなかスムーズには読み進められなかったが、内容は面白く、楽しく読んだ。
同僚弁護士から「くず先生、言葉遣い!」と怒られた後、「主張できないでござる」といった言葉遣いに変わったところでは笑った。
実はこのくず先生は、ロクでもない生活態度に関わらず、真実を見抜く目を持っているというのが、このストーリーの重要なところだ。どの話もちゃんとオチがあって、よくできてるなあ、と感心した。
俺がもし、弁護士だったとして、毎日毎日、たくさんの紛争をくず先生のように解決できるだろうか、と思った。司法試験を目指していたけれど、やっぱり弁護士にならなくて正解だったのだろうなあ、と読みながら、少し寂しく、そう思った。






















