現在、国立新美術館で開催中の第101回白日会展に行ってきました。(会期 3月20日~31日)
今回は、昨年急逝された中山忠彦会長の特別陳列が行われており、まずはその圧巻の展示に触れたいと思います。
第5室に20点ほどの展示が行われており、奥様である良江夫人をモデルとした作品が数多く並べられていました。
その中で、特にこちらの作品が印象に残りました。
「トワ・エ・モア」平成22年(2010年)
フランス語で「あなたとわたし」を意味するトワ・エ・モアを題名とした作品です。
好江夫人の背景にある鏡に制作者である中山氏が映りこんでいる、正に、お二人の空間を描いた作品です。
15世紀前半に油絵の技法を確立したヤン・ファン・エイクの「アルノリフィーニ夫妻像」に小さな鏡に映りこんだ作家自身が描かれていることは有名な話ですが、こちらはかなり大きく作家の肖像が描きこまれています。
中山氏の思いを込めた作品であると思いました。
他にも素晴らしい作品が数多くありました。
「古風な帽子」平成15年(2003年)
それでは、私の印象に残った作品を紹介していきたいと思います。
まず、今回の展示の顔とも言える第1室に展示された作品から紹介します。
「story」木原和敏 伊藤清永賞
優しく美しい女性を描く木原和敏氏の作品です。柔らかく上品に描かれたレースの服の質感が素晴らしいです。
この日、ご本人が会場におられて、多くの方々とお話をされており、合間を見て私もようやくお声をかけ、お話をすることができました。
「空に咲く」福井欧夏
大自然や神秘的な背景の中に、上品で優雅な女性像を描かれている福井欧夏氏の作品です。
風がそよぎ、女性が手に持った花びらが流れるように舞い立つ様子が素晴らしいと思いました。
「春昼」山本大貴 高島屋賞
写実の白日会における美人像として、木原和敏氏、福井欧夏氏、そしてこの山本大貴氏の作品は揺るがないと考える私です。
今回は、いつものモデルの和装の作品でした。
「Blessing in disguise」吉間春樹
白日会の美人像に新風を吹き込んでいる若手の吉間春樹さんの作品です。
彼の作品もこの第1室に欠かせない存在になってきました。
「おでかけ」河野桂一郎
コンクリート打ちの壁を背景に描かれた少女の肌の質感、抜群のリアリティの河野桂一郎さんの作品です。
いつも河野氏の作品には目を見張ります。
「夢つづく」大友義博
爽やかな色彩が心地よい大友義博氏の作品です。
心が安らぐ作品です。
「昼下がりの画室」小野彩華 SOMPO美術館賞
独自の世界観を持った若手の小野彩華さんの作品です。
今回は、この作品でSOMPO美術館賞を受賞され、会員推挙とのことです。おめでとうございます。
「青い家」亀山裕昭
質実剛健、しっかりと大地、空、自然に溶け込む古い構築物など描きこんだ風景画の作品です。
絵画だけでなくマルチに活躍されている亀山裕昭さんの作品です。
「常世現世(とこようつしよ)」三輪修
三輪修さんは、これまでち密な静物画が印象的で記憶に残る作家さんでした。
今回、この御神木でしょうか、素晴らしい作品が第一室での展示となりました。
「Ave Maria」と題した宮本絵梨さんの作品です。
心象風景でしょうか敬虔で神秘的な作品は心を打つものがあります。
会員賞を受賞というのも、審査委員の評価の高いことを感じます。
「秋の陽」広田稔
「瑞光の庭園」中谷晃 内閣総理大臣賞
ここからは2室以降の作品です。
「ある小春の穏やかな日の二時頃」伊勢田理沙
いつも猫が必ず登場する伊勢田理沙さんの作品です。自然な光を意識した作風も伊勢田さんの特色と感じます。
「春告げの庭」藤井佳奈
ロリータファッションにこだわりを見せる藤井佳奈さんの作品です。
神秘的な背景、空気感の中で、美しく見事なファッション、そして今回は薔薇も素晴らしいと思います。
また、この作品で会員推挙とのこと、おめでとうございます。
「薄明の海辺」友清大介
人物だけではなく、波の表現も秀逸です。
「他人の顔」植野綾
様々なテーマ、時には画風も変わったのでないかと思うほど、挑戦を続けている植野綾さん作品です。
女性の衣装、化粧品、化粧をする姿の植野さんの作品を初めて拝見します。
本当に、女性の姿を美しく描く中島あけみさんの作品を拝見するのを、私はいつも楽しみにしています。
「Prologue」中道佐江
優雅で女性らしい作品が魅力な中道佐江さんの作品です。
作品をよく見ると、ため息をするような女性の息吹を感じることができるような気がします。
「紅月-アカツキ-」徳田明子
女性の怨念、心の深淵を垣間見るような作品です。
髪を掴む右手、彼岸花を持つ左手の表情が素晴らしいと思いました。
さらに、以下の作品も素晴らしかったと思いました。
「大樹の息吹」松本美桜
「Gaia」松本貴子
「放課後の桟橋 尾道風景」果醐季乃子
「はじまり」津絵太陽
「白銀の路」岩本将弥
「陽射し」田中知子
「初めての一着」緒方かな子
タレントで元広島監督の緒方孝市氏の奥様の緒方かな子さんの作品です。
いつも娘さんの作品を出品されていましたが、今回は初めて息子さんをモデルにした作品を出展されたようです。
娘さんにしても、息子さんにしても、あまりにも美形なのは、緒方かな子さんのお子さんなので、これがリアリティです。
「新たなページ」松本多恵子 一般佳作賞
「光のもとに」伊藤夏海
伊藤夏海さんは、現代童画会にも出展されている作家さんです。
上段の展示で、残何ながら写真は上手に撮れませんでしたが、遠い山並みから近景まで丁寧に描かれている森の中での女の子の姿が良く描かれていると思いました。
以上、駆け足での紹介になりましたが、他にも数多くの素晴らしい作品があり、見落としてしまった作品もあとで気づき、紹介しきれなくて残念でしたが、今年も素晴らしい作品を十分楽しませていただきました。