日本では花の盛りも終盤かと思います 。

パリは復活祭の連休だというのに寒くてがっかり。

今日は、ひめくりカレンダーを逆戻りして

2026年3月5日にオープンしてはや1ヶ月経ち、

フランスに戻る前に滑り込みで見学することができた「帝国ホテル 京都」のお話をしたいとおもいます。

 

コロナを挟んでかれこれ5年以上前から

長年の友人がこのプロジェクトに邁進する姿をみて、

さて、どんな素敵なものが建つのかなと楽しみにしていました。

今回訪れた「帝国ホテル 京都」はその期待を裏切らない

素敵な意匠の建物でした。

 

古いものを全部無くすのではなく、その一部を保存・再生させながら

最新の素材やテクノロジーを用いて

未来に継承するというコンセプトは欧州ではごくごく普通にあるものですが、日本では案外珍しいもの。

そして、そのコンセプトは

このブログのタイトルでもある「目に新しき古きもの」そのものです。

古いもののなかには作られた当時の流行、そして、作った人たちの遊び心が詰まっていて、それがとても魅力的なのです。

 

祇園のお茶屋「一力」から健仁寺に向かう花見小路は、多くの皆さんが通ったことのある京都のメインストリートのひとつです。

この道の奥に、国の登録有形文化財「弥栄会館」があって、毎年、春には祇園の舞妓衆による「都をどり」の舞台になることでも有名です。

 

窓の少ないこの建物をどうやって宿泊施設にするのか。

着工にあたってはさまざまな課題が山積みだったようですが、

そんな難題を上手に解決しながら、

「違いのわかる」大人にアピールする

銘木や、手に入りにくい「石」(骨董の世界では「石の良さがわかる」ことが最高の目利きだといわれているとか?)

を用いつつつ、派手派手しくない「侘び寂び」(芸術を愛する欧州のハイソサエティーに、今、最もアピールする言葉です)な

アリュールを纏った内装デザインを担ったのが新素材研究所の榊田倫之氏です。

 

ちなみに「新素材研究所」は相模湾の「江之浦測候所」や丹波の「小田垣商店」を手掛けた

世界的に有名なアーティスト、杉本博司氏と榊田氏が率いる会社。

担当者の友人は、あえて「杉本博司」の名前を前面に出して話題性を狙うのではなく

あくまでも榊田氏の才能を買って

「弥栄会館」と「帝国ホテル」の歴史をつなげ、

新たな息吹を感じさせる京都帝国ホテルをオープンしたいのだ、とその真摯な姿勢を再三、話してくれました

 

では、どんなところにこだわりがあるのか?

1、エントランスで客人を迎え入れる内田鋼一の彫刻「Fujin Raijin」は、建仁寺にある俵屋宗達の国宝「風神雷神図屏風」を受けています。また建物に入った正面には、奈良の吉野水分神社、樹齢1000年の樹木から木工パネルを造り、そこに螺鈿でIMPERIAL HOTELと刻みました

 

2、パブリックスペースには、F.L.ライトが建てた東京の帝国ホテル「インペリアルバー」同様、アンティークの大谷石が用いられています

 

3、外観を飾る常滑のタイルは弥生会館解体時に職人が一枚一枚丁寧に剥がしてその10%を再利用。不足分は再生して用いました。

 

4、客室やエレベーターの階を示す可愛らしい数字は、弥生会館の設計者、木村得三郎が残したレタリングをもとに作られました。

(弥生会館の誕生したアールデコの時代、欧文書体デザインはとても流行していました。ポスターで有名なカッサンドルも素敵なフォントを残しています)

5、弥生会館の貴賓室にあった当時貴重だった「バナナ」のパネル。このガラスパネルもそのままオールドダイニング「弥栄」で用いたこと

6、「みやこ踊り」のシンボル、「千鳥」。かつて弥栄会館の食堂で用いられていた「千鳥」モザイクは客室に,,,

「弥栄会館」を愛した京都人がそうしがものを見ることで「懐かしさ」と感じ、

それを保存する帝国ホテルの姿勢に心から感謝しているという噂を聞きます。

 

7、「オールドインペリアルバー」のテーブルは、角度がつけられていて革張り。

肘ついてグラスをくゆらすときに心地よい計算がなされている、

などなど。

 

声高に大袈裟に言わない、それこそが「日本の美徳」。

そんな意匠が随所に鏤められている。これだけでも体験してみたくなりませんか?

 

一泊300万円のインペリアルスイートは八坂神社、平安神宮など京都の三方向が見渡せ、

送り火の際に3つの文字が見えたり

一人こもって瞑想ができる茶室サイズの離れがあります。

 

どの部屋も贅沢な桜材、欅材、栗材を用いて、そこに柿渋で古美色をつけるなどのこだわりようです。

特に帝国ホテルでは初めての和室は北棟にあって簾越しに祇園の街並みがすぐ目の前に広がり、

明治大正の絵師たちが描いた「THE KYOTO」な雰囲気が手に取るように感じられる空間なのです。

 

まずは、一般客から利用できる

*オールドダイニング「弥栄」(料理は祇園川上監修)

*カウンター・フランス料理「練」(歌舞練場からとったネーミング。最後は目の前で繰り広げられる鉄板焼きが売り)

*ザ・ペストリーショップ(ガルガンチュアをブラッシュアップ。都をどりの団扇のオリジナルケーキもかわいい)

*オールドインペリアルバー

あたりからトライしてみては。

 

わたしも次回こそ、帝国ホテルならではの最高の「おもてなし」をフル体験して

ゆっくりくつろいでみたいとおもっています。

 

帝国ホテル 京都

http://www.imperialhotel.co.jp/kyoto/

 

 

 

 

 

 

 

 

 

来週4月8日から5回連続で18世紀のロココ時代、新古典主義時代をテーマにした授業を開始します。

現在パリでは装飾美術館、コニャック・ジェイ美術館、ガリエラ美術館等で、そして、この後は、元祖フォンテヌブロー宮殿やヴェルサイユでも18世紀マリー・アントワネットをテーマにした展覧会が目白押しです。

そんな最新情報も盛り込みつつ、たのしく、目から鱗の授業を開催予定です。

 

その時代の事件やその人の行ったことなどから、

性格や人となりが透けて見えると

300年以上前の18世紀の人物が友達のように感じますよ。その面白さを分かち合いたいです。

 

みなさまのお申し込みお待ちしています!よろしくおねがいします。

 

 

石澤季里

 

 

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現地の展覧会や実際に訪れた歴史的建造物の写真を用いて行う、パリから繋ぐオンライン講座です。今あるフランスの「アール・ド・ヴィーヴル」が誕生した18世紀。パリにはコンコルド広場に面したオテル・ド・ラ・マリーヌやルイ14世の庶子トゥールズ公が改築した旧オテル・ド・ラ・ヴリイエール、など、今も訪問可能な邸宅が誕生しました。講師の著書「謎解きフランス文化論」を手引きに、当時のマナーや住宅事情を理解しながら、邸宅の主人の社会的地位、朝の身支度から豪華なディナー風景まで、その暮らしぶりや趣味嗜好などを探っていきましょう。

 

 

 

1回目 4月8日 

オテル・ド・ラ・マリーヌ:シックな数寄者・王立家具工房監督フォンタニュー侯爵

 

2回目 4月22日 

現エリゼ宮:ルイ15世愛妾ポンパドゥール公爵夫人の食卓

 

 

3回目 5月13日

現フランス銀行:エキゾティズムを愛したフランス東インド会社監督トゥールーズ公

 

4回目 5月27日

オペラ・コミック・パバールの間:アートの目利きピエール・コルザのフランス初のメセナ活動

 

 

5回目 6月10日

現フランス国立図書館・ビニョン修道士と啓蒙主義、宗教感の変化と学び

 

 

各水曜日 16時〜18時 形式ZOOM講座

クラス番号・7T2ANa 

 

 

東京日仏学院

電話03−5206−2500

tokyo@institutfrancais.jp

http://institutfrancais.jp/tokyo/

 

 

今週の水曜日にパリに戻って、少しずつこちらの生活にフィットし始めています。

東京都何が違うって、何しろ寒い。

先週までは暖かかったそうですが、朝晩は10度以下で凍えています。

 

さて、パリに戻って最初の展覧会は装飾美術館で開催中の「18世紀の1日」です。

現在、パートナー美術館であるカモンド美術館がクローズしているらしく、

そちらの所蔵品がすべてこちらの倉庫に保管されているそうです。

というわけで、いつも以上に18世紀の所蔵品が充実しているというわけ。

 

今回の展覧会では、朝5:15から夜11:15まで。

18世紀半ばのパリ・パレロワイヤル界隈の邸宅の1日を想定して

各部屋ごと展示されるという趣向が凝らされています。

 

面白いのは、部屋ごとに18世紀を体現できるように

教会の鐘やゲームルームの時計の音が鳴り響いたり、

馬車がひしめきあっている道では喧騒の音がしたり「馬糞」の匂いがしたり(汗)

マダムのブードワールやバスルームでは、香水や当時、化粧に用いられていたパウダーの匂いが、

また、庭では芳しい花の香りがするといった演出がなされているところが凝っています。

 

いずれにせよ、会場はとにかく暗い。

当時は建物に、やっとフランス産のガラスが用いられるようになったとはいうものの、

窓はさほど大きくはなく室内に燦々と陽が差し込んだりすることは皆無。また、

夜の帷が落ちる頃の蝋燭の灯りの仄暗さが身に染みるといった感じでした。

暗くなるとできることが限られるためにそのぶん、朝が早い。だから5時15分には街が動き始めるわけです。

 

普段見ることが少ないたくさんのアンティークオブジェを見ることができる、貴重な機会であることは確かです。

たとえば、当時大人気だったフランス漆「マルタン漆」の馬車。

宮廷で高貴な身分の貴族だけが身につけることが許された赤いヒールの靴同様、馬車の車輪も赤く

その馬車が通ったら、何より優先させる必要があったとか。

当時のパリも街は汚く、淑女は道を歩くために靴に高下駄のようなものをくくりつける必要がありました。

そうした高下駄や窓から落ちてくる「糞尿」を防ぐための傘や高い鬘をつけた際にバランスを取るために持ったステッキなど。

ダイニングテーブルの上のビュフォンの陶磁器シリーズやセンターピース「シュルトゥ」も素晴らしかったです。

 

また、ポンパドゥール侯爵夫人がインド更紗「レアンディアン」を愛したけれど、

コットンプリント禁止令がでているヴェルサイユではさすがに着用するのは憚られて

彼女のプライベートシャトーでのみ着用したとか。知らないと素通りしてしまう逸話に溢れた通好みの展覧会です。

 

子供の衣装や遊び道具、ペットとして愛された犬小屋、

侍従の衣装など、普段取りあげられないものを見るチャンスでした。

 

 

これを皮切りに今年の秋までのパリは18世紀のオンパレードです。

次は、コニャック・ジェイ美術館の「18世紀の女性」展覧会を観に行こうかな。

また、ご報告いたしますね。

 

パリ装飾美術館「18世紀の1日」

〜7月5日

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

3ヶ月以上という長い滞在でしたが、こちらで過ごした楽しい思い出と新刊本を抱えて3月25日にフランスに戻ります。

長かったような短かったような,,,。

 

でも、帰国していたおかげで日本の宅急便サービスを活用して

著書の校正がとてもスムーズにできました。

 

そして、もうすぐ新刊本『謎解きフランス文化論〜こだわりのライフスタイルはどのように生まれたか』(大修館書店)が完成します。

 

 

 

 

どんな本になっているか、また、読者のみなさんの反応も気になるところですが、この本は、

10年ちかく、東京日仏学院やプティ・セナクルで教えながら学んだ成果でもあると思いますし、

2024年からフランスに滞在して、この目で見たり、友人フランス人にインタヴューした内容も盛り込んだ、

今の私に書ける精一杯を綴ったものです。

その意味では、この本を自信をもって世に送りだしてあげたいと思っています。

 

そんな新刊本の出版を記念して、

飯田橋の東京日仏学院で本の内容にもリンクするプチ・レクチャーが開催されることになりました。

滞在最後に、少しでも多くの皆さんにお目にかかりたいと思っています。

(地方に滞在する方はZOOMでのご参加も可能です)

 

皆さんのエントリーをお待ちしています。

 

Quel est le secret de la beauté des Française?

『謎解きフランス文化論〜こだわりのライフスタイルはどのように生まれたか』

 

フランス流の審美眼&フランス女性の美の秘密に答えるプチ・レクチャー。書籍先行販売&サイン会が開催されます!

 

日時・3月21日土曜日16:30〜17:30

会場・飯田橋、東京日仏学院

受講料・千円

 

 

 

 

QRコードから申し込み可能です。

 

 

 

 

2月8日にプティ・セナクルが主催する第41回目のグルメレクチャーは、大エジプト美術館もオープンして

話題のエジプト女王クレオパトラがテーマです。

その美貌が「クレオパトラの鼻がもう少し低かったら」など、物議を醸すほどの美人。

それを演じる女優さんも

古くはエリザベス・テーラー、昨今はモニカ・ベルッティとそんじょそこらの女性ではありません。

でも、彼女は美しいだけの人ではなかったようですよ。

その秘密を彼女の食宴を切り口に暴く、そんなレクチャーになる予定です。

 

以下、食文化ヒストリアンの大原千晴先生からのメッセージです。

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クレオパトラ? 古代エジプトの女王でしょ。
美貌と恋愛と政治そして悲劇の主人公。
その食卓? なんか、あまりにも遠い世界ね?
そんなイメージでしょうか。

クレオパトラは、2人のローマの英雄との間に、
3人の子供を産んでいます。
注目は娘のセレーネ。数奇な運命の結果、
今のモロッコとアルジェリアを併せた国の女王になります。

ここでセレーネがめざしたこと。
それは、ローマ帝国につぶされた母の夢の実現です。

その夢とは、古代エジプトと古代ローマ、そして、
アレキサンダー大王が切り開いた広大な古代ギリシア文化圏の
最良の要素を融合して最高の宮廷文化を作り上げることでした。

驚くべきことに、セレーヌは、その夢を実現します。
その宮廷文化の重要な部分を、宴席が占めていました。
食材と料理、そして何より、宴の席で交わされた会話の水準の高さ。

今、モロッコでは、セレーネが達成した宮廷文化の遺産を
自国の固有文化の原点として再評価しようという動きが盛んです。

モロッコは近代に至って、フランスの植民地となります。
そのため、「だからモロッコ料理はおいしい」といわれます。
でも、フランス以前に、
セレーネが遺した素晴らしい食文化の基礎があった。

今回のレクチャーでは、
母クレオパトラと娘セレーネが築き上げた
知られざる宮廷宴席の世界をご紹介します。

「遠い昔」のように見えながら、実は、
現代のモロッコの食文化に直結している。

そんな意外な事実についてお話します。

 

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エジプト>ローマ>フランス>モロッコ

現代の食文化にも影響大のクレオパトラの食卓はいかに?

みなさんとご一緒に「味わいながら」楽しみましょうね。

 

種別

グルメ・レクチャー

   
講座名 「美貌と才気の女王、クレオパトラの食卓」
講師 大原千晴
日時 2026/2/8(日) 
11:00 開場 
11:15 開演~14:30 閉演 
会場 日本橋室町「ピース」(Peace) https://peace1.jp/
東京都中央区日本橋室町1-11-12 日本橋水野ビル 2F
受講料 19,800円 お話にちなんだお料理を召し上がっていただきます。
フルコースイタリアン(乾杯のドリンク、食後の温かい飲み物を含む)

大原千晴(おおはら ちはる)

「英国骨董おおはら」店主。骨董銀器専門家。食文化ヒストリアン。早稲田大学オープンカレッジ講師。早稲田大学法学部卒業。料理研究家の母・大原照子氏がイギリスに転居したのを機会に、日本と英国を行き来する生活が始まる。その過程で骨董銀器の魅力に開眼し、1991年「英国骨董おおはら」開業。著書に「食卓のアンティークシルバー」(文化出版局)、「アンティークシルバー物語」(主婦の友社)、「名画の食卓を読み解く」(大修館書店)。http://www.ohara999.com/
大原千晴

 

お問い合わせ・お申し込み プティ・セナクル

http://www.antiqueeducation.com