昨年の11月、世界文化社から発刊になった上野万梨子さんの『パリのしあわせスープ 私のフランス物語』を改めて読み返しました。

 

万梨子先生とのご縁は奇なるもの。

25歳で渡仏する際、お世話になっていた光文社の雑誌「クラッシー」の故並河編集長からご紹介を得たのがきっかけで、

なんと15年近くもご一緒に、あちこちの雑誌で連載を持たせていただくことになりました。

 

最初の連載は「塩と水」。

「食材に力があれば塩と水だけで十分美味しい料理ができるの。」と発した万梨子さんのその言葉は、大地にしっかと足を着けて自信を持って農作物を育てるフランスの農民への讃美でした。

 

次の取材は集英社の雑誌「シュプール」の「パリジャンの食卓」。

パンからマスタードまで、パリジャンの日々の食卓に必ず並ぶ食材を通して

彼らの食に対するフィロゾフィーを探るというものでした。

 

そして、2年に渡る長き連載は講談社の雑誌「FRaU」の「大地は女の食卓」。

季節ごとに、アスパラガス、アーティチョーク、牡蠣やムール貝やトリュフといった四季折々の美味しいものを育て、収穫している農家や水産業者を取材し、彼らが知っている最も美味しい方法で調理した料理を撮影するといった凝ったテーマ。

年によって素材の育ち方が違ったために、食材の盛りに現地を訪れるというのは困難を極めるものでしたが、

万梨子先生とはたくさんのものを見て味わい共有し、

そして万梨子さんの目を通してフランスの食に対するこだわりを学んだ貴重な時間でした。

 

今回の本は幼い頃の先生からパリに渡ることになったきっかけ、そしてそこでの暮らしを綴った自伝とも言える一冊です。

なかには、食を通して見たフランスという国の文化と歴史。

そして、先生のフランスへの愛がたっぷり詰まっています。

30年間のなかで変貌を遂げたパリ、そして変わらぬ魅力を放つパリ。

おばあちゃんの知恵袋を再現して見たり、伝統的フランス料理をà la MARIKOにした万梨子さんの日々の暮らしも覗けてなんだか嬉しかったり、感心したり、羨ましかったり。。。

たくさんの想いが交差する一冊でした。

 

この本はパリにいる万梨子さんでなくては書けなかったはず。

だからこそ、日本に住むご家族への想いや不安を抱えながらも

コロナ禍でも帰国しないでこの書き上げたのだなあと再確認。

改めて万梨子さんの心意気にはあっぱれ!です。

 

憧れの万梨子さんと少しお近づきになれた気持ちになる一冊。

皆さんも是非、手にとって熟読してくださいね。

 

上野万梨子著『パリのしあわせスープ 私のフランス物語 』(世界文化社)

 

 

 

 

 

昨日は、アートプロデューサーの中川真貴先生の出版記念をお祝いする講座をオンライン&対面で開催しました。

私は遠方からオンラインで主催させていただきました。

便利な世の中になったおかげで、

どこにいても、対面さながら皆さんの元気なお顔を拝見できるのは嬉しい限り。

その上、真貴先生のおかげで、印象派について多くの発見をさせていただくことができました。

 

印象派の先駆けとも言えるオランダ人ヨンキントは、パリの街の薄明るい陽に照らされる「フランス人の母」ノートルダム寺院を描いています。

 

また、マドレーヌ寺院からオペラへ抜ける大通りに面したナダールの写真館は、モネ、ルノワールといった面々が最初に「印象派展」を開催した場所。

かつて肖像画を描かせることが上流階級のステイタスだったように、19世紀後半、ナダールによって撮影された肖像写真はアッパークラスの証明書の役目を果たしていたのです。

 

また、印象派は日本の歴史とも密接な関係があります。印象派が誕生したのは、まさに欧州の万博時代です。

今、NHKの大河ドラマのテーマになっている渋沢栄一は、印象派という新しい芸術スタイルが台頭した時代に使節団としてパリ万博を訪れた人物として知られています。

 

画家たちは、万博で紹介された浮世絵の影響も多々受けていたのです。

 

 

意外に知られていないのは、ゴッホも印象派に大きく影響を受けていたということ。

 

セーヌ川に浮かんだアトリエ舟に乗って戸外で描くのを好み光を捉えた印象派の時代は実はたった12年間。

そして、印象派の後にはポスト印象派、ナビ派、そしてフォーブと呼ばれる

芸術スタイルが流行するのです。

 

ナポレオン3世からその終焉まで、

新しく、モダンに生まれ変わったパリの歴史とナポレオン3世によって経済効果が高まり

人々が物欲に駆られたバブル期という時代を象徴する印象派。

 

いつもながら絵の見方も教えていただき、

じっくりと芸術を楽しむことができた貴重な2時間でした。

 

名画シリーズ・色彩飛行

『初めてのルノワール』そして『初めてのモネ』(求龍堂)

著者・中川真貴

 

もどうぞ、皆さん手に取ってみてくださいね。

 

○ジュンク堂書店池袋本店でパネル展示中です。
三省堂池袋本店、紀伊國屋書店新宿本店でもパネル展示します。
主要3書店の本店です。営業部もがんばっています。
https://twitter.com/junkudo_ike_art/status/1381909605836464128?s=11

○書評
「はじめてのモネ」
毎日新聞の書評欄、図版入りで5月のどこかの土曜日に掲載になります。

 

 

5月は私、そして福西弘美先生、大原千晴先生の授業が続きます。

こちらもどうぞ、よろしく。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

水曜日から、アンスティチュ・フランセ東京の春季講座が開始しました。

今回は、教室での対面とズームによるハイブリッド講座。

初回なのでドキドキしましたが、特別の機器をセッティングして無事終えることができました。

 

今回の愛するパリ!のテーマは、

アヴァンギャルドなパリジェンヌの歴史です。

初回は、青い部屋で有名なランブイエ侯爵夫人ですが、

ほとんどの方は誰それ〜?って感じ。

戸川昌子(古い)のシャンソニエのモデルもそこからとったものだし、

サロン文化の発起人としては知られていますが、

17世紀初め、ルネサンスからバロック時代に移り変わる時代は

現代の私たちには少し遠い。

 

なので、青という新しい色(ブルーは12世紀から初めて価値のある色と思われるようになりました。それ以前の重要な色は白赤黒)を味方にしたクチュリエのランバンやインテリアデザイナーのマドレーヌ・キャスタンのお話も取り混ぜながら少しでも身近に感じていただこうと思いました。

マドレーヌ・キャスタンはプルーストとブリア・サヴァランをこよなく愛し、かなりの教養人だったようです。

ピカソやコクトー、シャガールなどの芸術家とも交流があって彼らには

プルーストのマドレーヌにちなんでプチ・マドレーヌと呼ばれて愛されたのだそうです。

 

またランブイエ侯爵夫人の夫の実家は

枢機卿や王宮に使える貴族の出で、

150haの森のあるランブイエ城を所有していました。

ここは、のちにマリーアントワネットが乳製品加工工房を造った場所でもありました。

 

 

ランブイエ侯爵夫人が新しかったのは、プロテスタントとカトリックの宗教戦争に明け暮れて

野蛮になっていったフランスの宮廷文化に

再び、気品と教養を取り戻すために邁進したこと。

 

そして、そこを語学サークルにするのではなく、礼儀正しく趣味がよく言葉の浄化を図り、

風雅的な雰囲気を重んじたことにあります。

 

当時、彼女のような才女をプレシューズと呼んだそうですが、1650年に劇作家のモリエールが『才女気取り』という喜劇を上映するとたちまちプレシューズという言葉は反結婚思想の禁欲主義の自分でも気がつかない偽善的な女性をせせら笑う言葉になったのだとか?

なんでも行き過ぎは良くないのですね。

 

当日お話し忘れた当時のマナーブックがあります。

『クルタンの礼儀作法書』(作品社)は1671年から1730年までの間に30版以上も重版され、イタリア語、英語、ドイツ語にも翻訳された礼儀作法の指南書です。

そこには、礼儀作法とは

「何事も然るべき場で行い、話すための知」とあります。

また、

「ものを受け取ったり渡したりするためには常に手袋は外し、相手の手に口づけする」

「言い争い、憤慨、度を越した誇張、自慢話、ホラ吹き、悪口」などふしだらな表現は控えるべし

など、

今のルールにも相当するすべきルールがたくさん掲載されています。

 

時代は経ても、マナーにはそうそう違いはないのですね。

ご興味ある方は手に取ってみてくださいね。

 

 

 

 

 

 

 

 

■講座■


<憧れのシャトー暮らし~ TVドラマ『ザ・クラウン』にみる、エリザベス2世スタイル>

講師:福西弘美

 

※ZOOM受講は、通信環境があればPC・スマホ・タブレットから参加可能です。ご希望の方には事前にZOOM利用のフォローもいたしますので、初めての方もぜひ受講ください。

 

 

ネットフリックスで話題騒然のTVドラマ『ザ・クラウン」は、バッキンガム宮殿やバルティモア城など、英国王室が所有する城を舞台に、歴史的事実に則ってロイヤルファミリーの生き様を描いた番組です。また、フランスのインテリア界の重鎮ジャック・ガルシアもまた、ノルマンディーの古城を現代の生活スタイルに合わせて飾り、暮らす一人です。憧れのシャトー暮らしを題材に、インテリアの法則や現在の私たちの生活にも取り入れられるキーワードを紐解いていきます。



■日時

5/8(土) 14時~16時

 

■会場 zoomによるオンライン講座
※当日から7日間動画視聴可能。
※別途DVDは1回につき1,000円(送料込)、受講申込の際にお申付けください。■受講料 5,000円

■どなたでも受講いただけます

詳しいお申込手順はこちら
http://www.antiqueeducation.com/tejun.html


福西弘美(ふくにし ひろみ)
米国駐在(LA)を経て、30代前半、NYの不動産管理会社に転職し、NYマンハッタンで自身のマンションを購入。それをきっかけに欧米スタイルのインテリアに強い関心を抱く。その後パリ留学、オークションハウス、クリスティーズでフランス美術史を学んだ後、東京目黒区碑文谷でアンティーク家具の輸入、インテリアサービス業を起業。一時期ベルギーに移住するなど長い海外生活を経て2012年に帰国。現在は大阪中之島にてライフスタイルショップ、「エルス」を運営する傍らインテリアデザインに従事。輸入ファブリックを用いたカーテンの製作、インテリアのオブジェ買付を通じて、法人・個人顧客に広くインテリアアドバイスを行う。http://www.eurolifestyle.net (オンラインショップ) http:// www. elsdesign.net (インテリアサービスサイト)



■お申込み・お問合せ
カルチャーサロン「プティ・セナクル」
http://www.antiqueeducation.com/

先週の土曜日から、プティ・セナクルの春季講座が開始しました。

まずは、私の授業から。

 

当日は、久しぶりにお目にかかる面々と初めて参加くださる生徒さんと

和気藹々とした雰囲気で講座を開催することができました。

ご参加くださった皆様、ありがとうございました。

 

途中、インターネットの回線の都合で聞きにくい場所があったようです。

ご質問を受けましたので

お答えしますね。

 

オランダは、もともとスペイン・ハプスブルグ家が統治していた場所ですが、

長きに渡る独立戦争によって、北の7州は1648年に晴れてネーデルランド連邦共和国となりました。

もともとこのあたりは、高級なリネン・ダマスクの名産地として知られていましたが、

それには、牧畜で有名なオランダの地の利が功を博していました。

 

それというのも、麻糸を真っ白にするには、牛の乳から乳脂肪分を取り除いた後の水溶液「ホエー」が

大きく役立ったからです。

当時、麻糸を真っ白に漂白するには7ヶ月もの月日が要されたそうです。

それには、まず、

洗剤につける、洗う、取り出して

灰汁や骨灰、苛性カリで煮る。これによって炭素が二酸化炭素に触れてアルカリが脂肪分やゴムを分解する。

そしてホエーにつける。

その2日後に水で洗い、草原に広げて陽に当て

空気と太陽にさらす、

そして再びホエーで洗う。

これだけで約3ヶ月かかる工程をもう一度繰り返すという大変な作業だったそうです。

それでも、中心市のハーレムだけで1000人もの女工がこの作業にあたっていて、

オランダ=真っ白のリネン・ダマスクの名産地としてヨーロッパの王室にその名を轟かせていたのだそうです。

 

 

最高級品にあ、1cmに35~50本の細番手の色が使われたというダマスク織。

次回の渡仏では、アンティークマーケットで最高級品を散策したいものです。