長い夏休みの後、昨日、アンスティチュ・フランセ東京のアトリエクラスの夏期講座、第4回目をオンラインで開催しました。

ずっと上手くいかなかったズームを介してのオンエアもやっとこなし、

今回からは少しは映画も見やすくなったと思います。

ほっ。

でも、やっぱりインターネットは繋がりにくかったりハプニング続出で毎回気持ちを引き締めながら挑んでいます。

早く、上手にできるようになりたい。

 

この授業を開催するにあたって、

画家ポール・セザンヌと小説家エミール・ゾラの伝記をたくさん読みました。

その中には、南仏の灼けつく太陽の下、一片の曇りも感じさせない開放感あふれる絵を描く画家とは似ても似つかない

ウエットで人嫌いで、泣き虫で自信のない、自暴自棄なポール・セザンヌの姿がありました。

一方で、弱きものを助け、革命的な社説で問題提起を投げかけてきたエミール・ゾラは、

控えめで穏やかで気弱とも言える丸腰で、とても保守的で守りの人生を歩む男性だったのです。

 

そんな二人はエクス・アン・プロヴァンス時代からの幼なじみでした。

今回取り扱った映画「セザンヌと過ごした時間」は、その二人の長きに渡る友情と

創作に従事する芸術家の葛藤の日々を描いたものです。

 

映画の中には、赤貧から次第に暮らしぶりがよくなり、

ブルジョワ階級の人々と付き合ううちにその時代に流行した折衷様式の家に住まうゾラの様子が如実に表現されています。

ゾラやセザンヌが生きた時代はまさに万博時代。

アジアや中近東の様々なものが万博を通して紹介された時代です。

その中には、日本の薩摩焼と思われる大きな壺があったり、また、私が持っているのと全く同じの

アルザスの陶磁器窯「サルグミン」のティーカップがありました。

これは、ゾラの朝食のシーン、また、ゾラの家を訪れたセザンヌがお茶を飲むシーンに使われているのでよくご覧ください。

これと同じようなシノワズリーのカップは、イギリスのミントン社でも作られています。

多分、その流行を受けてサルグミン社でも作られたのではと思われます。

 

案山子のようにいつも破れた麦わら帽子をかぶって同じスモック姿でいるセザンヌですが、

その風貌には似合わず、子供の頃からギリシア語やラテン語が得意だった優秀な文学青年でした。

中でも愛したのはボードレールの「悪の華」でその全てを暗唱できたのだとか。また、セザンヌの記憶力は

かなり確かなもので、

ヨーロッパ中の有名絵画がどこの美術館に収められていたのかも空で言えたのだそうです。

人は見かけによらないものですね。あら、失礼!

 

残念ながら田舎者であることを恥ずかしく思っていたセザンヌは

芸術家仲間とも上手く接することができませんでした。

みんなが集ったモンマルトルのカフェ・ゲルボアにもごく稀に顔を出すだけだったとか。

そのため、そこの常連を描いたアンリ・フォンタン・ラトゥールの描いた「バティニョールのアトリエ」にも

マネ、オットー・ショルデラー、ルノワール、ゾラ、エドモン・メードル、バジールたちが描かれているのにも関わらず、仲間には入れてもらえなかったのです。

反対に、彼はすぐそばに絵の具店を構えるタンギー爺さん(そう、ヴァン・ゴッホを庇護したあの、タンギーです)

のところには足しげく通ったのだとか。

やっぱり暗いパリの空、人恋しかったんでしょうね。

そうそう、自分のことを棚に上げてゴッホのことを

「変人」呼ばわりしたセザンヌは、タンギー同様、オーベルニュ・シュル・ロワーズのガシェ医師にも随分とよくされたようです。

 

ちなみに、この映画はパリの青い光、ゾラの家のあるノルマンディー、メダンの温かみのある柔らかな光、

そして、南仏の強烈な陽射しとその空気感を使い分けているのが特徴です。

 

朝8時から13時、そして夜7時から10時まで規則正しく仕事したセザンヌは、

夜中に必ず起きて、その日の夜空を見上げて翌日の天気を予想するのが習慣だったのだとか。

晴天でもなく、雨でもない、薄曇りの青い光は絵を描くのにぴったりだったからです。

 

ピカソに我々の父、マティスに絵の神様と崇拝された画家ポール・セザンヌとゾラの激しい友情をこの映画を通して感じていただけたら嬉しいです。

 

なお、10月3日にはプティ・セナクルの講座としてエドワード時代のロンドンを舞台にした

「金色の嘘」を開催します。こちらもどうぞ、お楽しみに。

 

 

 

 

 

 

 

 

食文化ヒストリアンの大原千晴さんの講座を、この10月11月は連続して開催することになりました。

この春夏はずっと巣篭もりして研究に励んでいた先生の

知識のトークが炸裂する予定!

 

10月17日土曜日、憧れのショコラティエ、日本橋のアランデュカスにて

開催予定の講座では、

ここでしか味わうことのできないチョコレートのle gôuter(フランス語でおやつのこと)

のバリエーションを楽しんでいただきますよ。

 

17世紀は、陶磁器、漆、と言った魅力的な工芸品同様、たくさんのエキゾティックな食材が海を渡って

欧州に流れ込んだ時代です。

皆さんよくご存知のお茶、カカオ、そして、トウモロコシやジャガイモ、トマトといった

今や西洋料理になくてはならない食材も然り。

そうしたものは、最初から両手を広げて受け入れら訳ではなく、難色を示す人も多かったよう。

今やファンが多い日本の刺身や寿司とおんなじですね。

 

白い磁器を真似て作られた17世紀の南仏のムスティエの陶器には、

「ジャガイモの花」というモチーフの絵柄もあって、

当時、珍しい輸入品としてもてはやされたジャガイモのブームを物語っています。

 

18世紀になるとジャガイモはなくてはならないフランスを代表する農作物に。

ジャガイモの花モチーフは、かのマリーアントワネットの愛する工芸品にもたくさん見られるのですよ❤️

 

大原さんの講座では、2回にたっぷりとこの時代の食材について

背景や派生の様子を語っていただける予定です。

 

皆さんのご参加をお待ちしています!

 

詳しくはプティ・セナクルまで

>

http://www.antiqueeducation.com

 

 

 

 

 

 

 

 

ー エルスのzoomで繋がるミーティング ー 暮らすように旅するパリ、6区セーヌ通りアパルトマン

 

気軽に出かけたりお友達とあったりすることが儘ならぬ今、
目先を変えると、便利なツールが普及してこんなことができるようになりました!


パリ6区セーヌ通りに小さなアパルトマンがあります。購入してからもう13年。リノベーション、リフォームを重ねて、短期賃貸物件として、パリを訪れる観光客やビジネスマン、学生さんに使っていただいています。ホテルじゃ物足りない、もっと暮らすように楽しんでみたい街、それがパリの魅力でもあります。そんなパリの楽しみ方についてもっと知りたい!と思われる方に是非ご参加いただきたいミーティングです。

内容:パリ6区は、観光客が必ず訪れるサンジェルマンデプレ、シテ島、ボザール橋、ルーブル美術館、オルセー美術館が徒歩圏内にあるいわばパリのおへそに当たるカルティエ。アンティークやアートギャラリーの密集するエリアでもあり、毎年1月と9月は、パリデザインウィーク、パリデコといった、ファブリックとインテリアのお祭りとも言えるような展示会が開催され、商業的にも大変な賑わいのある一角でもあります。エルスミーティングでは、そんなパリ6区の魅力をアパルトマンオーナーの視点から多岐にわたってご紹介します。実際にホテルではなくアパルトマンに滞在したら、どんな風にパリの一日が変わるのか、時間の使い方や楽しみ方はもちろん、将来パリを旅する上で参考になるパリ街歩きのコツ、スーパーマーケット・マルシェの活用方法、居心地の良い地域のカフェの選び方などについてもお話します!

日程:2020年10月3日(土) 午前10時半~11時10分
講師:福西弘美 エルスオーナー
会場:オンライン zoomアプリを搭載した端末があれば全国どこからでもご参加可能
参加費:無料
お申込方法:お名前とzoom招待リンクをお送りできるメールアドレス、パリ情報の中でも特にお知りになりたいこと、ご興味のあるテーマなどについてお知らせください。

 

詳しくはこちらの「お問い合わせフォーム」まで>

https://www.eurolifestyle.net/

 

 

 

9月の第一週、第二週の週末、イギリスアンティーク家具修復国家資格を持つ修復家の黒瀧道宣さんと

大阪・中之島でセレクトショップ「エルス」を経営するインテリアデザイナーの福西弘美さんの

アンティークキャビネットの講座を開催しました。

 

黒瀧さんは、中世の戦乱の時代に大切な家財を収めて持ち運べる「財産」である

(家具がMOBILIER=MOBILEと呼ばれるのはそのため)箱物家具であるチェストが、

次第にコモド〜キャビネットへと発展していった、その過程と

社会背景について詳しくお話しくださいました。

 

シャトーが要塞から居心地の良い住まいへと変化を遂げた17世紀になると、

キャビネットは移動させる必要がなくなり、

迎い入れた客人に、自らの富と権威を象徴する「象徴」へと変わって行きました。

そして、素材には高価な木材や大理石、また、べっ甲などが用いられ、

装飾性の高いものへと変化するのです。

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最後には、

マーケットリー、オルモル、彫刻、ギルティングなど、キャビネットに用いられた様々な装飾についてのお話を伺い、

教室として使用させていただいている、英国アンティーク家具モール「ジェオグラフィカ」の店内に並ぶ家具を鑑定しながら

「銘品を見定める目を養う」という、実り多い授業となりました。

 

翌週には、ZOOMで大阪から福西さんの授業を開催。

福西さんは、NYで不動産を扱う仕事をしたのち、フランスのクリスティーズ・エデュケーションで学び、その後、東京・碑文谷でアンティークの輸入家具を扱う仕事をしてきたという素晴らしい経歴の持ち主。

欧州の暮らしの中で培った経験にもとずくお話は、背伸びすれば実現可能なものばかりです。

 

私も書かせていただいている雑誌「BON CHIC」のインテリアをピックアップしたり、

パリの新しいホテルの情報があったり

2時間あっという間に過ぎてしまいました。

 

次回の福西さんのクラスは12月5日(土)15時〜17時。再びZOOMでの開催になりますので、

教室までお越しになれない遠方の方でも受講可能ですよ。

どうぞ、プティ・セナクルまでお問い合わせくださいね。

http://www.antiqueeducation.com

 

 

巣篭もりが長い皆さんの秋が少しでも素敵なものになるように、

この秋も、楽く学べる教養&実践クラスをご用意しています。

 

10月3日はダウントンアビーと同じ時代、英国20世紀はじめを描いた映画「金色の嘘」(講師・石澤季里)と

「宮廷宴席発祥の地、ブルゴーニュ公国」(大原千晴)講座を開催予定です。こちらもどうぞ、よろしくお願いします。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

■講座■

 

 

< 17世紀ヨーロッパの食革命  驚きの輸入食品 >
講師:大原千晴

 


【全2回】

16世紀後半から17世紀を通して、欧州の味覚は大きな転換点を迎え、それ以前とは劇的に変化していきます。その最大の要因が、新大陸アメリカからもたらされた新たな食材の数々。中でも、トマトとジャガイモとトウモロコシが欧州の農村と食卓にもたらした影響の大きさは計り知れません。また同じ時期にブラジルやカリブ海諸地域で始まった大規模な砂糖キビ農園から量産され始めた砂糖。そしてチョコレート。こうした「新たな食材」が欧州の食にもたらした様々な影響をご紹介します。その一方で、各種スパイスの入手が容易になっていく中で、宮廷宴席におけるその利用はむしろ控えめになっていきます。いったいなぜなのか。新大陸からの食材と、宮廷宴席料理での嗜好の変化。この2つの要素に焦点を当てつつ、何がどう変化していったのか、その大きな変遷の過程を探ります。

2回のレクチャーはいずれも内容が異なります。レクチャーの後に質疑応答の時間を設けています。 (DVD受講の場合は、後日、資料と一緒にル・ショコラ・アランデュカスのチョコレートをお送りします)


 

■①日時 10/17(土) 10時~12時45分 

【会場】日本橋「ル・ショコラ・アランデュカス東京工房」http://lechocolat-alainducasse.jp/での対面レクチャーまたはDVD受講  ※レクチャー終了後に、ル・サロン限定のアフタヌーンティーセット「ル・グテ」を召し上がっていただきます。

 

■ ②日時 10/31(土) 11時~12時半 

【会場】経堂教室にての対面レクチャーまたはDVD受講

 

■受講料 15,000円(全2回)

 


■どなたでも受講いただけます

詳しいお申込手順はこちら
http://www.antiqueeducation.com/tejun.html


大原千晴(おおはら ちはる)
「英国骨董おおはら」店主。骨董銀器専門家。食文化ヒストリアン。早稲田大学オープンカレッジ講師。早稲田大学法学部卒業。料理研究家の母・大原照子氏がイギリスに転居したのを機会に、日本と英国を行き来する生活が始まる。その過程で骨董銀器の魅力に開眼し、1991年「英国骨董おおはら」開業。著書に「食卓のアンティークシルバー」(文化出版局)、「アンティークシルバー物語」(主婦の友社)、「名画の食卓を読み解く」(大修館書店)。http://www.ohara999.com/


■お申込み・お問合せ
カルチャーサロン「プティ・セナクル」

http://www.antiqueeducation.com/