ダンナと同じ家に一緒に

住み続ける必要なんてない。

 

けれど、単身で沖縄へ

移住する準備を始めているうちに、

途方も無く、淋しくなった。

 

 

私自身に「自分だけの聖域」を与えてやらなくては。

 

鎌倉で過ごした10年。

この町が私の人生を変えた。

でも、もう充分なんじゃないか。

 

もうこれ以上、

新しい人に出逢うことは

ないんじゃないか。

 

 

同じように家と酒場を往復して、

それだけで時が過ぎて

行くんじゃないか。

 

だったら私は、

次の場所に行かなくてはならない。

 

 

 

 

何もかもリセットして、

単身で沖縄へ

移住しようと準備していたその日。

 

私は『ちひろさん』という

漫画を読んでいた。

 

 

元風俗嬢のちひろさん。

今は海辺の町の弁当屋で働いている。

 

越してきた町で

愛すべき人たちと知り合い、

文句のつけようのないくらい

幸せな日々が続いている。

 

そんな幸せが続くと、

どこか遠くへ逃げてしまいたくなる。

 

その姿が、ちょうど

今の自分にかぶって見える。

 

 

 

明日で最後だと

仮定してみる

 

「あんた明日

 遅刻すんじゃないよ!」

「ハーイ」

 

ところが明日

私は来ない

 

連絡もつかなくて

大パニック

 

という想像

 

 

この海と

この人たちと

この街と

この風景とも

 

これが最後だと

 

(安田弘之『ちひろさん』6巻「第39話 悪巧み」より抜粋)

 

 

そんなとき、

ちひろさんは

本当に引越の準備をする。

 

引越業者の段ボールを手配して

荷造りをする。

 

本気でそうするつもりで

やってみると、

 

自分の気持ちが

どう動くかわかるから。

 

 

ちひろさんと同じように

引越の準備を進めていた私は、

胸にすこんと穴が開いたような

淋しさを感じていた。

 

 

不動産屋のサイトに載っている

沖縄のいくつもの物件。

その茶色い壁の色。

 

沖縄に越したら。

私はこの茶色い壁を

毎日独りで眺めて過ごすのだろうか。

 

本当に私がしたいのは、

沖縄に単身で移住すること

だったのだろうか。

 

 

その日はたまたま、

めったに会わなくなった友達から

飲み会に誘われていた。

 

5年くらい前までは、

それぞれが代わる代わる

イベントを計画して、

 

毎週のように顔を

合わせていた鎌倉の仲間たち。

 

 

次第にみんな

家族構成が変わり、

仕事の仕方が変わり、

 

そんなふうに会うことは

なくなっていた。

 

 

でも、会えば時間は巻き戻る。

昨日まで会っていたか

のように話は弾む。

 

鎌倉に自分のお店を持ち、

根を下ろして生きている仲間たち。

 

「これからの鎌倉を

 どんなふうにしていけばいいだろう」

 

そんな話題が自然に出る。

ああ、私はそんなこと、

考えてもみなかった。

 

 

Photo by Ken Hori from Pixabay

 

 

10年前に鎌倉に越してきてから、

今日の今日まで私はずっと、

鎌倉の「お客さん」だった。

 

この町に憧れてやってきて

長期滞在している、

 

鎌倉を消費するだけの

お客に過ぎなかったのだ。

 

 

飲み会には、初めましての

顔ぶれもちらほらあった。

 

同じ鎌倉には住んでいたけれど、

それまで接点のなかった

自分よりひとまわりくらい若い世代。

 

最近鎌倉に越してきた人。

いつか鎌倉に越してきたいと願っている人。

 

そうか、当たり前だけど、

このまま鎌倉に住んでいても、

まだまだ新しい人と知り合える。

 

 

 

越してきたばかりの頃。

 

いちばん元気で

イベントもばんばん

企画していた60代の先輩たちが

 

今はみんな70代になり、

馴染みの酒場にも

姿を見せなくなりつつある。

 

亡くなった人も

一人や二人じゃない。

 

そんなふうに、

この10年で知り合った人が

これからはだんだん

消えていくのだと、

私は思い込んでいた。

 

 

10年。

それは、観光客のまま

住み続けるには、

あまりに長い年月だ。

 

根無し草としての

生き方をつらぬくなら、

そろそろ移動する時だろう。

 

でも、もし根を下ろすなら?

 

よそ者とはいえ、10年。

 

もう「新参者」ではないと

言ってもいい時期に

来ているのではないか?

 

 

目が覚めた気がした。

私は、鎌倉に住み続けたまま

新しいフェーズを迎えることもできる。

 

この町の「ゲスト」をやめて

「ホスト」になったっていいんだ。

 

新しい人たちを迎え、

気持ち良い町を自分たちの手で

つくっていこうとしていいんだ。

 

 

翌朝、起きて来た

ジロウ(ダンナ)に

 

「鎌倉を引き払って

 沖縄へ移住するのは

 辞めることにした」

 

と言った。

 

 

ジロウはホッとした顔で

「そう」と答えた。

 

 

(つづきます ↓)

 

どこを「地元」と呼ぶのか、自分で選んでもいいんだ。

目次

 

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