15才で親元を離れ、

ホームステイ制度のある

高校を選んだのは、

 

これ以上父親と

同じ家には暮らせない

と思ったからだ。

 

 

ホームステイの1年目は

初めてのことばかりで楽しかった。

 

ホストファミリーの夫婦と、

小学生の子どもたち。

 

じいちゃん、ばあちゃんに、

一緒に暮らす同級生の仲間。

 

10人以上の大所帯だ。

核家族の一人っ子で育った

私の家庭とは全く別の環境だった。

 

 

2年目。

 

私の精神は、

そんなにぎやかな暮らしに

耐えられなくなっていた。

 

 

 

 

私はそもそも、

人と暮らせない

人間なのかもしれない。

 

実の親とも暮らせなかったのだから、

赤の他人と一緒に暮らすなんて、

どだい無理なことだったんだ。

 

 

ステイ先を移った。

 

新しいホストは70代の老夫婦と、

独身の長男だけの静かな家だった。

 

本当の孫のように

可愛がられたけれど、

 

私はそこでも最後まで

心を開くことはできなかった。

 

 

東京の大学に進学して、

一人暮らしが始まったとき、

 

これでようやく私は

私のまま生きられると

心からほっとしたんだ。

 

 

東京よりも所沢に近い郊外だ。

夜には生活音で騒がしいけれど、

昼間は何も音がしない。

 

何も予定のない休みの日、

ただ独りで部屋にいると、

 

自分以外の人間は死に

絶えてしまったのじゃないか

と不安になる。

 

ようやく手に入れた

一人きりの生活だというのに、

私はまた心を病みそうになっていた。

 

 

治安も悪かったそのアパートを出て、

早稲田通りのオートロックの

マンションに越した。

 

どうしても眠れない夜は、

深夜まで開店している本屋に行く。

 

眠れない夜のお供に、

おだやかな小説かエッセイを買う。

 

そんな日々に出会ったのが、

料理家・高山なおみさんの日記

『日々ごはん』のシリーズだったのだ。

 

 

 

血の繋がった家族とだって

暮らせなかったのに、

他人となんて暮らせるわけがない。

 

そう思っていた私に、

それまで持ち合わせていなかった

願望をこの本は抱かせることになる。

 

 

(つづきます↓)

 

みあんご!

 

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