私の母は、結婚生活3日目にして
早くも父に「離婚してください」
と言ったらしい。
……いや、早すぎるでしょう！
父と結婚する前、
母はバツイチだった。
バツイチでも結婚してくれる
男性がいるなら何でもいいと、
思っていたみたいなんだよね。
ダメだよ、そんなことで
生涯のパートナーを決めては。
離婚の申し出は受け入れられず、
結婚生活はそのまま続行して
一年後に私が生まれた。
「結婚とは、棺桶に片足を
突っ込むようなものだよ」
それが母親の口癖。
そんな家庭で育ったら当然、
結婚願望なんて抱けない。
私は、幸せな夫婦生活なんて
少女漫画の世界にしか存在しない
ファンタジーなのだと思っていた。
だから、独りで生きていくと決めていた。
そんな私が学生時代に出会ったのが、
料理家・高山なおみさんの著書
『日々ごはん』だったんだ。
『日々ごはん』は、高山なおみさんの
公式サイト「ふくう食堂」に掲載されて
いる日記を本としてまとめたものだ。
第1巻のはじまりは2002年2月。
この頃の高山さんは
諸国空想料理店KuuKuu（クウクウ）
という吉祥寺のお店でシェフをしていた。
料理家としての仕事は
まだ始まったばかり。
ある日は雑誌の撮影、
ある日はテレビへ出演し、
そしてまたある日は、
シェフとしてお店に立つ。
そんな慌ただしい日々に
寄りそうように暮らしている、
広島弁でしゃべる夫のスイセイさん。
ふたりの日々が、
私には涙が出るほど
うらやましかった。
そんな夢みたいな
夫婦の暮らしが、ほんとうに
現実に存在しているなんて。
叶うことなら。
籍を入れるとか入れないとか、
そんなことはどっちでもいい。
一緒に暮らしていける人と出逢いたい。
私のやりたいことを
応援してくれる人。
自分もやりたいことを持っていて、
それに向かっていける人。
そんな人とできれば、
いつか住みたいと思っている
鎌倉の町で一緒に暮らしていきたい。
高山さんとスイセイさんみたいに。
それが、学生時代の私の夢。
『日々ごはん』に出逢って
から15年が過ぎた。
鎌倉の町でジロウ（ダンナ）
と暮らしている私は、
あの頃見た夢の中に生きている。
……そういえば、
高山さんとスイセイさんは
どうしているのだろう？
書店をのぞいたら、
おふたりの共著が出版されていた。
『ココアどこわたしはゴマだれ』という本だ。
うれしくて懐かしくて
夢中で読み、そして
最後のページでぎょっとする。
おふたりが出逢った
ばかりの若い頃の写真。
その下に。
高山・2016年5月に神戸へ移住
スイセイ・同じく9月に山の家へ移住
えっ、どういうこと？
（つづきます ↓）
みあんご！
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