結婚願望のなかった私が

誰かと一緒に暮らしていきたい

と思うきっかけとなった、

 

高山なおみさんと

夫・スイセイさんの日々の記録。

 

そのおふたりが

別々に暮らし始めたのだという。

 

 

 

料理家の高山なおみさんが

生み出すものは、

 

レシピはもちろんのこと、

あふれてこぼれるかのように

書かれたたくさんの言葉たち。

 

 

シンプルで力強い料理と、

野性味を感じさせる文章は

どこか似ている。

 

自分の中から湧き上がってくるものを、

嘘なく言葉に拾いあげようとする。

 

 

あたりまえの日々の記録でありながら、

唐突に胸を打つ。

 

 

 

 

そんな高山さんの言葉たちに

最初に目を通して確認する読者は、

いつも夫のスイセイさんだった。

 

 

そして日記『日々ごはん』が復活し、

 

『帰ってきた日々ごはん』の

デザインを担当したのも、

スイセイさんだった。

 

 

 

高山さんが生み出すものは、

ふたりの合作。

 

 

それが、『帰ってきた 日々ごはん』で

綴られる日々のなかで、

少しずつずれていくのが感じられる。

 

 

『帰ってきた 日々ごはん〈2〉』

のあとがきに、

高山さんはこんなふうに書いている。

 

日記には描けなかったけれど、このころ私とスイセイは根深い喧嘩をよくしていたこと、今となっては遥か昔のことのように切ない気持ちで思い出しました。

(高山なおみ『帰ってきた 日々ごはん〈2〉』アノニマ・スタジオ、2016年10月、p.226)

 

 

 

『帰ってきた 日々ごはん〈5〉』は、

 

高山さんが単身で神戸に

移住することを発表し、

そして実際に引っ越ししていった日々の記録だ。

 

 

2016年2月24日の日記を読んで、

私は泣いた。

 

『日々ごはん』を書きはじめたころだったか、テレビの収録やトークショーがある前の晩になると、私は緊張して眠れないことがよくあった。

 当日も靴をはきながら、(行きたくないなあ……)と思っていると、玄関先でスイセイが声をかけてくれた。

「みいよう、リラック、リラックでの。ほいじゃが、楽しいと思うで!」

 あのころから比べると、私はずいぶん成長し、怖いものも少なくなって、たいがいのことは楽しくできるようになった。

 だから、いつのころからかスイセイにも言われなくなった。

 それでもこれからのひとり暮らしのことを思うと、ふと、目の前が曇る日がある。

 だからほんとは今、まさにスイセイに言ってほしい言葉だったんだと気がついた。

 でも、私のわがままでこうなっているんだし、自分で決めたんだから、そんなことまで望んだらバチが当たる。

(高山なおみ『帰ってきた 日々ごはん〈5〉』アノニマ・スタジオ、2019年5月、p.63-64)

 

 

 

テレビの仕事にも慣れ、

映画の仕事もこなし、

絵本という新境地まで切り拓き始めた高山さん。

 

 

 

きっと、それまでのように、

スイセイさんと二人三脚では

新しいものが生み出せなくなってきたのだ。

 

 

そんなふうに私は感じた。

 

 

そしてそれは、

私自身にも当てはまることなのかもしれない、

と考えていた。


(つづきます ↓)

 

 

 

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