

「当時は冷戦時代。モスクワとかロシア(当時のソ連)になじみがなかった。歌詞にあるように、ソ連が『おとぎの国』だと思い込んでいた」。加西市の会社員、藤中健二さん(56)はそう振り返る。
パルナスのCMは昭和40年代から日曜朝のテレビアニメの時間帯に流れた。ロシア民謡調の歌をBGMに、赤ちゃんの顔のアップから始まる1分間の映像。「ジャングル大帝」「リボンの騎士」「ムーミン」といった人気アニメの合間に十数年にわたって放映され、多くの子供たちの脳裏に刻まれた。
そんな子供の1人だった藤中さんが、パルナスの展示会を始めたのは昨年1月。創業者の故古角(こかど)松夫氏の出身地だった縁で加西市に寄贈されたキャラクター人形やCMレコードなどの資料を借り、地元ローカル線・北条鉄道の長(おさ)駅で、「こころばかりのパルナス展」を開いた。
わずか1日の開催ながら無人駅に約800人が訪れた。藤中さんはパルナスの持つ吸引力の大きさに改めて驚いた。
